12月は旧暦で師走(しわす)と呼ばれ、一年の締めくくりにふさわしく行事が目白押しの忙しい月です。冬至にはゆず湯に浸かりかぼちゃを食べて無病息災を願い、クリスマスには家族でケーキを囲み、大晦日には年越しそばをすすりながら除夜の鐘に耳を傾ける——12月は日本の暮らしの美しさが凝縮された月です。この記事では、12月の主な行事を日付順にまとめ、過ごし方・旬の食べ物・花と風物詩まで幅広く紹介します。
「師走」の語源は、年末の忙しさで師(僧侶)も走り回るほどだという説が広く知られています。師僧がお経をあげるために東西を馳せる「師馳す(しはす)」が転じたとされます。ほかにも、一年の最後に「為果つ(しはつ=やり遂げる)」から転じたという説や、四季の終わりの月を意味する「四極(しはつ)」に由来するという説もあります。

CHAPTER 01
12月の主な行事カレンダー

まずは12月の行事を日付順に一覧で確認しましょう。年末に向けて慌ただしくなりますが、ひとつずつ丁寧に楽しみたい行事ばかりです。
12月の行事カレンダー【2026年版】
日付行事名内容
12月7日ごろ大雪(たいせつ)二十四節気のひとつ。山間部で本格的に雪が降り始める頃
12月13日正月事始めお正月の準備を始める日。すす払い(大掃除)やお飾りの用意をする
12月13日すす払い(大掃除)一年の汚れを払い清め、新年を清々しく迎えるための大掃除
12月中旬〜下旬お歳暮一年の感謝を込めて贈り物をする年末の慣習
12月22日ごろ冬至(とうじ)一年で最も昼が短い日。ゆず湯に入り、かぼちゃを食べて無病息災を祈る
12月24日・25日クリスマスイエス・キリストの誕生を祝う祭日。ケーキやプレゼントで家族と楽しむ
12月下旬歳の市しめ縄・門松などのお正月飾りを売る年末の市。各地の寺社で開催される
12月31日大晦日(おおみそか)一年の最終日。年越しそばを食べ、除夜の鐘を聞いて新年を迎える

CHAPTER 02
12月の行事と過ごし方

ここからは、12月の代表的な行事をひとつずつ掘り下げて紹介します。一年の感謝を込めて、ひとつひとつの行事を大切に過ごしましょう。

冬至(12月22日ごろ)

12月22日ごろは冬至(とうじ)です。一年で最も昼が短く、夜が長い日。古来より太陽の力が最も弱まる日とされ、この日を境に再び日が長くなることから「一陽来復(いちようらいふく)」——運気が上向きに転じるめでたい日とされてきました。
冬至にはゆず湯に入って体を温め、かぼちゃを食べて栄養を摂るのが定番の風習です。「ん」のつく食べ物(なんきん=かぼちゃ、にんじん、れんこんなど)を食べると「運(うん)」を呼び込むとされています。冬至の由来やゆず湯の風習は冬至の記事でくわしく解説しています。
冬至のゆず湯
冬至。ゆず湯に浸かって体を温め、無病息災を祈る

クリスマス(12月24日・25日)

12月24日のクリスマスイブと25日のクリスマスは、日本でも家族や大切な人と過ごす冬の一大イベントです。もともとはイエス・キリストの誕生を祝うキリスト教の祭日ですが、日本では宗教を超えた冬の文化として定着しました。クリスマスツリーを飾り、サンタクロースからのプレゼントを楽しみにする子どもたちの笑顔は、冬の最高の風物詩です。
クリスマスの起源や日本と海外の違いはクリスマスの記事で、クリスマスイブの意味と過ごし方はクリスマスイブの記事でくわしく紹介しています。
クリスマスの飾りつけ
クリスマス。ツリーを飾り、家族でケーキを囲む冬の一大イベント

正月事始め・すす払い(12月13日)

12月13日は正月事始め(しょうがつことはじめ)の日です。この日からお正月の準備を始めるのが昔からの慣わしで、すす払い(大掃除)もこの日に行うのが正式とされています。一年間にたまった煤(すす)やほこりを払い清め、年神様をお迎えする準備をするのが本来の意味です。
正月事始めの由来は正月事始めの記事で、すす払いの風習はすす払いの記事でくわしく解説しています。
すす払い
すす払い。一年の汚れを払い、清々しく新年を迎える準備

お歳暮

12月中旬から下旬にかけて、一年間お世話になった方へお歳暮を贈ります。もともとは年末に先祖の霊を祀る行事(歳暮の祝い)に供える品を贈り合ったのが始まりとされています。現代ではお世話になった方への感謝の気持ちを形にするギフトとして親しまれています。
お歳暮の時期・相場・マナーはお歳暮の記事で、お中元との違いはお中元とお歳暮の違いの記事でまとめています。

大晦日(12月31日)

12月31日は一年の最終日、大晦日(おおみそか)です。家族揃って年越しそばを食べ、深夜には寺院で除夜の鐘をつく(または聞く)のが日本の大晦日の伝統的な過ごし方です。年越しそばには「細く長く生きられるように」という長寿の願いや、「一年の災厄を断ち切る」という意味が込められています。
除夜の鐘は108回つかれ、人間の煩悩の数を表すとされています。鐘の音を聞きながら一年を振り返り、新年への思いを新たにする——日本ならではの静かで美しい年末の風習です。
大晦日の過ごし方や風習は大晦日の記事でくわしく紹介しています。
大晦日の初詣
大晦日。除夜の鐘を聞きながら一年を振り返り、新年を迎える

歳の市・イルミネーション

12月下旬には全国各地の寺社で歳の市(としのいち)が開かれます。しめ縄・門松・鏡餅などのお正月飾りや食材を売る年末の風物詩で、東京・浅草の浅草寺の歳の市は特に有名です。新年を迎える準備をしながら、年の瀬の雰囲気を味わいましょう。歳の市の由来は歳の市の記事で紹介しています。
また、12月は全国各地でイルミネーションが最盛期を迎えます。街路樹や商業施設が色とりどりの光に包まれる冬の夜景は、寒い季節を温かく彩ってくれます。全国のおすすめスポットはイルミネーションの名所15選の記事でまとめています。
歳の市の夜景
歳の市。年末の浅草寺で正月飾りを買い揃える年の瀬の風物詩

CHAPTER 03
12月の旬の食べ物

寒さが本格化する12月は、体を温めてくれる冬の食材が真っ盛り。鍋料理やおでんがひときわおいしく感じられる季節です。
12月に旬を迎える主な食材
食材名特徴・おすすめの食べ方
フグ(河豚)冬の高級食材の代表格。てっさ(刺身)・てっちり(鍋)・ひれ酒と贅沢な味わい
タラ(鱈)「鍋の王様」とも呼ばれる冬の魚。タラちり鍋やフライで身のほろほろ感を楽しめる
アンコウ(鮟鱇)「西のフグ、東のアンコウ」と並び称される冬の味覚。あんこう鍋で濃厚な旨みを堪能
白菜(はくさい)冬の鍋に欠かせない定番野菜。霜に当たると甘みが増し、漬物にしても絶品
ユズ(柚子)冬至のゆず湯や料理の香りづけに大活躍。ユズ味噌やポン酢で冬の食卓を華やかに
カニ(蟹)ズワイガニ・タラバガニが最盛期。茹でガニ・焼きガニ・カニすきは年末のごちそう
金柑(きんかん)そのまま食べても甘露煮にしても美味。のどの痛みをやわらげる民間療法でも知られる
12月は忘年会シーズンでもあり、鍋料理を囲む機会が増えます。フグ鍋・あんこう鍋・すき焼き・しゃぶしゃぶと、冬ならではの温かい料理で一年の労をねぎらいましょう。大晦日には年越しそばを食べ、おせち料理の準備に取りかかる——食を通じて一年を締めくくる風習が12月の暮らしに彩りを添えます。

CHAPTER 04
12月の花と風物詩

冬枯れの景色のなかにも、色鮮やかな花や実が12月の暮らしに彩りを添えてくれます。
ポインセチアはクリスマスを象徴する花です。真っ赤な苞(ほう)と緑の葉のコントラストがクリスマスカラーそのもの。メキシコ原産の植物で、「聖夜」という花言葉が贈り物にもぴったりです。
シクラメンは12月を代表する鉢花で、赤・ピンク・白の花が冬の室内を華やかに彩ります。贈り物としても人気が高く、花の少ない冬の時期に長く咲き続けてくれる頼もしい存在です。
南天(なんてん)と万両(まんりょう)は、赤い実が冬の庭を彩る縁起物です。南天は「難を転じる」という語呂合わせから魔除けの意味があり、お正月の飾りにも使われます。万両はその名のとおり富を象徴する縁起のよい植物です。
花だけでなく、12月は初雪や北風、冬木立といった冬の風物詩が目白押しです。街を彩るイルミネーション、年末の除夜の鐘、餅つきの音——五感で冬と年の瀬を感じられる季節です。お子さんと一緒にしめ縄や門松を飾ったり、おせち料理の準備を手伝ってもらったりすれば、年末年始の行事への理解が深まります。
しめ飾りの正月飾り
年末の準備。しめ飾りを用意して新年を清々しく迎える

CHAPTER 05
12月の祭り

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INFO / 12月の主な祭り
秩父夜祭(埼玉県・秩父神社/12月2日・3日): 日本三大曳山祭のひとつ。豪華絢爛な山車が冬の夜空に打ち上がる花火とともに曳き回される、壮大な冬の祭典です。 春日若宮おん祭(奈良県・春日大社/12月15日〜18日): 平安時代から約880年続く伝統の祭り。時代行列やさまざまな芸能が奉納され、古都の歴史と風格を感じさせます。 男鹿のなまはげ(秋田県・男鹿市/12月31日): 「泣ぐ子はいねがー!」の掛け声で有名な伝統行事。鬼の面をつけたなまはげが家々を回り、怠け者を戒め、無病息災を祈ります。ユネスコ無形文化遺産に登録されています。 をけら詣り(京都府・八坂神社/12月31日): 大晦日の夜、をけら火を縄に移して持ち帰る京都の年越し風物詩。その火で雑煮を炊くと一年間無病息災で過ごせるとされています。
マ
新米ママ / 3歳児のママ
12月は本当に忙しいですよね。子どもと一緒にできる年末の準備はありますか?
カゾイロ博士
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
おすすめは大掃除とお正月飾りづくりです。小さなお子さんでもおもちゃの片づけや窓拭きのお手伝いはできますし、「きれいにして年神様をお迎えしようね」と伝えれば行事の意味も学べます。折り紙でしめ縄風の飾りを作ったり、鏡餅を一緒に飾ったりするのも楽しいですよ。冬至のゆず湯も子どもは大喜び。「今日は一番夜が長い日だよ」と教えてあげてください。大掃除のコツはすす払いの記事も参考にしてみてくださいね。

CHAPTER 06
よくある質問

A.
12月に国民の祝日はありませんが、天皇誕生日が12月23日だった時代(平成)もありました。現在の天皇誕生日は2月23日です。12月は祝日がない月ですが、年末年始の休暇で長期連休をとる方が多い月です。
A.
年末の忙しさで師(僧侶)も走り回るほどだという「師馳す(しはす)」が転じたという説が最もよく知られています。ほかに、一年をやり遂げる「為果つ(しはつ)」に由来する説もあります。
A.
冬至には「ん」のつく食べ物を食べると運気が上がるとされ、かぼちゃ(南京=なんきん)もそのひとつです。また、かぼちゃはビタミンが豊富で保存がきくため、野菜の少ない冬に栄養を補給する先人の知恵でもありました。
A.
12月13日の正月事始め以降に飾るのが伝統です。ただし、12月29日は「二重苦」に通じるため避け、31日は「一夜飾り」で神様に失礼とされるので避けます。12月28日までに飾るのが理想的で、特に28日は「八」が末広がりで縁起がよいとされています。

CHAPTER 07
まとめ

12月(師走)は、冬至で一陽来復を願い、クリスマスで家族の絆を深め、大晦日で一年を締めくくる——一年の集大成ともいえる行事が凝縮された月です。正月事始めから大掃除、お歳暮、歳の市と、新年を迎えるための準備も慌ただしくも楽しい時間です。
フグ・カニ・アンコウなど冬の味覚が食卓を贅沢に彩り、ポインセチアやシクラメンが冬の暮らしに華を添えてくれます。忙しい師走だからこそ、ひとつひとつの行事を丁寧に楽しみ、感謝の気持ちを込めて一年を締めくくりましょう。冬の行事全体を知りたい方は冬の行事一覧の記事もあわせてご覧ください。