歳の市(としのいち)は、年末に神社やお寺の境内で開催される伝統的な市場で、正月飾りや縁起物を売り買いする年の瀬の風物詩です。12月中旬から大晦日(おおみそか)にかけて各地で催され、しめ飾り・門松・熊手・だるまなどが所狭しと並ぶ光景は、師走の活気を象徴する日本ならではの情景です。
CHAPTER 01由来と歴史
この市の起源は室町時代にさかのぼるとされ、江戸時代には各地の寺社で盛大に開催されるようになりました。「歳(とし)」は年末を意味し、新年を迎えるために必要な品々を一堂に揃えられる場として庶民の暮らしに欠かせない存在でした。
江戸時代には浅草寺や増上寺、深川八幡宮などの境内が大規模な市場となり、正月用品だけでなく日用雑貨や衣類、食料品まで幅広く取り扱われていました。年の瀬のにぎわいを楽しむ庶民の社交の場としても機能し、浮世絵にもその様子が描かれています。歳の市は単なる買い物の場にとどまらず、一年の締めくくりに人々が集い、年越しの挨拶を交わす社交の場としても重要な役割を果たしていました。
12月中旬〜
開催時期
室町時代
始まりとされる時代
正月用品
主に売られるもの
CHAPTER 02売られるものと縁起物
年末の市場では、主に以下のような正月用品が販売されます。
- しめ飾り・しめ縄:玄関に飾って年神様を迎える目印。地域によって形状が異なる
- 門松:松と竹を組み合わせた正月飾り。玄関の両脇に一対で飾る
- 熊手:福をかき集める縁起物。酉の市でも有名だが、年末の市でも定番
- 破魔矢・破魔弓:邪気を払い一年の安泰を祈る縁起物
- 鏡餅・干支(えと)の置物:年神様へのお供えや新年を飾る小物

値段交渉も楽しみの一つで、「まけて(値引きして)」と掛け合いながら買い物をするのが昔ながらの風情です。
CHAPTER 03全国の有名な年末の市
各地で個性豊かな市が開催されています。
- 浅草寺・羽子板市(東京):毎年12月17〜19日開催。華やかな押絵羽子板が名物で、歌舞伎役者や時事ネタを題材にした羽子板が話題を集める
- 世田谷ボロ市(東京):12月15・16日と1月15・16日に開催。700以上の露店が並ぶ東京最大級の伝統市
- 北野天満宮・終い天神(京都):12月25日、一年最後の縁日。骨董品や古着、正月用品が並ぶ
- 東寺・終い弘法(京都):12月21日、弘法大師の縁日。漬物や乾物など京の食材も豊富
東京の羽子板市はニュースで報道されることも多く、年の瀬の到来を告げる恒例行事として全国的に認知されています。
| 場所 | 名称 | 特徴 |
|---|---|---|
| 東京・浅草 | 浅草寺歳の市 | 羽子板が名物、12月17〜19日 |
| 東京・世田谷 | 世田谷ボロ市 | 400年以上の歴史 |
| 京都 | 終い天神 | 12月25日、1年最後の縁日 |
| 大阪 | 住吉大社の歳の市 | 注連縄やお飾りが並ぶ |
CHAPTER 04現代の楽しみ方
近年はホームセンターや通販で正月飾りを購入する家庭も増えましたが、境内の市で買い物をする体験には独特の魅力があります。露店の活気、松や藁の香り、威勢のよい売り声――五感で年の瀬を感じられるのは対面ならではの醍醐味です。
子ども連れで訪れれば、正月飾りの意味や由来を伝える良い機会にもなります。屋台のたこ焼きや甘酒(あまざけ)を楽しみながら、家族で新年の準備を進めるひとときは、年末の大切な思い出になるでしょう。寒さ対策をしっかりして、ぜひ足を運んでみてください。歳の市で手に入れた正月飾りには、自分の目で選んだ特別感があります。量販店にはない手作りのしめ飾りや職人が仕上げた破魔矢は、新年を迎える気持ちをいっそう引き締めてくれるはずです。年末の忙しい時期だからこそ、市を巡るひとときが気分転換にもなります。

パ
新米パパ / 2歳児のパパ
歳の市って子連れでも楽しめますか?
博
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
屋台や露店が並ぶ縁日のような雰囲気で子どもも楽しめますよ。正月飾りを一緒に選ぶのも良い体験になります。
パ
新米パパ / 2歳児のパパ
年の市と酉の市は同じものですか?
博
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
酉の市は11月の酉の日に鷲神社で行われる熊手の市。年の市は12月に浅草寺やアメ横などで開かれる年末の買い出し市で、正月飾りや食材が中心です。時期も場所も別の行事です。
A.
A. 歳の市は一般的に12月中旬から大晦日にかけて開催されます。開催日は場所によって異なり、浅草寺の羽子板市は12月17日〜19日、世田谷ボロ市は12月15日・16日と決まっています。地元の神社やお寺の情報を確認して訪れるのがおすすめです。
Q. 歳の市と酉の市の違いは何ですか?
A. 酉の市は11月の酉の日に行われる市で、主に商売繁盛を願う熊手を売る縁起物の市場です。一方、歳の市は12月に開催される年末の市場で、しめ飾りや門松、鏡餅など正月準備に必要な品物を幅広く取り扱います。どちらも年末の風物詩ですが、時期と目的が異なります。
Q. 歳の市ではどのくらいの予算があれば楽しめますか?
A. しめ飾りは500円〜3,000円程度、門松は小型のもので1,000円前後から購入できます。羽子板や熊手などの縁起物は数千円から数万円と幅があります。屋台のグルメも楽しむなら、5,000円程度あれば十分に年末の雰囲気を満喫できるでしょう。
年末の歳の市で正月準備をして、新しい年を迎える喜びを家族と一緒に味わってみてはいかがでしょうか。
INFO / 歳の市と酉の市の違い
歳の市は年末に正月用品を売る市場で、酉の市は11月の酉の日に商売繁盛の熊手を売る市です。目的と時期が異なります。
TIP / お買い物のコツ
正月飾りは12月28日までに飾るのがマナー。歳の市で早めに購入しておきましょう。
A.
しめ縄、門松、鏡餅などの正月飾りや、干し柿、数の子などの正月料理の材料が並びます。
A.
東京都世田谷区で400年以上続く日本最大級の蚤の市です。毎年12月と1月の15〜16日に開催されます。
A.
12月中旬〜下旬が見頃。開催初日が品揃え豊富でおすすめです。
『日本のしきたりがまるごとわかる本』では、歳の市(としのいち)について年末に神社や寺院の境内で開かれる市として紹介されています。しめ縄・門松・破魔矢などの正月飾りや縁起物を商う露店が軒を連ね、新年の準備を整える場として庶民に親しまれてきました。東京の浅草寺(羽子板市)や京都の北野天満宮の終い天神が特に有名で、師走の賑わいの中に新しい年を迎える高揚感が感じられる、日本の歳末を彩る風物詩です。
CHAPTER 05まとめ
歳の市は、年末に寺社の境内で正月飾りや縁起物を売り買いする日本の伝統的な市場です。室町時代から続く歴史を持ち、浅草寺の羽子板市や世田谷ボロ市など各地で個性豊かな市が開催されています。師走の活気を肌で感じながら、新年の準備を楽しんでみてはいかがでしょうか。年の瀬のにぎわいの中で選ぶ正月飾りは、一年の締めくくりにふさわしい思い出になるはずです。

