忘年会(ぼうねんかい)は、年末に一年の苦労を忘れて新年を迎えるための宴会です。その歴史は鎌倉時代にさかのぼります。この記事では、忘年会の意味・由来から幹事の心得までわかりやすく解説します。

CHAPTER 01
忘年会とは?その意味と目的

忘年会でビールジョッキを掲げて乾杯する人々
忘年会の乾杯風景
忘年会とは、年末に催される宴会のことで、「忘年」の文字どおり「年(=一年の苦労)を忘れる」ことを目的としています。仕事や日常で積み重ねた疲れや悩みを、お酒や食事を囲みながら洗い流し、気持ちよく新年を迎えようという日本独自の風習です。
現在の忘年会は、職場の同僚や上司・部下で行うものだけでなく、友人同士・家族・趣味のサークル・学校の同窓会など、さまざまなグループで開催されています。12月に入ると飲食店は忘年会の予約で賑わい、年末の風物詩ともいえる光景です。
12月
忘年会シーズン
3,000〜5,000円
一般的な会費の相場
鎌倉時代
忘年会の起源

CHAPTER 02
忘年会の歴史・起源|鎌倉時代から現代まで

忘年会の歴史は古く、その原型は鎌倉時代にさかのぼるとされています。時代ごとに形を変えながら、現在の「職場の飲み会」としてのスタイルに至るまでの変遷をたどってみましょう。

鎌倉時代|「としわすれ」のはじまり

鎌倉時代には、貴族や武士が年末に集まり「としわすれ」と呼ばれる宴を行っていた記録があります。ただし、この時代の「としわすれ」は現在の忘年会とは趣が大きく異なっていました。「年が去っていくことを嘆き惜しむ」という、どちらかといえば感傷的で静かな集まりだったのです。お酒を酌み交わして騒ぐというよりも、過ぎゆく一年を振り返る内省的な会合でした。

室町時代|連歌の会としての「としわすれ」

室町時代になると、「としわすれ」は連歌(れんが)の会として行われるようになりました。連歌とは、短歌の上の句(五七五)と下の句(七七)を複数の人が交互に詠み連ねていく詩歌の形式です。年末に文化人たちが集まり、歌を詠みながら一年を締めくくるという、風雅な催しでした。
室町時代末期の文献には「としわすれ」の語が登場し、皇族から庶民まで幅広い層で年末の宴が行われていたことがうかがえます。この頃から、単なる嘆きの場ではなく、人々が集い楽しむ社交的な側面が強まっていきました。

江戸時代|庶民に広まった年末の飲み会

江戸時代に入ると、忘年会は庶民の間にも広く浸透していきました。町人文化が花開いた江戸では、商人や職人たちが年末に仲間と集まって飲食を楽しむ習慣が定着します。貴族や武士の風雅な催しから、飲み会としての性格が一気に強まったのがこの時代です。
特に江戸の居酒屋文化の発展が忘年会の広まりに大きく寄与しました。手軽にお酒と料理を楽しめる場が増えたことで、年末に仲間と集まる文化が庶民レベルで根付いていったのです。

明治時代以降|職場の忘年会が定着

明治時代になると、現在のような職場の忘年会のスタイルが確立されました。近代的な会社組織や官公庁が整備されるなかで、年末に社員や同僚が一堂に会して一年の労をねぎらう行事が定着していきます。会社や官庁の年末行事として忘年会が一般化したのはこの頃からです。
大正・昭和と時代が進むにつれ、忘年会は日本の企業文化に欠かせない行事となりました。高度経済成長期には接待文化とも結びつき、忘年会シーズンの繁華街は大いに賑わったといわれています。
忘年会の歴史まとめ
時代特徴参加者
鎌倉時代年の移ろいを嘆く静かな宴貴族・武士
室町時代連歌の会として開催文化人・貴族
江戸時代飲み会としての性格が強まる庶民にも拡大
明治時代以降職場の年末行事として定着会社員・官公庁職員

CHAPTER 03
「忘年」の本来の意味|『荘子』に見るルーツ

忘年会の「忘年」という言葉は、実は中国の古典にルーツがあります。古代中国の思想書『荘子(そうし)』には「忘年」という語が登場し、その意味は「年齢を忘れること」、つまり年齢の差を気にせず親しく付き合うことを指していました。
日本に伝わった「忘年」は、時代とともに意味が変化し、「1年の憂さを忘れる」「一年間の苦労を忘れてリセットする」という解釈に転じました。現在の忘年会は、まさにこの日本的な「忘年」の意味を体現した行事といえるでしょう。年の瀬に苦労を振り払い、清々しい気持ちで新年を迎える――そんな前向きな精神が忘年会の根底にあります。
忘年(中国・原義)
年齢を忘れること。年齢差を気にせず対等に付き合うという意味
忘年(日本・転義)
一年の苦労・憂さを忘れること。年末に気持ちをリセットするという意味
忘年会
「忘年」を目的とした宴会。年末に一年の労をねぎらい親睦を深める集まり
新米パパ
新米パパ / 2歳児のパパ
「忘年」って中国では年齢を忘れるという意味だったのですか!日本とは全然違う意味ですね。
カゾイロ博士
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
そうなんです。『荘子』では年齢差を超えた友情を表す言葉でした。日本では「年の苦労を忘れる」に意味が変わり、それが宴会の名前になったというわけです。

CHAPTER 04
忘年会の幹事の心得|段取りと準備のポイント

忘年会を成功させるカギは、幹事の段取りにかかっています。初めて幹事を任された方でも安心できるよう、準備のポイントをステップ形式でご紹介します。
  1. 01
    日程調整は11月中に開始する
    12月は忘年会シーズンで飲食店の予約が集中します。11月中に候補日を2〜3日挙げて参加者の予定を確認しましょう。日程調整ツール(調整さんなど)を活用すると効率的です。金曜日の夜が最も人気ですが、木曜や土曜も候補に入れると日程が決まりやすくなります。
  2. 02
    参加人数を確定し、お店を予約する
    参加人数が固まったら、すぐにお店を予約します。人気店は11月中に満席になることも珍しくありません。飲み放題付きコースが3,000〜5,000円が一般的な相場です。アクセスの良い駅近のお店を選ぶと参加者に喜ばれます。
  3. 03
    会費の集金方法を決める
    当日の受付で現金徴収するか、事前にオンライン決済で集めるかを決めましょう。会費は3,000〜5,000円が一般的ですが、役職者が多めに負担する「傾斜配分」にする場合は事前にルールを共有します。
  4. 04
    余興・挨拶の段取りを組む
    開会の挨拶→乾杯→歓談→余興→締めの挨拶という流れが一般的です。挨拶は上司や年長者にお願いし、事前に依頼しておきましょう。余興を入れる場合は、全員が楽しめる内容を心がけます。
  5. 05
    締めの挨拶は簡潔にまとめる
    忘年会の締めの挨拶は、一年の感謝と来年への意気込みを1〜2分程度で手短に伝えるのがマナーです。参加者が酔っている時間帯なので、長い挨拶は避けましょう。最後に一本締めや三本締めで会をまとめるのが定番です。
TIP / 幹事のワンポイント
二次会の候補店も1〜2軒リサーチしておくと、当日慌てずに済みます。また、参加者にアレルギーや食事制限がないか事前に確認しておくと、全員が安心して楽しめます。

CHAPTER 05
よくある質問

新米パパ
新米パパ / 2歳児のパパ
忘年会と新年会の違いは?
カゾイロ博士
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
忘年会は年末に「一年の労をねぎらい、苦労を忘れる」ための宴。新年会は年始に「新年を祝い、一年の抱負を語る」ための宴です。忘年会は12月、新年会は1月に行われるのが一般的です。
A.
忘年会は年末に一年の苦労を忘れるために行う宴会で、12月に開催されます。一方、新年会は新しい年の始まりを祝い、一年の抱負を語り合うために行う宴会で、1月に開催されます。目的が「過去を忘れる」か「未来を祝う」かという点が異なります。
A.
忘年会は12月中旬〜下旬に行われることが多いです。特に12月の第2週〜第3週の金曜日は最も予約が集中するピークです。早い企業では12月上旬に行うケースもあります。
A.
忘年会は英語で「year-end party」と表現するのが一般的です。日本文化に詳しい外国人の間では「bounenkai」とそのままローマ字で使われることもあります。直訳すると「forget-the-year party」ですが、実際の会話では year-end party のほうが通じやすいでしょう。
A.
お酒が飲めない方は、ソフトドリンクやノンアルコールビールを注文すれば問題ありません。近年はノンアルコールの選択肢が豊富なお店も増えています。幹事の方は、お酒が苦手な参加者がいることを考慮してドリンクメニューが充実したお店を選ぶと親切です。無理にお酒をすすめないのがマナーです。
年中行事の書籍によると、忘年会は鎌倉時代の連歌の会「年忘れ」にその起源をたどることができます。当初は貴族や武士が一年の憂さを忘れるために歌を詠み合う風流な集まりでしたが、江戸時代になると庶民の間にも広まり、酒を酌み交わしながら一年の労をねぎらう宴へと変化しました。書籍では、忘年会が「年を忘れる」という言葉どおり過ぎゆく年の苦労や悲しみを水に流し、新しい年を清々しく迎えるための行事であると解説されています。

CHAPTER 06
まとめ

忘年会は、年末に一年の苦労を忘れて気持ちをリセットするための日本の伝統的な宴会です。その歴史は鎌倉時代の「としわすれ」にさかのぼり、室町時代の連歌の会、江戸時代の庶民の飲み会を経て、明治以降に現在の職場行事としてのスタイルが確立されました。
「忘年」の語源は中国の『荘子』にあり、本来は「年齢を忘れて付き合う」という意味でしたが、日本では「一年の憂さを忘れる」に転じて独自の文化を築いてきました。幹事を任された方は、11月中から日程調整とお店の予約を進め、参加者全員が楽しめる忘年会を企画してみてください