夏は日本の伝統行事が集中する季節です。6月の衣替え夏越の祓に始まり、7月の七夕や土用(どよう)の丑の日、8月のお盆や花火大会まで、家族で楽しめる行事が目白押し。この記事では夏の行事を月ごとに整理し、由来や過ごし方をまとめてご紹介します。

CHAPTER 01
夏の行事カレンダー(6月〜8月)

まずは夏の主な行事を月ごとに一覧で確認しましょう。日付は年によって変わるものもありますが、おおよその目安として参考にしてください。
時期行事名
6月6月1日衣替え
6月6月11日頃入梅
6月6月10日時の記念日
6月6月6日頃芒種
6月第3日曜日父の日
6月6月21日頃夏至
6月6月30日夏越の祓
6月7月2日頃半夏生
7月7月1日山開き・川開き・海開き
7月7月7日七夕
7月7月7日頃小暑
7月7月9〜10日ほおずき市
7月7月中旬〜祇園祭
7月第3月曜日海の日
7月7月中旬〜下旬三伏
7月7月下旬頃土用の丑の日
7月7月23日頃大暑
7月7月上旬〜中旬お中元
8月8月1日八朔
8月8月13〜16日お盆
8月8月各地花火大会
8月8月15日終戦記念日
8月8月16日五山の送り火
8月8月下旬地蔵盆
8月土用の期間土用干し
夏の行事は二十四節気(にじゅうしせっき)とも深く関わっています。季節の移ろいを感じながら、一つひとつの行事を大切に過ごしていきましょう。

CHAPTER 02
6月の主な行事と楽しみ方

衣替え(6月1日)

衣替えは、冬服から夏服へ切り替える日本の伝統的な習慣です。学校や職場では6月1日を境に夏服へ移行するところが多く、家庭でもクローゼットの入れ替えを行う時期にあたります。子どもと一緒に衣類の整理をすることで、季節の変化を実感する機会になります。防虫剤の交換や、サイズアウトした服の整理もこの時期にまとめて行うとよいでしょう。

父の日(6月第3日曜日)

父の日はお父さんへ日頃の感謝を伝える日です。アメリカ発祥の行事ですが、日本でも広く定着しています。父の日プレゼントの定番は黄色いバラやネクタイですが、小さな子どもの場合は手形アートや似顔絵など手作りのプレゼントが喜ばれます。家族みんなで食事を作って感謝の気持ちを伝えるのもおすすめです。

夏越の祓・茅(ちがや)の輪くぐり(6月30日)

夏越の祓は、一年の前半に溜まった穢れを祓い清め、残り半年の無病息災を祈る神事です。多くの神社では茅の輪くぐりが行われ、茅(かや)で作られた大きな輪を左・右・左と八の字にくぐって身を清めます。この日には夏越の祓の食べ物として水無月(みなづき)という和菓子を食べる風習もあります。小豆の赤色には邪気を祓う力があるとされ、三角形の形は氷を模しています。

夏至(げし)・入梅・芒種・半夏生(はんげしょう)

6月は二十四節気の節目が複数あります。芒種(6月6日頃)は稲の種を蒔く目安とされた日で、入梅(6月11日頃)は梅雨入りの目安です。夏至(6月21日頃)は一年で最も昼が長い日であり、半夏生(7月2日頃)までに田植えを終わらせるのが農家の慣わしでした。暦を知ることで、日本の農耕文化と自然の結びつきを子どもに伝えることができます。

CHAPTER 03
7月の主な行事と楽しみ方

七夕(7月7日)

七夕は、織姫と彦星が年に一度だけ天の川を渡って会えるという伝説にちなんだ行事です。笹の葉に短冊を飾り、願い事を書くのが一般的な過ごし方です。子どもと一緒に折り紙で笹飾りを作ったり、夜空を見上げて星を探したりするのも風情があります。七夕の食べ物としては、天の川に見立てたそうめんが定番です。色付きのそうめんや星形に型抜きした野菜を添えると、食卓が華やかになります。

土用の丑の日(7月下旬頃)

土用の丑の日は、夏バテ防止のためにうなぎを食べる習慣で知られています。江戸時代に平賀源内が発案したとされるこの風習は、現在でも広く親しまれています。うなぎに含まれるビタミンAやビタミンB群は疲労回復に効果的で、暑さが厳しくなるこの時期にぴったりの食べ物です。子どもが苦手な場合は、うなぎの代わりに「う」のつく食べ物(うどん、梅干し、瓜など)を食べるという楽しみ方もあります。

祇園祭(7月)

祇園祭は京都の八坂神社の祭礼で、日本三大祭りの一つに数えられます。7月の1か月間にわたって様々な行事が行われますが、特に前祭の山鉾巡行(7月17日)と後祭の山鉾巡行(7月24日)が見どころです。豪華絢爛な山鉾が都大路を進む姿は圧巻で、「動く美術館」とも称されます。 祇園祭の山鉾巡行・四条通を進む山鉾

山開き・海開きと海の日

7月1日は各地で山開き・川開き・海開きが行われ、本格的なレジャーシーズンの幕開けとなります。海の日(7月第3月曜日)は「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」国民の祝日です。家族で海や山に出かけ、自然と触れ合う機会にしましょう。

お中元・ほおずき市・暦の節目

お中元は日頃お世話になっている方へ感謝を込めて贈り物をする習慣です。7月上旬から中旬が贈る時期の目安ですが、地域によって異なります。また、浅草寺のほおずき市(7月9〜10日)は夏の風物詩として知られ、功徳日に参拝すると四万六千日分のご利益があるとされています。暦の上では小暑(7月7日頃)から暑さが本格化し、大暑(7月23日頃)には一年で最も暑い時期を迎えます。三伏の期間は体調管理に特に気を配りましょう。

CHAPTER 04
8月の主な行事と楽しみ方

お盆(8月13〜16日)

お盆は、ご先祖様の霊が家に帰ってくるとされる期間です。13日の迎え火(むかえび)で霊を迎え、16日の送り火(おくりび)で見送ります。精霊棚(しょうりょうだな)を設けてお供え物をし、家族揃ってお墓参りをするのが一般的です。きゅうりの馬(精霊馬)となすの牛(精霊牛)を作る風習は、子どもと一緒に取り組みやすい行事の一つです。ご先祖様が早く帰ってこられるように馬を、ゆっくり戻れるように牛を作るという言い伝えがあります。

花火大会(8月各地)

花火大会は夏を代表する風物詩です。もともとは疫病退散や死者の慰霊を目的として始まったとされ、隅田川花火大会(東京)、長岡まつり大花火大会(新潟)、全国花火競技大会(秋田・大曲)などが有名です。小さな子ども連れの場合は、混雑を避けて少し離れた場所から鑑賞するのがおすすめです。音に驚く子には耳当てを用意してあげると安心して楽しめます。

五山の送り火(8月16日)

五山の送り火は京都の夏の終わりを告げる伝統行事です。「大」「妙法」「船形」「左大文字」「鳥居形」の5つの送り火が京都を囲む山々に灯され、お盆に帰ってきたご先祖様の霊をあの世へ送り届けます。京都以外の地域でも、送り火や灯籠流しなどの形でお盆の送りの行事が行われています。

終戦記念日・八朔・地蔵盆・土用干し

8月15日の終戦記念日は、戦没者を追悼し平和を祈念する日です。家族で平和について考える機会にしましょう。八朔(8月1日)は旧暦8月1日にあたり、早稲の初穂を贈る風習がありました。地蔵盆は主に近畿地方で盛んな行事で、子どもたちが主役となってお地蔵様を祀ります。また、土用干しは梅雨明け後の晴天を利用して衣類や書物を風に当てる習慣で、カビや虫害の予防に役立ちます。
新米パパ / 2歳児のパパ
夏は行事が多すぎて、何から手をつけていいか迷います。2歳の子どもでも楽しめる行事はどれですか?
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
2歳なら、七夕の短冊に手形を押したり、シール貼りで笹飾りを作ったりするのがおすすめです。お盆のきゅうりの馬となすの牛も、割り箸を刺す作業を一緒にできますよ。花火は音が大きいので、まずは手持ち花火から始めるとよいでしょう。
新米パパ / 2歳児のパパ
なるほど。夏越の祓の茅の輪くぐりも気になっていたんですが、小さい子でも大丈夫でしょうか?
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
茅の輪くぐりは抱っこしたまま一緒にくぐれるので、小さなお子さんでも問題ありません。混雑する時間帯を避けて早朝に訪れると、落ち着いて参拝できます。無病息災を願う行事ですから、家族の健康を祈りながらくぐってみてください。

CHAPTER 05
夏の行事を家族で楽しむコツ

TIP
【夏の行事を楽しむためのポイント】 ・暑さ対策を万全に:屋外行事は帽子・日焼け止め・水分補給を忘れずに。特に花火大会やお祭りは夕方以降でも熱中症に注意しましょう。 ・無理に全部やらなくてOK:カレンダーの行事を全てこなす必要はありません。家族の状況に合わせて「今年はこれをやろう」と絞って楽しみましょう。 ・写真や記録を残す:短冊に書いた願い事、精霊馬を作った様子など、毎年の成長記録として残しておくと後から見返す楽しみが増えます。 ・由来を簡単に伝える:「なぜこれをするのか」を年齢に合わせて簡単に説明してあげると、行事への理解が深まり、日本の文化を自然に受け継ぐことができます。 ・食で季節を感じる:七夕のそうめん、土用の丑のうなぎ、お盆のお供え物など、行事食を取り入れると食卓から季節を感じられます。

CHAPTER 06
夏の行事 個別ガイド

それぞれの夏の行事について、由来・食べ物・楽しみ方の詳細は個別記事で解説しています。

CHAPTER 07
よくある質問

A.
お盆(8月13日〜16日)が最も大切な夏の行事です。ご先祖様の霊をお迎えし、家族で過ごす期間として古くから大切にされてきました。ほかに七夕(7月7日)や夏越の祓(6月30日)も重要な行事です。
A.
暑中見舞い小暑(7月7日頃)から立秋の前日まで、残暑見舞いは立秋(8月7日頃)から8月末までに届くように出します。立秋を境に切り替えるのがマナーです。
A.
夏祭りの多くは疫病退散や豊作祈願が起源です。花火大会は江戸時代の隅田川花火(1733年)が起源とされ、当時の疫病犠牲者の慰霊と悪霊退散を目的に始まりました。

CHAPTER 08
まとめ

夏(6月〜8月)は、日本の伝統行事が数多く詰まった季節です。6月は衣替えで夏の準備を始め、夏越の祓で半年分の穢れを清めます。7月は七夕で願い事をし、土用の丑の日でスタミナをつけましょう。8月はお盆でご先祖様に感謝し、花火大会で夏の思い出を作ります。一つひとつの行事には先人たちの知恵や願いが込められています。全てを完璧にこなす必要はありませんが、できる範囲で家族の行事として取り入れることで、子どもたちに日本の豊かな文化を伝えていくことができるでしょう。