冬至(とうじ)は、二十四節気(にじゅうしせっき)の一つで、一年のうちで最も昼が短く夜が長い日です。2026年は12月22日にあたり、太陽の黄経が270度に達するこの日を境に、再び日照時間が伸び始めます。古来「一陽来復」の日として希望の象徴とされ、ゆず湯やかぼちゃなど独自の食文化・風習が今も大切に受け継がれています。
雪景色の森と足跡
冬至の頃は本格的な冬の訪れを感じる季節

CHAPTER 01
二十四節気における位置づけと由来

二十四節気は太陽の運行をもとに一年を24等分した暦で、中国の戦国時代に体系化されました。この節気は大雪の次、小寒の前に位置し、天文学的には北半球で太陽の南中高度が一年で最も低くなる日です。
「一陽来復(いちようらいふく)」とは、陰が極まり再び陽に転じるという易経の言葉で、この日を境に太陽の力が蘇るという意味が込められています。東京・早稲田の穴八幡宮では「一陽来復御守」の頒布が行われ、金運上昇を願う参拝者で賑わいます。世界的にも北欧のユール祭やローマのサートゥルナーリア祭など、この時期の祝祭は太陽の再生を祝う行事として共通しています。
一陽来復」の思想は、中国最古の占いの書である『易経(えききょう)』に由来します。易経では陰と陽の消長を64の卦(け)で表しますが、冬至に配される「地雷復(ちらいふく)」は、6本の陰の線のうち最下段の1本だけが陽に転じた卦であり、長い陰の時代が終わり陽が芽生え始めることを象徴しています。二十四節気のなかで冬至は大雪(たいせつ)と小寒(しょうかん)の間に位置し、陰が極まって陽に転じる節目として暦のうえでも特別な意味を持ちます。古代中国では冬至を「歳首(さいしゅ)」すなわち一年の始まりとする暦法もあり、正月以上に重要な祝日として盛大に祝われていました。この「最も暗い日から光が戻り始める」という考え方は、困難のなかにも希望を見出す日本人の精神性とも深く結びついています。
12月22日頃
冬至の時期
最も短い昼
1年で一番昼が短い日
一陽来復
運気が上昇に転じる

CHAPTER 02
ゆず湯に入る理由

この日にゆず湯に入る風習は、江戸時代に広まったとされています。語呂合わせで「冬至=湯治」「柚子=融通が利く」とかけた縁起担ぎが由来の一つです。
ゆずの果皮に含まれるリモネンやシトラールには血行促進・保温効果があり、冬場の冷え対策として理にかなっています。丸ごと浮かべるほか、半分に切ってガーゼに包む方法なら香りがより豊かに広がります。肌が敏感な方は果汁が直接触れないよう袋に入れるとよいでしょう。スーパー銭湯や温泉施設でもこの日限定のゆず湯イベントが各地で開催され、大量の柚子が浮かぶ黄金色の湯船は冬の風物詩となっています。自宅で楽しむ場合は、ゆずの皮をすりおろして入浴剤代わりにする方法も手軽でおすすめです。
TIP / ゆず湯の効能
ゆず湯は血行を促進し、冷え性や風邪の予防に効果があるとされています。ゆずの皮に含まれるリモネンやビタミンCが肌を保湿し、香りにはリラックス効果も。「冬至にゆず湯に入ると風邪をひかない」という言い伝えは、科学的にも根拠があるのです。

ゆず湯の入れ方と効能

ゆず湯には血行促進・体を温める・風邪予防などさまざまな効能があります。ゆずの香りにはリラックス効果があり、果皮に含まれるビタミンCは美肌効果や肌荒れ防止にも役立ちます。冬至の夜にゆず湯にゆっくり浸かれば、心身ともにぽかぽかに温まります。
ゆず湯の入れ方にはいくつかのバリエーションがあります。
  1. ガーゼなどで作った袋に入れて口をひもでしばる(果汁や種が散らばらず後片付けが楽)
  2. 輪切りや半分に切ってから袋に入れる(香りが強く広がる)
  3. 丸ごとそのままお湯に浮かべる(見た目が美しく香りは穏やか)
丸ごと入れると香りは穏やかで、お湯もきれいなまま楽しめます。切って入れると香りが強くなりますが、お湯が濁りやすくなります。肌が弱い方やお子さまは、丸ごとか袋に入れる方法がおすすめです。

CHAPTER 03
かぼちゃを食べる風習

この日にかぼちゃ(南瓜)を食べるのも古くからの習わしです。かぼちゃは夏に収穫しても長期保存がきくため、野菜が乏しくなる真冬の貴重な栄養源でした。ビタミンA・C・Eが豊富で、風邪予防や免疫力の維持に役立つとされています。
また「ん」のつく食べ物を食べると運が呼び込めるという「運盛り」の考え方があり、南瓜(なんきん)のほか、蓮根(れんこん)・人参(にんじん)・銀杏(ぎんなん)・金柑(きんかん)・寒天(かんてん)・饂飩(うんどん=うどん)の七品が「冬至の七種(ななくさ)」と呼ばれています。地域によっては小豆粥を炊いて厄除けとする風習もあり、赤い小豆が邪気を払うと信じられてきました。こうした食の風習には、寒さが最も厳しくなる時期を栄養豊かな食事で乗り越えようとする先人の知恵が詰まっています。
冬至に柚子湯に入りかぼちゃを食べる風習が全国に広まった背景には、二十四節気と庶民の暮らしの密接な関わりがあります。二十四節気は太陽の運行を基準とした暦であり、農作業の指標として古くから重宝されてきました。冬至は太陽が最も低い位置を通る日であるため、この日を境に日照時間が徐々に長くなり始めます。日差しの回復は農耕社会にとって再生と希望の象徴であり、その喜びを表現する行事として柚子湯やかぼちゃが定着しました。柚子湯の「冬至=湯治(とうじ)」「柚子=融通(ゆうずう)が利く」という語呂合わせは江戸時代の銭湯文化から生まれたもので、かぼちゃの「南瓜(なんきん)」は「ん」が二つ付くことから「運盛り」の筆頭格とされました。医学が未発達だった時代、冬至にビタミン豊富なかぼちゃを食べ、血行促進効果のある柚子湯で体を温めるという習慣は、風邪を防ぎ厳しい冬を乗り越えるための生活の知恵でもあったのです。
各地には「お大師様」が冬至の晩に村を訪れるという言い伝えも残っています。お大師様は弘法大師とも聖徳太子とも言われますが、本来は歳神の御子神とされ、春を呼ぶ存在でした。下弦の月の晩に家々を巡るため、小豆粥やかぼちゃを用意してもてなす風習がありました。東北地方ではこの伝承を「ダイシサマ」「大師講(ダイシコウ)」と呼び、冬至の行事として大切に伝えてきました。「あと隠しの雪」という言い伝えもお大師様に由来するとされています。
冬至の時期に滋養のある食品を積極的に摂ることを、古くは「薬食い(くすりぐい)」と呼んでいました。かぼちゃに含まれるカロテノイドは体内でビタミンAに変わり風邪への抵抗力を高めます。陰陽道では黄色が陽気を表す色とされ、黄色いかぼちゃと小豆の炊き合わせは陰を除き陽を呼ぶ食べ合わせと考えられていました。
ゆず
冬至にはゆず湯とかぼちゃが定番

かぼちゃのいとこ煮

冬至にかぼちゃを食べて無病息災を願う風習は全国に広がっていますが、小豆をいっしょに煮込んだ「いとこ煮」を作る地方もあります。かぼちゃにはβカロテンやビタミンEがたっぷり含まれており、風邪の予防や冷え性の解消に効果的です。小豆の赤色は邪気を払うと信じられてきたことから、栄養面でも縁起の面でも理にかなった冬至の食べ物です。
TIP / かぼちゃのいとこ煮の作り方
【材料】かぼちゃ1/4個・小豆100g・砂糖大さじ2・みりん大さじ1・しょうゆ大さじ1・塩少々。小豆はあらかじめ柔らかく下茹でしておきます。一口大に切ったかぼちゃと小豆を鍋に入れ、ひたひたの水で煮て、調味料を加えてかぼちゃが柔らかくなるまで煮込めばできあがり。ほくほくのかぼちゃと小豆の優しい甘さが冬の体を温めてくれます。
新米パパ / 2歳児のパパ
なぜ冬至にかぼちゃを食べるんですか?夏の野菜ですよね?
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
よい質問ですね。かぼちゃは夏に収穫しますが、長期保存がきくため冬の貴重な栄養源でした。ビタミンAやカロテンが豊富で風邪予防に効果的です。また、かぼちゃ(南瓜=なんきん)は「ん」がつく食べ物で「運盛り」の縁起物とされています。

CHAPTER 04
各地に伝わる行事と風物詩

全国各地でこの日ならではの行事が行われています。
  • 穴八幡宮(東京):一陽来復御守の頒布。貼る方角と時刻に厳密な作法がある
  • 高野山(和歌山):星供養の法会が行われ、一年の無事を祈願する
  • 諏訪大社(長野):御神渡りの時期が近づき、厳冬の自然現象に注目が集まる
銭湯やスーパー銭湯では「ゆず湯」イベントが定番となっており、大量の柚子を浮かべた特別浴槽は季節の風物詩です。スーパーの青果売り場でもこの時期にはかぼちゃと柚子が目立つ場所に並び、伝統行事が現代の暮らしにしっかりと根づいていることがうかがえます。
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INFO / 「ん」がつく食べ物で運盛り
冬至には「ん」が2つつく食べ物を食べると運気が上がるとされています。南瓜(なんきん)、人参(にんじん)、蓮根(れんこん)、銀杏(ぎんなん)、金柑(きんかん)、寒天(かんてん)、饂飩(うんどん=うどん)が「冬至の七種」です。

冬至と太陽の再生 ── 世界の冬至祭

冬至の行事の根底には、太陽の力がもっとも衰える時期に生命力の復活を祈るという世界共通の信仰があります。西欧では聖ニコラウス(サンタクロース)の祝祭が冬至の正月行事と重なり、太陽の再生・復活をもたらす聖なる行事として位置づけられてきました。日本のお大師様の巡行も、北欧のユール祭も、根本では真冬の闇のなかに光の帰還を願う人々の祈りがつながっているのです。
新米パパ / 2歳児のパパ
冬至にかぼちゃを食べるのはなぜですか?
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
冬至に「ん」のつく食べ物を食べると運気が上がるという「運盛り」の縁起担ぎです。かぼちゃ(南瓜=なんきん)は「ん」が2つ入る最強の食材。栄養価も高く、冬の風邪予防にもなります。
A.
2026年の冬至は12月22日です。冬至は毎年12月21日〜22日頃にあたります。
A.
一陽来復は「陰が極まり陽に転じる」という意味で、冬至を境に日が長くなり始めることを表します。悪いことが続いた後に良い方向に向かうという縁起のよい言葉としても使われます。
A.
かぼちゃ料理を食べる、小豆粥を食べる(中国の風習)、こんにゃくを食べる(体の砂払い)などの風習があります。神社での「一陽来復」のお守りを求める方も多いです。
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CHAPTER 05
まとめ

冬至は一年で最も夜が長い日であると同時に、太陽の力が蘇る「一陽来復」の希望の日です。ゆず湯で体を温め、かぼちゃで栄養を補い、「運盛り」の七種で縁起を担ぐ――先人の知恵が詰まったこの日の風習を、家族で楽しみながら寒い冬を元気に乗り越えましょう。