大暑(たいしょ)は二十四節気(にじゅうしせっき)の第12番目にあたる節気で、一年で最も暑さが厳しい時期を表しています。毎年7月22日〜23日頃に訪れ、梅雨が明けて本格的な夏の暑さが到来する真夏の季節です。この記事では意味・時期から旬の食べ物、暑さ対策まで解説します。

CHAPTER 01
意味と2026年の日付

大暑は太陽の黄経が120度に達する日で、2026年は7月23日にあたります。小暑の次に訪れ、立秋(りっしゅう)の前に位置する節気です。暦の上では「暑さが最も大きい」時期を意味し、実際に気温が年間の最高値を記録することが多い季節です。
この時期は梅雨明けと重なることが多く、晴天が続いて気温がぐんぐん上昇します。気象庁のデータでも、7月下旬から8月上旬にかけてが日本各地で最も暑い期間となっています。
7月22日頃
大暑の時期
第12番目
二十四節気の順番
1年で最も暑い
名前の由来

CHAPTER 02
旬の食べ物と食文化

この時期を代表する食べ物といえばうなぎです。土用(どよう)の丑の日はちょうどこの節気の期間中にあたることが多く、栄養豊富なうなぎを食べてスタミナをつける風習が江戸時代から続いています。
夏野菜も最盛期を迎えます。トマト、きゅうり、茄子、ピーマン、オクラなど色鮮やかな野菜が食卓を彩ります。すいかや桃などの果物も旬で、水分補給を兼ねたおやつとして親しまれています。冷やし中華やそうめんなど、冷たい麺類が恋しくなる季節でもあります。 ガラスの器に盛られた冷やしそうめん
TIP / 大暑の旬の味覚
スイカ、桃、トウモロコシ、枝豆、うなぎなどが旬です。土用の丑の日もこの時期にあたり、うなぎで精をつけるのは大暑ならではの食文化です。
スイカ
大暑の頃が一年で最も暑い時期

CHAPTER 03
大暑の七十二候

二十四節気をさらに細かく分けた七十二候では、大暑は3つの候に分かれます。初候は「桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)」で桐の花が実を結ぶ時期、次候は「土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)」で大地が蒸し暑くなる時期、末候は「大雨時行(たいうときどきにふる)」で夕立が多くなる時期を表しています。
これらの表現は現代の気候ともよく合致しており、先人の自然観察の精緻さがうかがえます。突然の夕立(ゲリラ豪雨)が増えるのもこの時期の特徴で、折りたたみ傘を持ち歩くと安心です。

CHAPTER 04
暑さ対策と健康管理

一年で最も暑い時期だからこそ、熱中症対策は欠かせません。こまめな水分補給と塩分の摂取、涼しい室内での適度な休息が基本です。外出時は帽子や日傘を使い、通気性の良い衣服を選びましょう。
エアコンの設定温度は28度程度が推奨されていますが、体感に合わせて調整することが大切です。就寝時はタイマー機能を活用し、快適な睡眠環境を整えましょう。また、打ち水は古くから伝わる涼の取り方で、玄関先や庭に水をまくと気化熱で周囲の温度が下がる効果があります。
入浴も暑さ対策に効果的です。ぬるめの湯にゆっくり浸かることで自律神経が整い、質の良い睡眠につながります。ミント系の入浴剤やハッカ油を活用すれば、湯上がりの爽快感を楽しめます。
新米パパ / 2歳児のパパ
小さい子の暑さ対策、何に気をつけたらいいですか?
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
こまめな水分補給が第一です。外出は朝の涼しい時間帯にし、帽子と日焼け止めを忘れずに。ベビーカーは地面からの照り返しで大人より暑いので、保冷シートの活用もおすすめですよ。

CHAPTER 05
日本人の納涼の知恵 — 古典から現代まで

地球温暖化が深刻化する近年、日本の猛暑は言語に絶するものがあります。しかし日本人は古来より、暑さと上手に付き合う知恵を積み重ねてきました。古典文学に描かれた涼の工夫から近代の冷房技術まで、その歩みをたどってみましょう。

クーラー以前の涼 — 源氏物語の釣殿から徒然草まで

平安時代の貴族たちは、釣殿(つりどの)と呼ばれる池に張り出した建物で涼を取りました。紫式部の源氏物語「常夏」の巻には、釣殿で夕涼みをする光源氏の姿が描かれています。渡殿や釣殿、池を配した邸宅の設計そのものが、貴族たちの納涼の知恵だったのです。冷たい清流の音を聞きながら、旬の鮎(あゆ)や果物を味わう — それが平安貴族の夏の過ごし方でした。
家のつくりやうは、夏をむねとすべし
兼好法師「徒然草」第五十五段
鎌倉時代の兼好法師は徒然草の中で、家は夏を基本に造るべきだと説きました。「宇治拾遺物語」にも避暑の記述が見られるように、日本の住まいづくりは古くから夏の暑さ対策を重視してきたのです。京都の町家に見られる簀子(すのこ)、(すだれ)、打水(うちみず)、そして通り庭から坪庭へと風を通す空間設計は、エアコンのない時代に編み出された涼の技術の結晶です。

冷房の近代史

日本に機械的な冷房が普及するまでには、意外なほど長い時間がかかりました。一般家庭にエアコンが広まったのは昭和の後半からで、それ以前は団扇扇風機打ち水が暑さ対策の中心でした。以下の年表で、冷房の普及の歩みを振り返ります。
日本における冷房普及の歴史
出来事備考
昭和28年(1953年)東京・日本橋の三越デパートが初めて冷房設備を導入百貨店が「涼みに行く場所」として人気に
昭和45年(1970年)JR山手線で最初の冷房車両が登場通勤ラッシュの暑さが社会問題だった時代
1990年代通勤電車の冷房が完備平成に入り公共交通の冷房化が完了
現在家庭用エアコン普及率90%超一方で電力消費と環境負荷が課題に

伝統の涼を現代に活かす

現代のエアコンは快適な室内環境をもたらしましたが、同時にヒートアイランド現象や電力消費の増大といった環境問題を引き起こしています。イスタンブールなど世界各地にも暑さ対策の伝統建築が存在しますが、日本建築には夏の住まい方の知恵が特に凝縮されています。薄着で過ごし、団扇であおぎ、打ち水で地面を冷やし、水浴びで体を冷ます — こうした昔ながらの暮らしの工夫を現代に取り入れることが、持続可能な暑さ対策として改めて注目されています。
新米パパ / 子育て中の父親
昔の人はエアコンなしでよく夏を乗り切れましたよね。子どもにも伝統的な涼の取り方を教えたいんですが、何から始めればいいですか?
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
親子で打ち水をするのが一番の入り口ですよ。バケツに水を汲んで、夕方に玄関先に撒くだけ。気化熱で涼しくなる仕組みをお子さんに説明すれば、理科の学びにもなります。簾や風鈴を飾って「音で涼を感じる」体験もおすすめです。エアコンに頼りきりにならず、五感で涼を味わう習慣は、お子さんの感性を豊かにしてくれますよ。

CHAPTER 06
大暑の時期の風物詩

積乱雲花火大会や夏祭りが各地で開催され、夏の楽しみが最高潮に達する時期です。海水浴やプール、キャンプなどのレジャーにも最適なシーズンで、子どもたちの学校の夏休みとも重なるため家族で過ごす時間が増えます。
朝顔やひまわりが咲き誇り、蝉の力強い鳴き声が響くのもこの時期ならではの情景です。暑さは厳しいですが、夏ならではの風情を楽しみながら、健康に留意して季節を満喫しましょう。かき氷や冷やし甘酒(あまざけ)など、昔ながらの涼菓子で暑気払いを楽しむのもこの時期ならではの贅沢です。夏の思い出をたくさん作りながら、元気に猛暑を乗り越えていきましょう。暑い時期だからこそ味わえる楽しみを見つけて、夏を思い切り満喫してください。
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INFO / 打ち水の文化
打ち水は日本の伝統的な暑さ対策です。地面に水を撒くと気化熱で温度が2〜3度下がります。朝夕の涼しい時間帯に行うのが効果的で、お子さんと一緒に楽しめるエコな暑さ対策です。
近年注目されているのが「打ち水大作戦」です。大暑から処暑までの期間を「打ち水月間」と定め、全国各地で打ち水を行うイベントが実施されています。2003年からトライアルが始まり、ヒートアイランド現象の緩和策として注目を集めてきました。「打ち水日和」の日に全国一斉に行われるイベントは年々広がりを見せ、都市部の暑さ対策と環境意識の向上に一役買っています。
TIP / 打ち水の効果と作法
打ち水をすると、実際の気温が1〜2度下がった観測結果があります。地面の熱を大気中に逃がす「気化熱」の効果によるものです。打ち水には「清める」意味もあり、ひと昔前は門前に打ち水をして来客を迎えるのが心遣いとされていました。使う水は雨水やお風呂の残り湯など二次利用水が推奨されており、朝夕の涼しい時間帯に行うと効果的です。
A.
2026年の大暑は7月22日です。大暑の期間は約15日間で、8月7日頃の立秋まで続きます。
A.
小暑(7月7日頃)は「暑さが本格化し始める頃」、大暑(7月22日頃)は「暑さが最も厳しくなる頃」です。梅雨明け後の大暑が1年で最も暑い時期にあたります。
A.
土用の丑の日は大暑の時期に重なることが多く、うなぎを食べて精をつける風習があります。2026年の土用の丑の日は7月26日です。
『日本のしきたりがまるごとわかる本』では、大暑(たいしょ)について二十四節気の一つで、一年のうち最も暑さが厳しくなる頃を意味すると解説されています。各地で夏祭りや花火大会が行われ、送り火や精霊流しなどお盆の行事とも重なる季節です。また、暑気払いとして甘酒・冷やし飴・心太(ところてん)を楽しむ食文化も紹介されており、猛暑を乗り越えるための先人の知恵が暦の中に息づいています。

CHAPTER 07
まとめ

大暑は二十四節気の中で最も暑い時期を表す節気で、2026年は7月23日にあたります。土用の丑の日のうなぎや旬の夏野菜で栄養をしっかり摂りながら、熱中症対策を万全にして真夏を乗り切りましょう。