春は新生活の始まりとともに、日本の美しい伝統行事が数多く催される季節です。3月のひな祭りから5月の端午の節句まで、家族で楽しめる行事の意味・由来・過ごし方を一覧でまとめました。
CHAPTER 01春の行事カレンダー(3月〜5月)
まずは春に行われる主要な行事を月ごとに一覧で確認しましょう。日付をクリックすると各行事の詳細記事へ移動できます。なお、春の行事の多くは二十四節気(にじゅうしせっき)の暦と深く結びついています。
CHAPTER 023月の主な行事と楽しみ方
3月は冬から春への移り変わりを感じる月です。代表的な行事とその楽しみ方をご紹介します。
ひな祭り(3月3日)
ひな祭りは「桃の節句」とも呼ばれ、女の子の健やかな成長と幸福を願う行事です。雛人形を飾り、ちらし寿司やはまぐりのお吸い物、ひなあられなどでお祝いします。雛人形には子どもの厄を引き受ける「身代わり」の意味があり、古くは紙の人形を川に流す「流し雛」が行われていました。
ひな祭りの食卓を彩る料理については、ひな祭りの食べ物・レシピの記事で詳しく解説しています。ちらし寿司の具材それぞれに込められた意味を知ると、お子さんへの説明もしやすくなるでしょう。
お花見(3月中旬〜4月)
お花見は、桜の開花とともに春の訪れを祝う日本ならではの風習です。奈良時代には梅の花を愛でるのが主流でしたが、平安時代以降は桜が中心になりました。家族でお弁当を持って公園へ出かけたり、夜桜を楽しんだりと、さまざまなスタイルで親しまれています。
お花見に持っていくお弁当や和菓子については、お花見の食べ物・お弁当レシピを参考にしてください。桜餅や三色団子など、見た目にも春らしい食べ物を用意すると、子どもたちも喜びます。
お彼岸と春分(しゅんぶん)の日(3月20日頃)
春分の日は昼と夜の長さがほぼ等しくなる日で、国民の祝日に定められています。この日を中日として前後3日間、計7日間がお彼岸の期間です。ご先祖さまへの感謝を込めてお墓参りに出かけ、ぼたもちをお供えするのが古くからの習わしです。「暑さ寒さも彼岸まで」のことわざの通り、この時期を境に春めいた陽気になっていきます。
卒業式(3月下旬〜4月上旬)
卒業式は学校生活の大きな節目です。保護者にとっては服装やマナーに悩む場面も多いもの。袴(はかま)や礼服の選び方、持ち物、写真撮影のポイントなど、事前に確認しておくと当日をスムーズに過ごせます。
CHAPTER 034月の主な行事と楽しみ方
4月は新年度の始まり。入園式・入学式に代表されるように、新しい生活のスタートを祝う行事が多い月です。
入園式・入学式(4月上旬)
入園式・入学式は子どもの成長を実感する晴れやかな行事です。保護者の服装はセミフォーマルが基本で、明るい色合いのスーツやワンピースが定番となっています。持ち物リストや当日の流れを事前に確認しておくと安心です。
花祭り(4月8日)
花祭りはお釈迦さまの誕生日を祝う仏教行事です。正式には「灌仏会(かんぶつえ)」と呼ばれ、花御堂(はなみどう)に安置した誕生仏に甘茶をかけてお祝いします。お寺によっては甘茶のふるまいや稚児行列が行われ、小さなお子さんでも楽しめます。
十三詣り(4月13日前後)
十三詣りは数え年13歳(満12歳)の子どもが虚空蔵菩薩にお参りし、知恵と福徳を授かる関西発祥の行事です。京都の法輪寺や大阪の太平寺が有名で、近年は関東でも行う家庭が増えています。お参り後、渡月橋(法輪寺の場合)を振り返らずに渡りきると授かった知恵が逃げないという言い伝えがあります。
二十四節気:清明と穀雨
4月には清明(4月5日頃)と穀雨(4月20日頃)の二つの節気が巡ってきます。清明は万物が清らかに明るく輝く時期、穀雨は穀物を潤す春の雨が降る時期を表します。古来、農作業の目安として大切にされてきた暦で、現代でも季節の移ろいを感じる手がかりになります。
CHAPTER 045月の主な行事と楽しみ方
5月はゴールデンウィークの大型連休を中心に、家族で楽しめる行事が目白押しです。GWの過ごし方を事前に計画しておくと、充実した休日を過ごせるでしょう。
端午の節句(5月5日)
端午の節句は男の子の健やかな成長と立身出世を願う行事です。鯉(こい)のぼりを揚げ、五月人形や兜を飾り、菖蒲湯に入るのが伝統的な過ごし方。「こどもの日」として国民の祝日にもなっており、性別を問わずすべての子どもの幸せを祈る日でもあります。
母の日(5月第2日曜日)
母の日は日頃の感謝を伝える大切な日です。定番のカーネーションに加え、近年はスイーツや体験ギフト、手作りのメッセージカードなど、気持ちの伝え方も多様化しています。小さな子どもでもできる感謝の伝え方として、似顔絵やお手伝い券をプレゼントするアイデアも人気です。
八十八夜(はちじゅうはちや)と新茶(5月2日頃)
八十八夜は立春(りっしゅん)から数えて88日目にあたる雑節(ざっせつ)で、「夏も近づく八十八夜」の歌でも知られます。この日に摘んだ新茶を飲むと長寿になるという言い伝えがあり、茶摘みの最盛期を告げる目安とされてきました。家族でおいしい新茶を味わい、初夏の訪れを感じてみてはいかがでしょうか。
神田祭・三社祭(5月中旬〜下旬)
5月は東京を代表する祭りが立て続けに催されます。神田祭は江戸三大祭のひとつで、神田明神を中心に200基以上の神輿(みこし)が練り歩く壮大な祭礼です。続く三社祭は浅草神社の例大祭で、威勢のよい担ぎ手たちによる神輿渡御が見どころ。どちらも子連れで見物しやすいエリアがあり、日本の祭り文化を間近に感じられる貴重な機会です。
二十四節気:立夏(りっか)と小満
立夏(5月5日頃)は暦の上で夏が始まる日、小満(5月21日頃)は草木が成長し万物に生気が満ちる時期です。春から夏への季節の移り変わりを五感で楽しみながら、衣替えや梅雨支度など暮らしの準備も始めましょう。
パ
新米パパ / 2歳児のパパ
春の行事が多すぎて、何から始めればいいか迷います。小さい子でも楽しめるものはどれですか?
博
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
小さなお子さんと楽しむなら、まずは「ひな祭り」「お花見」「端午の節句」の三大イベントを押さえましょう。どれも飾り付けや食べ物で五感を刺激できるので、2〜3歳からでも十分に楽しめますよ。余裕が出てきたら、花祭りの甘茶体験や母の日の工作など、少しずつレパートリーを増やしていくのがおすすめです。
パ
新米パパ / 2歳児のパパ
なるほど。行事の由来を子どもにうまく伝えるコツはありますか?
博
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
大切なのは「体験とセットで伝える」ことです。例えば、お花見なら桜の花びらを集めながら「昔の人もこうやって春を喜んでいたんだよ」と語りかける。端午の節句なら鯉のぼりを一緒に見上げながら「お魚さんが元気に泳いでいるね。みんなが元気に大きくなれますようにって願っているんだよ」と。言葉だけの説明より、体験のなかで少しずつ伝えていくと自然に身につきます。
CHAPTER 05春の行事を家族で楽しむコツ
TIP / 春の行事を無理なく楽しむ5つのポイント
1. 全部をやろうとしない。月に1〜2つ、子どもの年齢に合ったものを選ぶ
2. 飾り付けや料理は子どもと一緒に。プロセスを楽しむことが思い出になる
3. 写真や成長記録を残す。同じ行事を毎年続けると成長の比較ができる
4. 由来や意味は「ひとことだけ」添える。長い説明より体験重視で
5. 季節の食べ物を取り入れる。桜餅、柏餅、新茶など旬の味覚で五感に訴える
行事を楽しむうえで最も大切なのは、完璧を目指しすぎないことです。お雛様を飾る場所がなければ小さなお内裏様だけでも構いませんし、お花見は近所の公園で十分です。家族みんなが笑顔で過ごせることが、行事本来の「幸せを願う」という趣旨にかなっています。
CHAPTER 06よくある質問
A.
ひな祭り(3月3日)の雛人形飾りやちらし寿司作り、お花見でのピクニック、端午の節句(5月5日)のこいのぼりや柏餅が人気です。3歳のお祝いの七五三もこの時期です。
A.
春分の日を中日とした前後3日間(計7日間)がお彼岸です。お墓参りをしてご先祖様を供養し、ぼたもちをお供えするのが一般的です。春のお彼岸のぼたもちは牡丹の花にちなんだ名前です。
A.
4月29日の昭和の日、5月3日の憲法記念日、5月4日のみどりの日、5月5日のこどもの日(端午の節句)が含まれます。八十八夜(5月上旬)の新茶や、母の日(5月第2日曜日)のお祝いもこの時期です。
CHAPTER 07まとめ
春(3月〜5月)は、ひな祭り・お花見・端午の節句をはじめとする数多くの伝統行事が集中する季節です。ひとつひとつの行事には、子どもの成長を願い、自然の恵みに感謝し、家族の絆を深めるという先人の思いが込められています。
すべてを完璧にこなす必要はありません。お子さんの年齢や家庭の状況に合わせて、できる範囲で取り入れてみてください。毎年少しずつ行事のレパートリーを増やしていけば、春が来るたびに家族の楽しみが広がっていくことでしょう。

