山開き・川開き・海開きは、山や川、海のレジャーシーズンの幕開けを告げる行事です。安全を祈願する神事を行い、その年の利用開始を宣言する日本ならではの伝統が受け継がれています。この記事では、それぞれの意味・由来・時期をわかりやすく解説します。

CHAPTER 01
山開き・川開き・海開きとは?

山開き・川開き・海開きとは、それぞれの自然スポットが正式にシーズンインする日のことです。もともとは宗教的な意味合いが強く、山岳信仰に基づく神事として行われていましたが、現在はレジャーシーズンの開始を知らせるイベントとして親しまれています。
海辺の潮だまり
山開き・川開き・海開きは夏のレジャーシーズンの幕開け
山開き(やまびらき)
登山シーズンの開始を告げる行事。安全祈願の神事を行い、登山道を正式に開放する
川開き(かわびらき)
河川での遊泳や花火大会など、川の行楽シーズンの始まりを告げる行事
海開き(うみびらき)
海水浴場のシーズン開始を宣言する行事。安全祈願祭を行い、遊泳が解禁される

CHAPTER 02
それぞれの由来と歴史

山開きの歴史は、日本古来の山岳信仰にさかのぼります。日本の国土の約75%は山地であり、古くから山は神聖なものとされてきました。山は神が宿る場所として畏敬の対象であり、一般の人が自由に登ることは許されていませんでした。修験道の行者だけが特定の期間に入山を許され、この「入山解禁」が山開きの起源です。
特に富士山は信仰の山として知られ、江戸時代には「富士講」と呼ばれる登山グループが盛んに活動しました。毎年旧暦6月1日に山開きが行われ、この伝統が現在まで続いています。
TIP / 「どっこいしょ」の由来は「六根清浄」?
山登りの掛け声として馴染みのある「どっこいしょ」の由来は、「六根清浄(ろっこんしょうじょう)」にあるとされています。六根とは目・耳・鼻・舌・身・意の六つの感覚器官のこと。修験者が山を登るときに「六根清浄」と繰り返し唱えたのが、次第に「どっこいしょ」に変化したという説があります。山に登ることで心身を清め、俗世の穢れを払うという山岳修行の精神が、現代の何気ない掛け声に残っているのかもしれません。
新米パパ
川開きや海開きも山と同じように宗教的な由来があるんですか?
カゾイロ博士
川開きは江戸時代の両国川開き(隅田川の花火大会の起源)が有名です。水の事故を供養する意味もありました。海開きは明治時代に海水浴文化が広まったことで定着した比較的新しい行事です。
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INFO / 山岳信仰と山開き
日本では古来、山には神が宿るとされてきました。山開きの神事では山の安全と豊作を祈願します。現在でも富士山や御嶽山などでは、神職による厳かな神事が行われています。

CHAPTER 03
現在の時期と代表的な場所

山開き・川開き・海開きの時期は地域や場所によって異なります。以下の表で、代表的なスポットとその時期を確認しましょう。
種類代表的な場所時期特徴
山開き富士山7月1日(吉田ルート)日本最高峰、毎年約20万人が登山
山開き大山(神奈川)3月下旬関東近郊で早い時期に開山
山開き尾瀬(群馬・福島)5月下旬水芭蕉の見頃と重なる
川開き隅田川(東京)5月下旬花火大会のルーツとなった行事
川開き長良川(岐阜)5月11日鵜飼い開きとしても有名
海開き由比ガ浜(神奈川)7月上旬湘南を代表する海水浴場
海開き白浜(和歌山)5月上旬本州で最も早い海開きのひとつ
夏の行事として、海の日は7月第3月曜日の祝日です。海開きの時期と重なることも多く、各地でイベントが開催されます。また、夏至(げし)を過ぎると本格的な夏シーズンが始まり、七夕ほおずき市といった夏の風物詩が続きます。

CHAPTER 04
家族で楽しむためのポイント

山開き・川開き・海開きの時期は、家族でアウトドアを楽しむ絶好のタイミングです。安全に配慮しながら、季節の行事として自然を満喫しましょう。
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CAUTION / 安全のために確認すること
公式の開山・開場日を必ず事前確認する/天気予報と水温をチェックする/小さな子どもにはライフジャケットを着用させる/登山届や遊泳ルールを守る/飲み物・日焼け止め・帽子などの暑さ対策を忘れずに
新米パパ
子どもが小さいうちから山開きや海開きに連れて行っても大丈夫ですか?
カゾイロ博士
年齢に合った場所を選べば問題ありません。山なら標高の低いハイキングコース、海なら遠浅で波の穏やかなビーチがおすすめです。「今年から山に登れるようになったね」と成長を実感できる家族の思い出になりますよ。
半夏生(はんげしょう)の頃には梅雨明けも近づき、本格的な夏のレジャーシーズンが到来します。山開き・川開き・海開きをきっかけに、家族の夏の予定を立ててみてはいかがでしょうか。

CHAPTER 05
よくある質問

A.
山開き前は登山道が整備されていなかったり、残雪があったりする場合があります。富士山など一部の山では山開き前の登山を控えるよう呼びかけています。安全のため、公式の開山日以降に登るのがおすすめです。
A.
海開き前はライフセーバーが配置されておらず、水質検査も完了していない場合があります。遊泳は海開き後の管理された海水浴場で行うのが安全です。
A.
はい。多くの山では山開きの日に安全祈願祭や記念登山イベントが開催されます。富士山では前夜祭として花火大会が行われることもあります。
A.
川開きは河川のレジャーシーズンの始まりを告げる行事です。花火大会を伴うことが多く、隅田川の花火大会は江戸時代の川開きが起源とされています。
書籍『日本のしきたり』では、山開きの由来が詳しく紹介されています。同書によると、富士山の山開きは毎年7月1日に行われ、これは江戸時代の「富士講(ふじこう)」の伝統を受け継いだものです。かつて山は神が宿る聖域とされ、普段は「入山禁止」として一般人の立ち入りが許されていませんでした。年に一度、神事を執り行って山の神に許しを請い、登山を解禁するのが山開きの本来の意味だったのです。富士山では山開きの日に浅間神社で開山祭が営まれ、お山の安全と登山者の無事を祈願します。
さらに同書は、川開きは花火大会と深い関係があることにも触れています。現在も続く隅田川花火大会の前身は、享保18年(1733年)に始まった「両国川開き」であり、前年の大飢饉とコレラによる犠牲者を弔い悪疫退散を祈願して打ち上げられた花火がその始まりでした。海開きについても、明治時代に西洋から海水浴の文化が伝わったことをきっかけに各地で行われるようになったと記されており、安全祈願の神事を行ってからシーズンを開くという日本独自のしきたりが今に続いています。

CHAPTER 06
まとめ

山開き・川開き・海開きは、自然のレジャーシーズンの始まりを告げる日本の伝統行事です。山岳信仰に由来する山開き、花火大会のルーツとなった川開き、明治以降に定着した海開きと、それぞれに歴史と文化があります。家族でアウトドアを楽しむきっかけとして、ぜひ今年の開山・開場日をチェックしてみてください。