花火大会は日本の夏を代表する風物詩です。夏休み期間の7〜8月には全国各地で花火大会が開催され、夜空を彩る大輪の花火が多くの人を魅了します。この記事では、花火の歴史や打ち上げ花火の種類、「たまや〜」という掛け声の由来から、花火大会に持っていきたい便利アイテムまでわかりやすく解説します。
CHAPTER 01花火の歴史 — 徳川家康から隅田川花火大会へ
火を打ち上げる行事は古くから夏の風物詩として親しまれてきました。日本で最初に花火を見たのは徳川家康とされています。慶長18年(1613年)、イギリスの使節ジョン・セーリスが駿府城を訪れ、家康の前で花火を披露したという記録が残っています。
その後、江戸時代に入ると花火師という専門の職人が現れ、花火の技術は大きく発展しました。なかでも転機となったのが、享保18年(1733年)に行われた「両国の川開き」です。前年に流行した大飢饉やコレラによる犠牲者の慰霊と悪霊退散を祈願して、隅田川のほとりで盛大な花火が打ち上げられました。

INFO / 隅田川花火大会の起源
享保18年の「両国の川開き」が、現在の隅田川花火大会の起源とされています。約290年の歴史を持つ隅田川花火大会は、毎年7月最終土曜日に開催され、約2万発の花火が打ち上げられる東京を代表する夏の風物詩です。
江戸時代の花火は黒色火薬を使ったオレンジ色の単色が主流でしたが、明治以降に海外から化学薬品が輸入されるようになると、赤・青・緑・紫など色鮮やかな花火が登場しました。現代ではコンピュータ制御による精密な打ち上げも可能になり、音楽と連動した演出など花火の表現力はますます進化しています。
新米パパ / 2歳児のパパ
花火の歴史が400年以上もあるとは驚きです。最初は徳川家康が見たのですね!
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
そうなんです。家康が見た花火はイギリス人が持ち込んだものでしたが、そこから日本独自の花火文化が花開きました。江戸時代には「花火師」が職業として確立し、「鍵屋」や「玉屋」といった名門の花火師が腕を競い合うようになりましたよ。
CHAPTER 02打ち上げ花火の種類
花火大会で目にする打ち上げ花火には、さまざまな種類があります。それぞれの特徴を知っておくと、花火鑑賞がより一層楽しくなるでしょう。ここでは代表的な打ち上げ花火の種類をご紹介します。
- 割物(わりもの)
- ドーンという大きな音とともに、大輪の花のように大きく丸く開く花火。日本の打ち上げ花火の代表格で、夜空いっぱいに広がる美しい球形が特徴です
- 半割物(はんわりもの)
- 長い尾を引く花火や、大きな音のあと少し遅れて小さな花がいくつも開く花火。割物とは異なる変化に富んだ演出が魅力です
- 型物(かたもの)
- ハートや星形、土星形やキャラクターなど、記号や絵を夜空に描く花火。子どもにも人気が高く、会場がひときわ盛り上がります
- スターマイン
- 仕掛け花火のひとつで、速射連発で次々と打ち上げる花火。短時間に大量の花火が打ち上がるため迫力満点で、花火大会のクライマックスに登場することが多い人気の花火です
- 仕掛け花火
- 滝のように流れ落ちる「ナイアガラ」など、大掛かりな演出を行う花火。水面で花火が開く水中花火も仕掛け花火の一種で、水面に映る光の幻想的な美しさが見どころです
花火の代表的な種類をさらに詳しく見てみましょう。夜空いっぱいに広がる「菊(きく)」は、光の尾を長く引きながら球状に開く花火で、日本の打ち上げ花火を象徴する存在です。一方、「牡丹(ぼたん)」は光の尾を引かずに色の点が丸く広がるのが特徴で、鮮やかな色彩が際立ちます。「柳(やなぎ)」は枝垂れ柳のように光がゆっくりと垂れ下がり、優美で情緒ある余韻を残します。こうした伝統的な花火の名前は、いずれも日本の花や自然から取られており、花火師たちが自然の美を夜空に再現しようとしてきた歴史が感じられます。
花火の歴史をひもとくと、その起源は中国の火薬の発明にまでさかのぼります。火薬が14世紀にヨーロッパへ伝わり、やがて鑑賞用の花火として発展したものが、大航海時代を経て日本にもたらされました。日本では江戸時代に花火師の技が飛躍的に向上し、丸く均一に開く「割物(わりもの)」と呼ばれる球形花火は世界でも日本だけの独自技術とされています。近年では、コンピュータ制御による音楽との同期演出や、LEDドローンとの共演など新しい表現も登場していますが、一発一発を手作業で込める花火師の職人技は今も変わりません。伝統と革新が交差する花火大会は、まさに日本の夏の芸術といえるでしょう。
新米パパ / 2歳児のパパ
ハートの形の花火は「型物」という種類なんですね。子どもが喜びそうです!
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
型物は花火師の高い技術が求められる花火です。最近では猫やアニメキャラクターなど複雑なデザインの型物も登場していますよ。花火大会ではどんな型物が出るか注目してみてくださいね。
CHAPTER 03「たまや〜」「かぎや〜」掛け声の由来
花火大会のとき、「たまや〜」という掛け声を聞いたことはないでしょうか。実はこの掛け声にはもうひとつ、「かぎや〜」というものがあります。この二つの掛け声は、江戸時代に活躍した花火師の屋号(店名)に由来します。
江戸時代に催された「両国の川開き」では、隅田川の上流と下流でそれぞれ異なる花火師が花火を打ち上げていました。上流を担当したのが「玉屋(たまや)」、下流を担当したのが「鍵屋(かぎや)」です。観客たちは、気に入った方の花火師に向かって「たまや〜!」「かぎや〜!」と声をかけ、応援したのが掛け声のはじまりです。
TIP / 「たまや」の方が有名な理由
現代では「かぎや〜」よりも「たまや〜」の掛け声の方がよく知られています。これは玉屋の花火が当時大変な人気を集めたためです。しかし玉屋は火事を起こしてわずか一代で廃業してしまいました。一方の鍵屋は現在も続く老舗花火店として、日本の花火文化を支え続けています。
花火大会で「たまや〜」と声をかけるのは、江戸っ子たちの粋な応援文化の名残です。現代の花火大会でも、大きな花火が上がったときに「たまや〜!」と叫んでみると、江戸時代から続く花火文化をより身近に感じることができるでしょう。
CHAPTER 04花火大会を楽しむための持ち物リスト
花火大会を快適に楽しむためには、事前の準備が大切です。当日になって「持ってくればよかった」と後悔しないよう、以下の必携アイテムをチェックしておきましょう。
- レジャーシート:場所取りに必須。座って観覧する場合は厚手のものが快適
- うちわ・扇子:夏の夜でも蒸し暑いため、涼をとるのに重宝する
- ミニライト(懐中電灯):暗い会場での移動や荷物の確認に便利。スマホのライトでも代用可
- タオル:汗拭きはもちろん、突然の雨や地面に敷くクッション代わりにも使える
- 虫除けスプレー:河川敷や公園など、蚊が多い場所での花火大会には必須
- ペットボトル飲料:会場内は混雑して売店に並ぶのも一苦労。事前に用意しておくと安心
- ウエットティッシュ:屋台グルメを食べたあとの手拭きや、汗を拭くのに大活躍
CAUTION / 小さなお子さん連れの注意点
花火大会は大きな音が出るため、小さなお子さんが怖がることがあります。イヤーマフや耳栓を用意しておくと安心です。また、人混みではぐれないよう、迷子対策として連絡先を書いたタグをお子さんに持たせておくことをおすすめします。
浴衣で花火大会に出かける場合は、履き慣れた下駄やサンダルを選ぶのがポイントです。長時間の歩行や立ちっぱなしになることも多いので、足元の快適さを優先しましょう。また、ゴミ袋を持参して、自分のゴミは必ず持ち帰るマナーも大切です。
CHAPTER 05花火の掛け声の種類と意味
花火大会の掛け声といえば「たまや〜」「かぎや〜」が有名ですが、実はそれだけではありません。花火が打ち上がった瞬間に「やー!」「わー!」と歓声を上げたり、大きな花火が開いたときに「おぉ〜!」と感嘆の声を漏らしたりするのも、日本各地で見られる花火の掛け声のひとつです。
地域によって掛け声の文化はさまざまです。関東では「たまや〜」が主流ですが、関西では花火が上がるたびに拍手や歓声で盛り上がるスタイルが多く見られます。また、地元の花火師の名前を叫ぶ地域もあり、花火大会ごとに独特の雰囲気があります。
花火に掛け声をかける文化の根底には、花火師への称賛と感謝の気持ちがあります。花火師は何か月もかけて一発一発の花火を手作りし、一瞬の美しさに全力を注ぎます。観客が声を上げることは、その技術と情熱に対する最大の賛辞なのです。江戸時代に「たまや〜」「かぎや〜」と叫んだのも、腕の良い花火師を称えるためでした。
お子さんと花火大会に行くときは、掛け声の意味や由来を教えてあげましょう。「たーまやー!」と一緒に叫ぶ体験は、花火大会の思い出をより特別なものにしてくれます。小さなお子さんには「きれいな花火を作ってくれた人にありがとうを言おうね」と伝えると、花火師への感謝の気持ちも自然と育まれます。
新米パパ
子どもと一緒に「たーまやー!」と叫ぶと、花火大会がもっと盛り上がりますよ。
CHAPTER 06子連れで花火大会を楽しむコツ
花火大会は子どもにとって夏の特別なイベントですが、年齢によって注意すべきポイントが異なります。事前にしっかり準備をして、家族全員で安心して花火を楽しみましょう。
- 0〜2歳:音対策が最優先
- 打ち上げ花火の音は80〜120dBにもなり、赤ちゃんにとっては大きな刺激です。ベビー用イヤーマフを必ず用意し、打ち上げ場所から離れた場所で観覧しましょう。授乳やおむつ替えができるスペースの確認も事前に済ませておくと安心です
- 3〜5歳:迷子対策を万全に
- 人混みの中ではぐれやすい年齢です。迷子札や連絡先を書いたリストバンドを身につけさせましょう。手をつないで歩くのが基本ですが、万が一はぐれた場合の待ち合わせ場所もあらかじめ決めておくと安心です
- 小学生:観覧マナーを教えるチャンス
- 周囲の人への配慮や、ゴミを持ち帰ること、立ち上がって前の人の視界を遮らないことなど、公共の場でのマナーを実体験で学べる良い機会です。花火の種類を一緒に調べてから行くと、学びの要素も加わります
ベビーカーの持ち込みについては、花火大会によってルールが異なります。混雑が激しい会場ではベビーカーが通れないほど人が密集することもあるため、抱っこ紐の方が機動力が高く安全です。どうしてもベビーカーが必要な場合は、折りたたみやすいコンパクトなタイプを選び、混雑時にはすぐにたためるようにしておきましょう。
場所取りのコツは、人気の花火大会なら開始2〜3時間前に到着するのが目安です。駅から会場までの間に穴場スポットが見つかることもあるので、事前にSNSや口コミサイトで情報収集しておくのがおすすめです。有料観覧席がある花火大会では、小さなお子さん連れなら席を事前購入しておくと場所取りの苦労がなく快適に過ごせます。
帰りの混雑を避ける方法として、フィナーレの少し前に会場を出る「早め撤収」が子連れファミリーにはおすすめです。終了直後は駅や駐車場が大混雑するため、15〜20分早めに切り上げるだけでスムーズに帰れます。また、最寄り駅のひとつ先の駅まで歩くと、混雑を大幅に回避できることもあります。
CAUTION
赤ちゃん連れの場合、打ち上げ花火の音は80〜120dBにもなるため、ベビー用イヤーマフの準備がおすすめです。
CHAPTER 07全国の人気花火大会カレンダー
日本全国では毎年数多くの花火大会が開催されています。ここでは特に有名な花火大会をご紹介します。お出かけの計画にお役立てください。
| 花火大会 | 開催地 | 例年の時期 | 打ち上げ数 |
|---|---|---|---|
| 隅田川花火大会 | 東京都台東区・墨田区 | 7月最終土曜 | 約20,000発 |
| 長岡まつり大花火大会 | 新潟県長岡市 | 8月2日・3日 | 約20,000発 |
| 大曲の花火 | 秋田県大仙市 | 8月最終土曜 | 約18,000発 |
| 土浦全国花火競技大会 | 茨城県土浦市 | 10月第1土曜 | 約20,000発 |
| 諏訪湖祭湖上花火大会 | 長野県諏訪市 | 8月15日 | 約40,000発 |
全国では毎年数千もの花火大会が開催されています。お住まいの地域の花火大会は自治体の公式サイトでご確認ください。
CHAPTER 08花火の仕組みと科学
花火の美しい色や形には、実は科学の力が隠されています。花火の仕組みを知ると、お子さんの自由研究のテーマとしても活用でき、花火大会がさらに楽しくなります。
花火の色は、金属の炎色反応という化学現象を利用しています。金属の粉末を燃やすと、金属の種類によって異なる色の炎が生じます。花火師はこの性質を巧みに使い分け、夜空に鮮やかな色彩を描き出しているのです。
- 赤色 — ストロンチウム
- ストロンチウム化合物を燃やすと鮮やかな赤色の炎が生じます。花火の中でも最もポピュラーな色のひとつです
- 緑色 — バリウム
- バリウム化合物は美しい緑色を発します。赤と組み合わせてクリスマスカラーの花火を作ることもあります
- 青色 — 銅
- 銅化合物は青色の炎を出しますが、安定した青色を出すのは非常に難しく、花火師の腕の見せどころです
- 黄色 — ナトリウム
- ナトリウムは明るい黄色の炎を生み出します。食塩にもナトリウムが含まれているため、キャンプで塩を火にくべると黄色い炎が見られます
- 白・銀色 — マグネシウム・アルミニウム
- マグネシウムやアルミニウムの粉末は白く明るい光を放ちます。花火のキラキラとした輝きはこれらの金属によるものです
花火の形は、「星」と呼ばれる火薬の玉の配置によって決まります。花火玉の中に星をどのように詰めるかで、開いたときの形が変わります。丸く均一に配置すれば「菊」(尾を引きながら広がる花火)や「牡丹(ぼたん)」(尾を引かず点で広がる花火)に、垂れ下がるように配置すれば「柳」(しだれ柳のように流れ落ちる花火)になります。
花火は子どもの自由研究にぴったりのテーマです。「花火の色と金属の関係」を調べたり、「花火の形の種類をスケッチする」といった研究は、理科の学びと夏の思い出を結びつけてくれます。花火大会に行く前に図鑑やインターネットで予習しておくと、実際の花火を見たときの感動がより深まるでしょう。
A.
A.
A.
INFO
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CHAPTER 09まとめ
花火は慶長18年(1613年)に徳川家康が見たのが日本での始まりとされ、享保18年(1733年)の「両国の川開き」が現在の隅田川花火大会の起源です。打ち上げ花火には割物・半割物・型物・スターマイン・仕掛け花火など多彩な種類があり、それぞれの特徴を知ると鑑賞がより楽しくなります。
「たまや〜」「かぎや〜」の掛け声は、江戸時代の花火師の屋号を応援したことに由来する粋な風習です。花火大会にはレジャーシートや虫除け、飲料などの持ち物を事前に準備して、家族で夏の夜空を彩る花火を存分に楽しんでください。

