芒種(ぼうしゅ)は、二十四節気(にじゅうしせっき)の第9番目にあたり、芒(のぎ)のある穀物の種をまく時期を意味する節気です。梅雨入りの気配が漂い始め、田んぼには水が張られて田植えが本格化する季節でもあります。この記事では、芒種の意味や由来、2026年の日付、七十二候、田植えとの関係、旬の食べ物までわかりやすく解説します。

CHAPTER 01
芒種とは?意味と由来

芒種(ぼうしゅ)とは、二十四節気の第9番目にあたる節気で、太陽の黄経が75度に達した日をいいます。毎年6月6日頃に訪れ、小満(しょうまん)の次、夏至(げし)の前に位置します。
「芒種」の「芒(のぎ)」とは、稲や麦などイネ科の植物の穂先についている針のような突起のことです。漢字の部首「禾(のぎへん)」はこの芒に由来しています。つまり芒種とは、「芒のある穀物の種をまく時期」という意味を持つ節気なのです。
もともと芒種の頃は稲の種まきや田植えが行われていた時期にあたります。しかし現代では品種改良や農業技術の進歩により、田植えの時期は地域によって5月上旬から6月下旬まで幅があります。それでも芒種は、古くから農作業の大切な目安として暦に刻まれてきた節気です。
芒(のぎ)
稲や麦などイネ科の植物の穂先についている針状の突起。漢字の「禾(のぎへん)」の由来でもある
芒種の意味
芒のある穀物(稲・麦など)の種をまく時期。転じて「麦を刈り取り、稲を植える頃」を表す
二十四節気の位置
小満(第8番目)の次、夏至(第10番目)の前。夏の盛りに向かう暑気のひとつ
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INFO / 「麦秋」と芒種の関係
芒種の少し前にあたる5月下旬から6月初旬は「麦秋(ばくしゅう)」と呼ばれ、麦の刈り入れの季節です。麦の収穫が終わったあとの田んぼに水を張り、稲の苗を植える——芒種にはこの「麦を刈り、稲を植える」という農業の大きな節目が重なっています。

CHAPTER 02
2026年の芒種はいつ?

2026年の芒種は6月6日(土)です。芒種は毎年6月5日から6月7日頃のいずれかの日にあたり、年によって1日程度の前後があります。芒種の期間は、次の節気である夏至の前日(2026年は6月20日)までの約15日間です。
6月6日
2026年の芒種
第9番目
二十四節気の順番
75度
太陽黄経
芒種から夏至までの約15日間は、だんだんと蒸し暑さが増してくる時期です。日本の多くの地域で梅雨入りを迎え、しとしとと雨が降り続く日が増えてきます。梅の実が色づき始めるのもこの頃で、まさに「梅雨」の名前にふさわしい季節の到来です。

CHAPTER 03
芒種の七十二候

二十四節気をさらに3つに分けた七十二候(しちじゅうにこう)では、芒種の約15日間を次の三候に分類しています。それぞれが初夏の自然の移ろいを繊細に表現しています。

初候:蟷螂生(かまきりしょうず)

6月6日頃から10日頃にあたる初候は「蟷螂生(かまきりしょうず)」です。秋のうちに産みつけられた卵からカマキリの赤ちゃんが孵化し、草むらに姿を現す時期を表しています。カマキリは害虫を食べてくれる益虫として、昔から農家に大切にされてきました。

次候:腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)

6月11日頃から15日頃にあたる次候は「腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)」です。蒸れて腐りかけた草の下から蛍が光を放ちながら飛び立つ様子を詠んだ候で、古来の人々は朽ちた草が蛍に変化すると考えていました。蛍の幻想的な光は初夏の風物詩として今も人々を魅了し続けています。

末候:梅子黄(うめのみきばむ)

6月16日頃から20日頃にあたる末候は「梅子黄(うめのみきばむ)」です。青かった梅の実が黄色く色づき、収穫の時を迎える頃を表しています。この時期に降る長雨が「梅雨(つゆ)」と呼ばれるのは、梅の実が熟す頃の雨であることに由来します。
芒種の七十二候
名称読み時期意味
初候蟷螂生かまきりしょうず6月6日頃〜カマキリが卵から孵化する
次候腐草為蛍くされたるくさほたるとなる6月11日頃〜蛍が光を放ち飛び交う
末候梅子黄うめのみきばむ6月16日頃〜梅の実が黄色く熟す

CHAPTER 04
芒種の時期の風習・行事

芒種の頃は農家にとって一年で最も忙しい時期のひとつです。田植えをはじめとする農作業のほか、梅雨入り前後に行われるさまざまな風習や行事があります。

田植え

田舎の水車芒種はもともと田植えの時期を示す節気です。5月頃に麦の刈り入れが終わると、同じ田んぼに水を張って稲の苗を植えていました。このことから芒種は「麦を刈り、稲を植える頃」という意味を持つようになりました。農家にとっては一年の収穫を左右する大切な節目であり、田植えの前には豊作を祈る神事を行う地域も少なくありません。
現代では機械化により田植えの時期は地域によってさまざまですが、東北地方や山間部では今でも芒種の頃に田植えが行われています。田植えを体験できるイベントを開催する農家も増えており、都市部の子どもたちが泥まみれになりながら苗を植える姿は初夏の風物詩となっています。
新米パパ
新米パパ / 2歳児のパパ
芒種が田植えの時期だったんですね。「芒」という字は初めて知りました。
カゾイロ博士
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
そうなんです。「芒」は稲穂の先端の針のことで、漢字の禾(のぎへん)の由来にもなっています。芒種の頃は麦の刈り入れが終わり、稲を植える——日本の農業の大きな転換点だったのです。

梅雨入りと衣替え

芒種の頃は多くの地域で梅雨入りを迎えます。沖縄・奄美では5月中に梅雨入りしていますが、九州から関東にかけてはちょうど芒種の前後に梅雨入りの発表があることが多いです。湿度が上がり蒸し暑さが増すこの時期に、学校や官公庁では6月1日の衣替えが行われます。制服が夏服に切り替わり、街の風景も一気に夏めいてきます。

梅仕事

芒種の頃に梅の実が色づき始めると、「梅仕事」の季節です。梅干しや梅酒、梅シロップなど、梅を使った保存食づくりは日本の初夏の伝統的な手仕事です。青梅で梅酒を仕込み、黄色く熟した梅で梅干しを漬ける——この一連の作業を楽しみにしている方も多いでしょう。梅仕事は食の知恵を次の世代に伝える貴重な機会でもあります。
TIP / 家族で楽しむ梅仕事
梅シロップづくりは火を使わないため、小さなお子さんと一緒に楽しめます。瓶に梅と氷砂糖を交互に入れるだけなので簡単です。毎日瓶を揺すりながら「あと何日かな?」と待つ時間も、親子の素敵な思い出になります。

CHAPTER 05
芒種の時期の食べ物・旬のもの

芒種の頃は初夏の恵みが豊富に出回る季節です。蒸し暑い日が増えるこの時期にぴったりの、さっぱりとした食材や季節感あふれる旬の食べ物をご紹介します。

は芒種の時期を代表する食材です。6月上旬から中旬にかけて青梅が出回り、下旬には黄色く熟した完熟梅が店頭に並びます。梅に含まれるクエン酸には疲労回復や食欲増進の効果があり、蒸し暑い時期の体調管理にぴったりです。梅干し・梅酒・梅シロップ・梅ジャムなど、さまざまな形で長く楽しめるのも梅の魅力です。

鮎(あゆ)

鮎(あゆ)は6月1日の鮎漁解禁とともに旬を迎えます。清流で育った若鮎は身が柔らかく、スイカのような爽やかな香りがすることから「香魚(こうぎょ)」とも呼ばれます。塩焼きにしてそのまま頭からかぶりつくのが最もシンプルで贅沢な食べ方です。

枇杷(びわ)

枇杷(びわ)は5月下旬から6月中旬にかけてが旬の果物です。やわらかな果肉と上品な甘さが特徴で、傷みやすいため出回る時期が短く、まさに初夏だけの贅沢です。千葉県や長崎県が主な産地として知られています。

紫蘇(しそ)・新生姜

赤紫蘇は梅干しを漬けるのに欠かせない食材で、芒種から夏至にかけてが最盛期です。また新生姜も6月が旬で、みずみずしくさわやかな辛みが特徴です。薬味として使えば蒸し暑い時期の食欲を刺激してくれます。甘酢漬け(ガリ)にすれば保存もきき、夏場の常備菜としても重宝します。
  • 梅 — 梅干し・梅酒・梅シロップの原料。クエン酸で疲労回復
  • 鮎 — 6月解禁の清流の恵み。塩焼きが定番
  • 枇杷 — 初夏限定の上品な甘さの果物
  • 赤紫蘇 — 梅干しづくりに欠かせない。ジュースにも
  • 新生姜 — さわやかな辛みで食欲増進。甘酢漬けがおすすめ
  • 実山椒 — ちりめん山椒や佃煮に。6月が収穫の最盛期

CHAPTER 06
よくある質問

新米パパ
新米パパ / 2歳児のパパ
芒種はどう読むのですか?
カゾイロ博士
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
「ぼうしゅ」と読みます。「芒(のぎ)」は稲や麦の穂先にある針のような突起のこと。芒種は稲や麦など芒のある穀物の種をまく時期という意味で、6月6日頃にあたります。
A.
芒(のぎ)とは、稲や麦などイネ科植物の実の先にある針のような突起のことです。芒種は「芒のある穀物の種をまく時期」を意味し、稲作が盛んだった日本では田植えの目安とされてきました。
A.
芒種の時期は梅雨入りと重なることが多く、暦の上では芒種のあと最初の壬(みずのえ)の日を「入梅」としていました。現在の梅雨入りは気象庁が発表しますが、芒種の頃に雨が増え始めるのは昔も今も同じです。
A.
2026年の芒種は6月6日(土)です。二十四節気は年によって1日前後ずれることがありますが、例年6月5日〜7日頃にあたります。
A.
梅・枇杷(びわ)・さくらんぼ・鮎(あゆ)などが旬を迎えます。特に梅は梅干しや梅シロップなどの「梅仕事」を始めるのに最適な時期です。
書籍『日本のしきたり』では、芒種と田植え行事の深いつながりについて詳しく紹介されています。同書によると、田植えはかつて神聖な農耕儀礼であり、早乙女(さおとめ)と呼ばれる若い女性たちが田に入って苗を植える「御田植祭(おたうえまつり)」が各地で行われていました。これは田の神を迎えて豊作を祈る神事であり、大阪の住吉大社や三重の伊勢神宮の「御田植祭」は現在も毎年芒種の時期に行われる伝統行事として知られています。
さらに同書は、芒種の頃に行われた「虫送り」という行事にも触れています。田植えを終えた農村では、松明(たいまつ)を手にした村人たちが田の畦道(あぜみち)を練り歩き、稲の害虫を追い払う「虫送り」の行事が行われました。これは五穀豊穣を願うとともに、田の神への感謝を示す風習でもありました。芒種はまさに農と暦が一体となった季節であり、田植えに始まる一連の農耕儀礼が初夏の風物詩として日本の歳時記を彩ってきたのです。

CHAPTER 07
まとめ

芒種は「芒のある穀物の種をまく時期」を意味する二十四節気の第9番目で、2026年は6月6日(土)にあたります。田植えの季節であり、梅雨入りの時期でもあるこの節気は、日本の農業と気候の大きな節目を象徴しています。
カマキリが孵化し、蛍が飛び交い、梅の実が黄色く色づく——七十二候が描く芒種の情景は、初夏の自然の息吹にあふれています。梅仕事や旬の食材を楽しみながら、蒸し暑い梅雨の季節を元気に過ごしましょう。二十四節気の他の節気については、関連記事もあわせてご覧ください。