三社祭(さんじゃまつり)は、東京・浅草神社の例大祭として毎年5月第3週の金・土・日曜日の3日間にわたって行われる祭りです。期間中の来場者数は約150万人にのぼり、東京を代表する初夏の風物詩として知られています。100基を超える町内神輿と宮神輿3基が浅草の街を練り歩く姿は圧巻で、神田祭・山王祭と並ぶ下町の大祭です。
CHAPTER 01三社祭とは?名前の由来

「三社」とは、浅草神社に祀られている三柱の神様のことです。浅草神社は明治維新まで「三社権現(さんじゃごんげん)」と呼ばれていました。「権現」とは、仏や菩薩が衆生を救うために神の姿を借りて現れること(権化・化現)を意味する仏教用語で、三柱の神として現れたことから「三社」の名がつきました。
祀られている三柱は、土師真中知命(はじのまつちのみこと)・檜前浜成命(ひのくまはまなりのみこと)・檜前竹成命(ひのくまたけなりのみこと)の三人です。この三人は実在の人物であったとされ、浅草寺の創建に深く関わる壮大な物語が伝えられています。
- 正式名称
- 浅草神社例大祭。通称「三社祭」「三社様」
- 開催時期
- 毎年5月第3週の金・土・日曜日の3日間
- 会場
- 浅草神社(台東区浅草)を中心に浅草一帯。44カ町が氏子地域
- 規模
- 町内神輿約100基、宮神輿3基、来場者約150万人
CHAPTER 02起源 ─ 隅田川から引き揚げられた観音像
三社祭の起源は、浅草寺の創建伝説にさかのぼります。推古天皇の御代(7世紀初頭)のある年の3月18日、漁師の檜前浜成・竹成の兄弟が宮戸川(隅田川の旧称)で投網漁をしていたところ、網に一寸八分(約5.5cm)の小さな観音像がかかりました。
何度川に戻しても同じ像が網にかかるため、兄弟は地元の知識人であった土師真中知のもとへ持参しました。土師真中知はこれを聖観世音菩薩の尊像と見定め、自ら出家して堂を建てて安置しました。これが浅草寺の始まりであり、この観音像が現在も浅草寺の御本尊(絶対秘仏)として祀られています。
観音像を引き揚げた漁師兄弟と、出家してお堂を建てた土師真中知の三人は、浅草の発展に貢献した「浅草の開拓三人衆」として、後に浅草神社の祭神として祀られるようになりました。三社祭はこの三人の功績を讃え、感謝を捧げる祭りです。
パ
新米パパ
たった5cmの観音像から浅草寺が始まったんですね。その像は今も残っているんですか?
博
カゾイロ博士
はい、御本尊として浅草寺に安置されていますが、絶対秘仏とされ、住職ですら直接拝むことはできません。同じように小さな仏像が川や海から引き揚げられる伝説は日本各地にあり、古代の人々が水辺に神聖な力を見出していたことがうかがえますよ。
CHAPTER 03三社祭の見どころ ─ 3日間の祭り
三社祭は金・土・日の3日間にわたって行われ、日を追うごとに熱気が高まっていきます。
初日(金曜日)─ 大行列とびんざさら舞
初日の午後1時、浅草の街を大行列が練り歩きます。お囃子屋台や白鷺の舞、手古舞の女性たちが華やかに通りを進みます。なかでも注目はびんざさら舞です。「びんざさら」とは10〜20cmの薄い木の板を数十枚紐で連ねた楽器で、田楽(でんがく)に由来する中世の芸能を今に伝える貴重な舞踊です。東京都の無形文化財に指定されており、三社祭でしか見られない特別な奉納芸能です。
2日目(土曜日)─ 町内神輿連合渡御
2日目は浅草44カ町から約100基の町内神輿が繰り出す町内神輿連合渡御が行われます。各町会の神輿(みこし)が次々と浅草神社の境内に入り、お祓いを受けてから氏子地域を練り歩きます。「ソイヤ、ソイヤ」「セイヤ、セイヤ」の掛け声とともに浅草の路地を進む神輿の波は、下町の祭り文化を象徴する光景です。
最終日(日曜日)─ 宮神輿の「宮出し」
最終日の早朝6時、祭りのクライマックスである「宮出し(みやだし)」が行われます。浅草神社の宮神輿3基(一之宮・二之宮・三之宮)が一斉に境内を出発し、それぞれ別ルートで氏子地域を一日かけて巡行します。宮神輿の重さは1基あたり約1トン。担ぎ手たちが全身で神輿を揺らしながら進む姿は圧巻で、沿道は熱狂に包まれます。夕方の「宮入り」で神輿が境内に戻ると、3日間の祭りは最高潮を迎えます。
TIP
宮出しは早朝6時からですが、場所取りは前夜から始まります。初めての方は2日目(土曜日)の町内神輿連合渡御が比較的ゆっくり楽しめておすすめです。雷門通りや仲見世周辺は間近で神輿を見られる人気スポットです。
CHAPTER 04浅草神社と浅草寺の関係
三社祭は「浅草寺の祭り」と思われがちですが、正確には浅草神社の例大祭です。浅草神社は浅草寺本堂のすぐ隣に鎮座しており、もともとは一体の信仰施設でした。明治初期の神仏分離令によって寺と神社が分けられ、三社権現は「浅草神社」に改称されました。
しかし、三社祭では今も神輿が浅草寺の境内を通り、仲見世商店街を練り歩きます。神仏分離から150年以上が経った現在も、浅草の街では寺と神社が共存し、祭りを通じて一体となっている姿を見ることができます。
パ
新米パパ
浅草寺と浅草神社は別なんですね。知りませんでした。
博
カゾイロ博士
お寺に神社が隣接しているのは全国的にも珍しいことではありませんが、浅草ほど密接に結びついている例は少ないですね。三社祭は浅草神社の祭りですが、浅草寺の創建なくしてはありえなかった祭りでもあるのです。
CHAPTER 05よくある質問
A.
毎年5月第3週の金・土・日曜日の3日間です。金曜日は大行列とびんざさら舞、土曜日は町内神輿連合渡御、日曜日は宮神輿の宮出し・宮入りが行われます。
A.
すべて無料で鑑賞できます。沿道や浅草神社境内から間近に神輿や行列を楽しめます。ただし日曜日の宮出しは非常に混雑するため、早めの場所取りが必要です。
A.
東京メトロ銀座線浅草駅から徒歩7分、都営浅草線浅草駅から徒歩7分、つくばエクスプレス浅草駅から徒歩5分です。祭り期間中は周辺で交通規制が行われるため、公共交通機関の利用がおすすめです。
A.
薄い木の板を数十枚紐で連ねた楽器「びんざさら」を使った奉納舞踊です。中世の田楽に由来する芸能で、東京都の無形文化財に指定されています。三社祭の初日に浅草神社境内で奉納されます。
『冠婚葬祭 暮らしのマナー大百科』では、三社祭は東京・浅草神社で毎年5月の第3金・土・日曜日に行われる祭礼で、正式名称は「浅草神社例大祭」です。同書によると、約100基の町内神輿が浅草の街を威勢よく練り歩く姿が最大の見どころで、最終日の「宮出し」では浅草神社の三基の本社神輿(一之宮・二之宮・三之宮)が氏子各町を渡御します。三社祭の名は浅草寺の創建に関わった檜前浜成(ひのくまのはまなり)・竹成(たけなり)兄弟と土師真中知(はじのまなかち)の三人の神(三社権現)に由来し、毎年約150万人が訪れる東京を代表する祭りだと紹介されています。
CHAPTER 06まとめ
三社祭は毎年5月第3週末に行われる浅草神社の例大祭で、約150万人が訪れる東京屈指の祭りです。隅田川から観音像を引き揚げた漁師兄弟と、浅草寺を開いた土師真中知の三人を祭神とする浅草神社の祭りは、1,400年の歴史を受け継いでいます。100基を超える神輿が浅草の街を練り歩く3日間は、下町の活気と江戸っ子の心意気を存分に体感できる初夏の風物詩です。

