エイプリルフールは、毎年4月1日に嘘や冗談を楽しむ風習として世界中で親しまれています。日本語では「四月馬鹿」や「万愚節(ばんぐせつ)」とも呼ばれ、この日だけは軽い嘘をついても大目に見てもらえるというユニークな慣習です。しかし、なぜ4月1日なのか、いつから始まったのかについては実ははっきりとわかっていません。この記事では、エイプリルフールの起源や由来、「嘘は午前中だけ?」のルール、日本語での呼び方、企業の面白いエイプリルフール企画まで、まとめて解説します。
CHAPTER 01エイプリルフールとは?意味と概要

エイプリルフール(April Fools' Day)は、4月1日に軽い嘘やいたずらを楽しむ日として、欧米を中心に世界各地で定着している風習です。英語では「April Fools' Day」、フランス語では「ポワソン・ダヴリル(Poisson d'avril=4月の魚)」と呼ばれます。
CHAPTER 02エイプリルフールを日本語で言うと?
エイプリルフールには、日本語でいくつかの呼び方があります。それぞれ由来が異なり、知っておくと話のタネになります。
- <ruby>四月馬鹿<rp>(</rp><rt>しがつばか</rt><rp>)</rp></ruby>
- 「April(4月)Fool(馬鹿)」を直訳した呼び名。大正時代に日本に伝わった際に定着した。騙された人を指して「四月馬鹿」と呼ぶこともある
- <ruby>万愚節<rp>(</rp><rt>ばんぐせつ</rt><rp>)</rp></ruby>
- 英語の「All Fools' Day」を漢語的に直訳したもの。「万」人(=all)が「愚」か(=fool)になる「節」(=day)という意味
- 不義理の日
- 江戸時代まで4月1日は中国から伝来したとされる「不義理の日」だった。日頃ご無沙汰をして義理を欠いている人に手紙などをしたため、不義理を詫びる日として過ごされていた
- ポワソン・ダヴリル(Poisson d'avril)
- フランス語で「4月の魚」の意味。子どもたちが魚の形の紙を人の背中にこっそり貼るいたずらが行われる
INFO / 「不義理の日」から「嘘をつく日」へ
4月1日はもともと日本では不義理を詫びる日でしたが、大正時代に欧米のエイプリルフールが伝わると、「嘘をついてもよい日」へと意味が変わっていきました。日本独自の文化と西洋の風習が入れ替わった面白い例です。
CHAPTER 03エイプリルフールの起源と由来
エイプリルフールの起源には諸説ありますが、もっとも有名なのが「グレゴリオ暦説」です。ヨーロッパではかつて新年を3月25日から4月1日にかけて祝っていましたが、1582年にローマ教皇グレゴリウス13世がグレゴリオ暦を採用し、新年が1月1日に変更されました。この変更を受け入れなかった人々が4月1日を「嘘の新年」として騒いだのが始まりとされています。
フランスでは、シャルル9世が1564年に「ルシヨンの勅令」で新年の始まりを1月1日に変更したのがきっかけとする説もあります。反発した人々が4月1日に「嘘の新年会」を開いて祝ったのが「ポワソン・ダヴリル」の起源というわけです。
NOTE
グレゴリオ暦説は広く知られていますが、裏付ける歴史的記録は見つかっていません。エイプリルフールの正確な起源は、実は今も謎に包まれています。
もうひとつ有力な説が、中世ヨーロッパの「万愚祭(All Fools Day)」に由来するというものです。7世紀頃までにヨーロッパ全域に広まったカトリック教会は、各地に残る異教の祭り(豊作祈願や死者供養など)を教会の行事に取り込んでいきました。その中に、身分の上下が逆転する「逆さ世界」をテーマにした無礼講の祝祭がありました。
古代ローマでは1日だけ主人と奴隷の立場が逆転する祝祭があり、これが万愚祭の原型になったとも考えられています。教会の広場では道化師や芸人が集まり、風刺の効いた寸劇を演じて人々を笑わせました。旧約聖書に登場する預言者バラムと驢馬の物語も好んで演じられ、驢馬(ロバ)が主役になる「驢馬講の王」という行事では、ロバが王座に据えられて日常の秩序がひっくり返る様子を楽しみました。
新米パパ
主人と奴隷が入れ替わるなんて、かなり大胆なお祭りだったんですね。
カゾイロ博士
そうなんです。日常の秩序を一時的にひっくり返す「逆さ世界」は、ガス抜きの役割を果たしていました。道化師たちは2種類の衣装を着ていて、色とりどりのダイヤ柄のつなぎか、黒一色のフードにロバの耳を付けた姿で、鈴のついた道化棒を振りながら人々を笑わせたそうですよ。
CHAPTER 04エイプリルフールのルール|嘘は午前中だけ?
「エイプリルフールの嘘は午前中だけ」という話を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。このルールはイギリス発祥の風習で、実は世界共通のルールではありません。
イギリスでは、嘘をついてよいのは4月1日の正午(午後12時)までとされています。正午を過ぎてもいたずらを続けると、仕掛けた側が逆に「フール(愚か者)」になってしまうというのがルールです。午後にはネタばらしをして、騙された相手と一緒に笑い合うのが正しい作法とされています。
この「正午まで」ルールの由来には、17世紀イギリスの「オークアップルデー」が関係しているとされます。王政復古を祝うこの日には、午前中にオークの小枝を身につける決まりがあり、忘れた人をからかうのは午前中だけ、午後には謝罪するのが習わしでした。この「午前限定」の精神がエイプリルフールに引き継がれたと考えられています。
| 国・地域 | 時間制限 | 備考 |
|---|---|---|
| イギリス | 正午(12:00)まで | 午後に嘘をつくと自分がフール(愚か者)になる |
| オーストラリア | 正午(12:00)まで | イギリスと同じルールを踏襲 |
| フランス | 特に制限なし | 一日中「ポワソン・ダヴリル」を楽しむ |
| アメリカ | 特に制限なし | 一日中いたずらOKが一般的 |
| 日本 | 特に制限なし | 時間制限の慣習はないが、早めのネタばらしがマナー |
日本には公式な時間制限はありませんが、SNSが普及した現在では、嘘の投稿には「#エイプリルフール」のタグをつける、その日のうちにネタばらしをするといった暗黙のマナーが定着しつつあります。
エイプリルフールでやってはいけないこと
- 人を傷つける嘘:別れ話、病気、事故など相手が本気で心配する内容はNG
- 社会的に混乱を招く嘘:災害情報や事件に関するデマは犯罪になりうる
- 取り消せない嘘:一度広まると訂正が追いつかない情報(特にSNS)
- 長時間にわたる嘘:すぐにネタばらしをしないのはマナー違反
- 相手の同意なく巻き込む嘘:第三者を勝手に嘘の登場人物にしない
CAUTION / 嘘の基本ルール
エイプリルフールの鉄則は「相手も一緒に笑える嘘」であること。嘘をついた後は必ずネタばらしをして、騙された側も笑顔になれるものにとどめましょう。
CHAPTER 05世界のエイプリルフールの風習
エイプリルフールの楽しみ方は国によってさまざまです。共通しているのは「笑い」を大切にするという精神で、悪意のあるいたずらではなく、ユーモアあふれる嘘やジョークが好まれます。

| 国・地域 | 風習・特徴 |
|---|---|
| フランス | 「ポワソン・ダヴリル(4月の魚)」と呼ばれ、子どもたちが魚の形の紙を人の背中にこっそり貼るいたずらを楽しむ |
| イギリス | 嘘をついてよいのは午前中だけ。正午以降にいたずらをすると、逆に自分が「フール(愚か者)」になるとされる |
| スコットランド | 2日間にわたって行われ、2日目は「テイリー・デー(お尻の日)」と呼ばれ、背中に「kick me」の張り紙をするいたずらが有名 |
| インド | 「フーリー祭」の伝統と結びつき、色粉や水をかけ合う春の祝祭と重なることがある |
| ブラジル | 「メンティーラの日(嘘の日)」として親しまれ、新聞やテレビがユーモラスな嘘ニュースを流す |
CHAPTER 06エイプリルフールと企業|話題になった嘘企画
近年、エイプリルフールは企業にとってもユーモアでブランドの魅力を伝えるチャンスとして定着しています。架空の新商品や嘘のサービスをSNSで発表し、話題を集める企業が年々増えています。なかには嘘のはずが大反響を呼び、本当に商品化された例も。
| 企業・ブランド | 内容 |
|---|---|
| 日本郵政(2024年) | 「ゆうぱっく」というフェイスパックを発表 → 7万いいねの大反響を受け、翌年に実際に製品化・配布 |
| 桂新堂(2026年) | 160年続く老舗えびせんべい店が「えびやめます。いかの桂新堂、はじまる」と宣言。4月1日限定で「いか姿焼き」を30個販売 |
| コメダ珈琲店 | 初のフレグランス「オーデトースト」を発表。トースト香のオードトワレという発想が話題に |
| サンクトガーレン | 2010年から毎年「嘘のようなビール」を実際に製造・販売。杏仁豆腐ビールやチョコビールなど |
| Cygames(2026年) | 「ウマ娘」×「みどりのマキバオー」コラボ。午年にちなんだ企画でオリジナルCMまで制作 |
企業のエイプリルフール企画が成功するポイントは、「自社ブランドの特徴を活かしたネタ」であること。えびせんべいの老舗がいかに挑戦したり、郵便局がフェイスパック(=パック=ぱっく)とかけたりと、ブランドへの愛情が感じられるユーモアが共感を呼んでいます。
TIP / 嘘から生まれた本物
日本郵政の「ゆうぱっく」のように、エイプリルフールの嘘企画がSNSで大反響を呼び、翌年に本当に商品化された例もあります。嘘のアイデアが消費者のリアルな需要を可視化するという、マーケティング的にも面白い現象です。
CHAPTER 07日本のエイプリルフール事情
日本にエイプリルフールが伝わったのは大正時代とされています。英語の「April Fool」を直訳した「四月馬鹿」という言葉が広まり、昭和以降は子どもを中心に親しまれるようになりました。
興味深いのは、エイプリルフールが伝わる前の日本では、4月1日は「不義理の日」だったということです。日頃ご無沙汰をして義理を欠いている人に手紙をしたため、不義理を詫びる日として過ごされていました。嘘をついてもよい日へと意味が完全に入れ替わったのは、近代になってからのことです。
現代の日本のエイプリルフールには、欧米のように背中に紙を貼ったり驢馬を王にしたりする派手な風習はありませんが、「嘘をついてもよい日」という認識は広く浸透しています。近年はSNSの普及により、個人から企業まで幅広い層がユーモラスな投稿を楽しむ日として定着しています。
新米パパ
子どもと一緒にエイプリルフールを楽しみたいんですが、何かおすすめのネタはありますか?
カゾイロ博士
小さなお子さんとなら、おかずの中に一つだけ甘いものを混ぜたり、ぬいぐるみに服を着せて「お友達が来たよ」と驚かせたりするのが楽しいですよ。ポイントは、ネタばらしの瞬間に一緒に笑えること。「嘘はすぐにばらす」ルールも一緒に教えてあげると、マナーの勉強にもなります。
CHAPTER 08よくある質問
A.
イギリスでは正午(午後12時)までとされていますが、日本には公式な時間制限はありません。ただし、どの国でも嘘はその日のうちにネタばらしをするのがマナーです。
A.
日本語では「四月馬鹿(しがつばか)」「万愚節(ばんぐせつ)」と呼ばれます。また、エイプリルフールが伝わる前は4月1日を「不義理の日」として、義理を欠いた相手に手紙を書く日でした。
A.
正確な起源は不明ですが、16世紀のヨーロッパで広まったとする説が有力です。中世の「万愚祭」が原型で、グレゴリオ暦の採用(1582年)をきっかけに現在の形に定着したと考えられています。
A.
人を傷つける嘘(別れ話、病気、事故など)、社会的に混乱を招くデマ(災害・事件情報)、取り消しが効かない嘘はNGです。「相手も一緒に笑える嘘」が鉄則です。
A.
ユーモアを通じてブランドの親しみやすさを伝え、SNSで話題を集めるマーケティング手法として定着しています。日本郵政の「ゆうぱっく」のように嘘が本当に商品化された例もあり、消費者の反応を見る場としても活用されています。
A.
家族で「今日は嘘をひとつだけ言っていい日」とルールを決めて楽しむのがおすすめです。おかずの中に一つだけ甘いものを混ぜたり、ぬいぐるみに服を着せて驚かせたりと、子どもが笑顔になる小さなサプライズを仕掛けてみましょう。
CHAPTER 09まとめ
エイプリルフールは、中世ヨーロッパの「逆さ世界」の祝祭を起源とし、4月1日に嘘やユーモアを楽しむ世界共通の風習です。日本語では「四月馬鹿」「万愚節」と呼ばれ、かつて4月1日が「不義理の日」だった日本にも大正時代に伝わりました。イギリスでは嘘は正午までというルールがありますが、日本では時間制限はなく、SNS時代の暗黙のマナーとしてその日のうちにネタばらしをするのが定着しています。企業の嘘企画から本物が生まれることもあるエイプリルフール、家族や友人と相手も笑えるジョークで楽しんでみてはいかがでしょうか。

