八十八夜(はちじゅうはちや)は、立春(りっしゅん)から数えて88日目にあたる日で、春から夏への季節の変わり目を告げる雑節(ざっせつ)のひとつです。唱歌『茶摘み』の歌詞「夏も近づく八十八夜」でも知られるように茶摘みの目安として有名ですが、「八十八夜の別れ霜」という言葉が示すとおり米づくりにも深く関わる暦の節目です。この記事では、八十八夜の意味・由来から新茶との関係、一番茶の楽しみ方まで解説します。

CHAPTER 01
八十八夜とは?意味と2027年の日程

88日目
立春から数えて
5月2日頃
例年の日付
一番茶
新茶の季節
八十八夜とは、立春(例年2月4日頃)から数えて88日目の日のことです。暦の上で春から夏へと移り変わる節目であり、農作業を始める目安として古くから大切にされてきました。2027年は5月2日(日)にあたります(立春の2月4日から数えて88日目)。
◆八十八夜の日付(自動計算)
2026年5月2日(土)
2027年5月2日(日)
2028年5月1日(月)

二十四節気は太陽の位置、旧暦の行事は新月の日、干支の日は暦の巡りから計算しています。 正式な日付は、国立天文台が毎年2月に翌年分を発表する暦要項で確定します。「頃」は時刻が日付の変わり目に近く、前後する可能性がある日です。

八十八夜は、中国から伝わった二十四節気とは別に、日本の気候や農作業に合わせて生まれた雑節のひとつです。江戸時代の初めごろには民間の伊勢暦などに記されるようになり、渋川春海(しぶかわはるみ)がつくった日本初の国産暦「貞享暦(じょうきょうれき)」(1684年完成、1685年施行)で、正式に暦に載るようになったとされています。
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NOTE / 「八十八」と「米」の関係
「八十八」の漢字を縦に組み合わせると「米」という字になります。このことから八十八夜は米づくりの大切な時期ともされ、農家にとって種まきの目安となる日です。「八十八夜の別れ霜」といい、この日を過ぎれば霜の心配がなくなるとされています。
唱歌『茶摘み』の歌詞「夏も近づく八十八夜」でも有名で、日本各地の茶産地ではこの時期に新茶の摘採が最盛期を迎えます。静岡県や京都府(宇治)、鹿児島県などでは、新茶祭りやお茶のイベントが開催されることもあります。この歌は手遊び歌としても親しまれ、幼稚園や保育園でも歌われています。
茶畑では冬の寒さを耐えた新芽が一斉に芽吹き、一番茶の摘採が最盛期を迎えます。茶摘み娘がかすりの着物に赤いたすきをかけて新芽を摘む光景は、日本の初夏を象徴する風物詩として、今も各地の茶産地の茶摘みイベントなどで見ることができます。
八十八夜に摘んだお茶を飲むと長生きできるという言い伝えが古くからあり、「八十八」の数字そのものが末広がりの「八」を二つ含む縁起のよい数として親しまれてきました。現代でも八十八夜の前後には各地の茶園で新茶まつりが催され、摘みたての茶葉の爽やかな香りを味わうことができます。
富士山と新緑の茶畑
八十八夜は茶摘みの目安として知られる

CHAPTER 02
八十八夜の食べ物と風習

特定の行事食はありませんが、この時期に旬を迎える食材を味わうのが日本の伝統的な楽しみ方です。

新茶を使った食べ物

八十八夜に摘んだ茶は縁起物とされ、その年の新茶は「一番茶」と呼ばれます。この時期に摘まれた一番茶は香り高く旨みが凝縮されています。新茶を使った和菓子やお茶漬け、茶そばなどが定番です。抹茶スイーツ(抹茶アイス、抹茶ラテなど)も人気で、お茶の豊かな風味を手軽に楽しめます。

旬の食材

たけのこ・わらび・ぜんまいなどの春の山菜は、この時期を代表する味覚です。初鰹(はつがつお)も春から初夏にかけて旬を迎え、さっぱりとした味わいが新茶との相性も抜群です。また、そら豆や新たまねぎなどの春野菜も食卓を彩ります。

CHAPTER 03
一番茶(新茶)の魅力と美味しい淹れ方

一番茶とは、その年の最初に摘み採られる新芽で作られたお茶のことです。冬の間に養分をたっぷり蓄えた新芽は、香り・旨み・甘みが最も豊かで、品質の高いお茶として珍重されます。摘採時期は4月下旬から5月中旬頃です。
新茶の季節、茶葉と緑茶

一番茶・二番茶・三番茶の違い

お茶は年に数回摘採され、時期ごとに特徴が異なります。一番茶は旨みと甘みが最も強く高級品とされます。二番茶(6〜7月)は味が濃くコクがあり、普段飲みに適しています。三番茶(8月以降)はさっぱりとした味わいで、番茶として利用されることが多いです。

煎茶の美味しい淹れ方

繊細な香りと旨みを引き出すには、少しぬるめのお湯がポイントです。以下の手順で淹れると、新茶の味わいを最大限に楽しめます。
急須と湯呑みに注がれた日本茶
  1. 01
    お湯を茶碗に注いで温度を下げる
    沸騰したお湯を湯冷まし用の茶碗に注ぎ、70〜80℃まで冷まします。
  2. 02
    人数分の茶葉を急須に入れる
    1人分はティースプーン約1.5杯(約3g)が目安です。
  3. 03
    茶碗のお湯を急須に注ぐ
    茶碗に注いでおいたお湯を急須にゆっくり入れます。
  4. 04
    1分ほど待ってから注ぎきる
    蒸らし終わったら、湯呑みに均等に注ぎ分け、最後の一滴まで注ぎきるのがコツです。
高温で淹れると渋みが出やすいため、温度管理が大切です。二煎目以降はやや高めの温度で淹れると異なる風味を楽しめます。新茶の時期は茶葉の鮮度が高いため、購入後はなるべく早く飲み切るのがおすすめです。

主な茶産地と新茶祭り

日本を代表する茶産地である静岡県、京都府(宇治茶)、鹿児島県(知覧茶)では、この時期に新茶祭りや茶摘み体験イベントが各地で開催されます。産地ごとに気候や栽培方法が異なるため、味わいにも個性があります。飲み比べをしてお気に入りの産地を見つけるのも楽しみ方のひとつです。
茶道の世界では、八十八夜の頃に摘んだ新茶の葉を壺に詰めて封をし、ひと夏寝かせて熟成させます。11月ごろに壺の封を切って抹茶に仕立てる行事を「口切り(くちきり)」と呼び、茶道では一年で最も格式の高い茶事とされています。新茶の時期に摘まれた茶葉が、半年の熟成を経てまろやかな抹茶に生まれ変わるのです。
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INFO
日本茶の歴史・種類・健康効果について詳しくは「日本茶の種類と特徴|煎茶・玉露・抹茶・ほうじ茶の違いと健康効果を解説」で紹介しています。
新米パパ
新米パパ / 2歳児のパパ
「ずいずいずっころばし」の歌詞にある「茶壺に追われて」って、お茶と関係があるんですか?
カゾイロ博士
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
実は深い関係があります。江戸時代には、将軍家御用の新茶を詰めた茶壺を宇治から江戸へ運ぶ「御茶壺道中」という行列がありました。大名行列と同格の威厳を持ち、沿道の人々は戸を閉めて静かにしていなければなりませんでした。「茶壺に追われてトッピンシャン」は、この道中が通る際に急いで家に逃げ込む庶民の様子を歌ったものなのです。
新米パパ
新米パパ / 2歳児のパパ
子どもにほうじ茶を飲ませているんですが、ほうじ茶はカフェインが少ないから大丈夫ですよね?
カゾイロ博士
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
実は、ほうじ茶にも煎茶と同じくらいのカフェインが含まれています(どちらも100mLあたり約20mg)。炒ることで苦みが減るので飲みやすいのですが、カフェインが少ないわけではないんです。小さなお子さんには、カフェインを含まない麦茶がいちばん安心ですよ。ほうじ茶をあげるなら、薄めて少しだけにしてあげてくださいね。

CHAPTER 04
八十八夜に関するよくある質問

A.
八十八夜の頃に摘まれた一番茶(新茶)は、冬の間に蓄えた栄養が凝縮されており、旨みが強く最も美味しいとされています。「八十八夜の新茶を飲むと長生きする」という言い伝えもあります。
A.
立春の日付によって変動しますが、ほとんどの年で5月2日になります。閏年の関係で5月1日になることもあります。
A.
農業では霜害の心配がなくなる目安とされ、稲の種まきや苗植えを始める時期の指標にもなっています。「八十八夜の別れ霜」という言葉があり、米づくりにも深く関わる日です。

CHAPTER 05
まとめ

八十八夜は、春から夏への季節の変わり目を告げる日本の伝統的な暦の節目です。「八十八」の字が「米」を表すことから農作業とも深く結びつき、「八十八夜の別れ霜」を過ぎれば霜の心配がなくなるとされてきました。この時期に摘まれる一番茶(新茶)は、一年で最も香り高く旨みの豊かなお茶です。唱歌『茶摘み』を口ずさみながら、季節の恵みである新茶を一杯味わってみてはいかがでしょうか。