端午の節句(たんごのせっく)は、毎年5月5日に行われる日本の伝統行事です。男の子の健やかな成長と立身出世を願い、こいのぼりや五月人形を飾り、柏餅やちまきを食べてお祝いします。この記事では、端午の節句の由来からこいのぼり・菖蒲湯・柏餅の風習、初節句のお祝いの仕方、地域ごとの違いまで、詳しく解説します。
CHAPTER 01端午の節句とは?意味と由来
5月5日
端午の節句の日
1948年
「こどもの日」制定
5つ
五節句のひとつ

「端午」とは、もともと月の最初の午(うま)の日を意味する言葉です。「端」は「はじめ」を意味し、「午」は十二支(じゅうにし)の午のこと。つまり「端午」は「最初の午の日」という意味でした。やがて「午(ご)」と「五(ご)」の音が通じることから、毎月5日を指すようになり、さらに5が重なる5月5日を特別な日として祝うようになりました。
古代中国では、5月は病気や災いが起こりやすい「悪月」とされ、邪気を払うために菖蒲(しょうぶ)や蓬(よもぎ)を飾る風習がありました。また、汨羅江に身を投げた詩人・屈原を弔って粽(ちまき)を川に投げ入れ、「競渡(けいと)」という船競争を行う風習もあり、これが現代のドラゴンボートレースの起源とされています。屈原(くつげん)という忠義の詩人が5月5日に川に身を投じたという故事から、その霊を弔う行事としても行われていました。
この風習が奈良時代に日本へ伝わり、宮中では「端午の節会(せちえ)」として菖蒲を飾る行事が行われるようになりました。菖蒲が「尚武(しょうぶ=武道を尊ぶこと)」と同じ読みであることから、鎌倉時代以降は武家社会で男の子の成長を祝う行事へと変化しました。
菖蒲と「尚武」の掛け言葉は、端午の節句が男の子の行事へと変わる決定的な転機となりました。平安時代の宮中では5月5日に菖蒲を冠や髪飾りに挿し、菖蒲の根を刻んで酒に浸した「菖蒲酒(しょうぶざけ)」を飲んで邪気を払う風習がありましたが、武家が台頭する鎌倉時代に入ると「しょうぶ」の音が「勝負」にも通じるとして、武士の間で端午の節句がいっそう重んじられるようになります。菖蒲の葉が剣のように細長い形をしていることも武具との結びつきを強め、菖蒲を飾ること自体が武運長久を祈る行為と見なされました。こうした言葉の響きと形の類似が重なり合い、端午の節句は厄払いの行事から男児の成長と武運を祝う行事へと性格を変えていったのです。
江戸時代になると、武家だけでなく庶民の間にも広まり、男の子が生まれた家では盛大にお祝いするようになりました。幕府が五節句のひとつとして公式に定めたことで、全国的な行事として定着しています。
CHAPTER 02端午の節句はいつ?こどもの日との違い
端午の節句は、毎年5月5日に行われます。現在は「こどもの日」と同じ日ですが、厳密には由来と趣旨が異なります。
端午の節句は五節句のひとつで、古来から続く伝統行事です。もともとは男の子の成長を祝い、武運を願う意味合いが強いものでした。一方、こどもの日は1948年(昭和23年)に制定された国民の祝日で、「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」という趣旨があります。
つまり、こどもの日は男女問わずすべてのこどもをお祝いする日ですが、伝統行事としての端午の節句は特に男の子の健やかな成長を願う行事です。現在は両方の意味を兼ねて、5月5日にお祝いするのが一般的です。
なお、女の子の成長を祝う行事は3月3日の桃の節句(ひな祭り)です。これも五節句のひとつで、端午の節句と対をなす行事として大切にされています。
- 端午の節句
- 五節句のひとつ。5月5日に男児の健やかな成長と武運を願う伝統行事。奈良時代に中国から伝来。
- こどもの日
- 1948年制定の国民の祝日。男女を問わずこどもの幸福を願い、母に感謝する日。
- 初節句
- 生後はじめて迎える節句のこと。男児は端午の節句(5月5日)、女児は桃の節句(3月3日)。
CHAPTER 03端午の節句の飾り
こいのぼり
こいのぼりは、江戸時代に庶民の間で生まれた風習です。中国の山西省と陝西省の境にある黄河の急流「竜門」を鯉(こい)が登りきると龍になるという「登龍門」の伝説にちなみ、子どもが困難を乗り越えて立派に成長するよう願いが込められています。
| 名称 | 色 | 意味 |
|---|---|---|
| 吹き流し | 五色 | 最上部に飾る旗。神様を招く目印であり、魔除けの意味も |
| 真鯉(まごい) | 黒 | 家長であるお父さんを表す |
| 緋鯉(ひごい) | 赤 | お母さんを表す |
| 子鯉 | 青・緑 | こどもを表す。人数に合わせて増やす家庭も |
こいのぼりの一番上に付ける五色の吹き流しは、古代中国の陰陽五行説に基づいています。青(木)・赤(火)・黄(土)・白(金)・黒(水)の五色が天地万物を表し、邪気を祓って子どもを守る魔除けの意味が込められています。
こいのぼりの竿の先端には矢車(やぐるま)と天球(てんきゅう)が取り付けられています。矢車は矢の形をした羽根が放射状に付いた飾りで、風を受けてカラカラと回ることで神様の目を引き、降りてきていただくための目印とされています。天球は矢車のすぐ下に付ける丸い玉で、天上を表しています。
もともと武家では家紋入りの幟(のぼり)を立てていましたが、対抗心から庶民が鯉の形を考案したのが始まりとされています。現在は、ベランダ用の小型タイプや室内飾りなど、住環境に合わせた様々なサイズが販売されています。
五月人形・兜飾り
五月人形や兜飾りは、子どもの身代わりとなって災いから守ってくれるという意味があります。武将の兜や鎧をかたどったものが多く、「強くたくましく育ってほしい」という願いが込められています。
五月人形には大きく分けて兜飾り・鎧飾り・武者人形(大将飾り)の3種類があり、それぞれに込められた願いが異なります。兜飾りは頭部を守る兜を中心に据えた飾りで、「知恵をもって身を守る」という意味があります。戦国時代の名将にちなんだ兜が人気で、伊達政宗の三日月の前立てや上杉謙信の日輪に三日月の意匠などは、その武将の生き様にあやかりたいという願いが込められています。鎧飾りは全身を守る鎧一式を揃えたもので、「全身くまなく災厄から守る」という意味を持ちます。一方、鯉のぼりは中国の故事「登龍門」に由来し、黄河の急流を鯉が登りきると龍に変じるという伝説から、お子さまの立身出世を願って掲げられるようになりました。
五月人形には大きく分けて2つのタイプがあります。
- 外飾り:こいのぼりなど屋外に飾るもの。「我が家に男の子が生まれました」と天の神様に知らせる意味
- 内飾り:兜・鎧・武者人形など室内に飾るもの。子どもを災いから守る意味
CAUTION
飾る時期は4月中旬(春分(しゅんぶん)の日以降)から5月中旬が一般的です。前日に飾る「一夜飾り」は縁起が悪いとされるため、余裕を持って飾りましょう。片付けは5月中旬までに行うのが望ましいです。
五月人形はひとりにひとつが原則です。お下がりや共有は、本来の「身代わり」の意味から外れるとされています。一般的には母方の祖父母が贈る風習がありますが、最近は両家で相談して用意するケースも増えています。
鍾馗(しょうき)と武者人形の種類
端午の節句には兜や鎧のほかに、さまざまな武者人形(むしゃにんぎょう)が飾られます。代表的なものに鍾馗(しょうき)があります。鍾馗は中国の唐の時代、玄宗皇帝が病に伏せていたとき、夢の中に現れて鬼を退治したとされる人物です。大きな目をした恐ろしい顔立ちで、剣を持ち、鬼を踏みつけた姿で描かれます。魔除け・厄除けの象徴として端午の節句に飾られ、特に京都を中心とした関西地方では、家の屋根の上に鍾馗の像を置く風習が今も残っています。
武者人形にはこのほか、神功皇后(じんぐうこうごう)や桃太郎(ももたろう)をかたどったものもあります。神功皇后は日本の伝説的な皇后で、身重の体で海外遠征を行ったとされる勇ましい逸話から、武勇と子どもの守護を兼ねた人形として飾られてきました。桃太郎は鬼退治の昔話で知られ、勇敢さと正義の象徴として端午の節句の人形に取り入れられています。金太郎とともに、子どもに親しみやすい武者人形として人気があります。
薬玉(くすだま)
薬玉とは、菖蒲や蓬(よもぎ)などの薬草を丸く束ね、五色の糸で飾りつけた邪気払いの飾り物です。平安時代の宮中では端午の節会に薬玉を御簾や柱に掛け、邪気を祓う習わしが盛んに行われていました。
薬草の香りが虫除けや疫病除けの効果があると信じられ、貴族たちは薬玉を贈り合う風習もありました。現在、お祝い事で割る「くす玉」は、この薬玉が原型とされています。菖蒲や蓬を束ねるだけの素朴なものから、造花や錦の袋で華やかに仕上げたものまで、時代とともに装飾化が進みました。
薬玉の歴史をたどると、中国の古い風習に行き着きます。古代中国では5月5日に五色の糸を腕に巻いて邪気を払う風習があり、これが日本に伝わって宮廷文化のなかで薬玉へと発展しました。平安時代の宮中では、端午の節会(せちえ)に天皇から臣下へ薬玉が下賜され、受け取った者は9月9日の重陽(ちょうよう)の節句まで柱に掛けておく決まりがありました。菖蒲・蓬・びゃくし(白朮)など数種の薬草を錦の袋に詰めて丸く形作り、五色の糸を長く垂らしたその姿は、邪気を寄せつけない結界の意味を持っていたとされます。現代のイベントで使われる「くす玉」が開いて紙吹雪が舞う演出は、この薬玉が割れて中から祝いの言葉が現れる趣向を受け継いだものです。
菖蒲湯(しょうぶゆ)
5月5日に菖蒲の葉をお風呂に入れて入浴する風習です。菖蒲には邪気を払う力があると信じられており、その独特の強い香りが厄除けになるとされてきました。
菖蒲湯の入り方は簡単です。菖蒲の葉を束にして、お風呂を沸かす前から浴槽に入れておくと、お湯が温まる過程で香りと成分がよく出ます。血行促進やリラックス効果があるとされ、こどもだけでなく大人にもおすすめです。
CAUTION
菖蒲と花菖蒲は別の植物です。端午の節句に使う菖蒲(しょうぶ)はサトイモ科の植物で、花は地味ですが葉や根に独特の香りがあり、これが邪気払いに用いられてきました。一方、花菖蒲(はなしょうぶ)はアヤメ科の植物で、紫や白の美しい花を咲かせますが、節句の風習には使いません。花屋やスーパーで「菖蒲湯用」として販売されているサトイモ科の菖蒲を選びましょう。
また、菖蒲を頭に巻くと頭が良くなるという言い伝えもあり、こどもの頭に巻いてあげる家庭もあります。
菖蒲湯以外の菖蒲の使い方
菖蒲は湯に入れるだけでなく、古くからさまざまな方法で端午の節句に用いられてきました。菖蒲の強い香りには邪気を払う力があると信じられており、以下のような風習が伝わっています。
- 菖蒲をつるす
- 軒先に菖蒲や蓬(よもぎ)を束ねてつるし、厄除けをする風習。強い香りが邪気を寄せ付けないとされた
- 菖蒲打ち
- 菖蒲を束ねて首を立てて地面を打つ遊び。地面を力強く叩くほど縁起がよいとされ、子どもたちの間で端午の節句の遊びとして親しまれた
- 菖蒲枕(しょうぶまくら)
- 5月4日の夜に菖蒲を枕の下に敷いて眠ると、邪気を払い身体を健やかに保つといわれている風習
- 菖蒲鉢巻き
- 菖蒲の葉を子どもの頭に巻く風習。菖蒲を巻くと賢くて強い子に育つといわれている
- 菖蒲酒(しょうぶざけ)
- 菖蒲の茎を細かく刻んでお酒に入れた菖蒲酒を飲み、厄除けとする風習。大人向けの端午の節句の楽しみ方として古くから伝わる
CHAPTER 04端午の節句の食べ物
柏餅(かしわもち)
柏餅は、柏の葉で包んだあんこ入りのお餅です。主に関東地方で食べられる端午の節句の代表的な食べ物です。
柏の木は新芽が出るまで古い葉が落ちないという特性があり、「子が育つまで親が死なない」=「子孫繁栄」「家系が途絶えない」という縁起の良い意味が込められています。
あんこの種類は、つぶあん・こしあん・みそあんの3種類が一般的です。味噌あんは関東特有のもので、甘じょっぱい味わいが特徴です。
ちまき
ちまきは、もち米や餅を笹の葉や茅(ちがや)の葉で包んで蒸したもので、主に関西地方で食べられます。古代中国の詩人・屈原の故事に由来し、厄除け・無病息災の食べ物とされています。
関西のちまきは甘い餅を笹で包んだもの、中華ちまきは味付けしたもち米を竹の葉で包んだものと、地域によって形や味が異なります。
| 項目 | 柏餅 | ちまき |
|---|---|---|
| 主な地域 | 関東 | 関西 |
| 素材 | あんこ入りの餅を柏の葉で包む | もち米・餅を笹の葉で包んで蒸す |
| 意味 | 子孫繁栄(柏は新芽が出るまで葉が落ちない) | 厄除け・無病息災(屈原の故事に由来) |
| 種類 | つぶあん・こしあん・みそあん | 甘い餅・中華風(地域差あり) |
CHAPTER 05初節句のお祝いの仕方
初節句とは
初節句(はつぜっく)とは、赤ちゃんが生まれて初めて迎える節句のことです。男の子は5月5日の端午の節句、女の子は3月3日の桃の節句が初節句となります。
ただし、生まれてすぐ(生後1〜2ヶ月以内)に節句を迎える場合は、翌年に延期するのが一般的です。赤ちゃんとお母さんの体調を考慮した判断で、どちらでも問題ありません。
お祝いの時期と相場
初節句のお祝いは、5月5日当日またはその前後に行います。祖父母や親族を招いて食事会を開くことが多いです。
| 贈り主 | 相場 |
|---|---|
| 祖父母 | 10,000〜100,000円(五月人形を贈る場合はそれに代える) |
| おじ・おば | 5,000〜20,000円 |
| 友人・知人 | 3,000〜5,000円 |
内祝い(お返し)は、いただいた金額の3分の1〜半額程度が目安です。お菓子や名入れギフトなどが定番で、お祝いの席に招待した場合は食事のおもてなしがお返しとなるため、別途品物を用意しなくてもよいとされています。
CHAPTER 06端午の節句の歴史と五節句
端午の節句は、日本の「五節句」のひとつです。五節句とは、江戸幕府が公式に定めた5つの祝日で、以下の通りです。
| 日付 | 名称 | 別名 |
|---|---|---|
| 1月7日 | 人日の節句 | 七草の節句 |
| 3月3日 | 上巳の節句 | 桃の節句・ひな祭り |
| 5月5日 | 端午の節句 | こどもの日 |
| 7月7日 | 七夕の節句 | たなばた |
| 9月9日 | 重陽の節句 | 菊の節句 |
いずれも奇数(陽数)が重なる日で、古代中国の陰陽思想に基づいています。奇数が重なる日は「陽の気が強すぎて不吉」とされ、邪気を払う行事が行われるようになりました。
明治時代に五節句は公式の祝日からは外されましたが、端午の節句は1948年に「こどもの日」として国民の祝日に制定され、現在も広く祝われています。
博
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
五節句はすべて奇数が重なる日。古代中国では「陽の気が強すぎると災いを招く」とされ、邪気払いの行事が行われたのが起源です。端午の節句も、もとは厄除けの意味が強かったんですよ。
パ
新米パパ / 2歳児のパパ
お祝いのイメージが強かったので、厄除けが元だったとは意外です!
CHAPTER 07地域による端午の節句の違い
端午の節句の祝い方は、地域によって特色があります。
- 関東:柏餅が主流。五月人形は兜飾りが多い。こいのぼりを庭に立てる風習が残る地域も多い
- 関西:ちまきが主流。五月人形は鎧飾りが多い。虎の張子を飾る風習がある(特に香川県・徳島県)
- 九州:一部地域では「のぼりざる」という布製の猿を飾る。長崎ではペーロン(龍船競争)が行われる
- 沖縄:旧暦5月5日に「あまがし」という甘い煮物を作り、菖蒲を軒に飾る
また、埼玉県加須市は「こいのぼりの街」として知られ、毎年巨大こいのぼりの遊泳イベントが開催されます。群馬県館林市の「こいのぼりの里まつり」では、5,000匹以上のこいのぼりが川面を泳ぐ圧巻の景色が楽しめます。
CHAPTER 08端午の節句の歴史と由来
端午の節句は、古代中国の楚の国の愛国詩人・屈原(くつげん)の故事に由来するとされています。紀元前278年、国の滅亡を嘆いた屈原が汨羅江(べきらこう)に身を投じた日が旧暦5月5日でした。人々は屈原の遺体を魚が食べないよう、ちまき(粽)を川に投げ入れたという故事が、端午の節句にちまきを食べる風習の起源です。
日本には奈良時代に伝わり、平安時代には宮中で菖蒲(しょうぶ)を使った邪気払いの行事が行われていました。「菖蒲」が「尚武(武道を尊ぶこと)」に通じることから、武家社会の鎌倉時代以降は男の子の成長を祝う行事へと変化していきました。
CHAPTER 09五月人形の選び方
兜飾り
コンパクトで人気が高いのが兜飾り(かぶとかざり)です。収納場所を取らず、リビングの棚の上にも飾れるサイズ感が現代の住宅事情に合っています。有名な武将の兜を模したデザインが人気で、伊達政宗の三日月型の前立てや、上杉謙信の日月前立てなどが定番です。
鎧飾り
鎧飾り(よろいかざり)は最も豪華な五月人形で、兜だけでなく胴体の鎧も含めたフルセットです。迫力があり見栄えが良いですが、サイズが大きいため広い飾りスペースと収納場所が必要です。予算は100,000円〜500,000円以上と幅広く、素材や作家によって大きく異なります。
大将飾り
大将飾りは、可愛らしい武者姿の人形で、最近人気が急上昇しているタイプです。ぬいぐるみのような愛らしい表情が特徴で、インテリアとしても違和感なく飾れます。予算は30,000円〜150,000円程度が主流です。
パ
新米パパ
五月人形は誰が買うものなんですか?母方の祖父母?父方?
博
カゾイロ博士
伝統的には母方の祖父母が贈るとされていますが、地域によって異なります。関東では母方、関西では父方が用意する風習があります。最近は両家で相談して折半するケースや、パパママ自身で選ぶケースも増えています。大切なのは、お子さまの健やかな成長を願う気持ちです。
こいのぼりの意味と飾り方
こいのぼりは、中国の「鯉が滝を登って龍になった」という故事(登竜門)にちなんだ飾りです。鯉のように力強く困難を乗り越え、立身出世を遂げてほしいという親の願いが込められています。
伝統的なこいのぼりは、一番上に吹き流し(五色の旗)、次に黒い真鯉(父親)、赤い緋鯉(母親)、青い子鯉(子ども)の順に飾ります。家族が増えるたびに子鯉を追加する風習もあり、最近は緑やオレンジなど多彩な色の子鯉が販売されています。
マンションなど集合住宅では、ベランダ用のミニこいのぼりや室内用のタペストリー型こいのぼりが人気です。庭に大きなこいのぼりを立てるのが難しい場合でも、室内でこいのぼりを楽しむ方法はたくさんあります。
端午の節句の行事食
端午の節句の行事食といえば、柏餅(かしわもち)とちまき(粽)が代表的です。柏餅に使われる柏の葉は、新芽が出るまで古い葉が落ちないことから「子孫繁栄」の縁起物とされています。関東では柏餅、関西ではちまきを食べる傾向がありますが、両方を楽しむご家庭も多いです。
ちまきは笹の葉で餅を包んだもので、屈原の故事に由来する伝統的な端午の節句の食べ物です。関東のちまきは甘い味付けが多いのに対し、関西のちまきは餅そのものの味を楽しむシンプルなものが一般的です。
菖蒲湯の入り方と効能
端午の節句に菖蒲(しょうぶ)を入れたお風呂に入る「菖蒲湯」は、古くから伝わる邪気払いの風習です。菖蒲の葉には血行促進や疲労回復の効果があるとされ、独特の清々しい香りにはリラックス効果もあります。
菖蒲湯の作り方は簡単で、菖蒲の葉の束をお風呂に浮かべるだけです。より効果を高めたい場合は、お湯を入れる前に浴槽に菖蒲を入れ、その上から熱いお湯を注ぐと香りが立ちやすくなります。スーパーやお花屋さんで5月に入ると菖蒲の葉が販売されるので、ぜひ購入してお試しください。
TIP / 菖蒲の葉で鉢巻き
菖蒲の葉を子どもの頭に鉢巻きのように巻く風習もあります。菖蒲の強い香りで邪気を払い、健やかな成長を祈るおまじないです。お風呂に入る前に菖蒲の鉢巻きをして記念写真を撮るのも楽しいですよ。
端午の節句は、男の子の健やかな成長と将来の幸福を願う大切な行事です。鎧兜やこいのぼりを飾り、柏餅を食べ、菖蒲湯に浸かる。これらの伝統的な過ごし方を通じて、お子さまに日本の文化と親の愛情を伝えてあげてください。
CHAPTER 10端午の節句の地域ごとの違い
端午の節句の風習は地域によってさまざまです。関東地方では柏餅を食べるのが定番ですが、関西地方ではちまきが主流です。これは柏の木が関西に自生していなかったことが理由のひとつとされています。
鹿児島県では「あくまき」と呼ばれる、灰汁(あく)に浸したもち米を竹の皮で包んで煮た伝統的な和菓子を端午の節句に食べます。新潟県では「笹団子」、長野県では「朴葉巻き」が端午の節句の定番です。
埼玉県加須市は「こいのぼりの生産量日本一」として知られ、毎年5月3日に利根川河川敷で100匹以上のジャンボこいのぼりを掲げるイベントが開催されます。熊本県の「杖立温泉鯉のぼり祭り」では、川の上に3,500匹ものこいのぼりを渡す壮大な光景が見られます。
端午の節句と現代の子育て
端午の節句は、お子さまの健やかな成長を願う親の気持ちを形にする行事です。五月人形を飾り、こいのぼりを立て、柏餅を食べる。こうした日本の伝統行事を通じて、お子さまは自分が大切にされていることを実感し、文化的なアイデンティティを育んでいきます。
現代では五月人形を持たないご家庭も増えていますが、折り紙で兜を折ったり、新聞紙で大きな兜を作って被ったり、菖蒲湯に入ったりするだけでも、端午の節句の雰囲気を十分に味わえます。大切なのは、形式ではなく「お子さまの成長を喜ぶ気持ち」です。
パ
新米パパ
こいのぼりを飾りたいんですが、マンション住まいで場所がなくて…
博
カゾイロ博士
室内用のこいのぼりがたくさんありますよ。ちりめん細工のミニこいのぼり、木製の置き型こいのぼり、モビールタイプのこいのぼりなど、インテリアとしてもおしゃれなデザインが増えています。壁掛けタイプならスペースも取りません。ベランダに取り付けるコンパクトサイズもおすすめです。
端午の節句は、子どもの無事な成長を感謝し、未来への希望を託す日本の美しい行事です。鎧兜のように強く、鯉のように逞しく、菖蒲のように真っすぐに。そんな願いを込めて、お子さまの端午の節句をお祝いしてください。
端午の節句の飾り付けスケジュール
五月人形やこいのぼりを飾る時期は、4月中旬〜5月5日が一般的です。春分の日(3月20日頃)を過ぎたら飾り始めてもよいとされていますが、早すぎると季節感がなくなるため、4月に入ってからが適切です。
ひな人形のように「出しっぱなしにすると婚期が遅れる」という迷信はないため、5月中旬まで飾り続けても問題ありません。ただし、湿気の多い梅雨に入る前に片付けるのがお人形の保管上おすすめです。
NOTE / 五月人形の保管方法
片付ける際は、お人形を柔らかい布で丁寧に拭き、防虫剤(直接触れないよう注意)と一緒に専用の箱に収納します。湿気の少ない場所に保管し、年に一度は虫干しをすると長持ちします。
端午の節句の楽しみ方アイデア
お子さまと一緒に楽しめる端午の節句のアイデアをご紹介します。折り紙で兜を折るのは定番の工作で、大きな新聞紙で作れば実際に被ることもできます。手作りこいのぼりは、トイレットペーパーの芯に色紙を貼ってうろこ模様を描き、棒に付けて飾るだけで完成します。
料理が好きなお子さまなら、こいのぼり寿司やこいのぼりケーキを一緒に作るのもおすすめです。ご飯を鯉の形に成形してのりや錦糸卵でデコレーションしたり、ロールケーキにチョコペンで鯉の模様を描いたりと、楽しみ方は無限大です。
端午の節句は、お子さまの「今」を大切にするための行事です。成長の早い子ども時代、この瞬間は二度と戻ってきません。五月人形の前で撮った写真は、年を重ねるごとに価値を増す家族の宝物になります。ぜひ毎年の記録を残してあげてください。
CHAPTER 11初節句のお祝いマナー
男の子が生まれて初めて迎える端午の節句を「初節句」と呼び、特に盛大にお祝いします。初節句のお祝いでは、両家の祖父母や親戚を招いて食事会を開くのが一般的です。
初節句のお祝い金の相場は、祖父母からは30,000円〜100,000円(五月人形の購入費用を含む場合もあり)、叔父・叔母からは5,000円〜10,000円、友人・知人からは3,000円〜5,000円です。のし袋は紅白の蝶結びで、表書きは「初節句御祝」「祝初節句」とします。
お返し(内祝い)はいただいた金額の3分の1〜半額程度が相場で、柏餅やちまきの詰め合わせ、赤飯、菓子折りなどを贈ります。お子さまの名前入りのギフトも人気があります。
TIP / 初節句の写真撮影
初節句の記念写真は、五月人形やこいのぼりと一緒に撮影するのがおすすめです。赤ちゃん用の陣羽織や兜をかぶせて撮影すれば、かわいらしい端午の節句の記念写真に。毎年同じポーズで撮り続けると、成長の記録として素敵なアルバムが完成します。
端午の節句の伝統は千年以上の歴史を持ちますが、その核心にある「子どもの幸せを願う心」は今も昔も変わりません。五月人形やこいのぼり、柏餅や菖蒲湯。それぞれの風習に込められた願いを知ることで、端午の節句はより深い意味を持つ行事になります。
お子さまが元気に空を泳ぐこいのぼりを見上げる姿は、親にとって最高の幸せです。「大きくなったね」「元気に育ってくれてありがとう」。端午の節句は、そんな親の想いを確かめ合う日でもあります。
すべてのお子さまが、こいのぼりのように元気に、兜のように逞しく、菖蒲のようにまっすぐに育ちますように。端午の節句に込められた祈りが、すべてのご家庭に届きますように。
端午の節句の五月人形やこいのぼりは、お子さまへの「健やかに育ってほしい」という親の願いの象徴です。お金をかけなくても、手作りの飾りや折り紙の兜でも、そこに込められた想いは同じです。
お子さまの健やかな成長を祈る端午の節句。この伝統行事が、これからも日本の家庭に受け継がれていくことを願います。すべてのお子さまに、こいのぼりのように力強い未来が開けますように。
端午の節句は日本の四季の行事の中でも、特に子どもの成長を実感できる機会です。去年は小さかった兜も、今年はぴったりに。来年にはもう被れなくなるかもしれない。そんな成長の早さを噛みしめながら、今年も端午の節句をお祝いしてください。
男の子も女の子も、すべてのお子さまの未来に幸あれ。鯉のぼりが気持ちよく泳ぐ五月の青空のように、明るく晴れやかな日々が続きますように。
「強くたくましく育ってほしい」。端午の節句の飾りや食べ物のすべてに、この親の願いが込められています。お子さまの健やかな成長を見守り、共に喜び合える。それが何よりの幸せです。
鯉は滝を登って龍になるという伝説のように、お子さまもこれからの人生で多くの困難に立ち向かうことでしょう。でも大丈夫。家族の愛情という追い風があれば、どんな滝も乗り越えていけるはずです。
端午の節句が、お子さまとご家族にとって幸せな一日となりますように。今年もこいのぼりが元気に泳ぐ、爽やかな五月をお過ごしください。子どもの笑顔は何よりの宝物です。
端午の節句を通じて、お子さまに「あなたの成長を家族みんなが喜んでいるよ」というメッセージを伝えてあげてください。愛されている実感は、お子さまの自信と心の強さを育みます。
五月の空を見上げると、色とりどりのこいのぼりが風を受けて悠々と泳いでいます。この風景は日本の春の風物詩であり、子どもたちの健やかな成長を願う親心の象徴です。
CHAPTER 12古の句に詠まれた端午の情景
端午の節句には菖蒲(あやめ・しょうぶ)が欠かせません。俳聖・松尾芭蕉も五月の節句に因んだ句を残しています。
あやめ草足に結ばん草鞋の緒
旅の途上で端午の節句を迎えた芭蕉が、菖蒲を草鞋の緒に結びつけようと詠んだ句。端午に菖蒲を身につける風習を旅人らしく実践する姿が詠まれています。古来、菖蒲には邪気を払う力があると信じられてきました。
CHAPTER 13よくある質問
A.
明確な決まりはありませんが、一般的には子どもが自立するまで(15〜20歳頃まで)飾ります。成人後も家族の健康を願って飾り続ける家庭もあります。
A.
本来は「ひとりにひとつ」が原則です。ただし、住宅事情もあるため、兜飾りの横に武者人形や金太郎人形を追加するという方法もあります。
A.
神社やお寺で人形供養(にんぎょうくよう)をしてもらうのが一般的です。「人形感謝祭」などのイベントを開催している寺社も多いので、事前に確認しましょう。
A.
もちろんです。端午の節句は現在「こどもの日」として、男女の区別なくすべての子どもの成長を祝う日となっています。こいのぼりを飾ったり柏餅を食べたりする風習は、女の子のいるご家庭でも楽しめます。
A.
一般的には、お子さまが成人する20歳まで、または独立するまで飾るご家庭が多いです。ただし、お人形に込められた願いは一生もの。大人になってからも季節のインテリアとして飾り続けるのも素敵です。
TIP / 今年の端午の節句に向けて
飾りは4月中旬までに出し、柏餅・ちまきは1週間前に予約するのがおすすめ。初節句の場合は祖父母への連絡も忘れずに。
CHAPTER 14まとめ
端午の節句は、男の子の健やかな成長と立身出世を願う、五節句のひとつに数えられる日本の大切な伝統行事です。こいのぼりや五月人形を飾り、柏餅やちまきを食べ、菖蒲湯に入るという風習は、古くから受け継がれてきた親の深い愛情の表れです。
5月5日の「こどもの日」には、ぜひご家族でお子さまの成長をお祝いし、日本の伝統に触れる素敵な一日をお過ごしください。

