お彼岸(おひがん)は、春分の日・秋分の日を中日(ちゅうにち)とした前後3日間、合計7日間の日本独自の仏教行事です。2027年の春のお彼岸は3月18日〜24日、秋のお彼岸は9月20日〜26日。この記事では、お彼岸の意味と由来から、お墓参りの作法、ぼたもちとおはぎの違い、お供えのマナーまでわかりやすく解説します。
CHAPTER 01お彼岸とは?意味と由来
お彼岸の「彼岸」とは、仏教用語で悟りの世界(あの世)を意味します。対して私たちが暮らす現世は「此岸(しがん)」と呼ばれます。サンスクリット語の「パーラミター(波羅蜜多=到彼岸)」に由来し、煩悩を乗り越えて悟りの境地に至ることを指しています。
春のお彼岸の日付(自動計算)
| 2026年 | 彼岸の入り3月17日(火)中日(春分の日)3月20日(金)彼岸の明け3月23日(月) |
|---|---|
| 2027年 | 彼岸の入り3月18日(木)中日(春分の日)3月21日(日)彼岸の明け3月24日(水) |
| 2028年 | 彼岸の入り3月17日(金)中日(春分の日)3月20日(月)彼岸の明け3月23日(木) |
二十四節気は太陽の位置、旧暦の行事は新月の日、干支の日は暦の巡りから計算しています。 正式な日付は、国立天文台が毎年2月に翌年分を発表する暦要項で確定します。「頃」は時刻が日付の変わり目に近く、前後する可能性がある日です。
秋のお彼岸の日付(自動計算)
| 2026年 | 彼岸の入り9月20日(日)中日(秋分の日)9月23日(水)彼岸の明け9月26日(土) |
|---|---|
| 2027年 | 彼岸の入り9月20日(月)中日(秋分の日)9月23日(木)彼岸の明け9月26日(日) |
| 2028年 | 彼岸の入り9月19日(火)中日(秋分の日)9月22日(金)彼岸の明け9月25日(月) |
二十四節気は太陽の位置、旧暦の行事は新月の日、干支の日は暦の巡りから計算しています。 正式な日付は、国立天文台が毎年2月に翌年分を発表する暦要項で確定します。「頃」は時刻が日付の変わり目に近く、前後する可能性がある日です。

春分の日と秋分の日は太陽が真東から昇り真西に沈むため、あの世(西方浄土)との距離が最も近くなると考えられていました。そのため、ご先祖様を偲び供養するのに最もふさわしい時期とされてきたのです。お彼岸の行事は日本独自の風習であり、インドや中国の仏教にはありません。日本古来の祖先崇拝と仏教の浄土思想が融合して生まれたものです。
お彼岸の期間が春分の日を中日とした前後3日間、合計7日間と定められているのには仏教的な意味があります。中日は太陽が真西に沈む日であり、西方浄土を想う「日想観(にっそうかん)」の修行に最もふさわしい日とされました。前後の6日間は六波羅蜜(ろくはらみつ)の修行を1日ずつ実践する期間にあたり、布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧の6つの徳目を順に修めることで、迷いの此岸(しがん)から悟りの彼岸へと近づくと考えられています。秋分の日を中日とする秋のお彼岸も同じ7日間の構成であり、春秋の二度にわたってご先祖様を供養し自らの修行を積むのが日本独自の彼岸信仰の特徴です。
INFO / 「暑さ寒さも彼岸まで」の意味
春のお彼岸を過ぎると厳しい寒さが和らぎ、秋のお彼岸を過ぎると残暑がおさまることから、「暑さ寒さも彼岸まで」という慣用句が生まれました。季節の変わり目を表す言葉として広く使われていますが、もともとはお彼岸の仏教的な意味と季節感が重なったことに由来します。
浄土信仰とお彼岸
この「西方浄土」への信仰は、平安時代以降に阿弥陀信仰(浄土思想)として深く浸透しました。阿弥陀仏は臨終の人のもとへ二十五菩薩を従えて迎えに来る(来迎(らいごう))と信じられ、西に沈む夕日に極楽浄土を重ねる風習はお彼岸と結びつきました。奈良の當麻寺で毎年5月14日に行われる「練供養」では、二十五菩薩の面と装束をまとった人々が来迎橋を渡り、この来迎のさまを壮大な野外劇として再現しています。こうした浄土信仰の理論的基盤となったのが、唐の善導が著した「観経疏(かんぎょうしょ)」(『観無量寿経疏』)と、平安中期に源信(恵心僧都)が著した「往生要集」(985年)です。往生要集は地獄の凄惨な描写と極楽浄土の荘厳さを対比し、念仏による往生を説いて貴族から庶民まで大きな影響を与えました。これらの文献が「春分・秋分に真西に沈む太陽を拝み、西方浄土を想う」という彼岸の核心的実践を理論化し、鎌倉時代に法然・親鸞が浄土教を大衆化したことで、お彼岸の行事は広く庶民へと普及していきました。
怨霊鎮魂と彼岸会のはじまり
日本における彼岸会の起源のひとつには、怨霊鎮魂の歴史が深く関わっています。奈良時代末期、桓武天皇の弟である早良親王(さわらしんのう)は、藤原種継暗殺事件に連座して廃太子され、淡路国へ配流される途中に無実を訴えながら絶食し、非業の死を遂げました。その後、都では疫病や天変地異が相次ぎ、これを早良親王の怨霊の祟りと恐れた桓武天皇は、「崇道天皇(すどうてんのう)」の追号を贈って霊を鎮めようとしました。長岡京から平安京への遷都の背景にも、この怨霊への恐れがあったとされています。
大同元年(806年)、朝廷は崇道天皇(早良親王)の霊を慰めるため、全国の国分寺の僧に春分・秋分を中心とする7日間、経を読ませるよう命じました。これが日本における彼岸会の記録上の始まりのひとつとされています。怨霊を鎮める仏事が、やがて祖先供養の行事へと発展していったのです。
文学作品に「彼岸」の語が見られる早い例として、平安中期の『蜻蛉日記(かげろうにっき)』が知られています。また紫式部の『源氏物語』「行幸(みゆき)」巻にも「彼岸のはじめ」という言葉が見られ、当時すでに貴族社会で彼岸の仏事が根づいていたことがうかがえます。
新米パパ / 2歳児のパパ
怨霊を鎮めるための法要がお彼岸の始まりだったとは驚きです。源氏物語にも出てくるんですね。
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
はい。お彼岸は単なる仏教行事ではなく、古代の政治的事件や怨霊信仰を背景に生まれた、日本独自の歴史を持つ行事なのです。平安貴族の日記や物語にも登場するほど、千年以上の伝統がある行事なんですよ。
お彼岸には仏教伝来以前の農耕儀礼としての側面もあります。稲作を中心に暮らしてきた人々にとって、春分は種蒔き、秋分は刈り入れの大切な節目でした。春には豊作を祈り、秋には稔りに感謝して田の神を祀る風習があり、これが仏教の彼岸信仰と結びついて現在のお彼岸の形になったと考えられています。
社日 ─ お彼岸と重なる土地の神の祭日
お彼岸と時期が重なる行事に社日(しゃにち)があります。社日とは、春分・秋分に最も近い戊(つちのえ)の日で、土地の神である産土神(うぶすなかみ)を祀る日です。お彼岸が仏教由来の行事であるのに対し、社日は日本古来の土地信仰に根ざした祭日であり、両者が同時期に行われることで、仏教と神道の習合が自然と起きてきました。
| 項目 | 春社(しゅんしゃ) | 秋社(しゅうしゃ) |
|---|---|---|
| 時期 | 春分に最も近い戊の日 | 秋分に最も近い戊の日 |
| 目的 | 五穀豊穣を祈る | 収穫を感謝する |
| 祀る対象 | 産土神(うぶすなかみ) | 産土神(うぶすなかみ) |
| 風習 | 田の神に豊作を願う | 実りに感謝して酒を供える |
社日にお墓参りをする風習が残る地域もあり、これが彼岸のお墓参りの原型のひとつとも考えられています。また、社日には日本酒を飲んで過ごす風習がある地域もあり、収穫への感謝と喜びを分かち合う日として親しまれてきました。
- 社日(しゃにち)
- 春分・秋分に最も近い戊(つちのえ)の日。土地の神を祀り、春は豊作を祈り、秋は収穫に感謝する日本古来の祭日。
- 産土神(うぶすなかみ)
- その土地を守護する神。生まれた土地の氏神として信仰され、社日に祀られる対象。
- 戊(つちのえ)の日
- 十干(じっかん)のひとつ。五行思想で「土」に属し、土地の神を祀るのにふさわしい日とされる。
新米パパ / 2歳児のパパ
社日という行事は初めて聞きました。お彼岸と何か関係があるのですか?
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
実はお彼岸のお墓参りの起源には、社日に産土神(うぶすながみ)の社(やしろ)にお参りする風習が影響しているという説があります。仏教の彼岸信仰と、日本古来の土地の神への信仰が融合して、現在のお彼岸の形になったと考えられているのです。日本の行事は神仏習合の歴史そのものですね。
六波羅蜜 ─ お彼岸に心がけたい6つの教え
お彼岸はお墓参りだけでなく、仏教では六波羅蜜(ろくはらみつ)を実践する期間とされています。六波羅蜜とは、悟りの世界(彼岸)に到達するために日々心がけるべき6つの修行のことです。
| 修行 | 読み方 | 意味 | 日常での実践例 |
|---|---|---|---|
| 布施 | ふせ | 他者に惜しみなく施すこと | 困っている人を助ける、ボランティアに参加する |
| 持戒 | じかい | 戒律を守り規律正しく生きること | 約束を守る、ルールを尊重する |
| 忍辱 | にんにく | 困難や苦しみに耐え忍ぶこと | 怒りを抑え、寛容な心を持つ |
| 精進 | しょうじん | 怠けずに努力し続けること | 目標に向かって地道に取り組む |
| 禅定 | ぜんじょう | 心を静めて集中すること | 瞑想する、落ち着いて物事を考える |
| 智慧 | ちえ | 真理を見極める知恵を持つこと | 物事の本質を考え、正しい判断をする |
お彼岸の7日間は、これら6つの修行を1日ずつ実践し、中日にはすべてを振り返るという過ごし方が理想とされています。しかし、日常生活の中でこれらすべてを意識するのは難しいものです。まずは「他者への思いやり(布施(ふせ))」と「怠けない心(精進)」の2つを意識するだけでも、お彼岸らしい過ごし方になるでしょう。
新米パパ / 2歳児のパパ
六波羅蜜って難しそうですが、子供にもわかるように伝えるにはどうすればいいですか?
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
小さなお子さんには「お友達に優しくしようね(布施)」「約束を守ろうね(持戒)」「我慢できて偉いね(忍辱)」と、日常の行動に置き換えて伝えるのがおすすめです。お彼岸をきっかけに、思いやりの心を育む会話ができるとよいですね。
CHAPTER 022027年のお彼岸はいつ?春と秋の日程
お彼岸は年に2回、春と秋にあります。それぞれ春分の日・秋分の日を中日として、前後3日間の計7日間がお彼岸の期間です。
| 春のお彼岸 | 秋のお彼岸 | |
|---|---|---|
| 彼岸入り | 3月18日(木) | 9月20日(月・敬老の日) |
| 中日 | 3月21日(日・春分の日) | 9月23日(木・秋分の日) |
| 彼岸明け | 3月24日(水) | 9月26日(日) |
年2回
春と秋
各7日間
お彼岸の期間
中日
春分の日・秋分の日
春彼岸の中日である春分の日は「自然をたたえ、生物をいつくしむ日」、秋彼岸の中日である秋分の日は「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ日」として祝日法に定められています。暦の上で昼と夜がほぼ同じ長さになるこの日に、先祖への感謝と生命のつながりに思いを馳せてみましょう。
新米パパ / 2歳児のパパ
お彼岸の7日間のうち、お墓参りは中日に行くのが一番いいのですか?
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
中日が最も功徳が大きいとされますが、7日間のうちいつお参りしても構いません。大切なのはご先祖様を想う気持ちです。混雑を避けるなら、彼岸入りや彼岸明けの日がおすすめですよ。
春のお彼岸と秋のお彼岸の違い
春と秋のお彼岸は、供養の意味や基本的な作法に違いはありませんが、季節感によっていくつかの異なる特徴があります。
| 項目 | 春のお彼岸(3月) | 秋のお彼岸(9月) |
|---|---|---|
| お供えの名前 | ぼたもち(牡丹餅) | おはぎ(御萩) |
| 季節の花 | 菜の花・アイリス・チューリップ | 菊・リンドウ・コスモス |
| 気候 | 寒さが和らぎ始める頃 | 残暑が落ち着く頃 |
| 関連する慣用句 | 暑さ寒さも彼岸まで | 暑さ寒さも彼岸まで |
| 農耕との関係 | 種蒔き・春耕の時期 | 稲刈り・収穫の時期 |
| 法要の特徴 | 新年度前の供養が多い | お盆後の改めての供養 |
春のお彼岸は年度替わりの忙しい時期と重なるため、お墓参りに行けない方も少なくありません。そのような場合は秋のお彼岸にまとめてお参りするか、自宅の仏壇に手を合わせるだけでも十分です。大切なのはご先祖様を思う気持ちであり、形式にこだわりすぎる必要はありません。

各地に残る彼岸の風習
お彼岸の過ごし方は地域によってさまざまです。近畿地方の一部には、彼岸の中日に東の方角へ朝日を拝みに行く「日迎え」、西の方角へ夕日を拝みに行く「日送り」という風習が伝わっています。東北地方には、お天道様(太陽)に感謝して念仏を唱える「天道念仏」の行事も残っています。いずれも、春分・秋分に真西へ沈む太陽を拝む彼岸の信仰が、各地で独自に発展した姿といえるでしょう。
彼岸の墓参りにも地域ごとの特色が見られます。ぼたもちやおはぎを供えるのは全国共通ですが、弁当を持参してお墓の前で家族そろって食事をする風習が残る地域もあります。
秋のお彼岸のころに咲く彼岸花(ヒガンバナ)は、「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」という別名でも知られ、これはサンスクリット語で「天上の花」を意味するといわれます。ほかにも死人花(しびとばな)・幽霊花など不吉な名前を持ち、全国に1,000以上の別名があるとされています。球根には有毒成分のリコリンが含まれており、田畑の畦道や墓地の周辺に多いのは、モグラやネズミから作物や土葬の遺体を守るために植えられたためともいわれます。
新米パパ / 2歳児のパパ
太陽に向かって念仏を唱える風習があるんですね。彼岸花にもそんなに多くの名前があるとは知りませんでした。
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
お彼岸の根本には太陽信仰があるんです。春分・秋分に真西へ沈む夕日を見守り、その先にある西方浄土を想う。この「日想観(にっそうかん)」と呼ばれる実践が、各地の風習の中に今も息づいているんですよ。
CHAPTER 03お彼岸のお墓参りの作法
お彼岸にはお墓参りをしてご先祖様を供養するのが一般的です。特別な決まりごとは多くありませんが、基本的な作法を押さえておきましょう。

- 01お墓の掃除をする墓石についた汚れやコケを水とブラシで丁寧に落とします。周囲の雑草も抜き、落ち葉を掃除して清めます。
- 02お供え物を置くお花(仏花)、お線香、お菓子や果物、故人の好きだった食べ物などを供えます。春はぼたもち、秋はおはぎが定番です。
- 03お線香を上げて合掌するお線香に火をつけ、香炉に立てます。その後、墓石より低い姿勢(しゃがむか腰をかがめて)で合掌し、ご先祖様に感謝と近況を報告します。
- 04お供え物を持ち帰る食べ物のお供えはカラスや動物に荒らされないよう、お参りが終わったら持ち帰るのがマナーです。持ち帰ったお供え物は家族でいただきます。
お彼岸のお墓参りは、まず墓石の掃除から始めます。雑草を抜き、墓石をたわしや布巾で磨き、花立と線香立てを洗います。墓石に水をかける際は、上からゆっくりと流すように注意しましょう。汚れがひどい場合は墓石用の洗剤を使いますが、一般の洗剤は石を傷めるため専用品を選んでください。
掃除が終わったら花を供え、お線香に火をつけて香炉に立てます。お線香の本数は宗派によって異なりますが、一般的には1〜3本が目安です。お菓子や果物、故人の好物などのお供え物は、半紙や懐紙の上に置きましょう。カラスや動物に荒らされるのを防ぐため、お参り後はお供え物を持ち帰るのがマナーです。
CAUTION
線香やろうそくの火は口で吹き消してはいけません。仏教では人の息は不浄とされるため、手であおいで消すか、振って消すのが正しい作法です。また、お花は正面を拝する側(お参りする自分の方)に向けて供えます。
お供えの花は菊やカーネーション、りんどうなどが定番ですが、最近は故人の好きだった花を供える方も増えています。ただし、棘のあるバラや毒のある花、香りの強すぎる花は避けるのがマナーです。お墓参りの際には、水桶に水を入れて花立に活けましょう。
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(新しいタブで開きます)
お墓参り用 火種付き線香(5個入り・着火具付き)(新しいタブで開きます)
火種が付いていて風の強い墓地でも火がつけやすいお墓参り用の線香。着火具とセットなので、子ども連れで荷物が多い日にも手早くお参りできます。
お彼岸の期間中に複数のお墓を回る場合は、日程に余裕を持って計画しましょう。お墓が遠方にある場合は、交通渋滞も考慮して出発時間を調整することが大切です。お彼岸の中日前後は特に墓地が混み合うため、早朝のお参りがおすすめです。
- 彼岸(ひがん)
- 仏教用語で「悟りの世界(あの世)」のこと。煩悩に満ちた「此岸(しがん=この世)」から悟りの「彼岸」へ渡ることが仏教の教えです。
- 中日(ちゅうにち)
- お彼岸の期間の真ん中の日。春分の日・秋分の日にあたり、太陽が真東から昇り真西に沈むことから、西方浄土への思いを馳せる日とされています。
- おはぎ・ぼたもち
- お彼岸の定番お供え。秋は萩の花にちなんで「おはぎ」、春は牡丹の花にちなんで「ぼたもち」と呼び分けますが、同じものです。
子どもを連れてお墓参りするときのポイント
小さなお子さんを連れてのお墓参りは大変に感じるかもしれませんが、日本の文化や家族の歴史を伝える貴重な機会です。子供と一緒にお墓参りをする際のポイントをまとめます。
まず、お墓参りの前にお子さんに「おじいちゃん(おばあちゃん)のお墓に会いに行くよ」「ありがとうを伝えに行こうね」と声をかけておきましょう。お墓を怖いものではなく、大切な人を思い出す場所だと教えることが大切です。
新米パパ / 2歳児のパパ
2歳の子供を連れてお墓参りに行きたいのですが、何か気をつけることはありますか?
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
小さなお子さんはお墓の周りで走り回ったり、他のお墓を触ったりしがちです。手をしっかりつないで、他の参拝者への配慮を忘れずに。お掃除の水遊びを喜ぶ子もいますが、墓石の水かけは大人がやりましょう。短時間で済ませて、帰りにおやつを楽しむ程度の気軽さで十分ですよ。
お線香の火や熱い墓石には十分注意してください。特に夏場の秋彼岸では、黒い御影石の墓石が日差しで非常に熱くなっていることがあります。お子さんが触らないよう目を離さないようにしましょう。帰りに墓地近くの和菓子屋でおはぎを買って帰ると、お彼岸の思い出として印象に残ります。
新米パパ / 2歳児のパパ
お墓参りの際、小さい子供にも手を合わせさせるべきですか?
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
強制する必要はありませんが、パパやママが手を合わせる姿を見せるだけで自然と真似するようになりますよ。「おじいちゃんにありがとうって言おうね」と声をかけると、お子さんなりに理解してくれます。ご先祖様を大切にする気持ちは、日常の中で少しずつ育てていくのが一番です。
お子さんがまだ小さくてお墓参りが難しい場合は、自宅の仏壇の前で一緒に手を合わせるだけでも立派な供養になります。年齢に応じてできることを少しずつ増やしていき、ご先祖様への感謝の気持ちを育てていきましょう。
お彼岸をきっかけに、お子さまと一緒に家族のルーツについて話し合ってみるのもよいでしょう。曾祖父母の時代の話や家族の歴史を共有することで、お子さまは自分がたくさんの人の命のバトンを受け継いで生まれてきたことを実感できます。お墓参りは家族の絆を再確認する貴重な機会です。
お墓参りに行けないとき
TIP / お彼岸にお墓参りできないときは
遠方に住んでいてお墓参りが難しい場合は、自宅の仏壇に手を合わせるだけでも供養になります。お供え物を贈ったり、お墓の清掃を代行サービスに依頼する方法もあります。大切なのは故人を偲ぶ気持ちです。
新米パパ / 2歳児のパパ
お彼岸のお墓参り、行けない場合はどうすればいいですか?
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
お彼岸の期間中に行けない場合は、前後の都合の良い日にお墓参りをしても全く問題ありません。遠方でお墓に行けない場合は、自宅のお仏壇に手を合わせるだけでも供養になります。お花やお菓子をお供えし、故人を偲ぶ気持ちが大切です。最近は墓掃除代行サービスもありますよ。
CHAPTER 04お彼岸のお供え ─ ぼたもちとおはぎ・彼岸の食べ物
お彼岸のお供え物として最も有名なのがぼたもちとおはぎです。実はこの二つは基本的に同じ食べ物で、季節によって呼び名が変わります。
| 比較項目 | ぼたもち(春彼岸) | おはぎ(秋彼岸) |
|---|---|---|
| 名前の由来 | 春に咲く牡丹(ぼたん)の花に見立てた | 秋に咲く萩(はぎ)の花に見立てた |
| 餡の種類 | こしあん(冬越しの小豆は皮が硬い) | つぶあん(新小豆は皮が柔らかい) |
| 形と大きさ | 牡丹の花のように丸く大きめ | 萩の花のように小ぶりで俵型 |
| もち部分 | もち米とうるち米を混ぜて搗く | もち米とうるち米を混ぜて搗く |
作り方は季節によって微妙に異なります。春のぼたもちはこしあんで包むのが伝統的です。これは、冬を越した小豆の皮が硬くなるため、漉して使ったことに由来します。一方、秋のおはぎはつぶあんで作ります。秋に収穫したばかりの新小豆は皮が柔らかく風味も豊かなため、そのまま粒ごと使えるからです。
INFO / 小豆の赤色に込められた邪気払いの意味
小豆の赤い色には邪気を払う力があると古くから信じられてきました。赤飯や小正月の小豆粥など、日本では赤い食べ物に魔除けの意味を持たせる文化が根付いています。おはぎ・ぼたもちも、小豆をたっぷり使った餡で包むことで邪気を祓い、ご先祖様への感謝と家族の無病息災を願うお供え物としての意味があるのです。
新米パパ / 2歳児のパパ
おはぎとぼたもちって同じものなのに、なぜ餡の種類まで変えるのですか?
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
昔は保存技術がなかったので、小豆の状態に合わせて自然と作り方が変わったのです。秋に収穫したばかりの新小豆は皮が柔らかく風味も豊かなので、そのまま粒餡に。冬を越した小豆は皮が硬くなるので、漉してこし餡にしたわけですね。旬の食材を無駄なく使う先人の知恵が詰まっています。
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北海道産小豆のおはぎ 6個入(新しいタブで開きます)
北海道産の小豆を使ったおはぎのギフト。お彼岸のお供えにも、家族で味わう用にも選べます。
TIP / お彼岸にまつわる和菓子を子供と楽しむ
お彼岸をきっかけに、お子さんと一緒におはぎ作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。炊いたもち米をすりこぎで半つぶしにし、丸めてあんこで包むだけの簡単な工程です。お子さんには丸める作業を手伝ってもらうと、食育にもつながります。きなこやごまをまぶすアレンジなら、あんこが苦手なお子さんでも楽しめます。
INFO / おはぎ・ぼたもちの作り方のコツ
もち米とうるち米を7対3の割合で炊くと、程よい粘りと食べやすさが両立します。あんこは市販のものを使えば手軽です。つぶあんは秋のおはぎ、こしあんは春のぼたもちが伝統的ですが、現代ではきなこ、ごま、ずんだ(枝豆)などのアレンジも人気です。お供え用は少し小ぶりに作ると上品に仕上がります。
精進料理・彼岸団子

お彼岸は仏教行事であることから、精進料理をいただく風習があります。精進料理とは、肉や魚を使わず、野菜・豆腐・こんにゃく・山菜・海藻などの植物性食品だけで作る料理です。殺生を避けるという仏教の教えに基づいています。
お彼岸の精進料理としては、煮しめ(野菜の煮物)、胡麻豆腐、けんちん汁、天ぷら(野菜のかき揚げ)、ひじきの煮物などが定番です。お彼岸の中日にはこれらの料理を仏壇にお供えした後、家族で食べるのが伝統的な過ごし方です。
地域によっては彼岸団子を作ってお供えする風習もあります。上新粉や白玉粉で丸い団子を作り、ピラミッド状に積み上げて仏壇やお墓にお供えします。団子の数は6個、13個、49個など地域によって異なります。彼岸入りに供える団子を「入り団子」、彼岸明けに供える団子を「明け団子」と呼ぶこともあります。
地域や家庭によっては、お彼岸に赤飯を炊いたり、いなり寿司や巻き寿司を作ったりして仏壇に供えることもあります。いなり寿司は肉や魚を使わないので、精進料理としても供えやすい一品です。
お供えと手土産のマナー
お彼岸のお供え物は、故人が好きだったものを中心に選ぶのが基本です。定番はおはぎ(ぼたもち)ですが、お菓子の詰め合わせ、果物、お線香、花束なども一般的です。日持ちするものを選ぶと、お墓参りの後にご仏前にも供えられて便利です。
お彼岸は先祖供養だけでなく、贈答の季節でもあります。特に春のお彼岸は、年度替わりの挨拶を兼ねてお供え物を持って親戚を訪問する風習が各地に残っています。おはぎやぼたもちのほか、お菓子の詰め合わせ、果物、お線香などが定番の贈り物です。
TIP / お彼岸の贈答マナー
お彼岸に親戚宅を訪問する際は、お供え物を持参するのが基本です。のし紙をかける場合の表書きは「御供(おくもつ)」とし、水引は黒白または双銀の結び切りを使います。金額の相場は3,000〜5,000円程度。お供えは日持ちするものを選ぶと先方にも喜ばれます。訪問の際は事前に連絡を入れ、仏壇に手を合わせてからお供え物を渡すのが丁寧です。
3,000〜5,000円
お供え物の相場
御供
のし紙の表書き
結び切り
水引の形
品物の代わりに現金で供養の気持ちを表す場合は、「御供物料(おくもつりょう)」として包みます。金額は5,000〜1万円が目安です。表書きは仏式なら「御仏前」「御供物料」、神式なら「御神前」とし、不祝儀袋(ぶしゅうぎぶくろ)に入れてお渡しします。
自宅の仏壇での過ごし方
お墓参りだけでなく、自宅の仏壇もお彼岸にはしっかりとお手入れし、お供えを整えましょう。仏壇がないご家庭でも、写真やお位牌(いはい)を飾って故人を偲ぶことは立派な供養になります。
- 01仏壇の掃除をするお彼岸の入り(初日)に、仏壇をきれいに掃除します。仏具を外し、柔らかい布で拭き上げましょう。金箔部分は直接触れず、毛ばたきで埃を払います。
- 02お花を新しくする仏花を新しいものに替えます。春は菜の花やアイリス、秋は菊やリンドウが定番です。生花が難しい場合は造花やプリザーブドフラワーでも構いません。
- 03お供え物を用意するおはぎ(ぼたもち)、果物、お菓子、故人の好きだった食べ物をお供えします。水やお茶、お酒も添えるとよいでしょう。
- 04お線香を上げて手を合わせる朝と夕方の2回、お線香を上げて合掌します。故人に語りかけるように、近況報告や感謝の気持ちを心の中で伝えましょう。
- 05彼岸明けにお供え物を下げるお彼岸の期間が終わったら、お供え物を下げて家族でいただきます。「おさがり」としていただくことも供養の一つです。
CAUTION / 仏壇のお供えで注意すること
肉や魚などの殺生に関わる食べ物は仏壇にお供えしないのが基本です。また、トゲのある花(バラなど)や香りの強い花(ユリなど)は避けるのが一般的ですが、故人が好きだった花であれば問題ないとする考え方もあります。お供え物が腐らないよう、生鮮食品は早めに下げましょう。
お仏壇がないご家庭でも、故人の写真を飾り、好きだった食べ物や花を供えるだけで十分です。大切なのは形式ではなく、故人を想う気持ちです。お子さまにも「おじいちゃん・おばあちゃんが好きだったお菓子だよ」と話しかけながらお供えすると、家族の歴史を自然に学ぶ機会になります。
お彼岸にやってはいけないとされること
お彼岸は仏教行事ですが、日常生活に厳しい制限があるわけではありません。ただし、一般的に以下のことは避けたほうがよいとされています。
- 引っ越し:「彼岸」は「あの世に近い期間」という意味合いから、新しい生活の始まりには不向きとされる
- 結婚式・入籍:仏事の期間に慶事を行うのは避けるべきという考え方がある
- お見舞い:「彼岸」の語感から「あの世に渡る」を連想させるため縁起が悪いとされる
- 車や家の納車・引き渡し:大きな買い物の開始日としては避ける傾向がある
ただし、これらはあくまで俗説であり、仏教の教えに基づくものではありません。お彼岸は本来、善行を積み六波羅蜜の修行をする期間です。気になる方は避ければよいですが、過度に気にする必要はないでしょう。
万葉集に詠まれた秋の七草
お彼岸は季節の変わり目に先祖を敬う行事。万葉の時代から、日本人は秋の草花に命の移ろいを重ねてきました。
萩の花尾花葛花なでしこの花をみなへしまた藤袴朝顔の花
秋の七草を詠んだ有名な旋頭歌。萩・すすき・葛・なでしこ・おみなえし・藤袴・朝顔(桔梗とされる)の七種を挙げています。お彼岸のお墓参りの道すがら、秋の野の花に目を向けてみてはいかがでしょうか。
CHAPTER 05お彼岸に関するよくある質問
A.
お盆はご先祖様の霊が自宅に帰ってくる期間(8月13〜16日頃)で、迎え火・送り火でお迎えとお見送りをします。お彼岸はこちらからお墓に出向いてご先祖様を供養する行事です。お盆は先祖が「来る」、お彼岸はこちらが「行く」と覚えるとわかりやすいでしょう。
A.
自宅の仏壇にお花やお供え物を用意し、手を合わせるだけでも立派な供養になります。また、お彼岸の期間外にお墓参りをしても問題ありません。最近ではオンライン法要やお墓参り代行サービスを利用する方も増えています。
A.
供養の意味や作法に違いはありません。お供え物が春は「ぼたもち」、秋は「おはぎ」と呼び名が変わる程度です。季節の花も異なり、春はアイリスや菜の花、秋はリンドウや菊が仏花として人気です。
A.
親族の家に持参するお供え物は3,000〜5,000円程度が一般的です。お菓子の詰め合わせや果物、故人の好きだったものを選ぶとよいでしょう。現金で包む場合は「御供物料」として5,000〜1万円が目安です。お墓へのお供えは仏花とお線香、お菓子が基本です。
A.
はい、多くのお寺では「彼岸会(ひがんえ)」という法要を行っています。お墓参りと彼岸会の両方に参加するのが理想ですが、どちらか一方でも構いません。彼岸会ではお坊さんの説法を聞く機会もあり、仏教への理解を深めるよい機会になります。
A.
遠方で直接お供えできない場合、お供え物を郵送するのは一般的なマナーとして問題ありません。お菓子や果物の詰め合わせを贈るケースが多いです。のし紙は「御供」とし、水引は黒白の結び切りを使います。お彼岸の期間に届くよう、早めに手配しましょう。
A.
仏壇がなくても、故人の写真を飾り、お花やお線香を供えて手を合わせるだけで立派な供養になります。また、故人が好きだった食べ物を食卓に並べ、家族で思い出話をする時間を設けるのもよい過ごし方です。形式にこだわらず、故人を偲ぶ気持ちを大切にしましょう。
CHAPTER 06まとめ
お彼岸は、ご先祖様への感謝を込めてお墓参りをする、日本独自の仏教行事です。2027年の春のお彼岸は3月18日〜24日(中日は3月21日)、秋のお彼岸は9月20日〜26日(中日は9月23日)。春はぼたもち、秋はおはぎを供え、家族でお墓を訪れて近況を伝えましょう。行けないときは自宅の仏壇や写真に手を合わせるだけでも、立派な供養になります。






