お食い初め(おくいぞめ)は、赤ちゃんの生後100日頃に行う日本の伝統行事で、「一生食べ物に困らないように」という願いを込めてお祝い膳を用意する儀式です。百日祝い(ももかいわい)とも呼ばれます。この記事では、お食い初めの意味・由来からやり方の順番、お祝い膳のメニュー、歯固めの石、準備のポイントまで詳しく解説します。
CHAPTER 01お食い初めとは?意味と由来
お食い初めは、赤ちゃんに初めて食べ物を食べさせる真似をする儀式です。実際に食べさせるわけではなく、食べる真似をすることで「この子が一生食べ物に困りませんように」と祈願します。お食い初めの歴史は古く、平安時代にはすでに行われていたとされています。当時は生後50日目に「五十日(いか)の祝い」として餅を口に含ませる儀式があり、これが鎌倉時代に生後100日の「百日(ももか)の祝い」へと変化しました。武家社会では魚を用いるようになり、現在の一汁三菜のお祝い膳の形に整っていきました。
INFO / 地域による呼び名の違い
お食い初めは地域によってさまざまな呼び名があります。「百日祝い(ももかいわい)」が全国的に使われるほか、関西では「食べ初め(たべぞめ)」、一部地域では「箸揃え(はしそろえ)」「箸初め(はしぞめ)」「真魚初め(まなはじめ)」「幸い肴(さいわいざかな)」とも呼ばれます。
CHAPTER 02お食い初めの時期はいつ?
お食い初めは生後100日目に行うのが基本ですが、地域によっては110日目や120日目に行うところもあります。厳密に100日目にこだわる必要はなく、前後の都合のよい日で構いません。
生後100日目
基本の時期
生後100〜120日
地域による幅
百日祝い
別名

お宮参り(生後1ヶ月)と合わせて行う家庭もあります。また、「食い延ばし」といって少し遅らせると長寿になるという言い伝えがある地域もあるため、遅れても気にする必要はありません。赤ちゃんと母親の体調を最優先に、家族が集まりやすい日を選びましょう。
CHAPTER 03お食い初めのやり方・食べさせる順番
お食い初めでは、「養い親」と呼ばれる役割の人が赤ちゃんに食べさせる真似をします。養い親は、出席者の中で最年長の同性の方が務めるのが正式です。男の子なら祖父や年長の男性、女の子なら祖母や年長の女性が適任です。長寿にあやかるという意味があります。
- 01ご飯 → お吸い物赤飯をお箸で少量取り、赤ちゃんの口元に軽くつけます。次にお吸い物を口元に近づけます。
- 02ご飯 → 鯛(焼き魚)再びご飯を口元につけ、続いて鯛の身を少量取って口元に運びます。
- 03ご飯 → お吸い物ご飯とお吸い物を繰り返します。
- 04ご飯 → 煮物ご飯を口元につけ、煮物を口元に運びます。
- 05ご飯 → お吸い物最後にご飯とお吸い物で締めます。この「ご飯→おかず→ご飯→汁物」の順を3回繰り返すのが正式です。
- 06歯固めの儀式歯固めの石にお箸を軽く触れさせ、そのお箸を赤ちゃんの歯茎にそっと当てます。「丈夫な歯が生えますように」という願いを込めます。
- 歯固め石
- お食い初めで使う小石。「石のように丈夫な歯が生えますように」という願いを込めます。神社の境内から借りてくるのが一般的で、儀式後にお返しします。
- 養い親(やしないおや)
- お食い初めの儀式で赤ちゃんに食べさせる真似をする人。長寿にあやかり、出席者の中で最年長の方が務めるのが伝統です。
- 祝い膳
- お食い初めの料理を盛る漆器の膳。男の子は内側が朱塗り、女の子は内側が黒塗りが正式ですが、離乳食用の食器で代用するご家庭も増えています。
パ
新米パパ / 2歳児のパパ
お食い初めセットを通販で買うのはありですか?自分で用意するのは大変そうで。
博
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
もちろんありです!最近は通販のお食い初めセットがとても充実していて、鯛(たい)の姿焼き・煮物・赤飯・お吸い物・歯固め石まで全部揃って届きます。3,000〜10,000円程度で見栄えも本格的です。産後100日前後のママの負担を考えると、非常に合理的な選択ですよ。
パ
新米パパ / 2歳児のパパ
順番を間違えたらやり直したほうがいいですか?正直、緊張して覚えられる自信がありません。
博
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
順番を間違えても問題ありません。大切なのは「食べ物に困らないように」という気持ちです。赤ちゃんが泣いてしまったら無理せず中断して構いませんし、順番のメモを手元に置いておくのもおすすめですよ。
CHAPTER 04お食い初めのメニュー ─ お祝い膳の献立
お食い初めのお祝い膳は、一汁三菜を基本とします。和食の正式な献立で、それぞれに赤ちゃんの成長を願う意味が込められています。
| 料理 | 内容 | 意味 |
|---|---|---|
| 尾頭付きの鯛 | 焼き鯛(塩焼き) | 「めでたい」の語呂合わせ。赤い色は魔除け |
| 赤飯 | 小豆入りのもち米ご飯 | 赤い色で邪気を払う。お祝いの定番 |
| お吸い物 | はまぐりのお吸い物が正式 | 「吸う力が強くなるように」。はまぐりは良縁の象徴 |
| 煮物 | 筑前煮など根菜の煮物 | 里芋(子孫繁栄)、れんこん(先の見通し)、人参(色が鮮やかで縁起よし) |
| 香の物 | 紅白なますや漬物 | 紅白でお祝いを表す。梅干しは「しわができるまで長生き」 |
| 歯固めの石 | 小石を1〜3個 | 「丈夫な歯が生えるように」。お宮参りの神社でもらえることが多い |
お祝い膳は漆器の食器を使うのが正式で、男の子は内外ともに朱色、女の子は外が黒で内が朱色の器を使います。最近ではベビー食器で代用したり、離乳食用の食器をお食い初め用に購入して後々も使える実用的な選択をする家庭も増えています。
TIP / 歯固めの石はどこで手に入る?
歯固めの石は、お宮参りの際に神社でいただくのが一般的です。氏神様の境内にある小石を借りてきて、お食い初め後にお返しします。神社で入手できない場合は、河原の丸い石を煮沸消毒して使ったり、通販で専用の石を購入することもできます。
CHAPTER 05お食い初めの準備と費用
お食い初めの準備は大きく分けて「自宅で行う場合」と「レストラン・料亭で行う場合」があります。どちらにもメリットがあるので、家庭の事情に合わせて選びましょう。
| 項目 | 自宅 | レストラン・料亭 |
|---|---|---|
| 費用の目安 | 食材費5,000〜15,000円 | 1人5,000〜10,000円×人数 |
| メリット | 赤ちゃんが慣れた環境でリラックスできる | 準備・片付けの手間がない、プロの料理 |
| デメリット | 料理の準備が大変、鯛の調達が必要 | 費用が高め、授乳・おむつ替えスペースの確認が必要 |
| おすすめ | 手料理が得意な方、少人数のお祝い | 両家の祖父母を招くフォーマルなお祝い |
最近はお食い初めセットの通販も人気です。尾頭付きの鯛、赤飯、お吸い物、煮物、歯固めの石がセットになったものが3,000〜15,000円程度で購入でき、冷蔵・冷凍で届くため手軽にお祝いができます。
TIP / お食い初めの写真を上手に撮るコツ
赤ちゃんの機嫌が良い午前中〜お昼過ぎに行うのがおすすめです。祝い膳と赤ちゃんを一緒に撮る「俯瞰ショット」は記念になります。養い親が食べさせる真似をする瞬間は連写で撮影し、ベストショットを残しましょう。
お食い初めの日には、それまで着せていた白い産着を色付きの着物に替える「色直し」の風習もありました。白は誕生直後の神聖な色とされ、生後100日を迎えて初めて色のある衣服に着替えることで、この世に定着したことを示す意味がありました。結婚披露宴でおなじみの「お色直し」は、実はこの赤ちゃんの色直しが起源とされています。
CHAPTER 06お食い初めの料理を詳しく解説 ─ 一品ずつの意味と調理のコツ
お食い初めの一汁三菜には、それぞれ深い意味が込められています。ここでは各料理について、由来から調理のポイントまで詳しくご紹介します。
尾頭付きの鯛(焼き鯛)
鯛はお食い初めの主役ともいえる料理です。「めでたい」の語呂合わせに加え、鯛の赤い色には邪気を払う力があるとされています。尾頭付き(頭と尾がついた丸ごとの姿)で供えるのは、「首尾一貫」つまり最初から最後まで全うする人生を願う意味が込められています。
自宅で鯛を焼く場合は、鮮魚店で20〜25cm程度の真鯛を注文しましょう。事前に「お食い初め用です」と伝えると、きれいに下処理してもらえます。塩をまぶして30分ほど置き、余分な水分をペーパーで拭き取ってからグリルで焼きます。尾びれと背びれには化粧塩(アルミホイルで包む方法も可)をすると焦げ防止になります。
赤飯(せきはん)
赤飯は小豆ともち米を一緒に炊いたもので、日本のお祝い事には欠かせない料理です。赤い色には厄除け・魔除けの意味があり、古来より邪気を払う色として大切にされてきました。お食い初めでは赤ちゃんの健やかな成長と厄除けの願いを込めて供えます。
自宅で炊く場合は、もち米を3時間以上水に浸し、小豆は事前に煮ておきます。炊飯器の「おこわモード」で手軽に炊けますが、蒸し器を使うとよりふっくらとした仕上がりになります。スーパーの惣菜コーナーや和菓子店で購入することもできるので、手作りが難しい場合は無理をしなくて大丈夫です。
はまぐりのお吸い物
はまぐりは二枚の貝殻がぴったり合うことから、良縁の象徴とされています。お食い初めでは「将来よい伴侶に巡り会えますように」という願いを込めてお吸い物にします。また、「吸う力が強くなるように」という意味もあり、母乳やミルクをしっかり飲めるようにとの祈りが込められています。
はまぐりのお吸い物は、昆布だしにはまぐりを入れて中火にかけ、殻が開いたら薄口醤油と塩で味を調えるだけのシンプルな調理法です。お好みで三つ葉や手鞠麩を添えると見栄えが華やかになります。はまぐりが手に入らない場合は、あさりや豆腐のお吸い物で代用しても構いません。
煮物(筑前煮など)
煮物には、子孫繁栄や先の見通しを願う縁起のよい根菜が使われます。定番の食材とその意味は次のとおりです。
| 食材 | 縁起の意味 |
|---|---|
| 里芋 | 子芋がたくさんつくことから子孫繁栄 |
| れんこん | 穴が開いていることから先の見通しが良い |
| にんじん | 鮮やかな赤色がおめでたさを象徴 |
| たけのこ | まっすぐ伸びることからすくすくと成長 |
| こんにゃく | 手綱こんにゃくにすると縁結びの意味 |
| しいたけ | 亀甲に飾り切りすると長寿の象徴 |
香の物(こうのもの)
香の物は漬物や酢の物を指します。お食い初めでは紅白なます(こうはくなます)が定番で、大根とにんじんを千切りにして甘酢で和えたものです。紅白の彩りがお祝いの場にふさわしく、口直しの役割も果たします。梅干しを添える地域もあり、その場合は「しわが寄るまで長生きできますように」という意味が込められています。
歯固めの石の深い意味と入手方法
歯固めの儀式は、お食い初めの中でも特に古い歴史を持つ習わしです。「石のように硬くて丈夫な歯が生えますように」という願いだけでなく、古来日本では歯が丈夫であることは長寿の証とされていたため、「長生きできますように」という祈りも込められています。
パ
新米パパ
歯固めの石は黒い石じゃないとダメですか?色や形に決まりはあるのですか?
博
カゾイロ博士
石の色や形に厳密な決まりはありません。一般的には丸くて滑らかな小石を1〜3個用意します。黒・白・赤の3色を揃えると「天地人」を表すとされることもありますが、こだわりすぎる必要はありません。大切なのは清潔であることです。拾ってきた石はしっかり煮沸消毒してから使いましょう。
歯固めの石は、お宮参りの際に参拝した神社の境内から授かるのが最も一般的です。社務所で「お食い初め用の歯固めの石をいただけますか」と尋ねると用意してくれる神社も多くあります。お食い初めが終わったら、感謝を込めて元の神社にお返しするのが正式な作法です。
神社で入手できない場合は、河原や海岸の丸い石を煮沸消毒して使用する方法があります。また、通販サイトでは煮沸済みの歯固め専用石が数百円で購入でき、巾着袋付きのものは記念品としてそのまま保管できるため人気があります。
誰が赤ちゃんに食べさせるのか ─ 養い親の選び方
お食い初めの儀式で赤ちゃんに食べさせる真似をする人を「養い親(やしないおや)」と呼びます。養い親の選び方には伝統的なルールがありますが、現代では柔軟に対応する家庭がほとんどです。
正式には、出席者の中で最年長の方が養い親を務めます。男の子の場合は年長の男性(祖父など)、女の子の場合は年長の女性(祖母など)が適任とされています。これは「長寿にあやかる」という意味が込められています。
ただし、祖父母が高齢で箸を使うのが難しい場合や、パパ・ママだけでお祝いする場合は、パパやママが養い親を務めて構いません。最近ではパパが養い親を務めるケースも増えています。赤ちゃんの口元にそっとお箸を近づける程度ですので、誰が務めても問題ありません。
INFO / 養い親が食べさせる際の注意点
赤ちゃんの口に実際に食べ物を入れてはいけません。お箸で少量を取り、赤ちゃんの唇にそっと触れさせる程度にします。特にお吸い物は熱いので、冷ましてから行いましょう。赤ちゃんが嫌がったり泣いたりしたら無理に続けず、途中で中断しても構いません。
お食い初めの写真撮影を成功させるコツ
お食い初めは家族が集まるお祝いの場であり、記念に残る写真を撮りたいご家庭がほとんどです。撮影を成功させるためのポイントをご紹介します。
パ
新米パパ
お食い初めの写真って、どんな構図で撮ればいいですか?全然イメージが湧きません。
博
カゾイロ博士
まず押さえたいのは3つの構図です。1つ目は祝い膳全体を上から撮る「俯瞰ショット」。2つ目は養い親が赤ちゃんに食べさせる真似をしている「儀式ショット」。3つ目は家族全員での集合写真です。この3種類があれば、記念として十分な写真が残せますよ。
撮影のタイミングは、赤ちゃんの機嫌が良い午前中からお昼過ぎがおすすめです。自然光が入る窓際にテーブルをセッティングすると、料理も赤ちゃんの肌も美しく撮影できます。フラッシュは赤ちゃんの目に負担をかけるため、できるだけ使わないようにしましょう。
祝い膳の写真は、料理を並べ終えた直後に撮影するのがベストです。温かい料理から湯気が立ち上る瞬間も絵になります。赤ちゃんの横に日付入りのカード(誕生から何日目かを記載したもの)を置くと、後から見返したときにいつのお祝いかわかりやすくなります。
CHAPTER 07現代のお食い初め ─ 通販セットとレストランプラン
忙しい現代の子育て世帯にとって、お食い初めの料理を一から手作りするのは大変な作業です。最近では通販セットやレストランのお食い初めプランが充実しており、手軽に本格的なお祝いができるようになっています。
通販のお食い初めセット
通販のお食い初めセットは、尾頭付きの鯛、赤飯、お吸い物、煮物、香の物、歯固めの石がすべて揃って届きます。価格帯は3,000〜15,000円と幅広く、冷蔵便と冷凍便が選べます。高価格帯のセットでは、漆器の祝い膳やお祝い用の箸、命名紙なども同封されています。
通販セットを選ぶ際は、到着日の指定ができるか、アレルギー対応があるか、解凍・盛り付けの手順が明記されているかを確認しましょう。口コミやレビューを参考に、信頼できるショップから注文することをおすすめします。
レストラン・料亭のお食い初めプラン
ホテルや日本料理店では、お食い初め専用のプランを用意しているところが増えています。料亭の個室で本格的な祝い膳を楽しめるほか、記念撮影サービスや赤ちゃん用のベッドの貸し出しなど、至れり尽くせりのサービスが特徴です。費用は大人1人あたり5,000〜15,000円程度で、祝い膳は別途または含まれる場合があります。
TIP / お食い初めの料理を手作りする場合のスケジュール
前日に煮物と赤飯の下準備を済ませ、当日の朝に鯛を焼き、お吸い物を作るのがおすすめです。紅白なますも前日に作っておくと味が馴染みます。鯛を焼くスペースがない場合は、鮮魚店に焼き鯛を注文しておくと便利です。盛り付けは食器に少量ずつ美しく盛ると、写真映えする祝い膳になります。
お食い初めの後に残った鯛の活用法
お食い初めで使った尾頭付きの鯛は、儀式の後にご家族で美味しくいただきましょう。鯛は頭や骨からも良いだしが出るため、最後まで無駄なく活用できます。
最も定番なのは鯛めしです。焼き鯛の身をほぐして炊飯器に入れ、薄口醤油・酒・みりんで味付けした出汁と一緒に炊き込みます。鯛の上品な風味が米に染み込み、お祝いの余韻を楽しめる一品になります。
鯛のアラ(頭や骨)はあら汁にすると絶品です。臭みを取るために熱湯をかけてから水と昆布で煮出し、味噌または塩で味を調えます。大根や豆腐を加えると具だくさんの汁物になります。翌日のお昼にいただくと、お食い初めの余韻を楽しみながら栄養もしっかり摂れます。
パ
新米パパ
お食い初めの食器は普通のベビー食器でも大丈夫ですか?漆器を買うべきか迷います。
博
カゾイロ博士
漆器の祝い膳は正式ですが、実際に使うのはこの一度きりになることが多いです。最近はベビー食器ブランドが出しているお食い初め用の食器セットが人気で、その後の離乳食にもそのまま使えるため実用的です。木製や竹製のナチュラルな食器もおしゃれで写真映えしますよ。
お食い初めの記念撮影
お食い初めは、赤ちゃんの成長を記録に残す絶好の機会です。お祝い膳の前に座る赤ちゃんの姿や、養い親が箸で食べさせる真似をする瞬間は、何度見ても微笑ましい写真になります。自然光が入る場所にお膳をセットし、窓に向かって撮影すると明るくきれいに写ります。
セルフ撮影が難しい場合は、出張カメラマンに依頼するのもおすすめです。自宅やレストランに来てもらい、準備から食事の様子まで自然体の写真を撮ってもらえます。費用は20,000〜30,000円程度が相場で、データ納品が主流です。
お食い初めのお祝い金とお返し
お食い初めに招待された場合のお祝い金は、祖父母が10,000〜30,000円、親戚が5,000〜10,000円程度が相場です。現金の代わりにベビー食器セットやスプーン・フォークセットなど実用的な品物を贈ることもあります。銀のスプーンは「食べ物に一生困らない」という意味が込められた定番ギフトです。
お返し(内祝い)は、お祝いの席に招待してお食事を振る舞った場合は不要とされていますが、高額のお祝いをいただいた場合や参加できなかった方からお祝いをいただいた場合は、いただいた金額の3分の1〜半額程度のお返しを贈ります。赤ちゃんの名前入りのお菓子やタオルが人気です。
CHAPTER 08お食い初めの歴史と地域の違い
お食い初めの風習は、平安時代から続く歴史ある行事です。当初は「百日(ももか)の祝い」と呼ばれ、生後100日目に初めて餅を食べさせる儀式でした。時代とともに鯛や赤飯などの祝い膳を用意する現在の形に変化していきました。
「魂の注入」としてのお食い初め
民俗学の視点では、お食い初めは単なる食事の真似事ではなく、「魂の注入」の意味を持つ行事とされています。食べさせる真似をすることで、食物を通じて生命力(魂)を赤ちゃんに注ぎ込むという考え方がその根底にあります。
お食い初めは生後百日から百二十日目に行われますが、この時期は赤ちゃんが外の世界に適応し始める大切な節目です。赤飯を用意して食べさせる真似をする行為には、穀物の持つ生命力を赤ちゃんに分け与えるという意味が込められていました。
また、有名な山の名を子どもにつける「名付け」の風習もお食い初めと関連があるとされています。名前に力のある言葉を込めることで、名付けもまた魂を注ぎ込む行為の一つと考えられていたのです。
パ
新米パパ / 2歳児のパパ
食べさせる真似に「魂の注入」という深い意味があったとは知りませんでした。ただの縁起担ぎだと思っていました。
博
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
昔の人にとって、食べ物には命そのものの力が宿っていると考えられていました。お食い初めで赤ちゃんの口元にお箸を運ぶ所作は、食物を通じて生命力を注ぎ込む大切な儀式だったんですよ。
地域によって呼び名や風習が異なるのもお食い初めの特徴です。関西地方では「食べ初め」、九州地方の一部では「箸ぞろえ」「箸揃え」と呼ばれます。歯固め石の代わりにタコを使う地域もあり、「多幸」に通じる縁起物として親しまれています。
お食い初めの「養い親」は、出席者の中で最年長の方が務めるのが伝統的です。男の子の場合は祖父など男性の最年長者、女の子の場合は祖母など女性の最年長者が赤ちゃんの口元にお箸を運びます。ただし最近は、パパやママが行うケースも多く、形式にとらわれすぎる必要はありません。
お食い初めは「食べることに困らないように」という願いを込めた、日本ならではの美しい行事です。豪華なお膳でなくても、家族の愛情が込められた食卓であれば、赤ちゃんへの最高の贈り物になります。
お食い初めのお膳の並べ方
お食い初めのお膳には、正式な配置の決まりがあります。手前左に赤飯(またはご飯)、手前右にお吸い物、奥左に煮物、奥右に香の物(漬物)、中央に歯固め石を配置します。鯛の尾頭付きは別皿に盛り付けて膳の横に添えるのが一般的です。
お椀やお皿は漆器の祝い膳を使うのが正式ですが、購入すると10,000〜30,000円ほどかかります。レンタルやお食い初めセットに含まれている場合も多いので、購入前に検討してみましょう。最近は離乳食期以降も使える木製の食器セットを選ぶご家庭も増えています。
歯固め石は、神社の境内から小さな丸い石を借りてくるのが伝統的です。使用後は神社にお返しします。石の代わりに碁石やタコ(多幸)を使う地域もあります。いずれも赤ちゃんの歯が丈夫に生えてくることを願って、石に箸を触れてからその箸を赤ちゃんの歯茎に軽く当てるのが作法です。
お食い初めの儀式が終わったら、用意したお膳の料理は参列した大人たちでいただきます。赤ちゃんはまだ実際には食べられませんが、将来食べ物に困らないようにという願いが込められた温かい行事です。形式にとらわれすぎず、家族の笑顔あふれるお祝いの席にしましょう。
お食い初めは赤ちゃんの生後100日前後に行うのが一般的ですが、地域によっては110日目や120日目に行うところもあります。日にちにあまりこだわりすぎず、赤ちゃんの体調やご家族の都合に合わせて柔軟に日程を決めましょう。大安や友引などの吉日を選ぶご家庭もありますが、必須ではありません。
自宅で手作りのお食い初め膳を用意する場合、鯛の尾頭付きが最も準備に手間がかかるアイテムです。鮮魚店に事前に予約すれば、焼き上げた状態で用意してもらえることが多いです。インターネットで「お食い初めセット」を注文すれば、鯛・赤飯・お吸い物・煮物・歯固め石のすべてが届くので、忙しいパパ・ママにはおすすめです。
お食い初めは、赤ちゃんが一生食べ物に困らないようにという親の愛情が詰まった行事です。立派なお膳を用意できなくても、家族の温かい気持ちがあれば十分です。赤ちゃんの成長を家族みんなで喜び合う、幸せなひとときをお過ごしください。
お食い初めから始まるお子さまの「食」の旅路は、家族の愛情に包まれてスタートします。やがて離乳食、幼児食を経て、家族と同じ食卓を囲む日が来ます。お食い初めの日に撮った写真を眺めながら、成長の喜びを家族で分かち合えることが、子育ての何よりの幸せです。
お食い初めという行事は、赤ちゃんの健やかな成長を願う家族の愛情が形になったものです。丁寧にお膳を整え、赤ちゃんの口元にお箸を運ぶ。その一連の所作に込められた想いは、何百年たっても変わりません。
赤ちゃんの成長と通過儀礼
お食い初めは、赤ちゃんの誕生から続く通過儀礼の流れのなかに位置する大切な行事です。お七夜(生後7日)、お宮参り(生後1ヶ月)を経て、生後100日のお食い初めを迎えます。赤ちゃんが誕生した際には出産祝いを贈り合い、その後も初節句、七五三と続く子どもの成長を、家族や親族で見守っていきます。
CHAPTER 09お食い初めに関するよくある質問
A.
はい、前後しても問題ありません。一般的には生後100〜120日頃に行います。「食い延ばし」といって少し遅らせると長生きするという地域もあります。家族が集まりやすい週末や祝日に合わせて柔軟に日程を決めましょう。
A.
両家の祖父母を招くのが一般的ですが、パパ・ママと赤ちゃんだけで行っても構いません。遠方の祖父母にはオンラインで参加してもらう家庭も増えています。
A.
赤ちゃんはセレモニードレスや袴ロンパースなどのお祝い着を着せることが多いです。大人はセミフォーマルが目安。自宅なら普段着でも問題ありませんが、記念写真を撮るなら少しきちんとした服装がおすすめです。
A.
金目鯛や鯛の形をしたかまぼこで代用する方もいます。通販のお食い初めセットなら焼き鯛が含まれているので手軽です。地域によっては鯛以外の魚(鮎など)を使うところもあります。
A.
大安を選ぶ方もいますが、六曜にこだわる必要はありません。お食い初め自体に六曜との関連はなく、赤ちゃんとお母さんの体調が良い日、家族が集まりやすい日を優先しましょう。仏滅や友引でも全く問題ありません。
A.
問題ありません。例えば、パパ・ママだけで先にお祝いし、後日祖父母が来たときにもう一度行うケースもあります。お食い初めは儀式であると同時に家族の思い出作りでもあるため、何度行っても構いません。
A.
お食い初めのお祝いをいただいた場合は、いただいた金額の3分の1から半額程度の内祝いを1ヶ月以内に贈るのがマナーです。赤ちゃんの名前入りのお菓子やタオル、カタログギフトなどが定番です。食事会に招待した場合は、それ自体がお返しになるため追加の内祝いは不要という考え方もあります。
『冠婚葬祭 暮らしのマナー大百科』によると、お食い初め(おくいぞめ)は生後100日目から120日目ごろに行う「一生食べ物に困らないように」との願いを込めた儀式です。膳には尾頭付きの鯛・赤飯・煮物・香の物・汁物の一汁三菜を用意し、「養い親」と呼ばれる年長の親族が赤ちゃんの口元に箸で食べ物を運ぶ真似をします。同書では歯固め石を添えて丈夫な歯が生えるよう祈る風習も紹介されており、地域によっては石の代わりにタコや栗を用いることもあると解説されています。
CHAPTER 10まとめ
お食い初めは、赤ちゃんが一生食べ物に困らないようにと願いを込める、生後100日の大切な節目の行事です。尾頭付きの鯛や赤飯、はまぐりのお吸い物など縁起のよいメニューを用意し、家族みんなでお祝いしましょう。順番にこだわりすぎず、赤ちゃんの笑顔を大切にした温かいお食い初めを楽しんでください。

