大切な方が亡くなって初めて迎えるお盆を「初盆(はつぼん)」または「新盆(にいぼん・あらぼん)」といいます。通常のお盆よりも丁寧に供養を行い、親族や知人を招いて法要を営むのが一般的です。この記事では、初盆の時期や準備の段取り、お供え物・服装・香典のマナーまで、初めての方にもわかりやすく解説します。

CHAPTER 01
初盆(新盆)とは?通常のお盆との違い

初盆とは、故人が亡くなってから四十九日忌明け後に初めて迎えるお盆のことです。「新盆」とも呼ばれ、地域によって読み方が異なります。関東では「にいぼん」、関西では「はつぼん」と呼ぶのが一般的ですが、「あらぼん」「しんぼん」といった読み方をする地域もあります。通常のお盆は家族だけで静かにご先祖様をお迎えすることが多いのに対し、初盆は親族・友人・知人を招いて僧侶に読経を依頼し、法要を営むのが大きな違いです。故人が初めて里帰りするお盆ということで、とくに手厚くお迎えするのが古くからの習わしとなっています。
NOTE / 四十九日前にお盆が来た場合
亡くなった時期によっては、四十九日の忌明けより前にお盆を迎えることがあります。その場合、初盆は翌年のお盆に行うのが一般的です。たとえば6月下旬に亡くなった方の初盆は、その年ではなく翌年の夏になります。
項目通常のお盆初盆(新盆)
対象すべてのご先祖様亡くなって初めてのお盆を迎える故人
規模家族中心で静かに行う親族・知人を招き法要を営む
僧侶の読経省略することもある依頼するのが一般的
提灯(ちょうちん)絵柄入りの盆提灯白い無地の白紋天(しろもんてん)
お返し・引き物ない場合が多い法要参列者にお返しを用意する
お盆の基本的な意味や過ごし方についてはお盆の記事で詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。また、新盆の意味合いや地域ごとの違いについては新盆の記事もご参照ください。

CHAPTER 02
初盆の時期と準備スケジュール

初盆の時期は地域によって異なります。多くの地域では8月13日〜16日ですが、東京や一部の関東地域、静岡県の一部では7月13日〜16日に行います。沖縄では旧暦のお盆にあたる時期に行うため、毎年日付が変わります。まずはご自身の地域の慣習を菩提寺や地元の年長者に確認しましょう。準備は早め早めが肝心ですので、以下のスケジュールを参考にしてください。
  1. 01
    2〜3か月前:僧侶への依頼と日程調整
    お寺に連絡して初盆の法要をお願いします。お盆の時期は僧侶のスケジュールが込み合うため、早めに日時を決めましょう。あわせて親族への連絡・案内も始めます。
  2. 02
    1か月前:会食の手配と返礼品の準備
    法要後の会食を行う場合は、料理の予約や仕出しの手配をします。参列者へのお返し(引き物)も、人数を想定して準備を進めましょう。
  3. 03
    2週間前:お供え物・盆飾りの準備
    白紋天(白い盆提灯)、盆棚(精霊棚)の飾り付け用品、お供えの果物・お菓子・お花などを用意します。仏壇まわりの掃除もこの時期に済ませておきましょう。
  4. 04
    前日〜当日:盆棚の設置と最終確認
    盆棚を組み立て、まこも(真菰)を敷き、なすの牛・きゅうりの馬(精霊馬)やお供え物を配置します。迎え火の準備としておがら(麻がら)と焙烙(ほうろく)も用意しましょう。
新米パパ
初盆の準備って、いつごろから始めればいいのでしょうか?
カゾイロ博士
理想は2〜3か月前から動き始めることです。とくに僧侶への依頼はお盆シーズンの争奪戦になりますから、遅くとも1か月前には日程を確定させましょう。初めてでわからないことがあれば、菩提寺(ぼだいじ)や葬儀社に相談すると安心ですよ。

CHAPTER 03
初盆に必要な準備物一覧

初盆では通常のお盆よりも多くのものを用意します。以下のリストを参考に、漏れのないよう確認しましょう。
カテゴリ準備するものポイント
盆提灯白紋天(しろもんてん)初盆専用の白い無地の提灯。翌年以降は絵柄入りの盆提灯に替える
盆棚まこも・蓮の葉・おがら・焙烙仏壇の前に組み立てる精霊棚。まこもを敷いてお供え物を並べる
精霊馬なす・きゅうり・割り箸なすは牛(送り)、きゅうりは馬(迎え)を表す
お供え物果物・お菓子・お花・故人の好物日持ちするものを選び、五供(ごく)を意識する
お布施白封筒またはお布施袋金額の相場は3万〜5万円程度。地域や宗派で異なる
返礼品お茶・お菓子・タオルなど参列者へのお返し。2,000〜5,000円程度が目安
TIP / 白紋天の扱い方
初盆用の白紋天は、初盆の時だけ使う特別な提灯です。初盆が終わったあとは、お寺でお焚(た)き上げをしてもらうか、送り火のときに一緒に燃やすのが伝統的な処分方法です。最近では自治体のルールに従って処分する方も増えています。

CHAPTER 04
初盆の法要の流れ

初盆の法要は、迎え火から送り火までの一連の流れで進みます。宗派や地域によって細かな違いはありますが、一般的な流れを紹介します。
  1. 01
    迎え火(8月13日)
    夕方に玄関先や墓前でおがらを焚いて、故人の霊を自宅に迎えます。この火を目印に故人が帰ってくるとされています。
  2. 02
    法要・読経(8月14日〜15日)
    僧侶に自宅またはお寺で読経していただきます。法要のあとは参列者と会食をし、故人を偲(しの)びます。
  3. 03
    お墓参り
    期間中にお墓参りをして、墓前でも手を合わせます。墓石を清め、お花やお線香を供えましょう。
  4. 04
    送り火(8月16日)
    夕方に再びおがらを焚いて、故人の霊をあの世へ送り出します。地域によっては精霊流しや灯籠(とうろう)流しを行うところもあります。
法要のあとの会食では、故人の思い出話をしながら和やかに過ごすのが一般的です。精進(しょうじん)料理にこだわらず、仕出しや料亭の料理を用意する家庭も増えています。会食の席順は、僧侶を上座にお招きし、故人と縁の深い方から順に座っていただくのが基本です。施主は末席につき、参列者へのお礼を述べてから食事を始めます。

初盆の返礼品(お返し)のマナー

初盆の法要に参列してくださった方には、返礼品(お返し)を用意するのがマナーです。品物はお茶・海苔・タオル・お菓子など日持ちするものが定番で、金額は2,000〜5,000円程度が相場です。のし紙は「志」または「粗供養」の表書きで、黒白か黄白の結び切り水引を使います。当日お渡しする場合は法要の終了時に手渡しし、「本日はお忙しい中ご参列いただきありがとうございました」と一言添えましょう。参列者の人数が不確定な場合は、多めに用意しておくと安心です。

CHAPTER 05
初盆のお供え物のマナー

初盆のお供え物には「五供(ごく)」と呼ばれる基本があります。香(線香)・花・灯明(ろうそく)・浄水(水)・飲食(おんじき=食べ物)の5つです。これに加えて故人の好物や季節の果物を供えます。
お花
お菓子・果物
お線香・ろうそく
お供えの「のし」
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CAUTION / お供え物で避けたいもの
肉や魚などの生ものは殺生を連想させるため避けるのがマナーです。また、日持ちしないもの、強い香りのもの、派手な包装のものも控えましょう。お花の場合、赤い花は慶事を連想させるため、白・紫・青を基調にすると無難です。

CHAPTER 06
初盆に招かれた側のマナー(服装・香典・手土産)

初盆に招かれた場合は、施主(せしゅ)側の負担にならないよう、服装・香典・手土産のマナーを押さえておきましょう。

服装のマナー

初盆の法要に参列する場合、喪服または黒を基調とした平服が基本です。案内状に「平服でお越しください」とあれば、黒やダークグレーのワンピースやスーツで問題ありません。真夏の暑い時期ですが、露出の多い服や派手な色は避けましょう。男性は黒のスーツに白シャツ・黒ネクタイが定番です。女性は黒のワンピースかアンサンブルが無難で、ストッキングは黒を選びます。アクセサリーはパールの一連ネックレスのみとし、光るものは控えましょう。足元は黒のパンプスまたは革靴が基本で、サンダルやミュールはカジュアルすぎるため避けてください。
新米パパ
真夏の法要なので暑さ対策が気になります。上着は脱いでもいいですか?
カゾイロ博士
読経中やご焼香の際はジャケットを着用するのがマナーです。ただし、移動中や待ち時間は上着を脱いでも構いません。扇子やハンカチを持参し、暑さ対策をしつつも場の雰囲気を崩さないよう配慮しましょう。小さなお子さん連れの場合は無理をせず、こまめに水分補給を心がけてください。

香典のマナー

初盆の香典は、不祝儀袋(ぶしゅうぎぶくろ)に入れて持参します。表書きは御仏前」「御佛前」「御供物料」のいずれかを使います。四十九日を過ぎているため「御霊前」ではなく「御仏前」を用いるのがポイントです。水引は黒白または黄白の結び切りを選びましょう。お札は新札を避け、使用感のあるお札を入れるのがマナーですが、あまりにも汚れたお札も失礼にあたるため、適度な状態のものを選びます。
故人との関係香典の相場
祖父母5,000〜10,000円
親・義親10,000〜30,000円
兄弟姉妹10,000〜30,000円
おじ・おば5,000〜10,000円
友人・知人3,000〜10,000円
会社の同僚・上司3,000〜5,000円
香典の書き方や包み方の詳しいマナーは香典の記事で解説しています。
新米パパ
香典とお供え物、両方持っていくべきですか?
カゾイロ博士
一般的には香典だけでも問題ありません。ただし、親しい間柄であればお供え物(お菓子やお花)も一緒に持参すると丁寧です。両方用意する場合、香典は相場どおり、お供え物は3,000〜5,000円程度のものを選ぶとバランスがよいですよ。

手土産・お供え物を持参する場合

お供え物を持参する場合は、日持ちするお菓子や果物、お線香などが定番です。のし紙は「御供」の表書きで、黒白または黄白の結び切りの水引をかけます。紙袋から出して両手で渡し、「心ばかりですがお供えください」と一言添えるとスマートです。

初盆を簡素に行いたい場合

近年は家族だけで静かに初盆を過ごしたいという方も増えています。僧侶を招かず、家族だけでお墓参りをしてお供え物をするだけでも、故人を偲ぶ立派な供養になります。コロナ禍以降はオンラインで親族と一緒に手を合わせる「リモート法要」を取り入れる家庭もあります。大切なのは形式よりも故人を思う気持ちです。ただし、親族の中には伝統を重んじる方もいるため、法要を省略する場合は事前に相談しておくとトラブルを防げます。

CHAPTER 07
よくある質問(FAQ)

A.
意味は同じで、地域によって呼び方が異なります。関東では「新盆(にいぼん)」、関西では「初盆(はつぼん)」と呼ぶことが多いです。どちらも故人が亡くなって四十九日を過ぎたあと、初めて迎えるお盆を指します。
A.
参列できない旨を早めに施主にお伝えし、香典やお供え物を現金書留や宅配便で送ります。お悔やみの手紙を添えると丁寧です。金額は参列する場合と同程度が目安です。
A.
連れて行っても問題ありません。子どもの服装は白や黒、紺など落ち着いた色の服を選びましょう。学生であれば制服が正装になります。小さなお子さんの場合、読経中に静かにしていられるよう、音の出ないおもちゃや絵本を持参すると安心です。
A.
一般的には3万〜5万円程度が相場です。これに加えて、僧侶にご自宅まで来ていただく場合はお車代として5,000〜10,000円、会食に参加されない場合は御膳料として5,000〜10,000円を別に包みます。地域や宗派によって異なるため、菩提寺に相談するのが確実です。
A.
浄土真宗では、故人はすでに極楽浄土に往生しているという考えから、迎え火や送り火、精霊棚の設置は行いません。ただし、故人を偲んで僧侶に読経をお願いし、歓喜会(かんぎえ)として法要を営むことは一般的です。

CHAPTER 08
まとめ

初盆(新盆)は、故人を亡くしてから初めて迎えるお盆として、通常よりも丁寧に供養を行う大切な行事です。僧侶への依頼は2〜3か月前から、盆飾りやお供え物の準備は2週間前から進めておくと安心です。施主として準備を進める場合は、菩提寺や葬儀社に早めに相談することで、地域の慣習に沿った対応ができます。
招かれた側は、喪服または黒を基調とした服装で、香典の相場を参考に不祝儀袋を用意しましょう。お供え物を持参する場合はのし紙のマナーにも気を配ってください。初めてのことで戸惑うことも多い初盆ですが、一番大切なのは故人を偲び、感謝の気持ちを込めて手を合わせることです。形式にとらわれすぎず、心を込めた供養ができればそれで十分です。わからないことがあれば菩提寺や年長の親族に気軽に相談して、故人をあたたかくお迎えしましょう。