お盆は、亡くなったご先祖様の霊をお迎えして供養する日本の大切な行事です。子どもに「お盆ってなに?」と聞かれたとき、どう説明すればよいか迷う方も多いのではないでしょうか。この記事では、お盆の意味やご先祖様の考え方、迎え火送り火の風習から親子での過ごし方まで、子どもにもわかりやすくお伝えします。

CHAPTER 01
お盆ってなに?子どもへの伝え方

お盆とは、毎年夏に行われるご先祖様の霊を自宅にお迎えして供養する行事です。一般的には8月13日から16日までの4日間を指しますが、地域によっては7月に行うところもあります。
子どもにお盆を説明するときは、難しい言葉を使わず、身近なたとえを使うのがポイントです。たとえば「おじいちゃんやおばあちゃん、もっと前のご先祖様が、お空からおうちに遊びに帰ってくる特別な日だよ」と伝えると、小さな子どもにもイメージしやすくなります。
お盆の提灯
お盆を子どもにわかりやすく説明
新米パパ
新米パパ / 2歳児のパパ
2歳の子どもに「ご先祖様」と言ってもピンとこないみたいで......。どう話しかけたらいいですか?
カゾイロ博士
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
まずは写真を見せながら「この人がひいおじいちゃんだよ。お盆になるとおうちに会いに来てくれるんだよ」と話すのがおすすめです。目に見えるものがあると、小さな子どもも理解しやすくなりますよ。
お盆を通じて子どもに伝えたいのは、自分がここにいるのは、たくさんのご先祖様がいてくれたおかげだということです。「ありがとう」の気持ちを持つきっかけとして、お盆はとてもよい機会になります。

CHAPTER 02
ご先祖様の意味をやさしく解説

ご先祖様とは、自分より前の世代に生きていた家族のことです。おじいちゃん・おばあちゃんはもちろん、そのさらに前のおじいちゃん・おばあちゃん......とさかのぼっていくと、数えきれないほど多くの人がつながっています。
子どもに伝えるときは、「パパのお父さんがおじいちゃんで、おじいちゃんのお父さんがひいおじいちゃん。ずっとずっとつながっているんだよ」と家族のつながりを具体的に示すとわかりやすくなります。
ご先祖様
自分のお父さん・お母さんよりもっと前の世代の家族のこと。命のバトンをつないでくれた人たちです
お盆
ご先祖様の霊がこの世に帰ってくる期間。家族みんなでお迎えし、感謝を伝える行事です
お墓参り
ご先祖様が眠るお墓に出向いて手を合わせること。お盆の大切な風習のひとつです
仏壇(ぶつだん)
おうちの中でご先祖様をおまつりする場所。お供え物をしたり、手を合わせたりします
精霊棚(しょうりょうだな)
お盆の期間中にご先祖様をお迎えするために設ける特別な棚。盆棚とも呼ばれます
お盆にご先祖様を供養するのは、感謝の気持ちを形にする行いです。子どもと一緒にお仏壇に手を合わせたり、お墓参りに出かけたりすることで、命のつながりを自然に感じられるようになります。お盆の詳しい由来や風習についてはお盆とは?意味・お供え・風習を詳しく解説もあわせてご覧ください。

CHAPTER 03
お盆の由来と歴史をやさしく紹介

お盆の正式名称は盂蘭盆会(うらぼんえ)」といいます。これは、仏教の経典に登場するお話が由来になっています。
お釈迦様の弟子である目連(もくれん)が、亡くなったお母さんが苦しんでいる姿を見て、お釈迦様に助けを求めました。お釈迦様は「7月15日に修行僧たちに食べ物をふるまい、供養しなさい」と教えました。目連がそのとおりにしたところ、お母さんは救われたといわれています。
この言い伝えが日本に伝わり、ご先祖様を供養する行事として広まりました。日本では推古天皇の時代(606年)に初めてお盆の行事が行われたという記録が残っています。その後、江戸時代になると庶民の間にも広く定着し、現在のようなお盆の風習が形づくられました。
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INFO / お盆の時期が地域で違う理由
明治時代に暦が旧暦から新暦に変わった際、お盆の時期も地域によって分かれました。東京など一部の地域では新暦の7月(7月盆)、それ以外の多くの地域では旧暦に近い8月(8月盆・月遅れ盆)にお盆を行います。
子どもに由来を話すときは、「昔のえらいお坊さんが、お母さんを助けたくて始めたのがお盆なんだよ。家族を大切にする気持ちから生まれた行事なんだね」とやさしい言葉で伝えるのがおすすめです。

CHAPTER 04
迎え火・送り火を親子で体験しよう

お盆には、ご先祖様の霊が迷わず帰って来られるように迎え火(むかえび)を焚き、お盆が終わるときにはあの世へ送り出すために送り火(おくりび)を焚く風習があります。
  1. 01
    迎え火の準備をする(8月13日の夕方)
    玄関先や庭にほうろく皿(素焼きの平たい皿)を置き、おがら(皮をむいた麻の茎)を用意します。おがらはスーパーやホームセンターで手に入ります。
  2. 02
    迎え火を焚く
    おがらに火をつけ、煙が立ちのぼる様子を見守ります。「ご先祖様、おうちはここですよ」という目印の意味があります。子どもと一緒に手を合わせましょう。
  3. 03
    お盆の期間中はお供えをして過ごす
    精霊棚やお仏壇に果物・お花・お菓子などをお供えします。子どもと一緒にお供え物を選ぶのもよい体験です。
  4. 04
    送り火を焚く(8月16日の夕方)
    迎え火と同じ場所でおがらを燃やし、ご先祖様をお見送りします。「また来年も来てね」と声をかけると、子どもも自然に気持ちを込められます。
新米パパ
新米パパ / 2歳児のパパ
マンションに住んでいるのですが、火を焚くのは難しそうです。何か代わりになる方法はありますか?
カゾイロ博士
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
最近はLEDの盆提灯やロウソク型のライトも販売されています。火を使わなくても、玄関に盆提灯を灯すだけで迎え火の代わりになりますよ。お子さんと一緒に飾りつけを楽しむのもいいですね。
迎え火・送り火は、お盆のなかでも子どもの印象に残りやすい風習です。火を実際に使う場合は必ず大人が付き添い、安全に配慮してください。火が難しい環境であれば、盆提灯やLEDキャンドルで雰囲気を感じるだけでも十分です。
お盆の飾りの中でも子どもの目を引くのが、きゅうりやなすで作る精霊馬(しょうりょううま)」です。きゅうりに割り箸で足をつけたものはを表していて、ご先祖様が早く帰ってこられるように「速い馬に乗ってきてね」という願いが込められています。一方、なすで作るのはを表しており、「帰りはゆっくり景色を楽しみながら戻ってね」「お供え物をたくさん積んで帰ってね」という気持ちが込められています。つまり、きゅうりの馬は「お迎え用」、なすの牛は「お送り用」というわけです。お盆にはお子さんと一緒にきゅうりとなすに割り箸を刺して精霊馬を作り、「どうしてきゅうりが馬でなすが牛なのかな?」と話しながらご先祖様を迎える準備をしてみましょう。

CHAPTER 05
親子でできるお盆の過ごし方

お盆の期間中は、親子で楽しみながらご先祖様への感謝を深められる過ごし方がたくさんあります。ここでは、子どもの年齢を問わず取り組みやすいアイデアをご紹介します。
  • お墓参りに行く --- お墓をきれいに掃除し、お花やお線香をお供えします。子どもにも小さなお花を持たせると、自分も参加しているという気持ちが芽生えます
  • 精霊馬(しょうりょうま)を作る --- きゅうりとなすに割り箸を刺して、馬と牛に見立てます。「きゅうりの馬は早く来てほしいから、なすの牛はゆっくり帰ってほしいから」と伝えると、子どもも興味を持ちやすくなります
  • 家族のアルバムを見る --- 写真を見ながら「この人がひいおばあちゃんだよ」と話すことで、会ったことのないご先祖様にも親しみを感じられます
  • お供え物を一緒に準備する --- 果物やお菓子を子どもと選びに行きましょう。ご先祖様が好きだったものを用意すると、より気持ちがこもります
  • 盆踊りに参加する --- 地域の盆踊り大会は、お盆の雰囲気を体感できる絶好の機会です。浴衣を着て夏祭り気分を楽しみましょう
TIP / 精霊馬づくりは自由研究にもおすすめ
精霊馬を作る過程を写真に撮り、お盆の意味と合わせてまとめると、小学生の夏休みの自由研究にもなります。きゅうりとなすを使う理由や、地域による違いを調べると学びが深まります。
お盆は帰省して祖父母と過ごすご家庭も多いでしょう。おじいちゃん・おばあちゃんから昔の話を聞いたり、親戚が集まって食事をしたりする時間そのものが、お盆ならではの大切な体験です。

CHAPTER 06
地域ごとのお盆の違い

お盆の風習は全国共通ではなく、地域によってさまざまな違いがあります。帰省先や旅行先でお盆の行事に触れる際の参考にしてみてください。
地域別・お盆の主な違い
地域時期特徴的な風習
東京・一部の関東7月13日〜16日(7月盆)新暦に合わせた7月盆が主流。都市部では小規模に行うことが多い
全国の多くの地域8月13日〜16日(月遅れ盆)旧暦に近い8月盆が一般的。帰省ラッシュもこの時期に重なる
京都8月16日五山の送り火(大文字焼き)が有名。山に点火してご先祖様を送り出す
長崎8月15日精霊流し(しょうろうながし)。船に故人の霊を乗せ、海へ送り出す
沖縄・奄美旧暦7月13日〜15日旧暦で行う。エイサー(伝統舞踊)でご先祖様を供養する
子どもと一緒にテレビやニュースで京都の大文字焼きや長崎の精霊流しを見ると、「同じお盆でもこんなに違うんだね」と日本の文化の多様さを感じるきっかけになります。旅先でお盆の行事に出会ったら、ぜひ親子で見学してみましょう。

CHAPTER 07
年齢別のポイント

お盆の伝え方や過ごし方は、子どもの年齢に合わせて工夫することが大切です。無理に難しい話をする必要はありません。成長とともに理解が深まっていきます。

0〜2歳:雰囲気を感じる時期

言葉での理解はまだ難しい年齢です。お仏壇に手を合わせる大人の姿を見せたり、盆提灯の灯りを一緒に眺めたりするだけで十分です。「なむなむしようね」と声をかけながら、手を合わせる習慣づけを始めましょう。

3〜5歳:体験を通じて学ぶ時期

精霊馬づくりやお供え物の準備など、手を動かす体験が効果的です。「きゅうりのお馬さん、かっこいいね」「おじいちゃんにお花をあげようね」と具体的な声かけをすると、お盆への親しみが生まれます。

6〜9歳:意味を理解し始める時期

お盆の由来や迎え火・送り火の意味を少しずつ説明できるようになります。家系図を一緒に書いてみたり、「ご先祖様はどんな人だったの?」とおじいちゃん・おばあちゃんに質問する時間を設けたりすると、学びが深まります。

10歳以上:文化として理解する時期

お盆の歴史的な背景や地域ごとの違いにも興味を持てる年齢です。自由研究のテーマにしたり、お寺の法要(ほうよう)に参列したりと、より深くお盆の文化に触れる機会を作ってあげましょう。
新米パパ
新米パパ / 2歳児のパパ
子どもが「死」について怖がったり不安になったりしたとき、どう答えたらいいでしょうか?
カゾイロ博士
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
「いなくなっちゃうわけじゃないよ。いつもみんなのことを見守ってくれているんだよ」と伝えてあげてください。お盆はご先祖様と「また会える」行事ですから、怖いものではなく温かいものだと感じてもらうことが大切です。

CHAPTER 08
よくある質問

A.
一般的なお盆は8月13日〜16日の4日間です。2026年のお盆休みは、企業によって異なりますが、8月13日(木)〜16日(日)が基本となります。東京など一部地域では7月13日〜16日にお盆を行うこともあります。
A.
もちろん大丈夫です。小さなお子さんでもお墓参りに連れて行くことは問題ありません。暑い時期なので熱中症対策をしっかり行い、水分補給をこまめにしましょう。お花を供えたりお水をかけたりする作業をお手伝いさせると、子どもなりに供養の気持ちが育まれます。
A.
お盆の期間中に家族で出かけること自体はまったく問題ありません。ただし、お墓参りやお仏壇へのお供えなど、ご先祖様への供養もできる範囲で行いましょう。帰省とレジャーを組み合わせるご家庭も多いです。
A.
お盆が終わったら処分して構いません。昔は川に流す習慣もありましたが、現在は塩で清めてから新聞紙に包み、可燃ごみとして出すのが一般的です。お寺によっては引き取ってくれるところもあります。
A.
帰省が難しい場合は、自宅でお線香を焚いて手を合わせるだけでも十分です。最近はオンラインでお墓参りの代行を依頼できるサービスもあります。大切なのは、ご先祖様を思い出して感謝する気持ちです。
A.
「ご先祖様はふだんお空で暮らしているけれど、お盆の間だけは特別におうちに帰って来られる日なんだよ。みんなに会いたいから帰ってくるんだね」と、温かい言葉で答えてあげましょう。正確な仏教的解釈よりも、子どもが安心できる伝え方を優先して大丈夫です。
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INFO
あわせて読みたい: お盆とは?新盆とは?夏の行事まとめ

CHAPTER 09
まとめ

お盆は、ご先祖様に感謝し、家族のつながりを感じる日本の大切な行事です。子どもには難しい言葉で説明する必要はありません。「ご先祖様がおうちに帰ってくる日」「ありがとうを伝える日」と、やさしい言葉で伝えてあげましょう。
迎え火・送り火、精霊馬づくり、お墓参りなど、お盆ならではの体験は子どもの心に深く残ります。年齢に合わせた関わり方を選びながら、親子で一緒にお盆の風習に触れてみてください。
お盆の由来やお供え物についてさらに詳しく知りたい方は、お盆とは?意味・お供え・風習を詳しく解説もぜひご覧ください。今年のお盆は、家族みんなでご先祖様に「ありがとう」を伝える時間にしてみてはいかがでしょうか。