香典(こうでん)は、お通夜や葬儀の際に故人への弔意を込めて遺族に贈る金銭です。急な弔事でも慌てないよう、香典の金額の相場や香典袋の書き方、渡し方のマナーを知っておくことが大切です。この記事では、香典の意味から金額の目安、表書きの書き方、渡すタイミング、香典返しのマナーまでわかりやすく解説します。

CHAPTER 01
香典とは?意味と由来

香典の「香」はお線香、「典」はお供え物を意味します。もともとは弔問の際にお線香や花を持参していましたが、やがて金銭を包んで贈るようになりました。香典には、故人の霊前にお線香の代わりとして供える意味と、葬儀にかかる費用を互いに助け合う相互扶助の意味が込められています。
香典の風習は室町時代頃から始まったとされ、当時は実際にお米やお線香を持ち寄っていました。現在のように金銭を包むスタイルが定着したのは昭和以降のことです。

CHAPTER 02
香典の金額の相場 ─ 関係性別の目安

香典の金額は、故人との関係性と自分の年代によって異なります。以下の相場を目安にしてください。
香典の金額の相場(関係性×年代別)
故人との関係20代30代40代以上
両親3万〜10万円5万〜10万円5万〜10万円
祖父母1万円1万〜3万円3万〜5万円
兄弟姉妹3万〜5万円3万〜5万円5万円
おじ・おば1万円1万〜2万円1万〜3万円
いとこ3,000〜1万円5,000〜1万円1万〜3万円
友人5,000円5,000〜1万円5,000〜1万円
職場の上司5,000〜1万円5,000〜1万円1万円
職場の同僚5,000円5,000〜1万円1万円
ご近所3,000〜5,000円3,000〜5,000円5,000円
!
CAUTION / 香典で避けるべき金額
香典では「4」と「9」を含む金額は避けましょう。「4=死」「9=苦」を連想させるためです。また、偶数の金額(2万円・4万円など)も「割れる=故人との縁が切れる」とされ縁起が悪いとされます。ただし、2万円は近年許容される傾向にあります。

CHAPTER 03
香典袋の選び方と表書きの書き方

香典袋(不祝儀袋(ぶしゅうぎぶくろ))は、宗教や金額に応じて適切なものを選びましょう。
宗教別の香典袋と表書き
宗教水引表書き備考
仏式(一般)黒白・双銀の結び切り御霊前四十九日前。最も無難
仏式(四十九日後)黒白・双銀の結び切り御仏前四十九日以降の法要
仏式(浄土真宗)黒白・双銀の結び切り御仏前浄土真宗は最初から御仏前
神式黒白・双銀の結び切り玉串料・御榊料
キリスト教(カトリック)なし(十字架・百合の花)御花料・御ミサ料
キリスト教(プロテスタント)なし(十字架・百合の花)御花料・忌慰料
宗教不明黒白の結び切り御霊前最も汎用的
表書きは薄墨の筆ペンで書くのがマナーです。薄墨には「悲しみの涙で墨が薄まった」という意味があります。下段にはフルネームを記入します。中袋には金額(旧字体で「金壱萬圓也」など)と住所・氏名を記入します。
新米パパ / 2歳児のパパ
香典袋に金額を旧字体で書くのが難しいです。普通の数字でもいいですか?
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
正式には旧字体(壱・弐・参・伍・萬)で書きますが、算用数字でも失礼にはあたりません。最近は中袋に金額記入欄が印刷されている香典袋もありますので、それを活用するのも手ですよ。大切なのは丁寧に書くことです。

CHAPTER 04
香典の渡し方 ─ 受付でのマナー

香典を渡す際のマナーを押さえておきましょう。
  1. 01
    袱紗(ふくさ)に包んで持参する
    香典袋は袱紗に包んで持っていくのがマナーです。弔事用の袱紗は紺・グレー・紫など落ち着いた色を選びます。紫は慶弔両用で便利です。
  2. 02
    受付で袱紗から取り出す
    受付の前で袱紗を開き、香典袋を取り出します。袱紗を畳んで台代わりにし、その上に香典袋を乗せて差し出します。
  3. 03
    お悔やみの言葉を添える
    「この度はご愁傷様でございます」と短くお悔やみを述べます。声は控えめに、一言で十分です。
  4. 04
    記帳する
    芳名帳に住所と氏名を記入します。代理で参列する場合は、依頼者の名前を書き、その下に小さく「代」と記入します。
香典(こうでん)
故人にお香を供える代わりの金品。不祝儀袋に入れて通夜や葬儀で渡します。
御霊前(ごれいぜん)
仏式の通夜・葬儀で使う表書き。四十九日までは「御霊前」、それ以降は「御仏前」が正式です。
香典返し
香典をいただいた方へのお返し。いただいた金額の半額程度(半返し)が一般的です。当日返し(即日返し)が増えています。
新札のマナー
香典に新札を使うのは「不幸を準備していた」と捉えられるため避けます。新札しかない場合は折り目をつけてから入れましょう。
新米パパ / 2歳児のパパ
香典袋の書き方で「薄墨」を使うと聞いたのですが、ボールペンでもいいですか?
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
正式には薄墨の筆ペンで書くのがマナーです。薄墨は「涙で墨が薄くなった」「急な訃報で墨を十分にする時間がなかった」という意味が込められています。ボールペンは略式ですが、中袋(内袋)の記入にはボールペンでも構いません。外袋の表書きだけは筆ペンを使いましょう。

CHAPTER 05
香典返し(お返し)のマナー

香典返しは、香典をいただいた方へのお礼として贈る品物です。「忌明け」(四十九日法要後)に贈るのが一般的ですが、最近は葬儀当日にお返しを渡す「当日返し(即日返し)」も増えています。
香典返しの金額は、いただいた香典の半額〜3分の1程度(「半返し」)が目安です。品物は「消えもの」(使ったらなくなるもの)が好まれ、お茶・海苔・タオル・洗剤・カタログギフトが定番です。のし紙は黒白の結び切りで、表書きは「」(仏式)または「偲び草」(神式)と書きます。
TIP / 香典返しで避けるべき品物
香典返しには肉・魚などの生鮮品(殺生を連想)、お酒(祝い事を連想)、鰹節(慶事の贈り物)は避けましょう。また、金券・商品券は金額がわかってしまうため避ける方が多いですが、近年はカタログギフトが広く受け入れられています。
5,000円
友人・知人への香典の一般的な金額
1〜10万円
親族への香典の金額幅
半額程度
香典返しの金額目安(半返し)
!
CAUTION / 香典の金額で避けるべき数字
「4」「9」は「死」「苦」を連想するため避けましょう。また、偶数の金額(2万円など)は「割り切れる=故人との縁が切れる」とされるため避けるのがマナーです。ただし、2万円を包む場合は1万円札1枚と5千円札2枚にすることで奇数枚にする方法もあります。

CHAPTER 06
香典袋(不祝儀袋)の選び方

香典袋は、宗教・宗派と金額に応じて選びます。仏式の場合は蓮(はす)の花が印刷された不祝儀袋、神式は無地の白い封筒または白黒の水引(みずひき)の不祝儀袋、キリスト教式は百合の花や十字架が印刷された封筒を使います。宗派がわからない場合は、蓮の花がない白黒の水引の不祝儀袋が最も無難です。
水引の色と結び方にも決まりがあります。一般的な仏式の場合は黒白の結び切り、関西地方では黄白の結び切りが主流です。金額が1万円以上の場合は双銀の水引を選びます。水引は「結び切り」のみを使い、「蝶結び」は繰り返し解けることから弔事には使いません。

香典の金額の決め方

香典の金額は故人との関係性、自分の年齢、地域の慣習によって異なります。20代の方と50代の方では同じ関係性でも包む金額が異なるのが一般的です。また、夫婦で参列する場合は連名で出し、金額は1人分の1.5〜2倍程度にします。
故人との関係20代30代40代以上
30,000〜50,000円50,000〜100,000円100,000円〜
兄弟姉妹30,000〜50,000円50,000円50,000円〜
祖父母10,000円10,000〜30,000円30,000〜50,000円
おじ・おば10,000円10,000〜20,000円20,000〜30,000円
友人5,000円5,000〜10,000円5,000〜10,000円
同僚3,000〜5,000円5,000〜10,000円5,000〜10,000円
!
CAUTION / 避けるべき金額
香典では「4」「9」のつく金額(4,000円、9,000円など)は「死」「苦」を連想するため避けます。また、偶数(2万円など)は「割り切れる=縁が切れる」として避けるのがマナーです。ただし、1万円は例外として問題ありません。

CHAPTER 07
香典の書き方

表書き

香典袋の表書きは、宗教・宗派と時期によって使い分けます。仏式で四十九日前は「御霊前」、四十九日以降は「御仏前」を使います。浄土真宗は四十九日前でも「御仏前」を使う点に注意が必要です。神式は「御玉串料」「御榊料」、キリスト教は「お花料」が一般的です。宗派がわからない場合は「御霊前」が最も無難です。

中袋の書き方

中袋(内袋)の表面には金額を旧漢数字で記入します。「金壱萬圓也」「金参萬圓也」のように書くのが正式ですが、「金一万円」でも問題ありません。裏面の左下に住所と氏名を記入します。中袋がない場合は、外袋の裏面に金額・住所・氏名を記入します。

CHAPTER 08
香典の渡し方

香典は通夜または葬儀・告別式(こくべつしき)の受付で渡します。両方に参列する場合は、通夜で渡すのが一般的です。渡す際は、ふくさから香典袋を取り出し、相手から読める向きに回して差し出します。「このたびはご愁傷様でございます」とお悔やみの言葉を添えましょう。
新米パパ
香典を郵送する場合はどうすればいいですか?
カゾイロ博士
葬儀に参列できない場合は、香典を現金書留で郵送できます。香典袋を現金書留封筒に入れ、短い手紙(お悔やみの言葉と参列できない旨のお詫び)を同封します。宛先は喪主宛てとし、葬儀後1週間以内に届くようにしましょう。郵送の場合も金額や表書きのマナーは通常通りです。

香典返し(お返し)のマナー

香典をいただいた場合は、「香典返し」としてお返しをするのがマナーです。金額は香典の半額程度(半返し)が基本ですが、高額の香典には3分の1程度で問題ありません。時期は四十九日法要後(忌明け後)に送るのが一般的で、挨拶状を添えます。
香典返しの品物は、お茶、海苔、タオル、洗剤など消えもの(消耗品)が定番です。カタログギフトも人気で、受け取った方が好きなものを選べるため喜ばれています。のしは黒白の結び切りで、表書きは「志」(関東)または「満中陰志」(関西)を使います。
TIP / 表書き「粗供養」と「満中陰志」の使い分け
香典返しの表書きは地域によって異なります。関東では「」、関西では「満中陰志」が一般的です。法事(年忌法要)の引き出物には「粗供養(そくよう)」と書くのが正式で、特に西日本で広く使われています。どの表書きでも、のし紙は黒白または黄白の結び切りを使いましょう。

連名で香典を出す場合のマナー

香典を連名で出す場合は、人数によって書き方が異なります。2〜3名の場合は、目上の方を右側にして全員の名前を表書きに記します。立場が同じであれば五十音順に書きましょう。
4名以上の場合は、代表者の名前を中央に書き、その左下に「外一同」と添えます。中袋には全員の名前・住所・金額を書いた紙を入れてください。会社の部署でまとめて出す場合は「○○部一同」「○○課有志一同」と書くのが一般的です。
TIP / 連名の金額の注意点
連名で出す場合、一人あたりの金額が端数にならないよう調整しましょう。また、合計金額が「4」「9」のつく数字にならないよう気をつけてください。例えば4名なら一人5,000円で合計20,000円、3名なら一人10,000円で合計30,000円が包みやすい金額です。

香典のお札の入れ方とふくさの使い方

香典袋にお札を入れる際は、お札の肖像画を裏向きにして入れるのがマナーです。これは「顔を伏せる=悲しみを表す」という意味があります。新札は「不幸を予期して準備していた」という印象を与えるため避けるべきですが、もし新札しかない場合は一度折り目をつけてから入れましょう。
香典袋はふくさ(袱紗)に包んで持参するのが正式なマナーです。弔事用のふくさは紫・紺・グレーなど暗い色のものを選びます。紫色のふくさは慶弔両用で便利です。包み方は「左開き」になるように折りたたみます。
  1. 01
    ふくさの包み方
    ふくさをひし形に広げ、中央に香典袋を置きます。
  2. 02
    右側を折る
    まず右側の角を中央に向かって折ります。
  3. 03
    下側を折る
    次に下側の角を中央に向かって折ります。
  4. 04
    上側を折る
    上側の角を中央に向かって折ります。
  5. 05
    左側を折る
    最後に左側の角を折ってかぶせます。弔事は左開きになるのが正しい形です。
新米パパ
ふくさがない場合はどうすればいいですか?
カゾイロ博士
ふくさがない場合は、暗い色のハンカチで代用できます。白いハンカチでも折り方を弔事の左開きにすれば失礼にはあたりません。ただし、可能であれば紫色のふくさを一つ用意しておくと、慶弔どちらにも使えて便利ですよ。

CHAPTER 09
宗教別の香典のマナー

香典のマナーは宗教によって異なります。仏式では「御霊前」「御仏前」「御香典」などの表書きを使い、黒白または黄白(関西)の水引が一般的です。神式では「御玉串料」「御榊料」「御神前」と書き、白い封筒または黒白の水引を使用します。
キリスト教式では、カトリックの場合は「御ミサ料」「御花料」、プロテスタントの場合は「御花料」「忍草料」が適切です。キリスト教式の場合は十字架やユリの花が描かれた専用の封筒を使います。白い封筒でも構いません。
宗教・宗派表書き香典袋の種類水引
仏式(四十九日前)御霊前・御香料蓮の花の不祝儀袋黒白・結び切り
仏式(四十九日後)御仏前蓮の花の不祝儀袋黒白・結び切り
浄土真宗御仏前(通夜から)蓮の花の不祝儀袋黒白・結び切り
神式御玉串料・御榊料白い封筒/無地の不祝儀袋黒白・結び切り
カトリック御ミサ料・御花料十字架・ユリの封筒なし
プロテスタント御花料・忍草料十字架・ユリの封筒なし
!
CAUTION / 宗教が不明な場合
宗教がわからないときは「御霊前」と書くのが最も無難です。ただし、浄土真宗だけは通夜から「御仏前」を使うため注意してください。事前に確認できない場合は、白い封筒に「御霊前」と書くのが最も広く受け入れられる書き方です。

香典辞退と言われた場合の対応

近年は「香典辞退」の葬儀も増えています。故人や遺族の意向で香典を受け取らない場合、その意思を尊重するのがマナーです。「それでも気持ちだけでも」と無理に渡すのは避けましょう。
香典辞退の場合は、供花や供物(果物盛り・菓子折り)を贈ることで弔意を示す方法があります。ただし、供花・供物も辞退されている場合は、弔電(ちょうでん)を送るのが適切です。後日、お悔やみの手紙を送るのも丁寧な対応です。
新米パパ
香典辞退の場合、後日何かお渡ししたいのですが、どうすれば良いですか?
カゾイロ博士
四十九日(しじゅうくにち)が過ぎてから、故人が好きだったお菓子やお花をご遺族にお渡しするのは良い方法です。「御仏前」としてお供えを持参し、仏壇に手を合わせさせていただくと、ご遺族にも喜ばれますよ。

会社関係の香典のマナー

会社の同僚や取引先に不幸があった場合、香典の取り扱いは職場によって異なります。会社として出す場合は総務部や庶務が取りまとめることが多く、金額は社内規定に従います。個人的に出す場合は、直属の上司や同僚と相談して金額を合わせると良いでしょう。
取引先の方の場合は、会社名で香典を出すのが一般的です。表書きには会社名と代表者名を記し、金額は10,000円〜30,000円が相場です。弔電も併せて送ると丁寧です。通夜や告別式に参列する場合は、喪服に名刺を持参し、受付で名刺の右上に「弔」の字を書いて差し出します。
関係性会社として個人として参列の判断
直属の部下会社規定による3,000〜10,000円参列推奨
同僚部署でまとめる3,000〜5,000円親しければ参列
上司会社規定による5,000〜10,000円参列推奨
取引先会社名で10,000〜30,000円個人では不要代表者が参列
元同僚個人判断3,000〜10,000円関係性による

法事・法要(ほうよう)での香典のマナー

法事(四十九日法要、一周忌三回忌など)に出席する際にも香典を持参します。法事での香典の表書きは、四十九日以降であれば「御仏前」(浄土真宗は通夜から御仏前)を使います。金額は葬儀時よりもやや少なめが一般的です。
法事の種類親族友人・知人会食あり加算
四十九日法要10,000〜30,000円5,000〜10,000円+5,000〜10,000円
一周忌10,000〜30,000円5,000〜10,000円+5,000〜10,000円
三回忌10,000〜20,000円5,000〜10,000円+3,000〜5,000円
七回忌以降5,000〜10,000円3,000〜5,000円+3,000〜5,000円
法事では会食(お斎=おとき)が振る舞われることが多いため、会食がある場合は食事代として5,000〜10,000円を上乗せするのが目安です。引き出物も用意されていることを踏まえ、お互いに負担が偏らない金額を心がけましょう。
TIP / 法事の香典袋の選び方
法事では黒白または双銀の結び切りの不祝儀袋を使います。関西地方では黄白の水引が一般的です。金額が5,000円以下であれば水引が印刷されたシンプルな不祝儀袋で構いません。

CHAPTER 10
地域別の香典の特徴

香典の風習は地域によって異なる部分があります。関西地方では水引の色が黒白ではなく黄白を使う地域が多いです。これは京都の公家文化の影響とされ、黄色は「高貴な色」として弔事でも使われてきた伝統があります。
北海道では、通夜や葬儀の受付で香典を渡すと、その場で「領収書」が発行されるという独自の文化があります。これは後の香典返しをスムーズにするための合理的な慣習です。また沖縄では、近隣住民が自主的に通夜や葬儀の手伝いをする「模合(もあい)」の文化が根強く、香典の金額は本土に比べてやや少なめの傾向にあります。
新米パパ
転勤先の地域の香典マナーがわからないのですが、どう調べたらいいですか?
カゾイロ博士
地域の風習は、職場の先輩や地元の方に聞くのが最も確実です。「こちらの地域ではどのような慣習ですか」と率直に尋ねれば、親切に教えてもらえますよ。葬儀社に相談するのも一つの方法です。

若い世代の香典事情と現代のマナー

20代〜30代の若い世代では、香典のマナーに不安を感じる方が多いです。社会人になって初めて葬儀に参列するケースも珍しくなく、香典の相場や書き方を検索して調べる方がほとんどでしょう。若い世代の場合、友人の親御さんの葬儀に参列する機会が最初の弔事になることが多く、この場合の香典は3,000〜5,000円が相場です。
会社の同僚と連名で香典を出す場合は、一人あたり1,000〜3,000円を集めてまとめるのが一般的です。新入社員は先輩に相場を確認し、足並みを揃えるのがスマートです。また、最近では香典の代わりにお花やお供え物を贈る「香典辞退」の葬儀も増えており、弔意の示し方も多様化しています。

香典に関する最近のトレンドと変化

葬儀の小規模化に伴い、香典のあり方も変化しています。家族葬では香典辞退が約4割に達しており、「お気持ちだけで結構です」と案内されるケースが増えました。香典辞退の葬儀では、参列者の経済的負担が軽減される一方、遺族側は葬儀費用を全額自己負担することになるため、事前の資金準備が重要になっています。
デジタル化の波は香典にも及びつつあります。一部の葬儀社ではオンライン香典のサービスを開始しており、遠方から参列できない方がクレジットカードや銀行振込で香典を送れる仕組みが整いつつあります。ただし、まだ広く普及しているとは言えず、オンライン香典に抵抗を感じる世代もいるため、利用する際は遺族に事前に確認するのが望ましいでしょう。
新米パパ
コロナ禍以降、葬儀に参列しないで香典だけ送るケースが増えましたが、失礼にあたりませんか?
カゾイロ博士
全く失礼にはあたりません。むしろ、遺族の負担を考えて参列を控え、香典を現金書留で送るのは思いやりのある対応です。お悔やみの手紙を添えれば十分に弔意は伝わりますよ。

地域で異なる香典の持参タイミング

全日本冠婚葬祭互助協会の調査によると、香典を持参するタイミングには地域差があります。関東・中部・近畿では通夜に持参するのが主流ですが、北海道・四国・九州では告別式に持参する割合が高い傾向にあります。
i
INFO
通夜と告別式の両方に参列する場合、香典はどちらか一方で渡せば問題ありません。最近は通夜のみ参列する方が増えているため、通夜で渡すケースが全国的には多くなっています。両方に参列する場合は、通夜で香典を渡し、告別式では記帳のみ行うのが一般的です。
同調査では会葬者の年齢構成も発表されており、40代が1,193件、50代が1,279件と中高年が中心を占めています。29歳以下は594件、30代は864件、60歳以上は605件で、年齢が上がるほど葬儀参列の機会が増えることがわかります。

CHAPTER 11
香典を受け取る側のマナー ─ 遺族の心得

香典を受け取る遺族側にもマナーがあります。受付では参列者ごとに香典帳(芳名帳)に金額を記録し、後の香典返しに備えます。高額の香典をいただいた方には「半返し」を超える手厚いお返しを検討しましょう。また、職場や団体から連名で香典をいただいた場合は、個別に香典返しをするか、まとめて品物を贈るか判断が必要です。一人あたりの金額が少額の場合は、お菓子の詰め合わせをまとめてお渡しするのも一般的です。
香典辞退を決めた場合は、訃報の連絡や葬儀案内に明記しましょう。「誠に勝手ながら、ご香典はご辞退申し上げます」と記載し、受付でも「香典は辞退させていただいております」と丁重にお伝えします。それでも持参される方がいた場合は、無理にお断りせず受け取るケースが多いです。いただいた場合は後日、香典返しをお送りするのが丁寧な対応です。

香典を頂いた後のお礼状 ─ 書き方と文例

香典返しを郵送する際には、お礼状(挨拶状)を添えるのがマナーです。忌明けの挨拶状は、葬儀への参列と香典に対する感謝、忌明けの報告、香典返しの品物を送る旨を簡潔にまとめます。文面は縦書きが正式で、句読点は使わないのが伝統的な書き方です。
文例として「謹啓 先般 亡父○○の葬儀に際しましては ご多忙中にもかかわらずご鄭重なるご厚志を賜り 誠にありがとうございました おかげをもちまして本日四十九日の法要を滞りなく相済ませることができました つきましては供養のしるしに心ばかりの品をお送りいたしますので ご受納くださいますようお願い申し上げます 略儀ながら書中にてご挨拶申し上げます 敬白」のように記します。印刷で用意する場合でも、一言手書きのメッセージを添えると心が伝わります。
香典は金額の大小ではなく、故人への弔意と遺族への心遣いを形にした日本特有の美しい文化です。時代とともに葬儀の形式は変化していますが、大切な方を亡くした遺族に寄り添う気持ちは変わりません。突然の弔事にも落ち着いて対応できるよう、不祝儀袋と薄墨の筆ペン、ふくさは自宅に常備しておきましょう。香典の金額や書き方に迷ったときは、年長者や職場の先輩に相談するのが確実です。マナーを守りつつ、心を込めた弔意を伝えることが、何よりも大切な香典の本質です。
香典は故人への弔意と遺族への思いやりを込めた日本の大切な文化です。金額や書き方のマナーを正しく理解し、心を込めて贈りましょう。形式だけでなく、故人を偲ぶ気持ちが込められた香典は、ご遺族にとって大きな支えとなります。
i
INFO
あわせて読みたい: 葬儀・告別式とは?法要とは?

CHAPTER 12
香典に関するよくある質問

A.
喪家の意向を尊重し、香典は持参しません。代わりにお花(供花)やお菓子を贈る方法もありますが、それも辞退されている場合は弔意のお手紙を送るだけでも十分です。
A.
2〜3名の場合は中央に目上の方の名前を書き、左に順に記入します。4名以上の場合は「○○一同」と書き、別紙に全員の名前を記入して中袋に入れます。金額は一人あたり3,000〜5,000円程度が目安です。
A.
はい、夫婦で1つの香典で構いません。表書きは夫のフルネームを中央に書きます。夫婦連名にする場合は、夫のフルネームの左に妻の名前だけを記入します。
A.
お通夜で渡すのが一般的です。両方に参列する場合でも、香典は1回だけで構いません。葬儀の受付では「お通夜にお渡ししております」と伝えれば問題ありません。
A.
「4」「9」のつく金額は「死」「苦」を連想させるため避けます。4,000円、9,000円、40,000円などは避けましょう。偶数も「割り切れる=縁が切れる」とされるため、奇数の金額が好ましいですが、20,000円は現在では問題ないとされています。
A.
通夜で渡すのが一般的です。通夜で渡した場合、告別式では受付で「通夜にお持ちしました」と伝えて記帳のみ行います。どちらか一方のみ参列する場合は、その場で渡します。
A.
やむを得ず参列できない場合は、現金書留で香典を送ることができます。香典袋に入れた状態で現金書留封筒に入れ、お悔やみの手紙を添えて送ります。届け先は喪主のご自宅宛てにし、葬儀社宛てには送らないよう注意してください。
書籍『日本のしきたり』では、不祝儀袋の選び方と包み方の作法が図解付きで詳しく紹介されています。同書によると、不祝儀袋は包む金額に見合ったものを選ぶのが基本で、5,000円以下なら水引が印刷されたもの、1万円以上なら実際の水引が結ばれたもの、3万円以上なら双銀の水引と高級和紙の袋を使うのが適切です。金額と袋の格が釣り合わないと、かえって失礼にあたることがあると記されています。
また同書は、中袋へのお札の入れ方にも詳しく触れています。弔事ではお札の肖像画が裏向き(伏せた状態)になるように入れるのが作法で、これは「顔を伏せて悲しむ」気持ちの表れです。さらに、ふくさで不祝儀袋を包む際は右→下→上→左の順に折りたたみ、左側が上に来るようにするのが弔事の正しい包み方であると解説されています。慶事とは折りたたむ順序が逆になるため、間違えないよう注意が必要です。

CHAPTER 13
まとめ

香典は、故人への弔意と遺族への心遣いを形にする大切な日本の文化です。金額の相場や香典袋の書き方、渡し方のマナーを知っておけば、急な弔事にも慌てず対応できます。大切なのは形式よりも故人を偲ぶ気持ちです。