夏の夜、川面にいくつもの灯籠がゆらめきながら流れていく——灯籠流し(とうろうながし)は、お盆に迎えたご先祖様の霊を、灯籠の灯りとともに送り出す日本の伝統行事です。幻想的な光景で知られますが、その一つひとつの灯りには、亡き人を悼み、無事にあの世へ帰ってもらいたいという願いが込められています。この記事では、灯籠流しの意味や由来、よく似た精霊流しとの違いまでをわかりやすく解説します。
CHAPTER 01灯籠流しとは?
灯籠流しとは、ろうそくを灯した灯籠を川や海に流し、ご先祖様や亡くなった人の霊を送る行事です。お盆の期間、とくに送り盆にあたる8月16日前後に行われることが多く、迎え火(むかえび)・送り火(おくりび)と同じく「霊を送る」意味を持ちます。灯籠には、故人の戒名(かいみょう)やお別れのメッセージを書き添えることもあります。
- 灯籠(とうろう)
- 木や紙で作った枠の中にろうそくを灯したもの。灯籠流しでは水に浮かべて流す
- 送り盆
- お盆の最終日(多くは8月16日)。迎えたご先祖様の霊を送り出す日
- 灯籠の灯り
- 亡き人の霊を象徴し、あの世への道を照らすとされる
CHAPTER 02灯籠流しの意味と由来
灯籠流しの起源は明確には分かっていませんが、水に乗せて霊や穢れ(けがれ)を送り出すという考え方は、古くから日本各地にありました。お盆の迎え火・送り火の風習と結びつき、火を灯した灯籠を水に流す形へと発展したと考えられています。
水は古来、この世とあの世を結ぶ通り道と考えられてきました。灯籠の灯りは、帰ってきたご先祖様の霊が迷わずあの世へ戻れるよう道を照らす役割を担っています。第二次世界大戦後は、戦争や災害の犠牲者を追悼する目的で行われる灯籠流しも各地に広がりました。
パ
新米パパ
灯籠流しって、見ているだけでもきれいですよね。あの灯りには、どんな意味があるんですか?
博
カゾイロ博士
灯籠の一つひとつが、ご先祖様や亡くなった方の霊を表しています。灯りで道を照らして、無事にあの世へ帰ってもらう——お盆の送り火を、川や海の上で行う行事だと考えるとわかりやすいですよ。
INFO / 灯籠流しの時期
灯籠流しは、お盆の送り盆にあたる8月16日前後に行われることが多い行事です。ただし地域によっては7月に行うところや、終戦記念日の8月15日に平和を祈って実施するところもあります。
CHAPTER 03精霊流しとの違い
灯籠流しとよく混同されるのが、長崎県を中心に行われる「精霊流し(しょうろうながし)」です。名前も意味も似ていますが、行事の様子は大きく異なります。
| 項目 | 灯籠流し | 精霊流し |
|---|---|---|
| 主な地域 | 全国各地 | 長崎県・熊本県の一部 |
| 流すもの | 小さな灯籠 | 精霊船(しょうろうぶね)と呼ばれる船 |
| 雰囲気 | 静かで幻想的 | 爆竹や鉦(かね)を鳴らし、にぎやか |
| 対象 | ご先祖様全般 | その年に亡くなった人(新盆)が中心 |
精霊流しは、その年に亡くなった人の遺族が、故人の霊を弔うために手作りの精霊船を引いて街を練り歩く行事です。爆竹を盛大に鳴らすにぎやかさが特徴で、静かに灯籠を流す一般的な灯籠流しとは対照的です。新盆については新盆(初盆)の記事もあわせてご覧ください。
CHAPTER 04全国の有名な灯籠流し
灯籠流しは全国で行われますが、なかでも次のような行事が広く知られています。
- 広島の灯籠流し(広島県):原爆の犠牲者を追悼し、平和を祈って毎年8月6日に元安川で行われる
- 嵐山の灯籠流し(京都府):五山送り火と同じ8月16日に、嵐山の渡月橋付近で営まれる
- 各地の寺社・河川敷で行われる地域の灯籠流し:自治体や寺院が主催し、一般の人も参加できる
- 東日本大震災などの被災地で行われる、犠牲者を追悼する灯籠流し
京都では、お盆の最終日に五山送り火が灯されると同時に、嵐山で灯籠流しが行われ、山と川の両方で霊を送る幻想的な夜になります。
CHAPTER 05灯籠流しに参加するときの注意点
近年は環境への配慮から、灯籠流しのやり方も見直されています。参加する際は次の点に気をつけましょう。
CAUTION / 環境への配慮
かつては灯籠をそのまま川や海に流していましたが、現在は下流で灯籠を回収する方式が主流です。主催者のルールに従い、自分で勝手に灯籠を流したり、ごみを残したりしないようにしましょう。
パ
新米パパ
自分の家でも、近くの川に灯籠を流していいんでしょうか?
博
カゾイロ博士
個人で勝手に流すのは、環境やルールの面でおすすめできません。多くの地域では自治体や寺社が主催する灯籠流しに灯籠を申し込む形になっています。まずはお住まいの地域の行事を調べてみるといいですよ。
CHAPTER 06灯籠流しに関するよくある質問
A.
お盆の送り盆にあたる8月16日前後に行われることが多いです。地域によっては7月のお盆や、終戦記念日の8月15日に合わせて行うところもあります。
A.
似ていますが別の行事です。灯籠流しは小さな灯籠を静かに流す全国的な行事で、精霊流しは長崎などで精霊船を引いて爆竹を鳴らすにぎやかな行事です。
A.
故人の戒名やお名前、感謝やお別れのメッセージを書くのが一般的です。主催者によって書き方の決まりがある場合は、その案内に従いましょう。
A.
多くの灯籠流しは一般の人も灯籠を申し込んで参加できます。費用や受付方法は行事ごとに異なるため、主催する自治体や寺社の案内を確認してください。
CHAPTER 07まとめ
灯籠流しは、お盆に迎えたご先祖様の霊を、灯籠の灯りとともに川や海へ送り出す日本の伝統行事です。水を通じて霊をあの世へ送るという古い考え方と、お盆の送り火の風習が結びついて生まれました。長崎の精霊流しとはよく似ていますが、静けさとにぎやかさという点で対照的です。近年は環境に配慮した形で各地に受け継がれています。夏の夜、川面をゆく灯りに、亡き人への思いをそっと重ねてみてはいかがでしょうか。
INFO
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