端午の節句は、毎年5月5日に子どもの健やかな成長を願って行われる日本の伝統的な年中行事です。こいのぼりや五月人形を飾り、柏餅(かしわもち)やちまきを食べ、菖蒲湯に浸かるなど、端午の節句ならではの過ごし方がたくさんあります。この記事では、端午の節句の意味や由来をおさらいしたうえで、家族みんなで楽しめるアイデアや準備のスケジュールをわかりやすくご紹介します。
CHAPTER 01端午の節句とは?簡単におさらい
端午の節句は、古代中国の「端午」の風習が日本に伝わり、奈良時代ごろから宮中行事として定着したのが始まりとされています。「端午」とは月の初めの午(うま)の日を意味し、もともとは季節の変わり目に邪気を払う厄除けの行事でした。やがて「午(ご)」と「五」の音が通じることから5月5日に固定され、武家社会では男子の成長を祝う行事へと発展しました。
現在は1948年に「こどもの日」として国民の祝日に制定されたこともあり、男女問わずすべての子どもの幸せを願う日として広く親しまれています。五節句のひとつであるこの行事には、兜や鎧を飾る、こいのぼりを揚げる、菖蒲湯に入るなど、さまざまな風習が今に受け継がれています。
5月5日
端午の節句の日付
奈良時代
日本に定着した時期
1948年
こどもの日として祝日制定

パ
新米パパ / 2歳児のパパ
端午の節句って「男の子の日」というイメージが強いですが、女の子がいる家庭ではお祝いしなくてもいいのですか?
博
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
こどもの日は「すべての子どもの人格を重んじ、幸福を図る」日として定められています。伝統行事を楽しみつつ、性別を問わずお子さんの成長をお祝いして問題ありませんよ。
CHAPTER 02家族での端午の節句の過ごし方アイデア7選
過ごし方にはさまざまな選択肢があります。伝統的な風習を取り入れながら、家族で楽しめるアイデアを7つご紹介します。すべてを行う必要はなく、ご家庭の状況やお子さんの年齢に合わせて取り入れてみてください。こいのぼりを飾る
端午の節句といえば、青空を泳ぐこいのぼりを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。こいのぼりには「鯉(こい)が滝を登って龍になる」という中国の故事にちなみ、子どもが困難に負けず立派に成長してほしいという願いが込められています。
近年はマンションのベランダに設置できるコンパクトなベランダ用こいのぼりや、室内に飾れるちりめん細工のこいのぼりなど、住環境に合わせた選択肢が増えています。飾る時期は4月中旬ごろから5月5日までが一般的です。当日だけでなく、準備の段階からお子さんと一緒に飾り付けを楽しめると、行事への関心も高まります。
五月人形・兜を飾る
五月人形や兜飾りは、端午の節句において子どもの身代わりとなって厄を引き受ける役割を持つとされています。武将のように力強く育ってほしいという願いを込めて、鎧兜や武者人形を飾る風習は江戸時代から続いています。
五月人形の種類は大きく分けて兜飾り・鎧飾り・武者人形の三種類です。飾る時期は春分(しゅんぶん)の日(3月20日ごろ)を過ぎてから4月中旬までに飾り、5月中旬までに片付けるのが一般的です。ひな人形と異なり、「しまい遅れると婚期が遅れる」といった言い伝えはありませんが、湿気の少ない晴れた日に片付けると長持ちします。
TIP / 五月人形の選び方ポイント
初めて五月人形を購入する場合は、置き場所のサイズを事前に測っておきましょう。コンパクトな兜飾り(幅30〜40cm)はリビングの棚にも置きやすく人気があります。初節句のお祝いとして祖父母から贈られるケースが多いため、事前に両家と相談しておくとスムーズです。
菖蒲湯に入る
5月5日には菖蒲(しょうぶ)の葉をお風呂に浮かべて入浴する「菖蒲湯」の風習があります。菖蒲の強い香りには邪気を払う力があると信じられてきました。また、「菖蒲」が「勝負」「尚武(武道を重んじる)」に通じることから、武家社会で特に大切にされてきた風習です。
菖蒲湯の作り方はとても簡単です。スーパーや花屋で菖蒲の葉を購入し、湯船に数本浮かべるだけで準備完了です。より香りを楽しみたい場合は、根元の茎の部分も一緒に入れると効果的です。血行促進やリラックス効果も期待でき、端午の節句の過ごし方としてお子さんだけでなく大人も一緒に楽しめます。赤ちゃんの場合は肌への刺激を考慮して、短時間の入浴にとどめるか、菖蒲を直接肌に触れさせないよう注意しましょう。
菖蒲湯の風習は平安時代の宮中行事「五日の節会」にまで遡ります。当時、宮中では菖蒲やよもぎで屋根を葺いた「菖蒲の輿(こし)」を設け、菖蒲を髪飾りや冠に挿す「菖蒲かずら」という風習がありました。菖蒲の根茎に含まれる精油成分アサロンは、血行を促進し体を温める薬効があるとされ、古来より薬草として珍重されてきました。江戸時代になると庶民の間にも菖蒲湯が普及し、5月5日に菖蒲の葉を湯に浮かべて入浴する現在のかたちが定着しました。
兜飾りとこいのぼりにも、それぞれ異なる歴史的背景があります。兜や鎧を飾る風習は鎌倉時代の武家社会から始まり、端午の節句に武具を虫干しする実用的な慣習が、やがて男児の武運と成長を祈る意味を帯びるようになりました。一方、こいのぼりの風習は江戸時代中期に町人文化から生まれたもので、武家が幟(のぼり)に家紋を掲げるのに対抗して、裕福な商家が中国の「登龍門」伝説にちなみ鯉の絵を描いた幟を立てたのが始まりです。鯉が急流を遡って龍となる故事に子の立身出世の願いを重ねたこの風習は、やがて武家・庶民の別なく日本中に広まりました。
行事食を楽しむ(柏餅・ちまき)
端午の節句の行事食として代表的なのが柏餅とちまきです。柏餅は主に関東地方で親しまれ、柏の葉は新芽が出るまで古い葉が落ちないことから「家系が途絶えない」「子孫繁栄」の縁起物とされています。一方、ちまきは関西地方を中心に食べられ、中国の詩人・屈原の故事に由来する厄除けの食べ物です。
そのほかにも、こどもの日に合わせてたけのこ料理やかつお料理を用意する家庭もあります。たけのこにはまっすぐ伸びる成長の象徴、かつおには「勝男」にかけた縁起の良さがあります。お子さんと一緒にちまきを巻いたり柏餅を作ったりすれば、この行事ならではの食育体験にもなるでしょう。
- 柏餅(かしわもち)
- 柏の葉で包んだあんこ入りの餅。関東を中心に5月5日に食べられる。子孫繁栄の意味がある
- ちまき
- 笹の葉で包んだ餅菓子。関西を中心に食べられ、厄除けの意味がある。中国の故事に由来
- たけのこ
- まっすぐ育つ姿から、子どもの健やかな成長を象徴する旬の食材
- かつお
- 「勝男」に通じることから、こどもの日の祝い膳にふさわしい縁起物
子どもと工作を楽しむ
端午の節句の過ごし方として、お子さんと一緒に手作りの飾りを作るのもおすすめです。折り紙でこいのぼりや兜を折る、画用紙と割り箸でミニこいのぼりを作る、紙皿で兜のお面を作るなど、年齢に合わせた工作が楽しめます。
手作りの飾りを部屋に飾れば、お祝いの雰囲気がいっそう盛り上がります。折り紙の兜は新聞紙を使って実際にかぶれるサイズで作ることもでき、写真撮影の小道具としても活躍します。工作を通じてこの行事の由来を話してあげると、理解も深まります。
季節のお出かけスポットへ
5月5日の前後には、全国各地でこいのぼりの一斉掲揚や五月人形の展示など、季節のイベントが開催されます。川や橋にたくさんのこいのぼりを渡す「こいのぼりの川渡し」は群馬県館林市や埼玉県加須市が有名で、大迫力の光景を楽しめます。
また、こどもの日のお出かけ先としては、動物園・水族館・公園などの定番スポットに加え、菖蒲園や歴史博物館もおすすめです。ゴールデンウィーク中は混雑しやすいため、早めの時間帯に出発するか、地元の穴場スポットを探してみるとゆったりと楽しめます。
記念撮影をする
端午の節句は、お子さんの成長を記録する絶好の機会です。五月人形やこいのぼりの前で記念撮影をしておくと、毎年の成長を振り返る大切な思い出になります。特に初節句のお祝いの年は、プロのカメラマンによる出張撮影やフォトスタジオの利用を検討してもよいでしょう。
自宅で撮影する場合は、自然光が入る窓際に五月人形を設置し、お子さんに陣羽織や甚平を着せると雰囲気のある写真が撮れます。兄弟姉妹がいる場合は全員で撮影し、お祝いの一コマとして家族のアルバムに残しましょう。
パ
新米パパ / 2歳児のパパ
初めてのこどもの日なので記念写真をきれいに残したいのですが、自宅でうまく撮るコツはありますか?
博
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
午前中の自然光が柔らかくておすすめです。五月人形の正面やや斜めにお子さんを座らせ、背景をすっきり整えると映えますよ。スマートフォンでもポートレートモードを使えば、背景がぼけてプロっぽい仕上がりになります。
CHAPTER 03端午の節句の楽しみ方を年齢別に紹介
端午の節句の過ごし方は、お子さんの年齢によって楽しめる内容が変わります。以下の表を参考に、お子さんの発達段階に合った楽しみ方を選んでみてください。
| 年齢 | おすすめの過ごし方 | ポイント |
|---|---|---|
| 乳児(0歳) | 五月人形と一緒に記念撮影、菖蒲の葉を見せる、陣羽織を着せてお祝い膳を囲む | 赤ちゃんの体調を最優先に。菖蒲湯は短時間で切り上げるか、足湯にとどめると安心 |
| 幼児(1〜3歳) | こいのぼりの歌を歌う、折り紙で兜を作る、柏餅やちまきを少量味わう | 誤飲に注意。小さな飾りや人形のパーツには目を離さないこと |
| 幼児(4〜5歳) | こいのぼりの工作、菖蒲湯を楽しむ、行事食のお手伝い(柏餅を包むなど) | 行事の意味を簡単な言葉で伝え始めるとよい時期 |
| 小学校低学年 | 五月人形の飾り付けを手伝う、行事の由来を学ぶ、お出かけイベントに参加 | 自分で飾り付けや片付けができるようになる。責任感を育てる機会にも |
| 小学校高学年 | 行事の歴史を調べ学習する、本格的な料理づくりに挑戦、家族への感謝を伝える | 親子でこの伝統行事について話し合い、文化への理解を深める |
パ
新米パパ / 2歳児のパパ
2歳の子どもにはどの行事食が向いていますか?柏餅はまだ早い気がして迷っています。
博
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
2歳のお子さんには柏餅の餅部分は喉に詰まるおそれがあるので注意が必要です。あんこだけを少量味わわせたり、やわらかく炊いた「お祝いプレート」として、たけのこご飯やかつおのそぼろなどを盛り付けてあげるとよいですよ。
CHAPTER 04端午の節句の準備スケジュール
端午の節句を気持ちよく迎えるためには、早めの準備が大切です。以下のステップに沿って進めると、当日まで余裕を持って楽しめます。
- 013月中旬〜下旬:五月人形・こいのぼりの準備初節句の場合は購入を検討します。昨年に引き続き飾る場合は、保管状態を確認し、汚れや破損がないかチェックしましょう。人気商品は早めに売り切れることがあるため、余裕を持って選びます。
- 024月上旬〜中旬:飾り付け開始春分の日を過ぎたら飾り始めてよい時期です。遅くとも5月5日の2週間前までには飾り終えましょう。一夜飾り(前日に慌てて飾ること)は縁起が悪いとされているため避けます。
- 034月下旬:行事食・菖蒲の手配柏餅やちまきの予約・購入の計画を立てます。菖蒲の葉はスーパーや花屋で5月初旬から販売されるため、見かけたら早めに入手しておくと安心です。
- 045月5日:当日を楽しむ五月人形やこいのぼりの前で記念撮影をし、行事食を家族で楽しみましょう。夕方には菖蒲湯で一日の疲れを癒します。家族みんなでこどもの日の過ごし方を満喫してください。
- 055月中旬:片付け天気の良い乾燥した日を選んで、五月人形やこいのぼりを丁寧に片付けます。防虫剤を入れて湿気の少ない場所に保管しましょう。来年も気持ちよく飾れるように手入れをしておくことが大切です。
CAUTION / 一夜飾りは避けましょう
前日に慌てて飾り付けをする「一夜飾り」は、お葬式を連想させるとして縁起が悪いとされています。できるだけ2週間以上前に飾り終えるように準備しましょう。
CHAPTER 05端午の節句の贈り物マナーと相場
端午の節句に贈り物をする場合、特に初節句のお祝いでは祖父母や親戚からお祝いの品やお金を贈るのが一般的です。贈り物の種類や金額の相場を把握しておくと、マナーに沿ったお祝いができます。
| 贈り主 | お祝いの内容 | 金額の目安 |
|---|---|---|
| 祖父母(母方) | 五月人形・こいのぼりの購入費 | 50,000〜300,000円 |
| 祖父母(父方) | お祝い金またはお祝いの品 | 30,000〜100,000円 |
| おじ・おば | お祝い金または玩具・衣類 | 5,000〜20,000円 |
| 友人・知人 | お祝い金または菓子折り | 3,000〜10,000円 |
| 会社の同僚 | お祝いの品(菓子・衣類など) | 3,000〜5,000円 |
お祝いの贈り物では、のし紙は紅白の蝶結び(花結び)を使います。表書きは「御祝」「初節句御祝」「祝御初節句」などが一般的です。贈る時期は端午の節句の2〜3週間前が目安ですが、五月人形やこいのぼりを贈る場合は飾る期間を考慮して、4月初旬までに届くようにしましょう。
お祝いをいただいた側は、5月5日から1か月以内を目安に内祝いをお返しします。金額はいただいた金額の3分の1から半額程度が相場です。品物はお菓子やタオルなどの消耗品が一般的で、のし紙は紅白の蝶結びに「内祝」と書き、お子さんの名前(ふりがな付き)を入れます。
CHAPTER 06端午の節句の写真撮影のコツ
端午の節句は、お子さまの成長を記録に残す絶好のタイミングです。五月人形と一緒に撮影する場合は、自然光が入る窓際に飾りを配置し、午前中の柔らかい光の中で撮るのがポイントです。フラッシュは人形の金属部分に反射するため避けましょう。
こいのぼりとの屋外撮影では、青空が見える晴天の日を選びます。お子さまをこいのぼりの下に立たせ、少し離れた位置からローアングルで撮影すると、こいのぼりが大空を泳ぐダイナミックな写真が撮れます。お子さまが空を見上げる横顔も素敵な一枚になります。
兜をかぶった写真は定番ですが、被らせるだけでなく「兜を覗き込む好奇心いっぱいの表情」「兜の前で菖蒲を持つ姿」など、バリエーションを増やしておくと後から見返す楽しみが増えます。毎年同じ構図で撮影し、成長の変化を比較するのも人気の撮り方です。
端午の節句の室内での楽しみ方
雨天の場合でも、室内で端午の節句を十分に楽しむことができます。折り紙でこいのぼりや兜を作る工作は、幼児から小学生まで幅広い年齢のお子さまが楽しめるアクティビティです。色画用紙を使って大きなこいのぼりを作り、部屋に飾れば室内が華やかになります。
新聞紙で大きな兜を折る遊びは、昔ながらの定番です。新聞紙の兜は実際にかぶれるサイズに仕上がるため、お子さまが大喜びすること間違いなし。マジックやシールでオリジナルの装飾を加えれば、世界にひとつだけの兜が完成します。
TIP / 室内アクティビティのアイデア
こいのぼり型の紙コップけん玉、段ボール製の大きな兜、画用紙のこいのぼりガーランド、菖蒲の葉のスタンプアートなど、身近な材料で楽しめる工作がたくさんあります。
端午の節句の地域別の過ごし方
端午の節句の過ごし方は、地域によっても特色があります。埼玉県加須市では全長100メートルを超える巨大こいのぼりを利根川の河川敷に掲揚するイベントが毎年開催され、全国から見物客が訪れます。熊本県では菖蒲の葉を頭に巻く風習があり、賢くなるようにとの願いが込められています。
鹿児島県や宮崎県など南九州では、端午の節句に「あくまき」というもち米を灰汁で炊いたちまき状の保存食を食べる風習があります。独特のべっこう色と素朴な味わいが特徴で、きなこや砂糖をつけて食べます。長野県や新潟県の一部では、6月に旧暦の端午の節句を祝う地域もあります。
五月人形の片付けと保管方法
端午の節句が終わったら、五月人形は5月中旬頃を目安に片付けます。雛人形と異なり「片付けが遅いと婚期が遅れる」という言い伝えはありませんが、湿気が増える梅雨前に収納するのが人形の保存状態を良く保つコツです。
片付ける際は、人形や兜の埃を柔らかい布で丁寧に拭き取ります。金属部分は素手で触ると指紋が付いて錆びの原因になるため、手袋をはめて扱いましょう。防虫剤は人形専用のものを使い、ナフタリン系は金箔を傷めるため避けてください。収納場所は直射日光が当たらず、湿気の少ない場所が理想的です。
パ
新米パパ
五月人形は何歳まで飾るものなんですか?
博
カゾイロ博士
一般的には小学校卒業頃まで飾るご家庭が多いですが、決まりはありません。成人まで飾り続ける方もいれば、お子さまが自分から「もういい」と言うまで続ける方もいます。大切なのはお子さまの成長を祝う気持ちなので、各ご家庭のスタイルで続けてくださいね。
端午の節句は年に一度、お子さまの成長を家族全員で喜び合う大切な日です。豪華な飾りや凝った料理がなくても、お子さまの笑顔を囲んで「元気に育ってくれてありがとう」と伝えるだけで、かけがえのない思い出になります。今年の端午の節句も、ご家族にとって素敵な一日となりますように。
CHAPTER 07端午の節句のアウトドアの過ごし方
端午の節句は新緑がまぶしい季節でもあり、家族で屋外に出かけて過ごすのもおすすめです。こいのぼりフェスティバルが各地で開催されており、数百匹から数千匹のこいのぼりが川の上を一斉に泳ぐ光景は圧巻です。お子さまにとっても、青空を泳ぐたくさんのこいのぼりを実際に目にすることは貴重な体験になるでしょう。
公園でのピクニックも端午の節句の過ごし方として人気があります。柏餅やおにぎりをお弁当箱に詰めて出かければ、行事食を屋外で楽しむことができます。お弁当をこいのぼりの形に盛り付けるなどの工夫を加えると、お子さまも大喜びです。自然の中で過ごすことで、端午の節句の季節感をより一層味わえます。
ハイキングや川遊びなど、自然体験を通じて子どもの心身の成長を促す過ごし方もこの時期ならではの楽しみです。5月上旬は気候が穏やかで、小さなお子さまを連れてのお出かけにも適しています。ただし、日差しが強くなる時期でもあるため、帽子や日焼け止め、水分補給の準備は忘れずに行いましょう。
家族の伝統として端午の節句を受け継ぐ
端午の節句を毎年の家族の伝統行事として定着させることで、お子さまの成長の記録としても大切な役割を果たします。たとえば、毎年同じ場所で同じ構図の写真を撮り続ければ、年を追うごとにお子さまの成長がはっきりとわかる素敵なアルバムになります。
祖父母を招いてお祝いの席を設けるのも、家族の絆を深める端午の節句の過ごし方のひとつです。遠方に住んでいる場合は、ビデオ通話でこいのぼりや五月人形を見せたり、お子さまが新聞紙の兜をかぶった姿を見せたりするだけでも喜ばれます。三世代で行事を楽しむことで、伝統文化の継承にもつながります。
パ
新米パパ
毎年の写真を撮り続けるのは素敵ですね。他にも続けられる家族の過ごし方のアイデアはありますか?
博
カゾイロ博士
お子さまの手形・足形を毎年とって記録する方法も人気ですよ。年齢に合わせて手形アートを作ると、端午の節句の飾りにもなって一石二鳥です。お子さまが大きくなったとき、手形の変化を見返すと感慨深いものになります。
端午の節句は、子どもの成長を家族全員で喜び合える貴重な機会です。豪華な準備をしなくても、毎年「今年はどんなふうに過ごそうか」と家族で話し合い、お子さまの年齢や興味に合わせた過ごし方を見つけていくこと自体が、かけがえのない家族の伝統になっていきます。
端午の節句を思い出に残す工夫
端午の節句の思い出を形に残すために、成長記録ノートをつけるのもおすすめです。身長・体重の記録、その年にできるようになったこと、好きな食べ物や遊びなどを毎年書き残しておくと、振り返った時に成長の軌跡がよくわかります。
手形・足形アートも人気の記念方法です。インクパッドや絵の具を使ってお子さまの手形を取り、こいのぼりや兜の形にアレンジします。額に入れて飾れば、おしゃれなインテリアにもなります。毎年同じ時期に取ることで、手の大きさの変化が一目でわかる素敵な成長記録になります。
家族で端午の節句の食卓を囲む何気ない時間が、お子さまにとってかけがえのない思い出になります。柏餅を一緒に作る、菖蒲湯に入る、こいのぼりを見上げる。こうした体験のひとつひとつが、日本の伝統文化を自然に受け継いでいくことにつながるのです。
端午の節句を家族で楽しむために、特別な準備や費用は必要ありません。手作りのこいのぼりを窓に飾り、柏餅を一緒に食べ、菖蒲湯につかる。そんなシンプルな過ごし方が、お子さまにとっては最高の思い出になります。日本の伝統行事を家族の絆を深める機会として活用してみてください。
お子さまが大きくなった時、「子どもの日には毎年家族で柏餅を作ったね」と振り返られるような、温かい思い出を一緒に作りましょう。季節の行事を大切にする家庭で育ったお子さまは、やがて自分の家庭でも同じ伝統を受け継いでいくことでしょう。
CHAPTER 08端午の節句と菖蒲湯
端午の節句に欠かせないのが菖蒲湯です。菖蒲の葉を湯船に浮かべて入浴する風習で、菖蒲の強い香りには邪気を払い、健康を守る力があるとされています。菖蒲はスーパーや花屋で購入でき、葉を束ねてそのまま湯船に入れるだけなので簡単に楽しめます。お湯の温度を少し高めにすると、菖蒲の香りがより引き立ちます。
菖蒲の葉を頭に巻くと賢くなるという言い伝えもあり、お子さまと一緒に楽しめるユニークな入浴体験です。菖蒲とよく似た花菖蒲(ハナショウブ)は観賞用の別の植物なので、間違えないように注意しましょう。菖蒲湯に使うのはサトイモ科の菖蒲で、剣のような細長い葉が特徴です。
菖蒲湯以外の菖蒲の風習
端午の節句における菖蒲の活用法は、菖蒲湯だけではありません。古くから伝わる風習として、菖蒲酒(しょうぶざけ)、菖蒲打ち(しょうぶうち)などがあり、菖蒲の根にも薬効があるとして重宝されてきました。
- 菖蒲酒(しょうぶざけ)
- 菖蒲の根を刻んで酒に浸したもので、端午の節句に飲む風習がある。菖蒲の根には血行促進や健胃の薬効があるとされ、邪気を払う縁起物として大人が楽しむ節句の飲み物だった
- 菖蒲打ち(しょうぶうち)
- 菖蒲の葉を束ねて地面を打つ子どもの遊び。地面を叩いたときの音が大きいほど縁起がよいとされ、端午の節句に子どもたちが競い合って楽しんだ
- 菖蒲の根の薬効
- 菖蒲の根は漢方で「菖蒲根(しょうぶこん)」と呼ばれ、健胃や血行促進の効果があるとされる。菖蒲酒や菖蒲湯に根を使うのは、こうした薬効を取り入れるためでもあった
パ
新米パパ / 2歳児のパパ
菖蒲酒に菖蒲打ちですか。菖蒲って葉だけでなく根まで使われていたんですね。
博
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
そうなんです。菖蒲の根には健胃や血行促進の薬効があるとされ、刻んで酒に浸した菖蒲酒は大人の節句の楽しみでした。菖蒲打ちは子どもたちが菖蒲の葉束で地面を叩いて音の大きさを競う遊びで、こちらもかつては端午の節句の風物詩だったんですよ。
端午の節句の飾りつけは、地域や家庭によって様々なスタイルがあります。マンション住まいでベランダにこいのぼりを飾れない場合は、室内用のミニこいのぼりや壁掛けタイプのタペストリーこいのぼりが人気です。窓際に飾れば外からも見え、お子さまも喜びます。五月人形も近年はコンパクトサイズの「収納飾り」や「ケース飾り」が主流となっており、リビングの棚の上にも置けるサイズが増えています。
端午の節句は、お子さまの健やかな成長を願う日本の美しい伝統行事です。特別なことをしなくても、家族揃って「大きくなったね」「元気に育ってくれてありがとう」と声をかけるだけで、お子さまにとっては最高の贈り物になります。端午の節句の思い出を毎年ひとつずつ積み重ねて、家族の宝物にしていきましょう。
こいのぼりが青空を泳ぐ季節、家族みんなでお子さまの成長を祝いましょう。端午の節句は、親から子へ受け継がれてきた日本の愛情表現です。あなたのご家族にとって、今年の端午の節句がかけがえのない思い出になりますように。
CHAPTER 09端午の節句に関するよくある質問
A.
五月人形やこいのぼりは、春分の日(3月20日ごろ)を過ぎてから4月中旬までに飾り始めるのが理想です。片付けは5月中旬の天気の良い日に行いましょう。ひな人形のように「早くしまわないと婚期が遅れる」といった言い伝えはありませんが、梅雨入り前に収納すると人形が傷みにくくなります。
A.
伝統的には母方の祖父母が購入するとされていますが、近年は両家で折半したり、父方の祖父母が用意したりするケースも増えています。大切なのは事前に両家で話し合い、重複や行き違いを避けることです。
A.
五月人形はお子さん一人ひとりの身代わりとして厄を引き受けるものとされているため、本来は一人に一つ用意するのが望ましいとされています。ただし、スペースや予算の都合がある場合は、小さな兜飾りや武者人形をひとつ追加する形でも問題ありません。
A.
菖蒲の葉を束ねて軒先に吊るす「軒菖蒲(のきしょうぶ)」や、菖蒲の葉を頭に巻いて健康を願う「菖蒲鉢巻き」などの風習があります。また、菖蒲の葉を枕の下に敷いて寝る「菖蒲枕」も、邪気を払うこの日ならではの習わしです。さらに、菖蒲の根を刻んで酒に浸した「菖蒲酒(しょうぶざけ)」を飲む風習や、菖蒲の葉で地面を打って音の大きさを競う「菖蒲打ち(しょうぶうち)」という子どもの遊びもありました。
A.
柏餅やちまきに加えて、たけのこご飯、かつおのたたき、海老フライなど縁起の良い食材を使った料理が定番です。赤飯やお吸い物を添えるとお祝い膳らしい雰囲気になります。お子さんの年齢に合わせて、食べやすい形に調理してあげましょう。
A.
もちろん問題ありません。祖父母を招くかどうかはご家庭の事情に合わせて決めてください。初節句の場合は両家の祖父母を招いてお祝いするケースが多いですが、2年目以降は家族だけでこぢんまりとお祝いする方も多くいらっしゃいます。
A.
室内でも十分に楽しめます。折り紙でこいのぼりや兜を作る工作、こいのぼりの歌を歌う、行事食を家族で作るなど、おうちの中でできる過ごし方はたくさんあります。雨天でもお子さまと一緒に楽しい思い出を作りましょう。
CHAPTER 10まとめ
端午の節句は、こいのぼりや五月人形の飾り付け、菖蒲湯、行事食など、家族みんなで楽しめる要素がたくさん詰まった伝統行事です。過ごし方に決まった正解はなく、お子さんの年齢やご家庭の状況に合わせて、できることを取り入れていくのが一番です。
今年のこどもの日は、ぜひ家族で一緒に飾り付けをしたり、行事食を味わったり、記念撮影を楽しんだりしてみてください。毎年少しずつ過ごし方を変えていけば、お子さんの成長とともにかけがえのない思い出がどんどん積み重なっていきます。端午の節句の伝統を次の世代につなぐ、すてきな一日をお過ごしください。

