戌の日(いぬのひ)は、妊娠5ヶ月目の戌の日に安産を祈願する日本の伝統行事です。お産が軽い犬にあやかり、母子ともに健やかな出産を願う「帯祝い(おびいわい)」の儀式として古くから続いてきました。この記事では、戌の日の意味と由来、安産祈願に行く時期、有名な神社、服装、初穂料の相場、腹帯(はらおび)(岩田帯(いわたおび))の選び方まで、戌の日について詳しく解説します。

CHAPTER 01
戌の日とは?安産祈願の意味と由来

戌の日とは、十二支(じゅうにし)のうち「戌(いぬ)」が割り当てられる日のことで、12日に一度めぐってきます。妊娠5ヶ月目(妊娠16週目以降)の最初の戌の日に、神社やお寺へお参りして安産を祈願するのが古くからの慣習です。
戌の日に安産祈願を行う理由は、犬がお産が軽く、多産であることにあります。古来より犬は安産の象徴とされ、その縁起にあやかって妊婦さんの安産を祈る風習が生まれました。妊娠5ヶ月目を選ぶのは、つわりが落ち着き、お腹が目立ち始めるこの時期にお参りに出かけやすいという実用的な理由もあります。
戌の日
十二支の戌が割り当てられる日。12日ごとにめぐる
帯祝い(おびいわい)
妊娠5ヶ月目の戌の日に腹帯を巻いて安産を祈る儀式
岩田帯(いわたおび)
妊婦が巻く腹帯。古くは木綿のさらし、現代はガードルタイプも
安産祈願
神社・お寺で母子の健康と無事な出産を願う祈祷
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INFO
妊娠5ヶ月目の戌の日に行うのは古くからの慣習ですが、必ずしもこの日に行かなければならないわけではありません。体調やご家族の都合に合わせて、安定期に入った時期にお参りすれば問題ありません。

CHAPTER 02
戌の日の安産祈願はいつ行く?2026年の戌の日早見表

妊娠5ヶ月目(妊娠16週目以降)の最初の戌の日に行くのが伝統的ですが、その日が平日や体調不良の場合は別の戌の日や週末に振り替えてもかまいません。
戌の日
2026年5月5月11日(月)、5月23日(土)
2026年6月6月4日(木)、6月16日(火)、6月28日(日)
2026年7月7月10日(金)、7月22日(水)
2026年8月8月3日(月)、8月15日(土)、8月27日(木)
2026年9月9月8日(火)、9月20日(日)
2026年10月10月2日(金)、10月14日(水)、10月26日(月)
2026年11月11月7日(土)、11月19日(木)
2026年12月12月1日(火)、12月13日(日)、12月25日(金)
TIP
戌の日は12日ごとなので、お参りしたい月と日にちを事前にチェックしておきましょう。土日と重なる戌の日は混雑するため、時間に余裕をもって出かけるのがおすすめです。
新米パパ / 妊娠5ヶ月の妻と一緒
妻が妊娠5ヶ月目に入りました。戌の日に絶対お参りに行かないと縁起が悪いんでしょうか?仕事の都合でなかなか戌の日に休めなくて。
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
戌の日にこだわる必要はまったくありませんよ。大切なのは「母子の健康を祈る気持ち」です。安定期に入って体調が良いときに、ご夫婦・ご家族でゆったりお参りされるのが一番です。多くの神社では戌の日でなくても安産祈願を受け付けていますし、混雑を避けられるという利点もあります。

CHAPTER 03
安産祈願に向いている全国の有名な神社

全国には安産祈願で有名な神社・お寺が数多くあります。地元の氏神様に詣でるのがもっとも丁寧ですが、有名な安産祈願社へ詣でる方も多いです。
地域代表的な神社・お寺特徴
東京水天宮(中央区)安産・子宝の神様として全国的に有名
京都わら天神宮(敷地神社)わらの腹帯を授与する珍しい風習
大阪住吉大社安産祈願と帯結びの儀式で知られる
神奈川鶴岡八幡宮源頼朝・北条政子ゆかりの安産祈願社
福岡宇美八幡宮神功皇后が応神天皇を出産した伝承の地
全国近所の氏神様出産後のお宮参りも同じ神社で行うと縁起が良い
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INFO
安産祈願をした神社でお宮参りを行うご家庭も多くあります。同じ神様にお礼参りをするという意味で、地元の氏神様にお参りするのもおすすめです。

CHAPTER 04
戌の日の服装と持ち物

戌の日の服装は、妊婦さんの体調を最優先しつつ、神社の場にふさわしい清潔感のある服装を選びます。

妊婦さんの服装

  • マタニティワンピース: お腹を締め付けず、上品に見える
  • ゆったりしたシャツ+スカート: 体温調節がしやすい
  • 羽織れる薄手のカーディガン: 拝殿の冷暖房対策に
  • 歩きやすいフラットシューズ: ヒールは避けて安全第一

付き添いの方の服装

ご主人やご家族の付き添いはセミフォーマルな服装が基本です。ジャケット+スラックス、シンプルなワンピースなどが一般的で、ジーンズや短パンは避けましょう。

持ち物

  • 初穂料: のし袋に入れて準備
  • 母子手帳: 体調変化に備えて
  • 腹帯(岩田帯): 神社で祈祷してもらう場合は持参
  • カメラ・スマホ: 記念撮影に
  • 飲み物・休憩用の小物: 待ち時間に

CHAPTER 05
初穂料の相場と渡し方のマナー

戌の日の安産祈願の初穂料は5,000円〜10,000円が一般的です。神社によっては金額が決まっていることもあるので、事前にホームページで確認しましょう。
5,000〜7,000
祈祷のみ
5,000〜10,000
祈祷+お札・お守り
8,000〜15,000
祈祷+腹帯
8,000〜10,000
有名神社(水天宮など)
TIP
初穂料は紅白の蝶結びのし袋に入れ、表書き「初穂料」または「御初穂料」と書きます。下段にはお父様の氏名(夫婦連名でも可)を記入します。新札を用意すると丁寧です。

CHAPTER 06
腹帯(岩田帯)の選び方と巻き方

戌の日には腹帯(岩田帯)を巻き始める「帯祝い」の風習があります。腹帯は妊婦さんのお腹を支え、保温する役割があります。

腹帯の種類

種類特徴おすすめの方
伝統的なさらし木綿の長い帯。巻き方の自由度が高い伝統を大切にしたい方
腹巻きタイプ筒状で履くだけ。お手入れが簡単簡便さ重視の方
ガードルタイプ下からお腹を支える。ズレにくい外出が多い方
コルセットタイプ面ファスナーで調節可能サイズ調整したい方

腹帯はどこで用意する?

腹帯は神社で授与される場合と、自分で用意して持参する場合があります。神社で頂く場合は授与品として初穂料に含まれていることが多く、自分で用意する場合はベビー用品店やマタニティショップ、通販で購入できます。あらかじめ神社のホームページで確認しておくと安心です
新米パパ / 妊娠5ヶ月の妻と一緒
腹帯って毎日巻くものですか?最近のマタニティウェアでも代用できると聞きましたが。
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
戌の日に腹帯を巻くのは儀式的な意味合いが大きいので、必ずしも毎日続ける必要はありません。妊婦さんの体調や好みに合わせて、お腹を支えるマタニティウェアやガードルで代用してかまいません。大切なのは「母子の健康を願う気持ち」と「無理をしないこと」です。

CHAPTER 07
子授けの石と安産の民俗

子どもはどこから来たのかという問いに対し、日本では「あの川の橋の下から拾ってきた」「あの森の奥から連れてきた」と言い聞かせる文化がありました。こうした言い伝えの背景には、石には生命の力が宿るという古くからの信仰があり、各地に子授けや安産にまつわる石の風習が残っています。

子授け祈願と白石を拾う風習

民俗の知恵として、子授け祈願では特定の神社で白石を拾う風習が伝わっています。代表的な神社には以下のような場所があります。
  • 佐賀県の淀姫神社 -- 子授けの白石で知られる
  • 神奈川県の子易明神 -- 安産・子授けの信仰
  • 三重県鳥羽市 -- 海女の子授け信仰が伝わる
  • 千葉県の玉前神社 -- 子授けの石の風習が残る
また、安産祈願として河辺や水辺の丸石を拾う風習も各地に見られます。石には生命の力が宿るという信仰がその根底にあり、戌の日の安産祈願と深い関わりを持っています。

水と石 -- 出産を支える象徴

産湯(うぶゆ)は誕生時に新生児を清める水のことで、「水」と「石」は古くから出産に深く関わる象徴とされてきました。水辺で丸石を拾い安産を祈る行為は、水と石の両方の力を借りて母子の無事を願う民俗の知恵です。
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INFO
子授けの石の信仰は日本だけではありません。フランスのブルターニュ地方にも子授けの石の民俗があり、ロクロナンという古い町の教会には「石の牝馬」と呼ばれる子授けの石があります。アンヌ・ド・ブルターニュ(女王)が子を授かったことでも有名です。
新米パパ / 2歳児のパパ
石に生命の力が宿るという考え方は初めて知りました。河辺で丸石を拾う風習が各地にあるんですね。
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
そうなんです。水辺の石を拾うという行為には、水と石の両方に宿る力で母子を守るという深い意味がありました。戌の日の安産祈願も、こうした古い信仰の流れの中にある行事なんですよ。

CHAPTER 08
出産の神様「産神」(うぶがみ)

古くから日本では、出産を守る神様として「産神」(うぶがみ)が信じられていました。出産の無事を祈る際に産神を祀り、母子の安全を神に託すという信仰です。戌の日の安産祈願も、この産神信仰の流れを汲むものといえるでしょう。
産神は特定の神社に祀られている神様ではなく、出産の場に降りてきて母子を守護する存在と考えられていました。出産時には産室を清め、産神を迎える準備を整えるのがならわしでした。安産祈願で神社やお寺を訪れる現代の風習も、こうした産神への祈りの延長線上にあるのです。
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INFO / 産神と安産祈願
産神は「うぶがみ」と読みます。出産という命がけの場面を神の力で守ってもらいたいという素朴な祈りが、やがて戌の日の安産祈願や腹帯の文化として定着していきました。犬にあやかる風習と、産神への信仰は、いずれも母子の無事を切実に願う心から生まれたものです。
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INFO

CHAPTER 09
よくある質問

A.
戌の日でなくても問題ありません。妊娠5ヶ月目以降の体調が良い日を選んでお参りすれば大丈夫です。混雑を避けられるという利点もあります。
A.
可能です。ご家族や親しい方が代理で祈祷を受けることができます。妊婦さんが体調不良の場合は、無理をせずご主人やご両親が代わりに参拝されると安心です。
A.
妊婦さんの体調を最優先してください。次の戌の日や、別の日に振り替えても問題ありません。安定期は約4ヶ月続くので、体調の良い日を選びましょう。
A.
出産までが一般的ですが、暑い夏や体調により休んでもかまいません。最近はマタニティ用のサポートウェアで代用する方も増えています。
A.
上のお子さんと同様に行うご家庭が多いです。お子さんも一緒にお参りに連れていくと、家族の良い思い出になります。
A.
新札が望ましいですが、必須ではありません。難しい場合は折り目のないきれいなお札を用意しましょう。のし袋に入れて手渡しすれば問題ありません。
『冠婚葬祭 暮らしのマナー大百科』では、戌の日の安産祈願は妊娠5ヶ月目の最初の戌の日に腹帯(岩田帯)を巻いて安産を祈る日本の伝統行事です。犬(戌)は多産で安産の象徴とされることから、その吉日に合わせて祈願を行います。同書によると、神社では初穂料5,000〜1万円を納めてご祈祷を受け、帯祝いとして両親や義父母を招いてお祝いの食事会を開くのが正式な形です。ただし体調が最優先であり、戌の日にこだわりすぎず妊婦さんの体調が安定した日を選ぶのが現代では一般的だとも記されています。

CHAPTER 10
まとめ

戌の日の安産祈願は、妊娠5ヶ月目に母子の健康と無事な出産を願う日本古来の伝統行事です。お産の軽い犬にあやかる縁起の良い風習で、家族みんなで赤ちゃんを迎える準備の第一歩でもあります。戌の日にこだわらず、妊婦さんの体調を最優先に、ご家族でゆったりお参りされるのがおすすめです。
出産前後の行事については、お宮参りお七夜・命名式お食い初めもぜひあわせてご参照ください。