梅雨の時期に雨に濡れていきいきと咲くあじさい(紫陽花)は、6月を代表する花です。青やピンク、紫へと花色を変える不思議な姿で知られ、土の性質によって色が変わることでも親しまれています。この記事では、あじさいの種類や色が変わる理由、見頃の時期と全国の名所、花言葉、家庭での楽しみ方まで、梅雨がもっと好きになるあじさいの魅力をわかりやすく紹介します。

CHAPTER 01
あじさい(紫陽花)とは?梅雨を彩る花

あじさいは、初夏から梅雨にかけて咲くアジサイ科アジサイ属の落葉低木です。日本原産のガクアジサイをもとに改良された花で、毎年6月から7月にかけて、雨の多い時期にもっとも美しく咲き誇ります。漢字では「紫陽花」と書き、「あじさい」と読みます。
小さな花が手まりのように集まって咲く姿が特徴で、ひとつの株にたくさんの花をつけます。じつは私たちが花びらだと思って見ている色づいた部分の多くは、「装飾花(そうしょくか)」と呼ばれるガクが変化したもので、本当の花はその中心にある小さなつぶつぶの部分です。あじさいは、雨に似合う数少ない花として、昔から日本人に愛されてきました。
分類
アジサイ科アジサイ属の落葉低木
開花時期
6月〜7月(梅雨の時期が見頃)
原産地
日本(ガクアジサイが原種)
別名
七変化(しちへんげ)・四葩(よひら)・八仙花
花の特徴
色づくのはガクが変化した装飾花。土壌によって花色が変わる
新米パパ
子どもに『なんで雨の日に咲くの?』と聞かれたんですが、あじさいは雨が好きな花なんですか?
カゾイロ博士
あじさいは乾燥に弱く、たっぷりの水を好む花なんです。梅雨の長雨は、あじさいにとって恵みの雨。葉が大きく水分が蒸発しやすいので、雨で潤う梅雨こそが一年でいちばん元気に咲ける季節というわけですね。

CHAPTER 02
あじさいの色が変わるのはなぜ?土壌との関係

あじさいといえば、青やピンク、紫とさまざまな色に変化することで知られています。この花色の変化には、花に含まれるアントシアニンという色素と、土に含まれるアルミニウム、そして土壌の酸性・アルカリ性(pH)が深く関係しています。
土が酸性だとアルミニウムが溶け出して根に吸収されやすくなり、色素と結びついて青色が出ます。反対に、土がアルカリ性だとアルミニウムが溶けにくく吸収されないため、赤やピンクに近づきます。日本の土壌はもともと酸性が多いため、青いあじさいをよく見かけるのです。
土壌の性質花の色覚え方のヒント
酸性青〜青紫日本の土は酸性が多く青が出やすい
中性酸性とアルカリ性の中間の色
アルカリ性赤〜ピンク石灰を混ぜると赤みが強まる
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INFO / リトマス紙とは逆なので注意
あじさいの色の出方はリトマス試験紙とは逆です。リトマス紙は酸性で赤くなりますが、あじさいは酸性で青くなります。混同しやすいので注意しましょう。なお、白いあじさい(アナベルなど)はもともと色素を持たないため、土壌の影響を受けず白いまま咲きます。
新米パパ
自宅のあじさいを青くしたいのですが、自分で色を変えられるんですか?
カゾイロ博士
はい、土を調整すれば近づけられます。青くしたいなら酸性の肥料や酸度未調整のピートモスを、赤くしたいなら苦土石灰を混ぜます。ただし品種によって出やすい色が決まっていて、思い通りにならないこともあります。何年かかけてゆっくり変化を楽しむのがおすすめですよ。

CHAPTER 03
あじさいの主な種類

ひとくちにあじさいといっても、花のつき方や形によってさまざまな種類があります。代表的なものを知っておくと、街なかや名所めぐりがいっそう楽しくなります。
ホンアジサイ(手まり咲き)
小さな花が球状に集まる、もっとも一般的なあじさい。日本のあじさいの定番。
ガクアジサイ
中心の小さな花を、まわりの装飾花が額縁のように囲む。あじさいの原種にあたる。
セイヨウアジサイ(ハイドランジア)
ガクアジサイがヨーロッパで改良されたもの。鉢花として母の日などにも人気。
アナベル
純白の大きな花が特徴の北米原産種。土壌に関係なく白く咲く。
カシワバアジサイ
葉が柏の葉に似て、円すい形の白い花をつける。秋には紅葉も楽しめる。
ヤマアジサイ
山地に自生する小ぶりなあじさい。可憐な姿で茶花としても親しまれる。

CHAPTER 04
あじさいの見頃と全国の名所

あじさいの見頃は、地域差はあるもののおおむね6月上旬から7月上旬。ちょうど梅雨入りの時期と重なり、雨の多い6月中旬ごろに最盛期を迎えます。雨に濡れた花がもっとも美しく見えるため、晴れた日よりもむしろ小雨の日が見ごろといわれます。
  • 明月院(神奈川・鎌倉) — 「あじさい寺」として知られ、青いあじさいが境内を埋めつくす
  • 三室戸寺(京都・宇治) — 約2万株が咲く西日本有数のあじさい園
  • 箱根登山鉄道(神奈川) — 沿線に咲くあじさいを車窓から楽しめる「あじさい電車」
  • 下田公園(静岡) — 約300万輪が咲き誇り、あじさい祭が開かれる
  • 高幡不動尊(東京・日野) — 山あじさい・ヤマアジサイの種類が豊富
TIP / 雨の日こそ見頃。撮影のコツ
あじさいの撮影は、雨上がりや小雨の日が狙い目です。花に水滴がついて色が鮮やかに写り、しっとりとした梅雨らしい雰囲気になります。足元が滑りやすいので、歩きやすい靴とレインコートで出かけましょう。雨の日の楽しみ方は梅雨の過ごし方の記事もあわせてどうぞ。

CHAPTER 05
あじさいの花言葉

あじさいには、花全体としての花言葉と、色ごとの花言葉があります。色が移り変わることから「移り気」という花言葉がある一方、小さな花がたくさん集まって咲く姿から「家族団らん」「和気あいあい」という前向きな花言葉も生まれました。近年はこの後者の意味から、家族へ贈る花としても選ばれています。
青のあじさい
辛抱強い愛情・冷静
ピンクのあじさい
元気な女性・強い愛情
白のあじさい
寛容・ひたむきな愛情
紫のあじさい
移り気・神秘
NOTE / 母の日の鉢花としても人気
あじさいは梅雨の時期に出回るため、母の日の鉢花としてカーネーションと並んで人気があります。長く花を楽しめる鉢植えは「母の日のあとも育てられる贈り物」として喜ばれます。母の日の由来やプレゼント選びは母の日の記事を参考にしてください。

CHAPTER 06
家庭で楽しむあじさい

あじさいは丈夫で育てやすく、鉢植えでも地植えでも楽しめる初心者向けの花です。基本のポイントを押さえれば、毎年きれいな花を咲かせてくれます。
  • 置き場所 — 半日陰を好む。真夏の強い直射日光と乾燥は苦手
  • 水やり — 乾燥に弱いので、土の表面が乾いたらたっぷりと与える
  • 剪定の時期 — 花が終わった7月〜8月上旬に行う。遅すぎると翌年の花芽を切ってしまう
  • 植え替え — 2〜3年に一度、花後か落葉期に一回り大きな鉢へ
TIP / ドライフラワーで一年中楽しむ
咲き終わったあじさいは、そのまま枝に残して乾燥させると「アンティークあじさい」と呼ばれるドライフラワーになります。秋まで枝につけたまま自然乾燥させ、シックな色合いになったら切り取って飾ると、梅雨の思い出を一年中楽しめます。
新米パパ
子どもと一緒にあじさいを楽しむには、どんな方法がありますか?
カゾイロ博士
色水あそびがおすすめです。咲いたあじさいを観察して図鑑で種類を調べたり、押し花にしたりするのも知育になりますよ。ただし、あじさいの葉や蕾には微量の毒があるので、口に入れないことだけは必ず教えてあげてくださいね。

CHAPTER 07
よくある質問

A.
おおむね6月上旬から7月上旬で、梅雨の中ごろに最盛期を迎えます。地域によって差があり、暖かい地域ほど早く、山間部や北の地域ほど遅くなります。雨に濡れた花がもっとも美しく見えるため、小雨の日がおすすめです。
A.
土壌のpHを調整すれば近づけられます。青くしたいなら酸性に、赤・ピンクにしたいならアルカリ性に傾けます。ただし品種ごとに出やすい色が決まっているため、必ずしも思い通りにはなりません。何年かかけて少しずつ変化を楽しむのがおすすめです。
A.
あじさいの葉や蕾には微量の有毒成分が含まれており、食用にすると嘔吐などの中毒を起こすことがあります。料理の飾りには使わず、小さな子どもやペットが口に入れないよう注意しましょう。観賞する分には問題ありません。
A.
あじさいは水あげが難しい花です。茎を斜めに切り、中の白いワタ状の部分を取り除いて表面積を増やすと水を吸いやすくなります。深めの水につけ、こまめに切り戻すと長持ちします。
A.
花が終わったら7月から8月上旬のうちに剪定します。花から2節ほど下で切ると、翌年も同じくらいの高さで花を咲かせます。剪定が遅れると翌年の花芽を切ってしまい、花が咲かなくなることがあるので注意しましょう。

CHAPTER 08
まとめ

あじさいは、雨の多い梅雨の時期にもっとも美しく咲く、初夏を代表する花です。花色が青やピンク、紫へと変わるのは、土の酸性度とアルミニウムの関係によるもの。手まり咲きのホンアジサイから、原種のガクアジサイ、白いアナベルまで種類も豊富で、全国の名所めぐりも梅雨の楽しみのひとつです。
家庭でも育てやすく、ドライフラワーにして長く楽しむこともできます。雨で気分が沈みがちな季節も、あじさいに目を向ければ梅雨が待ち遠しくなるはず。てるてる坊主づくりや梅仕事とあわせて、家族で初夏の風物詩を楽しんでみてください。