6月、店頭に青梅が並び始めると始まるのが梅仕事です。梅干しや梅シロップ、梅酒など、旬の梅を保存食に仕込む日本の初夏の習わしを指します。一見むずかしそうですが、コツをつかめば初心者でも失敗しにくいものばかり。この記事では梅仕事の意味と時期、初心者向けの梅シロップ・梅干しの作り方を、家族で旬を味わえるようにわかりやすく解説します。

CHAPTER 01
梅仕事とは?初夏の暮らしの楽しみ

梅仕事とは、初夏に出回る旬の梅を使って、梅干し・梅シロップ・梅酒などの保存食を仕込む一連の作業のことです。梅は生のままでは食べられませんが、塩や砂糖、お酒に漬けることで、一年中楽しめる保存食に生まれ変わります。
梅干し
完熟梅を塩で漬け、土用の頃に天日干しした保存食。ごはんのお供やおにぎりの定番。
梅シロップ
青梅と砂糖で作る甘い濃縮シロップ。水や炭酸で割って飲む。子どもにも人気。
梅酒
青梅を氷砂糖とお酒に漬けた果実酒。熟成させるほどまろやかに(※お酒のため大人向け)。
梅味噌・梅醤油
梅を味噌や醤油に漬けた調味料。料理の風味づけに使える。

CHAPTER 02
梅仕事の時期はいつ?青梅と完熟梅の違い

梅仕事の時期は、梅雨入りの頃から7月上旬まで。梅が出回るのは短い期間なので、作りたいものに合わせて梅を選ぶのがポイントです。
梅の種類出回る時期向いている梅仕事
青梅(硬い)5月下旬〜6月中旬梅シロップ・梅酒
完熟梅(黄色く熟す)6月中旬〜7月上旬梅干し・梅ジャム
小梅5月中旬〜6月上旬カリカリ梅・小梅漬け
新米パパ
青梅と完熟梅って、どう使い分ければいいんですか?同じ梅じゃないんですね。
カゾイロ博士
同じ品種でも熟し具合で向き不向きがあるんです。硬い青梅はシロップや梅酒に、黄色く熟した梅は梅干しに向きます。初心者の方には、まず失敗の少ない梅シロップから始めるのがおすすめですよ。

CHAPTER 03
初心者向け梅シロップの作り方

梅シロップの材料。青梅1kgと氷砂糖を用意する
梅シロップは火を使わず、青梅と砂糖を漬けるだけで作れる、梅仕事の入門にぴったりのレシピです。約2〜3週間で完成し、水や炭酸で割ればさわやかな夏のドリンクになります。
1kg
南高梅
500g×2袋
氷砂糖
約1,900
材料費合計
2〜3週間
漬ける期間
約1
保存
  1. 01
    梅を洗ってアク抜き
    青梅を流水で洗い、2時間ほど水に浸けてアクを抜きます。完熟梅を使う場合はアク抜き不要です。
ボウルに水を張って青梅のアク抜きをしている様子
青梅を水に浸けてアク抜き。2時間ほど置く
  1. 01
    水気を拭きヘタを取る
    清潔な布やキッチンペーパーで1粒ずつ水気を完全に拭き取り、竹串でヘタ(なり口)を取り除きます。水気が残るとカビの原因になります。
キッチンペーパーで青梅の水気を1粒ずつ丁寧に拭き取る
1粒ずつキッチンペーパーで水気を拭き取る
竹串で青梅のヘタ(なり口)を取り除いている
竹串でヘタをくるっと取り除く
水気を拭いてヘタを取った青梅をボウルに並べた様子
水気を拭き、ヘタを取った梅の準備完了
  1. 01
    保存袋または瓶を用意する
    保存瓶の場合は煮沸またはアルコールで消毒し、しっかり乾かします。ジッパー付き保存袋(ジップロック)でも手軽に作れます。
  2. 02
    梅と氷砂糖を交互に入れる
    瓶や保存袋に梅と氷砂糖を交互に重ね、いちばん上が砂糖になるようにします。
ジップロックに青梅と氷砂糖を交互に入れている様子
保存袋に梅と氷砂糖を交互に入れていく
保存袋の中の青梅と氷砂糖をアップで見た様子
梅と氷砂糖が交互に重なっている
  1. 01
    空気を抜いて密封し、毎日揺する
    保存袋の場合は空気をしっかり抜いてジッパーを閉じます。1日1回袋や瓶を揺すって砂糖を全体に行き渡らせます。2〜3週間で砂糖が溶け、シロップが上がってきたら完成です。
ジップロックに青梅と氷砂糖を入れて密封した状態
空気を抜いて密封。あとは毎日揺するだけ
!
CAUTION / カビ・発酵を防ぐ3つのポイント
梅仕事の失敗の多くはカビです。(1)梅と道具の水気を完全に拭く (2)瓶を必ず消毒する (3)毎日揺すって砂糖を早く溶かす——この3つを守れば、初心者でも失敗しにくくなります。白い泡が出て発酵し始めたら、シロップだけ加熱すると止められます。

CHAPTER 04
保存袋(ジップロック)で作る梅シロップの注意点

保存瓶が手元にないときは、冷凍用のジッパー付き保存袋でも梅シロップを仕込めます。省スペースで冷蔵庫にも入れやすいため手軽ですが、瓶とは違ういくつかの注意点があります。
新米パパ
ジップロックで梅シロップを漬けたら、2日目で袋の外側がベタベタしてきたんです。砂糖が滲み出ているんでしょうか?
カゾイロ博士
砂糖が袋の素材を透過することはありません。ベタつきの原因はほぼシロップの液漏れです。2日目は梅から水分がたくさん出てくる時期なので、ジッパーの隙間から漏れやすいんですよ。

ベタベタの原因

  • ジッパーの密閉が不完全 — 梅から出た果汁と溶けた砂糖のシロップが、チャック部分からにじみ出ている。最も多い原因
  • 発酵によるガスで内圧が上昇 — 梅に付いた天然酵母が発酵しCO2が発生すると袋が膨らみ、内圧でジッパーが開いて液が漏れる
  • 梅の種やヘタの残りで穴が開いた — 尖った部分が袋を傷つけ、小さな穴からシロップが染み出すことがある

対処法と予防策

  1. 01
    袋を二重にする
    保存袋をもう1枚かぶせることで、万が一の液漏れを防げます。外袋は梅を入れたあとにかぶせればOKです。
  2. 02
    1日1〜2回ガス抜きをする
    袋の端を少し開けてガスを逃がし、すぐにしっかり閉じ直します。発酵が進みやすい気温の高い日はとくに大切です。
  3. 03
    バットやボウルの上に置く
    液漏れしても周囲が汚れないよう、袋は必ずトレーやバットの上に置きましょう。冷蔵庫内の汚れも防げます。
  4. 04
    心配なら瓶に移し替える
    液漏れが止まらない場合は、消毒した保存瓶に中身を移し替えるのが確実です。途中で移し替えても仕上がりに影響はありません。
TIP / 保存袋で作るメリットを活かすコツ
保存袋は空気を抜きやすく、梅と砂糖が密着するため瓶より砂糖が溶けるのが早いのがメリットです。袋ごと冷凍庫に入れて青梅を一晩凍らせてから砂糖と合わせると、細胞が壊れてエキスが出やすくなり、さらに時短できます。

CHAPTER 05
梅干しづくりのポイント

梅干しは梅仕事の王道ですが、塩漬け・赤じそ漬け・土用干しと工程が多く、少し上級者向けです。完熟梅を塩分18%程度で漬け、梅雨明けの土用(どよう)の頃に3日間天日干しするのが基本の流れです。
  • 梅選び — 黄色く熟した香りのよい完熟梅を使う
  • 塩分 — 初心者は塩分18%が失敗しにくい(減塩はカビやすい)
  • 重石 — 梅の重さの2倍を目安にのせ、梅酢を早く上げる
  • 土用干し — 梅雨明け後の晴天が3日続く日を選んで干す
TIP / 干すなら「土用干し」とセットで覚えよう
梅干しを天日に干す作業を土用干しと呼びます。梅雨明けの強い日差しで殺菌し、果肉をやわらかくする大切な工程です。くわしくは土用干しの記事もあわせてどうぞ。打ち水など、夏の暮らしの知恵は打ち水の記事もおすすめです。

CHAPTER 06
よくある質問

A.
初心者には梅シロップがいちばんおすすめです。火を使わず、青梅と砂糖を漬けるだけで、失敗が少なく子どもと一緒に作れます。慣れてきたら梅干しに挑戦しましょう。
A.
氷砂糖がおすすめです。ゆっくり溶けるため梅のエキスがじっくり引き出され、澄んだシロップになります。グラニュー糖やきび砂糖でも作れますが、溶け方や風味が変わります。
A.
梅酒と違いアルコールを使わないので子どもも飲めます。水や炭酸で4〜5倍に薄めると、夏のさわやかなドリンクになります。かき氷のシロップにも使えます。
A.
初心者は塩分18%前後が失敗しにくくおすすめです。減塩(10%以下)にするとカビやすくなるため、慣れてから挑戦しましょう。

CHAPTER 07
まとめ

梅仕事は、旬の梅を保存食に仕込む初夏ならではの暮らしの楽しみです。火を使わない梅シロップなら初心者でも気軽に始められ、子どもと一緒に旬を味わう食育にもなります。水気をしっかり拭く・瓶を消毒する・毎日揺するという基本を守れば、失敗もぐっと減ります。梅雨の時期の過ごし方は梅雨の過ごし方、夏の行事全体は夏の行事一覧もあわせてご覧ください。