髪置きの祝い(かみおきのいわい)は、3歳の子どもの成長を祝う日本の伝統行事で、現在の七五三の原点となった儀式です。かつては3歳まで髪を剃る風習があり、髪を伸ばし始める節目をお祝いしました。この記事では、髪置きの祝いの意味・由来・歴史から、現代の過ごし方までわかりやすく解説します。
CHAPTER 01髪置きの祝いとは?基本の意味
髪置きの祝いとは、3歳を迎えた子どもが初めて髪を伸ばし始めることを祝う儀式です。平安時代の貴族社会では、生まれてから3歳になるまで髪を剃って坊主頭にしておく慣習がありました。3歳の誕生日を迎えると「もう髪を置いて(伸ばして)よい」と許されることから、「髪置き」と呼ばれるようになりました。

- 髪置きの祝い(かみおきのいわい)
- 3歳の子どもが髪を伸ばし始める節目を祝う儀式。七五三の3歳のお祝いの原型
- 対象
- 男女ともに3歳。現在の七五三では主に女の子が対象とされることが多い
- 時期
- 旧暦11月15日。現在は七五三と同じく11月15日前後に行われる
INFO / 七五三の3つの儀式
七五三はもともと3つの独立した儀式から成り立っています。3歳の「髪置きの祝い」、5歳の「袴着の祝い」、7歳の「帯解きの祝い」です。これらが江戸時代に一つにまとまり、現在の七五三として定着しました。
CHAPTER 02髪置きの祝いの由来と歴史
髪置きの祝いの歴史は、平安時代(794〜1185年)にさかのぼります。当時の貴族社会では、3歳まで子どもの髪を剃っておくのが一般的でした。これは衛生面の理由に加え、「髪を剃ることで健康な毛髪が生える」という信仰に基づいていたとされています。
3歳になると吉日を選んで「髪置きの儀」が行われました。儀式では、子どもの頭に白い糸や綿白髪(わたしらが)を載せて長寿を祈願し、そこから髪を伸ばし始めます。白髪を載せるのは「白髪になるまで長生きしてほしい」という願いが込められた縁起物です。
パ
新米パパ
3歳まで髪を剃っていたなんて驚きです。男の子も女の子も同じだったんですか?
博
カゾイロ博士
はい、髪置きの祝いは男女を問わず行われていました。当時は乳幼児の死亡率が非常に高く、3歳まで無事に育ったこと自体が大きな喜びだったのです。髪を伸ばし始めることは、その子が「社会の一員として認められた」という意味でもありました。
室町時代になると武家社会にも広まり、江戸時代には庶民の間でも行われるようになりました。やがて5歳の「袴着(はかまぎ)」、7歳の「帯解き(おびとき)」と合わせて11月15日にお祝いする現在の七五三の形が整っていきます。
CHAPTER 03現代の髪置きの祝い・七五三との関係
現代では髪置きの祝いを単独で行う家庭はほとんどなく、七五三の3歳のお祝いとして受け継がれています。3歳の七五三は女の子だけという認識が広まっていますが、もともとの髪置きの祝いは男女共通の儀式でした。近年は男女問わず3歳でもお祝いする家庭が増えています。
パ
新米パパ
3歳の七五三は女の子だけだと思っていました。男の子もやっていいんですね。
博
カゾイロ博士
地域によっては男の子も3歳でお祝いするのが一般的です。髪置きの祝いの由来を知ると、3歳の節目を男女問わずお祝いするのはとても自然なことだとわかりますね。
CHAPTER 04髪置きの祝いの過ごし方
現代で髪置きの祝いの精神を受け継ぐなら、七五三の3歳のお参りに、髪置きの由来を意識した演出を加えるのがおすすめです。
TIP / 髪置きの祝いを取り入れるアイデア
神社での七五三参りに加えて、記念に子どもの髪の毛を少し切って保存する「ファーストカット」を行う/白い綿や糸を頭に載せる伝統的な儀式を簡略化して再現する/成長の記録として手形・足形を残す/家族で記念写真を撮影する
最近は写真スタジオで被布(ひふ)や着物を着て記念撮影をするのが定番です。髪置きの祝いの由来を知ったうえでお祝いすると、3歳の七五三がより深い意味を持つ特別な日になります。
3歳の七五三を迎えるにあたり、事前に写真スタジオで前撮りをしておくと当日の負担が軽くなります。特に3歳はじっとしているのが難しい年齢なので、撮影と参拝を別日にするのがおすすめです。被布(ひふ)姿の可愛らしい写真は、成長の記録としてかけがえのない宝物になります。
また、髪置きの祝いにちなんで「ファーストカット」を記念に行う家庭もあります。赤ちゃんの頃から一度も切っていない髪の毛の先端を少しだけカットし、記念筆(赤ちゃん筆)を作るサービスも人気です。髪置きの祝いの「初めて髪を整える」という本来の意味と重なり、特別な記念品になります。
七五三の当日は、神社やお寺で御祈祷を受けるのが一般的です。初穂料(御祈祷料)は5,000〜10,000円が相場で、のし袋に「御初穂料」と書いて納めます。3歳のお子さんは長時間の待ち時間が苦手なので、予約制の神社を選ぶか、混雑を避けた日程にするとスムーズです。
CHAPTER 05贈り物のマナーと相場
髪置きの祝い(3歳の七五三)に贈り物をする場合は、祝儀袋に「御祝」または「七五三御祝」と表書きをします。水引(みずひき)は紅白の蝶結びを選びましょう。
お祝い金の相場は、祖父母からは10,000〜30,000円、おじ・おばからは5,000〜10,000円、友人・知人からは3,000〜5,000円が一般的です。現金の代わりに、おもちゃや絵本、衣類などの品物を贈っても喜ばれます。
パ
新米パパ
お祝いをいただいたら、お返しはどうすればいいですか?
博
カゾイロ博士
七五三のお祝いへのお返しは「内祝い」として、いただいた金額の3分の1〜半額程度の品物を贈るのが一般的です。千歳飴や赤飯、菓子折りなどが定番です。お子さんの写真を添えると喜ばれますよ。
髪置きの祝いの精神を大切にしながら、現代のライフスタイルに合わせた柔軟なお祝いの仕方で、お子さんの3歳の成長をお祝いしましょう。
CHAPTER 06七五三の歴史 ── 千歳飴と江戸庶民の祝い
七五三が現在のような形に整ったのは江戸時代のことです。もともと宮中や武家で別々に行われていた3歳の「髪置き」、5歳の「袴着(はかまぎ)」、7歳の「帯解き(おびとき)」の三つの儀式を、11月15日にまとめて祝う風習が江戸の庶民の間に広まりました。5歳の袴着は男の子が初めて袴を身につけて「一人前の男子」と認められる儀式であり、7歳の帯解きは女の子がそれまでの付け紐を解いて本式の帯を締める儀式で、「一人前の女子」として社会に迎え入れられる意味がありました。髪置きの祝いとあわせ、いずれも子どもが無事に成長の節目を越えたことへの深い感謝と喜びが込められています。
七五三に欠かせない千歳飴(ちとせあめ)が誕生したのも江戸時代です。元禄の頃、浅草の飴売り・七兵衛が紅白の長い棒状の飴を「千年飴」「寿命糖」と名づけて売り出したのが始まりとされています。千歳飴の細長い形には「子どもの寿命が長く伸びるように」という願いが込められ、紅白の色は慶事を表します。千歳飴を入れる袋には鶴亀や松竹梅などの縁起のよい絵柄が描かれ、神社で御祈祷を受けた後に授与されるのが一般的です。飴そのものが祝いの品であると同時に、華やかな袋を手にした子どもの姿が七五三の象徴的な風景となっています。
七五三のお参りが行われる11月15日前後は、酉の市(とりのいち)の時期とも重なります。酉の市は11月の酉の日に行われる鷲(おおとり)神社の祭礼で、商売繁盛を願う熊手(くまで)の縁起物で知られています。江戸の人々にとって、子どもの成長を祝う七五三と商売の繁栄を願う酉の市は、いずれも晩秋の大切な年中行事でした。七五三詣の帰りに酉の市へ立ち寄り、家族の幸せと商売の発展を一度に祈願する家庭もあったとされ、活気ある秋の町の賑わいが目に浮かびます。
CHAPTER 07よくある質問
A.
伝統的には数え年3歳(満2歳)で行いますが、現代では満3歳で七五三のお祝いをする家庭が多くなっています。地域の慣習や子どもの成長に合わせて判断するとよいでしょう。
A.
いいえ。現代では髪置きの祝いは七五三の3歳のお祝いに含まれています。特別に分けて行う必要はありませんが、由来を知っておくとお祝いの意味がより深まります。
A.
はい。髪置きの祝いは本来男女共通の儀式です。地域によっては3歳の男の子も七五三をお祝いするのが一般的です。近年は性別にかかわらず3歳でもお参りする家庭が増えています。
A.
現代の七五三ではほとんど行われていません。ただし、一部の神社では伝統的な髪置きの儀式を再現するプランを提供している場合があります。興味がある方はお参り予定の神社に問い合わせてみてください。
CHAPTER 08まとめ
髪置きの祝いは、3歳の子どもが髪を伸ばし始める節目を祝う平安時代からの伝統行事であり、現在の七五三の原点です。男女問わず子どもの無事な成長を喜び、これからの健やかな未来を願う気持ちは、時代を超えて変わりません。3歳の七五三をお祝いする際には、髪置きの祝いの由来にも思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

