一周忌(いっしゅうき)は、故人が亡くなってから満1年目の命日に行う法要です。四十九日と並んで重要な法要とされ、この日をもって喪が明けるとされます。この記事では、一周忌の意味や準備・当日の流れ、お布施や香典の相場、服装や引き出物のマナーまで解説します。
CHAPTER 01一周忌とは?意味と一回忌・三回忌との違い

1年目の命日
一周忌の時期
年忌法要の最初
法要の位置づけ
喪明け
服喪期間の終了
一周忌は、故人の死後満1年目の命日に営む法要です。法要の中でも「年忌法要」に分類され、四十九日(忌明け)後に行う最初の大きな法要として重要視されています。
一周忌をもって喪(も)が明けるとされ、遺族は正式に服喪期間を終えます。一周忌以降は、三回忌・七回忌・十三回忌と続く年忌法要を営み、故人を長く偲んでいきます。
- 読み方
- いっしゅうき
- 時期
- 故人が亡くなってから満1年の命日
- 別名
- 一周忌法要、一周忌法事
- 意味
- 服喪期間の終了(喪明け)と、故人への追善供養
一周忌と一回忌・三回忌の違い
年忌法要は、亡くなった年を1回目として数えるのが特徴です。そのため、満1年の法要は「一周忌」、満2年の法要が「三回忌」となります。「一回忌」は亡くなった日そのものを指すとする考え方があるほか、一周忌と同じ意味で使われることもあります。
INFO / 年忌法要の数え方
一回忌=命日(亡くなった日)、二回忌=一周忌(満1年)、三回忌=満2年、七回忌=満6年、十三回忌=満12年。「回忌」は亡くなった年を1として数え、「周忌」は満年数で数えます。
一周忌は年忌法要の中でも特に重要視されており、親族や友人を幅広く招いて行うのが一般的です。三回忌以降は徐々に規模を縮小し、七回忌からは遺族と近親者のみで行うことが多くなります。法要の規模は縮小しても、故人を偲ぶ気持ちの大切さは変わりません。
宗派による違い
宗派による違いも知っておきましょう。浄土真宗では「追善供養」ではなく「報恩感謝」の法要として位置づけられます。浄土真宗の一周忌では、読経(どきょう)のほかに正信偈(しょうしんげ)の勤行が行われ、参列者も一緒にお勤めをするのが特徴です。また、焼香(しょうこう)の作法も他の宗派と異なり、額にいただかずにそのまま香炉に落とします。曹洞宗では回向文(えこうもん)を唱えて故人の冥福を祈ります。宗派ごとの作法がわからない場合は、事前に菩提寺(ぼだいじ)に確認しておくと安心です。
家族だけで行う一周忌
また、近年は家族葬の増加に伴い、一周忌法要も家族のみで行うケースが増えています。少人数での法要であっても、僧侶に読経していただき、お斎の席を設けるという基本的な流れは同じです。家族だけの法要の場合、引き出物は不要とすることもあります。故人との向き合い方は家族それぞれですので、形式にとらわれすぎず、故人を大切に偲ぶ気持ちを第一に考えましょう。
CHAPTER 02一周忌法要の準備|施主がすること
一周忌法要の準備は、2ヶ月前から始めるのが理想的です。四十九日よりも規模が大きくなることが多いため、早めの手配を心がけましょう。

- 01日程・会場の決定(2ヶ月前)命日またはそれより前の土日祝日で、菩提寺と日程を調整します。会場は寺院・自宅・セレモニーホールなどから選びます。
- 02招待者リストの作成(2ヶ月前)親族のほか、故人と親しかった友人・知人をリストアップします。一周忌は四十九日よりも招待範囲を広げることが一般的です。
- 03案内状の発送(1ヶ月前)法要の日時・場所・お斎の有無を記した案内状を送付します。出欠の返信期限を2週間前に設定します。
- 04お斎(会食)の手配(3週間前)出席人数に基づいて料亭・レストラン・仕出しを予約します。精進料理にこだわる必要はなく、和食の会席が一般的です。
- 05引き出物の準備(2週間前)参列者へのお返しを手配します。のし紙は「志」(関西は「粗供養」)、水引は黒白または黄白の結びきりです。
- 06お花・お供え物の準備(1週間前)仏前に供える花(白や淡い色の菊・ユリなど)と、果物・お菓子・故人の好物などを用意します。
新米パパ / 2歳児のパパ
命日が平日の場合はどうすればいいですか?
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
命日より前の土日祝日に行うのが一般的です。命日を過ぎて行うことは避ける慣習がありますので、早めに菩提寺と日程を調整しましょう。
一周忌までに済ませておきたいこと
一周忌は喪明けの節目であるため、法要だけでなく遺品整理や各種手続きもこの時期までに済ませておくのが理想的です。四十九日の忌明けから一周忌までの間に、以下の事項を確認しておきましょう。
遺品の整理は、四十九日後から少しずつ進めるのが一般的です。故人の衣類や日用品を整理し、形見分けを行います。形見分けは四十九日以降、一周忌までに行うのがマナーとされています。目上の方に形見を贈ることは失礼にあたるため注意しましょう。
お墓の準備も重要です。四十九日に納骨を済ませていない場合は、一周忌までに墓石の建立や納骨先の決定を進めましょう。近年は納骨堂や樹木葬など多様な選択肢がありますので、家族で話し合って決めることが大切です。
また、仏壇の購入・仏具の整備、相続手続きの完了、各種名義変更(不動産・預貯金・保険など)もこの期間に済ませておくと、喪明け後の生活がスムーズに始められます。
菩提寺がない場合
菩提寺がない場合や遠方で伺えない場合は、葬儀社や僧侶の手配サービスを通じて、宗派を指定して僧侶に来てもらうこともできます。今後の三回忌以降の法要やお墓の管理を考えて、一周忌を機に菩提寺について家族で話し合っておくのもよいでしょう。
新米パパ / 2歳児のパパ
一周忌を機に菩提寺との関係を見直すというのは、具体的にどういうことをすればよいですか?
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
まずは法要の日程調整の際にご住職としっかりお話しする機会を持つことが第一歩です。お寺の行事(お彼岸やお盆の合同法要など)に参加してみるのもよいですよ。日頃からお付き合いがあると、急な法事の相談にも対応していただきやすくなります。
CHAPTER 03一周忌法要の当日の流れと参列のマナー
一周忌法要の当日は、以下の流れで進行します。初七日(しょなのか)や四十九日と基本構成は同じですが、一周忌ならではの要素もあります。
- 01受付・着席参列者は受付で記帳し、香典を渡して着席。遺族は参列者を出迎える。
- 02僧侶の入場・読経僧侶が入場し、読経が始まる。読経の時間は30〜40分程度。
- 03焼香施主から順に焼香を行う。焼香の回数は宗派によって1〜3回。
- 04僧侶の法話僧侶が故人にまつわる法話を行うことがある。
- 05墓参り法要後にお墓に移動し、墓前で手を合わせる。
- 06会食(お斎)料亭やホテルの個室で会食。施主が挨拶を行い、故人を偲ぶ。
新米パパ / 2歳児のパパ
一周忌と四十九日で、法要の内容に違いはありますか?
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
基本的な流れは同じですが、一周忌では納骨がすでに済んでいるため、墓参りがメインになります。また、四十九日は「忌明け」の意味合いが強いですが、一周忌は「喪明け」として遺族が日常に戻る区切りの意味があります。
施主の挨拶例
一周忌法要の開始時と会食前に、施主(通常は喪主を務めた方)が挨拶を行います。開始時は「本日はお忙しい中、○○の一周忌法要にお集まりいただきまして誠にありがとうございます。早いもので○○が旅立ってから一年が経ちました。皆様のおかげで無事にこの日を迎えることができました」のように、感謝と故人への想いを簡潔に述べます。
会食前の挨拶では「ささやかではございますが、お食事をご用意いたしました。故人の思い出話などお聞かせいただければ幸いです。本日は誠にありがとうございました」と締めくくります。形式的な言葉よりも、故人への想いや参列者への感謝の気持ちが伝わることが大切です。
お斎(会食)のマナー
一周忌法要の後には、お斎(おとき)と呼ばれる会食の席を設けるのが一般的です。故人を偲びながら、参列者への感謝を込めてもてなします。
一人あたりの食事代は5,000〜10,000円が相場です。料亭・レストラン・ホテルでの会食のほか、自宅で仕出し弁当を手配する方法もあります。かつては精進料理が基本でしたが、現在は和食の会席料理が一般的です。伊勢海老や鯛(たい)など、祝い事を連想させる食材は避けるのがマナーとされています。
お斎の席では、施主が献杯(けんぱい)の発声を行います。乾杯とは異なり、グラスを合わせたり高く掲げたりせず、静かに杯を口元に運ぶのがマナーです。献杯の際は「故人の冥福を祈り、献杯」と短く述べます。故人の好きだった料理や飲み物を供えてから始めるのも丁寧な心遣いです。
お斎を省略する場合は、法要後に折詰(おりづめ)とお酒の小瓶を参列者にお渡しするのが一般的です。「本日は粗餐(そさん)を用意できませんでしたが、折詰をご用意いたしましたのでお持ち帰りください」と一言添えましょう。最近ではコロナ禍を機にお斎を省略するケースも増えており、必ずしも会食を行わなければならないわけではありません。
一周忌のお斎(会食)は、故人を偲ぶ厳かな場であると同時に、参列者への感謝を伝える場でもあります。食事の場では故人の思い出を語り合うのが自然ですが、亡くなった原因や遺産の話など、デリケートな話題は避けるのがマナーです。故人の楽しかった思い出や人柄にまつわるエピソードを中心に会話を進めましょう。
服装
一周忌の服装は、準喪服(ブラックフォーマル)が基本です。施主・遺族は正式な喪服を着用し、参列者も準喪服で臨みます。
| 対象 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 施主・遺族 | 黒のスーツ・白シャツ・黒ネクタイ | 黒のワンピースまたはアンサンブル |
| 参列者 | 黒またはダークスーツ | 黒や濃紺のワンピース・スーツ |
| 靴 | 黒の革靴 | 黒のパンプス(ヒール低め) |
| 小物 | 数珠・ふくさ | 数珠・ふくさ・パール(一連) |
TIP / 三回忌以降は略喪服でもOK
一周忌までは準喪服が基本ですが、三回忌以降は施主から「平服で」と案内されることが増えます。その場合はダークスーツや地味な色のワンピースなど略喪服で問題ありません。
参列者の心得
一周忌は厳かな法要ですので、服装や持ち物だけでなく、振る舞いにも気をつけましょう。まず、遅刻は厳禁です。法要の開始時刻の10〜15分前には会場に到着するようにしましょう。到着したら施主に挨拶をし、受付がある場合は香典をお渡しします。
携帯電話はマナーモードに設定するか電源を切っておくのが基本です。読経中に着信音が鳴ると、厳かな雰囲気が損なわれてしまいます。写真撮影は基本的に控えるべきですが、施主から記念撮影を提案された場合は参加して問題ありません。
子どもと一緒に参列するとき
新米パパ / 2歳児のパパ
一周忌法要で子どもに故人のことをどう伝えればいいですか?
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
お子さまの年齢に合わせて、故人との思い出を語ってあげるのが一番です。写真を見せながら「おじいちゃんは○○ちゃんが生まれたとき、とても喜んでいたよ」と具体的なエピソードを伝えましょう。法要は「命の大切さ」を自然に学べる機会です。堅苦しく説明するよりも、故人への感謝を素直に表現する姿を見せることが、お子さまにとって最良の教育になります。
CHAPTER 04一周忌のお布施・香典・引き出物の相場
お布施

| 項目 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| お布施 | 30,000〜50,000円 | 宗派・地域により異なる |
| お車代 | 5,000〜10,000円 | 僧侶が会場に出向く場合 |
| 御膳料 | 5,000〜10,000円 | 僧侶がお斎を辞退した場合 |
お布施の表書きは「御布施」と書き、白い無地の封筒に入れます。濃い墨で記入し、法要前に僧侶にお渡しするか、法要後にお礼とともにお渡しします。切手盆(小さなお盆)やふくさの上に載せて差し出すのが丁寧です。
墓前に卒塔婆(そとば)を立てる場合は、事前にお寺へ依頼しておきます。卒塔婆料は1本2,000〜5,000円程度が目安です。
香典(御仏前)
| 関係 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 子ども(施主以外) | 10,000〜30,000円 | 会食に参加する場合は多めに |
| 兄弟姉妹 | 10,000〜30,000円 | — |
| 孫 | 5,000〜10,000円 | — |
| 親戚 | 5,000〜10,000円 | 関係の深さによる |
| 友人・知人 | 5,000〜10,000円 | — |
| 会社関係 | 3,000〜10,000円 | 個人で出す場合 |
一周忌の香典袋は、白黒または双銀の結び切りの不祝儀袋(ぶしゅうぎぶくろ)を使います。表書きは仏式の場合「御仏前」「御佛前」とします。「御霊前」は四十九日までに使う表書きなので、一周忌では使いません。裏面に住所と金額を記入し、中袋がある場合は中袋にも同様に記入します。
会食がある場合は、食事代として5,000〜1万円ほどを上乗せして包むのが心遣いとされます。
引き出物(お返し)
一周忌法要に参列していただいた方には、引き出物をお渡しします。金額の目安は3,000〜5,000円で、のし紙は「志」(関西では「粗供養」)と記します。
品物は消えもの(消耗品)が適しています。お茶・海苔・お菓子・洗剤・タオルのほか、近年はカタログギフトが人気です。参列者が持ち帰りやすいよう、軽くてかさばらないものを選びましょう。
CAUTION / 引き出物で避けるべきもの
肉・魚などの生ものや、慶事を連想させるもの(鰹節・昆布など)は避けましょう。また、「四」や「九」の数は不吉とされるため、品数にも注意が必要です。
引き出物の掛け紙(のし紙)は、黒白または黄白の結び切りの水引(みずひき)を使用し、表書きは「志」または「粗供養」とします。地域によって慣習が異なるため、地元の葬儀社や百貨店に相談するのも一つの方法です。引き出物は法要当日にお持ち帰りいただくのが基本ですが、遠方から参列される方には後日郵送する配慮も大切です。
お供え物と仏壇の整え方
一周忌法要に際しては、仏壇やお供え物の準備も欠かせません。一周忌のお供え物は「五供(ごく)」と呼ばれる香・花・灯燭(とうしょく)・浄水・飲食(おんじき)の5つが基本です。線香(香)、生花(花)、ろうそく(灯燭)、お水(浄水)、そしてお菓子や果物・故人の好物(飲食)を丁寧にお供えしましょう。
仏壇の花は白や淡い色の菊・ユリ・カーネーションなどが適しています。一周忌は忌明け後の法要とはいえ、赤やオレンジなど派手な色の花は避けるのがマナーです。お供えの果物はりんご・みかん・ぶどうなど丸い形のものが好まれ、奇数(3個・5個)で盛り付けるのが一般的です。
NOTE / 参列者からのお供え物への対応
参列者からお供え物をいただいた場合は、仏壇の横や祭壇の周囲にお供えします。法要が終わった後は「お下がり」として参列者に分けてお持ち帰りいただくのが通例です。果物やお菓子などの食品は、傷まないうちに分配しましょう。
CHAPTER 05一周忌に関するよくある質問
A.
故人が亡くなった日から満1年の命日に行うのが正式ですが、命日が平日の場合は直前の土日祝日に行うのが一般的です。命日を過ぎてから行うのは避けましょう。
A.
親族を中心に、故人と親しかった友人・知人を招きます。四十九日よりも範囲を広げるのが一般的ですが、家族だけで行う場合もあります。
A.
金額の目安はどちらも3〜5万円で、ほぼ同じです。ただし、四十九日は納骨を同時に行う場合に別途お布施が必要になることがあります。
A.
早めに施主に連絡し、欠席の旨を伝えます。香典を現金書留で送るか、供花・供物を手配しましょう。後日改めてお参りに伺うのも丁寧です。
A.
法要の1ヶ月前を目安に発送し、2週間前までに出欠の返信をもらえるようにしましょう。近親者のみの場合は電話での連絡でも問題ありません。
A.
お菓子(和菓子や焼き菓子)、果物、お線香、ろうそくなどが一般的です。故人が好んでいたものを持参するのも喜ばれます。のし紙は「御供」とし、黒白または黄白の結びきりの水引を使います。金額は3,000〜5,000円程度が目安です。
A.
はい、一周忌の法要が終わった後でもお墓参りはいつでも行って構いません。命日やお彼岸、お盆など節目の時期に足を運ぶ方が多いですが、故人を偲ぶ気持ちがあればいつ訪れても問題ありません。
CHAPTER 06まとめ
一周忌は、故人が亡くなってから満1年の命日に行う大切な年忌法要で、喪明けの節目でもあります。命日より前の週末を目安に日程を決め、2か月前から準備を進めましょう。お布施は3万〜5万円、引き出物は3,000〜5,000円ほどが目安です。形式にとらわれすぎず、故人を偲ぶ気持ちを大切に営んでください。法要全体の基本は「法要とは?」でも解説しています。






