二百十日(にひゃくとおか)とは、立春(りっしゅん)から数えて210日目にあたる雑節(ざっせつ)で、例年9月1日ごろです。2026年は9月1日(火)、2027年は9月1日(水)です。稲の花が咲く大切な時期が台風の多い時期と重なるため、古くから農家に警戒される厄日として知られてきました。この記事では、二百十日の意味と由来、台風との関係、おわら風の盆などの風祭り、子どものいる家庭の台風への備えまで解説します。

CHAPTER 01二百十日の意味と由来
二百十日は、立春を1日目として数えて210日目の日を指します。立春は2月4日ごろなので、二百十日は毎年9月1日ごろになり、9月1日の防災の日と重なる年も多くあります。稲の開花時期と台風シーズンが重なるため、農作物への被害が心配される時期です。
二百十日の日付(自動計算)
| 2026年 | 9月1日(火) |
|---|---|
| 2027年 | 9月1日(水) |
| 2028年 | 8月31日(木) |
二十四節気は太陽の位置、旧暦の行事は新月の日、干支の日は暦の巡りから計算しています。 正式な日付は、国立天文台が毎年2月に翌年分を発表する暦要項で確定します。「頃」は時刻が日付の変わり目に近く、前後する可能性がある日です。

二百十日はもともと農民や漁民のあいだで言い伝えられてきた厄日で、伊勢暦などの民間の暦に記されていたものを、江戸時代に渋川春海(しぶかわはるみ)が貞享暦(じょうきょうれき)を作る際に正式な暦注として採り入れたとされます。立春から220日目の「二百二十日」(9月11日ごろ)も同じく台風の厄日とされ、合わせて注意が呼びかけられてきました。
9月1日頃
二百十日の時期
立春から210日目
計算方法
台風の厄日
古来の認識
INFO / 二百二十日も厄日
立春から220日目の「二百二十日」(9月11日頃)も台風の厄日とされています。二百十日と二百二十日は合わせて「農家の三大厄日」(残る一つは八朔=旧暦8月1日)と呼ばれています。
二百十日と稲作
稲の栽培において、開花から実りにかけての時期に暴風雨に見舞われると、花粉が飛ばされて受粉できなかったり、茎が折れて収量が激減したりする被害が発生します。二百十日はまさにこの重要な時期にあたるため、農家は古くから特別な警戒心を持ってきました。
現代の農業では品種改良により倒伏に強い稲が開発されていますが、それでも大型台風の直撃を受ければ被害は避けられません。天気予報を活用した収穫時期の調整や、防風ネットの設置など、伝統的な知恵と現代の技術を組み合わせた対策が行われています。
「台風」の語源 ― 野分からタイフーンへ
現在「台風」と呼ばれる暴風雨は、昔は「野分(のわき)」などと呼ばれていました。紫式部の『源氏物語』にも「野分」の巻があり、秋の激しい風が物語の情景を彩っています。明治時代の末に、中央気象台長だった岡田武松が「颱風(たいふう)」という言葉を使い始め、戦後に「颱」の字が当用漢字に含まれなかったことから、「台風」と書かれるようになりました。英語の「typhoon」との関係については諸説あります。
INFO / 源氏物語「野分」の巻
紫式部が描いた「野分」の巻では、秋の激しい暴風雨の中で光源氏の邸宅が嵐に見舞われる場面が登場します。「野分」とは野の草を分けて吹き荒れる風、すなわち台風のこと。平安時代の貴族たちも、台風の脅威を身近に感じていたことがうかがえます。
CHAPTER 02台風との関係
気象庁の統計(平年値)では、台風が日本に接近・上陸する数は8月と9月が最も多くなっています。二百十日の前後は、夏の太平洋高気圧の勢力が弱まり始め、台風が日本列島に近づきやすくなる時期です。

科学的な気象予報がなかった時代、農家にとって二百十日は「暴風雨に警戒すべき日」の重要な目安でした。現代でもこの時期は台風への備えが欠かせません。
歴史に残る大台風
日本の歴史をひもとくと、台風がいかに大きな災害をもたらしてきたかがわかります。永祚元年(989年)には京の都を猛烈な暴風雨が襲い、朱雀門が倒壊するほどの被害が出たと記録されています。昭和9年(1934年)の室戸台風は関西を直撃し、死者・行方不明者は3,000人を超えました。
| 年 | 名称・出来事 | 主な被害 |
|---|---|---|
| 989年(永祚元年) | 永祚の風 | 京都を暴風雨が襲い、朱雀門などが倒壊 |
| 1828年(文政11年) | シーボルト台風 | 九州北部を直撃。死者は1万人以上ともいわれる |
| 1934年(昭和9年) | 室戸台風 | 関西を直撃。死者・行方不明者3,036人 |
| 1945年(昭和20年) | 枕崎台風 | 死者・行方不明者3,756人。被害は広島県に集中 |
| 1959年(昭和34年) | 伊勢湾台風 | 死者・行方不明者5,098人。明治以降で最大の台風被害 |
新米パパ / 2歳児のパパ
平安時代から台風の記録があるんですね。二百十日が厄日になったのも納得です。
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
そうなんです。特に伊勢湾台風の甚大な被害をきっかけに「災害対策基本法」が制定されました。二百十日の教えは、現代の防災の原点ともいえますね。
CHAPTER 03風祭り(風鎮め)の風習
台風や暴風による農作物の被害を防ぐため、各地で風祭り(かざまつり)が行われてきました。代表的なのは富山県富山市の「おわら風の盆」で、毎年9月1日〜3日に開催されます。哀愁漂う胡弓の音色と優美な踊りで知られ、全国から多くの観光客が訪れる一大行事です。

新米パパ / 2歳児のパパ
風祭りって何ですか?初めて聞きました。
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
風祭りは台風や暴風雨を鎮めるために行う祭りです。富山県の「おわら風の盆」が最も有名で、9月1〜3日に優雅な踊りと胡弓の音色で風を鎮めます。越中八尾の町並みを練り歩く幻想的なお祭りですよ。
奈良県三郷町の龍田大社(たつたたいしゃ)は古くから風の神を祀る神社として知られ、毎年7月に風鎮大祭(ふうちんたいさい)が行われます。このほかにも全国の神社で風鎮めの祈祷が行われてきました。風を鎮めて五穀豊穣を祈るこれらの祭りには、自然の力を畏れ敬う人々の思いが込められています。
CHAPTER 04二百十日と防災
二百十日は9月1日の防災の日と同じ日か、その前後にあたります。防災の日は、1923年9月1日の関東大震災にちなむとともに、台風の多い時期であることから制定されました。台風が大型化する傾向も指摘されており、風水害への備えはますます重要になっています。
子どものいる家庭の台風への備え
台風が近づく前に、家の周りと持ち物を家族で点検しておきましょう。子どもと一緒にハザードマップを見て、自宅の浸水や土砂災害の危険と、避難場所までの道を確認しておくと、いざというときに慌てずにすみます。
- 家の周りの対策:ベランダの植木鉢や物干し竿を室内に入れる、排水溝を掃除する、窓に飛散防止フィルムを貼る
- 子ども用の備え:おむつ・おしりふき・ミルクや離乳食、子どもの常備薬、着替え、お気に入りのおもちゃや絵本
- 停電への備え:懐中電灯やランタン、モバイルバッテリー、数日分の飲料水と食料
- 情報の入手:気象庁の「キキクル」や自治体の防災アプリで、警戒レベルと避難情報を確認する
CHAPTER 05二百十日に関するよくある質問
A.
2027年の二百十日は9月1日(水)で、防災の日と同じ日です。二百二十日は9月11日(土)です。2026年の二百十日も9月1日(火)でした。
A.
富山県富山市八尾町で毎年9月1〜3日に行われる、風を鎮め豊作を祈る祭りです。胡弓の音色が響く越中おわら節に合わせた優美な踊りで知られ、全国から多くの観光客が訪れます。
A.
はい。立春から数えて210日目にあたる雑節の一つです。八十八夜や土用と同じく、季節の変わり目を表す暦注です。
A.
いずれも台風の被害が心配される時期にあたり、「農家の三大厄日」と呼ばれます。八朔は旧暦8月1日で、新暦では8月下旬から9月中旬ごろにあたります。
CHAPTER 06まとめ
二百十日は立春から数えて210日目にあたる雑節で、2027年は9月1日(水)です。稲の花が咲く時期に台風が重なることから農家の厄日として警戒され、おわら風の盆のように風を鎮める祭りも各地に受け継がれてきました。防災の日と重なるこの時期をきっかけに、ハザードマップや子ども用の備えを家族で点検しておきましょう。






