まだ寒さの残る早春に、ほのかな香りとともに花を咲かせる。桜より一足早く春の訪れを告げる梅は、古くから日本人に愛されてきた花木です。全国各地には梅の名所が点在し、1月下旬から3月にかけて見頃を迎えます。この記事では、関東・関西・東海中部・九州四国の4エリアに分けておすすめの梅の名所15選を紹介します。見頃時期や本数、梅まつり情報もあわせてまとめましたので、お出かけの計画にお役立てください。

CHAPTER 01
梅の見頃はいつ?1月下旬〜3月が最盛期

梅の開花時期は品種や地域によって異なりますが、一般的には1月下旬から3月上旬にかけてが見頃です。早咲きの品種は1月中旬から咲き始め、遅咲きの品種は3月下旬まで楽しめる場合もあります。暖かい地域ほど開花が早く、たとえば熱海や九州では1月から見頃を迎えることもあります。
梅は紅梅(こうばい)・白梅(はくばい)・枝垂れ梅(しだれうめ)など多彩な品種があり、色や形の違いを見比べるのも大きな楽しみです。開花に合わせて各地で梅まつりが開催され、甘酒のふるまいや野点(のだて)、写真コンテストなど多彩なイベントが行われます。
1月下旬〜3月
全国的な見頃時期
約400品種
日本の梅の品種数
紅・白・枝垂れ
代表的な梅の分類
奈良時代〜
花見文化の始まり

CHAPTER 02
全国の梅の名所おすすめ15選

ここからは、全国の梅の名所を関東・関西・東海中部・九州四国の4エリアに分けて紹介します。それぞれのスポットの本数・品種数・見頃・梅まつり情報をまとめていますので、気になる地域からチェックしてみてください。

関東エリアの梅の名所5選

1. 偕楽園(茨城県水戸市)

日本三名園のひとつに数えられる偕楽園(かいらくえん)は、約3,000本・約100品種の梅が植えられた日本屈指の梅の名所です。水戸藩第9代藩主・徳川斉昭(なりあき)が「衆(しゅう)と偕(とも)に楽しむ場」として1842年に開園しました。見頃は2月中旬から3月中旬で、毎年開催される水戸の梅まつりは120年以上の歴史を誇ります。園内には好文亭(こうぶんてい)からの眺望も見事で、紅梅と白梅が織りなす景色は圧巻です。

2. 曽我梅林(神奈川県小田原市)

小田原市の曽我地区に広がる曽我梅林(そがばいりん)は、別所・原・中河原の3つの梅林からなり、約35,000本もの梅が咲き誇ります。その多くは梅干し用の食用梅ですが、満開時には白い花が一面に広がり壮観です。背景に富士山を望める絶景ポイントとしても知られ、2月上旬から3月上旬にかけて小田原梅まつりが開催されます。流鏑馬(やぶさめ)や寿獅子舞(ことぶきししまい)などの伝統行事も見どころです。

3. 湯島天神(東京都文京区)

学問の神様・菅原道真(すがわらのみちざね)を祀(まつ)る湯島天神(湯島天満宮)は、都心で気軽に梅を楽しめる名所です。境内には約300本の梅が植えられ、その約8割が白梅の「白加賀(しろかが)」です。見頃は2月中旬から3月上旬で、毎年梅まつりの期間中は野点や神楽(かぐら)などの催しが行われます。受験シーズンと重なるため、合格祈願と梅見を兼ねて訪れる参拝者も多くみられます。

4. 大倉山公園(神奈川県横浜市)

東急東横線の大倉山駅から徒歩約7分と好アクセスの大倉山公園(おおくらやまこうえん)には、約200本・約30品種の梅が植えられた梅林があります。斜面に沿って紅梅と白梅が交互に咲く景観が美しく、見頃は2月中旬から3月上旬です。毎年開催される大倉山観梅会(かんばいかい)では、地元の和菓子や甘酒が楽しめ、家族連れに人気のスポットです。

5. 越生梅林(埼玉県越生町)

関東三大梅林のひとつに数えられる越生梅林(おごせばいりん)は、約1,000本の梅が咲く埼玉を代表する梅の名所です。太宰府天満宮から分祀(ぶんし)された梅園神社の周囲に梅が広がり、見頃は2月下旬から3月中旬です。越生梅林梅まつりの期間中はミニSLの運行や地元特産品の販売が行われ、ハイキングと組み合わせて訪れる方も多くいます。

関西エリアの梅の名所4選

6. 北野天満宮(京都府京都市)

菅原道真を御祭神とする北野天満宮(きたのてんまんぐう)は、全国約12,000社ある天満宮の総本社です。境内には約1,500本・約50品種の梅が植えられ、道真公が愛した梅の花が至るところで咲き誇ります。見頃は2月上旬から3月中旬で、梅苑「花の庭」が公開される期間中は、茶菓子付きの入苑券で風雅なひとときを楽しめます。境内の「飛梅(とびうめ)」伝説にちなんだ梅も必見です。

7. 大阪城梅林(大阪府大阪市)

大阪城の東側に広がる大阪城梅林(おおさかじょうばいりん)は、約1,270本・約100品種の梅が楽しめる関西屈指の梅スポットです。1974年に大阪府立北野高校の同窓会から寄贈された梅を始まりとし、現在では早咲きから遅咲きまで長期間にわたって花を楽しめます。見頃は2月上旬から3月中旬で、天守閣と梅のコントラストは写真映えする絶景です。入園無料で気軽に立ち寄れるのも魅力です。

8. 月ヶ瀬梅渓(奈良県奈良市)

名張川(なばりがわ)沿いの渓谷に約10,000本もの梅が咲き誇る月ヶ瀬梅渓(つきがせばいけい)は、奈良を代表する梅の名所です。1922年に国の名勝に指定された歴史ある景勝地で、渓谷と梅の組み合わせが他にはない風情を生み出しています。見頃は2月中旬から3月下旬と比較的長く、月ヶ瀬梅渓梅まつりでは地元の梅製品や特産品が販売されます。散策路を歩きながら自然の中で梅を堪能できます。

9. 南部梅林(和歌山県みなべ町)

梅の生産量日本一を誇る和歌山県みなべ町にある南部梅林(みなべばいりん)は、「一目百万、香り十里」と称される壮大な梅林です。山の斜面一帯に白梅が広がる風景はまさに圧巻で、見頃は2月上旬から3月上旬です。開園期間中は約4kmの遊歩道「梅の里ハイキングコース」を散策でき、地元産の梅干しや梅ジュースも味わえます。紀州の温暖な気候が育む南高梅(なんこううめ)の産地ならではの風景を楽しめます。

東海・中部エリアの梅の名所3選

10. 熱海梅園(静岡県熱海市)

「日本一早咲きの梅」として知られる熱海梅園(あたみばいえん)は、約460本・約60品種の梅が植えられた名所です。温暖な熱海の気候により、早咲きの梅は11月下旬から12月に開花することもあり、1月にはすでに見頃を迎えます。毎年1月上旬から3月上旬にかけて開催される熱海梅園梅まつりは、日本で最も早い梅まつりとして有名です。園内には足湯もあり、観光と温泉を一度に楽しめるのが魅力です。

11. いなべ市農業公園(三重県いなべ市)

東海地方最大級の梅林として注目を集めるいなべ市農業公園(いなべしのうぎょうこうえん)には、約4,500本の梅が植えられています。鈴鹿山脈を背景に、紅梅・白梅・枝垂れ梅が斜面を彩る風景は「絶景」の一言です。見頃は2月下旬から3月下旬で、いなべ梅まつりの期間中は園内のエリアごとに異なる品種を楽しめます。高台から梅林を一望できる展望台は、写真撮影の人気スポットとして知られています。

12. 佐布里池梅林(愛知県知多市)

愛知県知多市にある佐布里池梅林(そうりいけばいりん)は、約5,800本・約25品種の梅が咲く東海地方有数の梅の名所です。佐布里池の周囲に広がる梅林は散策路が整備されており、水面に映る梅の花が幻想的な風景をつくり出します。見頃は2月中旬から3月中旬で、佐布里池梅まつりでは梅を使った特産品の販売や、地元の郷土芸能が披露されます。家族でのんびり歩くのに最適なスポットです。

九州・四国エリアの梅の名所3選

13. 太宰府天満宮(福岡県太宰府市)

菅原道真の御墓所(ごぼしょ)の上に建てられた太宰府天満宮(だざいふてんまんぐう)は、「飛梅(とびうめ)」伝説で知られる梅の聖地です。境内には約6,000本・約200品種もの梅が植えられており、日本随一の品種数を誇ります。見頃は1月下旬から3月上旬で、御神木の飛梅は毎年境内で最も早く花を咲かせます。道真公が都を離れる際に詠んだ「東風(こち)吹かば匂ひおこせよ梅の花 あるじなしとて春な忘れそ」の和歌は広く知られています。

14. 岡山後楽園(岡山県岡山市)

日本三名園のひとつである岡山後楽園(おかやまこうらくえん)の梅林には、約100本の紅梅・白梅が植えられています。本数こそ他の名所に比べると少ないですが、広大な回遊式庭園の中で梅を鑑賞できる格別の趣があります。見頃は2月上旬から3月上旬で、岡山城を借景(しゃっけい)に眺める梅は風雅そのもの。園内の茶屋で抹茶をいただきながら、ゆったりと梅見を楽しめるのが後楽園ならではの魅力です。

15. 筑波山梅林(茨城県つくば市)

筑波山の中腹に広がる筑波山梅林(つくばさんばいりん)には、約1,000本の紅梅・白梅が植えられています。標高約250mの斜面に咲く梅越しに関東平野を一望できる開放的な眺めが魅力です。見頃は2月中旬から3月中旬で、筑波山梅まつりの期間中はガマの油売りの口上実演や野点など、つくばならではのイベントが催されます。梅林内には展望あずまやが設けられており、梅の香りに包まれながら絶景を堪能できます。
新米パパ / 2歳児のパパ
梅の名所ってこんなにたくさんあるんですね。子どもを連れて行くなら、どこがおすすめですか?
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
小さなお子さん連れなら、大阪城梅林大倉山公園のように平坦な場所が歩きやすくておすすめです。駅からのアクセスが良く、入園無料のスポットも多いですよ。梅まつりで甘酒やお菓子を楽しめる会場なら、お子さんも飽きずに過ごせます。暖かい日を選んで出かけてみてくださいね。

CHAPTER 03
梅の名所をもっと楽しむコツ

梅の名所を訪れる際には、いくつかのポイントを押さえておくとより充実した梅見になります。以下のコツを参考にしてみてください。
TIP / 梅見を快適に楽しむためのポイント
梅の見頃は真冬から早春にかけてのため、防寒対策は必須です。風を通しにくい上着やマフラー、手袋を持参しましょう。また、梅園は未舗装の道が多いため、歩きやすい靴を選ぶことをおすすめします。
  • 開花情報を事前に確認する:同じ梅林でも早咲きと遅咲きで見頃が異なるため、公式サイトやSNSで最新の開花状況をチェックする
  • 午前中の早い時間に訪れる:梅まつり期間中は混雑しやすいため、開園直後の時間帯が狙い目。朝の澄んだ空気の中で香りも楽しめる
  • 香りを意識して鑑賞する:梅は花の姿だけでなく香りも大きな魅力。顔を近づけて品種ごとの香りの違いを楽しんでみる
  • 品種の違いを見比べる:紅梅・白梅・枝垂れ梅など品種によって花の色や形が異なる。品種名の札がある梅園では、お気に入りの品種を見つける楽しみもある
  • 梅にまつわるグルメを楽しむ:梅まつり会場では梅干し・梅ジュース・梅酒など地元の梅製品を味わえることが多い。お土産選びも梅見の楽しみのひとつ

CHAPTER 04
よくある質問

A.
全国的には1月下旬から3月上旬が見頃です。早咲きの名所である熱海梅園では1月から楽しめ、遅咲きの品種がある月ヶ瀬梅渓では3月下旬まで花が残ります。地域や品種によって異なるため、訪問前に最新の開花情報を確認するのがおすすめです。
A.
開花時期は梅が1〜3月、桜が3〜4月と梅のほうが早いです。花びらの形にも違いがあり、梅の花びらは先が丸く、桜の花びらは先端に切れ込みがあります。また、梅は枝に直接花がつき、桜は枝から伸びた柄(え)の先に花がつくのも見分けるポイントです。香りは梅のほうが強く甘いのが特徴です。
A.
平坦で歩きやすい大阪城梅林や、駅から近い大倉山公園、ミニSLが楽しめる越生梅林が子ども連れにおすすめです。いずれも梅まつり期間中はイベントや出店があり、お子さんも飽きずに楽しめます。足元が悪い場合もあるため、歩きやすい靴で出かけましょう。
A.
多くの梅まつりでは甘酒のふるまい・野点(のだて)・地元特産品の販売などが行われます。偕楽園の水戸の梅まつりや曽我梅林の小田原梅まつりでは伝統芸能の披露もあります。会場によっては写真コンテストやスタンプラリーも開催されるため、事前に公式サイトで催し物をチェックしておくとよいでしょう。

CHAPTER 05
まとめ

梅は桜に先駆けて春を告げる花であり、全国各地に見事な名所が点在しています。日本三名園の偕楽園や飛梅伝説の太宰府天満宮、日本一早咲きの熱海梅園など、それぞれに個性ある魅力があります。紅梅・白梅・枝垂れ梅と多彩な品種が織りなす風景は、桜とはまた違った趣を楽しませてくれます。
梅の見頃は1月下旬から3月にかけてと比較的長く、時期をずらせば複数の名所を巡ることもできます。各地で開催される梅まつりでは、梅にちなんだグルメやイベントも楽しめますので、防寒対策をしっかりして早春の梅見に出かけてみてはいかがでしょうか。