十日夜(とおかんや)は、旧暦10月10日に稲の収穫を祝い、田の神に感謝する行事です。2026年の十日夜は11月18日(水)、2027年は11月7日(日)。北関東を中心とした東日本の行事です。この記事では、読み方と意味、十日夜の月と「三月見」、藁鉄砲などの風習とお供え、亥の子との違いを紹介します。

CHAPTER 01
十日夜とは?読み方・意味・由来

旧暦10月10日
十日夜の日付
田の神
感謝して送る神様
冬
俳句の季語
十日夜は「とおかんや」と読み、「とおかや」と呼ぶ地域もあります。旧暦10月10日の夜に、その年の稲の収穫を祝い、田んぼを見守ってくれた田の神に感謝する行事です。稲刈りが終わり、田の神が田から山(または家)へ帰っていくのを送る日とされ、餅やぼた餅をお供えしてお祝いします。
十日夜が行われてきたのは、北関東を中心に、甲信越から東北地方の南部にかけての地域です。西日本では、同じころに「亥の子」という似た収穫祭が行われます。旧暦の10月は冬にあたるため、「十日夜」は俳句では冬の季語です。英語では「Tokanya, a harvest festival held on the 10th night of the 10th lunar month」のように説明できます。
◆十日夜の日付(自動計算)
2026年11月18日(水)
2027年11月7日(日)
2028年11月25日(土)

二十四節気は太陽の位置、旧暦の行事は新月の日、干支の日は暦の巡りから計算しています。 正式な日付は、国立天文台が毎年2月に翌年分を発表する暦要項で確定します。「頃」は時刻が日付の変わり目に近く、前後する可能性がある日です。

CHAPTER 02
十日夜はいつ?2026年・2027年の日付

十日夜は旧暦(月の満ち欠けをもとにした昔の暦)の10月10日なので、今のカレンダーでは毎年日付が変わります。おおむね11月上旬から下旬のあいだです。
十日夜の日付
年十日夜(旧暦10月10日)
2026年11月18日(水)
2027年11月7日(日)
2028年11月25日(土)
十五夜・十三夜とあわせた「三月見(さんつきみ)」の日付は次のとおりです。
三月見(十五夜・十三夜・十日夜)の日付
2026年2027年
十五夜(旧暦8月15日)9月25日(金)9月15日(水)
十三夜(旧暦9月13日)10月23日(金)10月12日(火)
十日夜(旧暦10月10日)11月18日(水)11月7日(日)

CHAPTER 03
十日夜の月と「三月見」

十日夜の月はどんな形?

旧暦では新月の日を1日とするので、10日の夜の月は半月(上弦の月)を過ぎて、少しふくらんだ月です。満月ではありません。月齢はおよそ9で、右側が明るく光って見えます。夕方から夜にかけて南の空に見え、夜中を過ぎたころに西へ沈みます。
夜空に浮かぶ月齢10の月。右側が明るく、半月より少しふくらんでいる
月齢10ごろの月。十日夜の月は、半月を過ぎて少しふくらんだ形です

三月見とは

日本の秋の月見は、十五夜(旧暦8月15日)・十三夜(旧暦9月13日)・十日夜(旧暦10月10日)の3回が伝統的で、あわせて「三月見」と呼ばれます。3回とも月見をすると縁起がよいとされ、十日夜の晴れ・曇りで翌年の豊作を占う地域もありました。
十五夜と十三夜が「月の美しさを楽しむ」行事なのに対し、十日夜は月見よりも収穫に感謝し、農作業の区切りをつける行事としての性格が強いのが特徴です。
十五夜のお月見とすすき
十五夜・十三夜に続く、秋の最後の月見が十日夜
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INFO / 「片見月」は十五夜と十三夜のこと
十五夜と十三夜のどちらか一方しか月見をしないことを「片見月(かたみづき)」といい、縁起が悪いとされてきました。片見月は十五夜と十三夜の2つについての言い伝えで、十日夜は含まれません。
新米パパ
新米パパ / 2歳児のパパ
十五夜と十三夜と十日夜、全部お月見の行事なんですか?
カゾイロ博士
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
十五夜と十三夜はお月見の行事ですが、十日夜は月を楽しむというより、稲の収穫に感謝する行事です。それでも3つの月見をそろえると縁起がよいとされてきたので、11月の十日夜にもぜひ夜空を見上げてみてください。

CHAPTER 04
十日夜の風習|何をする?お供えと食べ物

藁鉄砲(わらでっぽう)

十日夜を代表する風習が「藁鉄砲」です。稲藁をかたく束ねて棒のようにしたものを持った子どもたちが、唱えことばを歌いながら、畑や家のまわりの地面をたたいて回ります。地面をたたく音と振動でモグラや野ネズミを追い払い、作物がよく実るように田の神を励ます、という意味があります。
稲藁をかたく束ねて縄で巻いた藁細工
藁鉄砲は、稲藁をかたく束ねて縄で巻いて作ります
たとえば群馬県片品村では、日が暮れるころ子どもたちが家々を回り、「十日夜、十日夜、朝切り蕎麦に昼団子、夕飯食ったらぶったたけ!」などと歌いながら地面をたたきます。たたき終わると、その家の人からお菓子やお駄賃をもらって次の家へ。子どもたちが近所を回る様子は、まるで日本のハロウィンのようです。使い終わった藁鉄砲を茅葺き屋根の上に投げると、翌年は豊作になるという言い伝えもあります(東京電力「片品村の伝統行事“十日夜”」)。唱えことばは、地域によって少しずつ違います。
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TIP / 子どもと藁鉄砲を作ってみよう
藁が手に入らなければ、新聞紙をかたく丸めてひもで縛るだけでも藁鉄砲の代わりになります。「とおかんや、とおかんや」と唱えながら庭や公園の地面をたたけば、昔の子どもたちの遊びを体験できます。人や物をたたかないよう、場所を決めて遊びましょう。

案山子上げ(かかしあげ)

長野県などでは、十日夜に田んぼの案山子(かかし)を家に持ち帰り、庭先などにまつってお供えをする「カカシアゲ」が行われてきました。案山子は田を守ってくれた田の神のよりどころとされ、感謝を込めて家に迎えます。
黄金色に実った田んぼに立つ案山子
稲を見守ってきた案山子を、十日夜に家へ迎える地域もあります

大根の年取り

十日夜を「大根の年取り」と呼ぶ地域もあります。この日は大根畑に入ったり、大根を食べたりしてはいけないという言い伝えが残っています。

十日夜のお供えと食べ物

十日夜には、その年にとれた新米でついた餅やぼた餅を田の神にお供えし、家族や近所で分け合って食べるのが一般的です。片品村の唱えことばに出てくるそばや団子を食べる家庭もあります。十五夜と同じように、月にお供えをする地域もありました。
  • ぼた餅・おはぎ:新米でつくって田の神にお供えする
  • 餅・団子:収穫を祝ってつき、月や田の神に供える
  • 新米のおにぎり:子どもと一緒に作りやすい、今の家庭向けのお供え
  • そば:唱えことばの「朝切り蕎麦」にちなんで

CHAPTER 05
十日夜と亥の子の違い・現代の十日夜

東日本の十日夜に対し、西日本では同じ旧暦10月に「亥の子(いのこ)」が行われます。どちらも収穫を祝い、田の神が田から帰る日とされる行事で、子どもたちが地面をたたいて回る点もよく似ています。
十日夜と亥の子の違い
十日夜亥の子
行う地域北関東を中心とした東日本西日本
日にち旧暦10月10日旧暦10月の亥の日
地面をたたく道具藁鉄砲亥の子石(亥の子づき)など
食べ物ぼた餅・餅亥の子餅
白い器にのった茶色い亥の子餅
亥の子の日に食べる亥の子餅。イノシシの子(うり坊)に見立てた和菓子です

現代の十日夜

農業の機械化や暮らしの変化で、十日夜を行う地域は少なくなりました。それでも、群馬県片品村のように子どもたちが藁鉄砲で地面をたたく行事を続けている地域もあり、地域の大切な行事として受け継がれています。家庭では、11月の十日夜の夜に月を見上げたり、新米のおにぎりやおはぎを食べたりして、秋の実りに感謝してみてはいかがでしょうか。

CHAPTER 06
十日夜に関するよくある質問

A.
「とおかんや」と読みます。「とおかや」と呼ぶ地域もあります。
A.
十日夜は旧暦10月10日なので、毎年日付が変わります。2026年は11月18日(水)、2027年は11月7日(日)です。
A.
子どもたちが藁鉄砲で地面をたたいて回る、案山子を家に迎える(カカシアゲ)、新米の餅やぼた餅を田の神に供える、などの風習があります。
A.
満月ではありません。旧暦10日の月は、半月(上弦の月)を過ぎて少しふくらんだ月で、月齢はおよそ9です。
A.
はい、冬の季語です。旧暦の10月は冬にあたるためです。
A.
北関東などの一部の地域で、今も子どもたちの藁鉄砲の行事が続けられています。群馬県片品村の十日夜が知られています。

CHAPTER 07
まとめ

十日夜(とおかんや)は、旧暦10月10日に稲の収穫を祝い、田の神に感謝する東日本の行事で、2026年は11月18日(水)、2027年は11月7日(日)です。子どもたちが藁鉄砲で地面をたたいて回る風習や、案山子を家に迎えるカカシアゲなど、農村の暮らしに根ざした風習が伝わっています。十五夜・十三夜とあわせた「三月見」の最後の月見として、家族で月を見上げ、新米のおにぎりやおはぎを味わってみてください。