十日夜(とおかんや)は、旧暦10月10日に行われる収穫を祝う日本の伝統行事です。主に東日本の農村地帯に伝わる風習で、藁鉄砲で地面を叩いてモグラを追い払い、田の神に感謝する行事として親しまれてきました。この記事では、その意味や由来、各地の風習について解説します。

CHAPTER 01
十日夜とは?意味と由来

十日夜は、旧暦10月10日の夜に行われる収穫感謝の行事です。この日は田の神が山に帰る日とされ、一年の稲作を見守ってくれた神様に感謝を捧げ、来年の豊作を祈願します。
主に関東地方を中心とした東日本の農村で行われてきた行事で、西日本の「亥の子祝い」と対をなす秋の収穫祭です。十五夜(中秋の名月)・十三夜と合わせて「三月見」とも呼ばれ、この三つの月見をすべて行うと縁起が良いとされています。
旧暦10月10日
十日夜の日付
収穫感謝
田の神への感謝の行事
関東地方
主に行われる地域
半月(十日夜の月)
十日夜は旧暦10月10日の収穫祭

CHAPTER 02
主な風習と行事

TIP / 案山子上げ(かかしあげ)
十日夜の代表的な風習の一つが「案山子上げ」です。田んぼで働いてくれた案山子を家に持ち帰り、庭先や縁側(えんがわ)に立てて餅や団子を供えます。案山子は田の神の依り代とされ、収穫を見守ってくれた存在への感謝を表しています。

藁鉄砲(わらでっぽう)

この行事を代表する風習が「藁鉄砲」です。子どもたちが稲藁を束ねて作った棒で地面を叩きながら集落を回ります。「とおかんや、とおかんや」と唱えながら地面を叩く音には、モグラやネズミなど田畑を荒らす害獣を追い払う意味があります。

案山子上げ

田んぼに立てていた案山子(かかし)を取り込み、庭先に飾ったり神棚に供えたりする風習もあります。案山子は稲を守ってくれた「田の神の依代(よりしろ)」とされ、感謝を込めて家に迎え入れます。

ぼた餅・おはぎの供え

収穫した新米で作ったぼた餅やおはぎを供える地域もあります。餅を搗いて田の神に供え、家族や近所で分け合って食べるのが伝統的な過ごし方です。

CHAPTER 03
十五夜・十三夜との関係

日本の秋の月見は、十五夜(旧暦8月15日)・十三夜(旧暦9月13日)・この行事(旧暦10月10日)の三回が伝統的です。十五夜と十三夜は月の美しさを愛でる行事ですが、十日夜は月見よりも収穫感謝と農作業の区切りとしての性格が強いのが特徴です。
「三つの月見を全て見ると縁起が良い」「一つでも欠かすと縁起が悪い(片月見)」という言い伝えがあり、農村では三回の月見を大切にする文化が受け継がれてきました。
新米パパ / 2歳児のパパ
十五夜と十三夜と十日夜、全部お月見に関係があるんですか?
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
十五夜(旧暦8月15日)と十三夜(旧暦9月13日)はお月見の行事ですが、十日夜は月を愛でるというよりも収穫感謝の行事です。この三つを合わせて「三月見」といい、すべてお祝いすると縁起がよいとされていますよ。

CHAPTER 04
現代の十日夜

農業の機械化や都市化により、この行事を行う地域は年々減少しています。しかし、一部の農村や地域の祭りでは子どもたちによる藁鉄砲の行事が復活・継続されており、地域の無形文化財として保存する取り組みも進んでいます。秋の収穫に感謝する心を次世代に伝える貴重な機会として、その価値が見直されています。

CHAPTER 05
十日夜と亥の子祝い

東日本の十日夜に対し、西日本では同時期に「亥の子祝い」が行われます。どちらも秋の収穫に感謝する行事ですが、この行事は藁鉄砲で地面を叩くのに対し、亥の子祝いでは亥の子石で地面を搗くという違いがあります。また、こちらは田の神を送る行事、亥の子祝いは無病息災と子孫繁栄を願う行事という性格の違いもあります。
いずれも農村の暮らしに根ざした行事であり、日本の秋の収穫文化の豊かさを感じさせます。東と西で異なる風習を比較してみるのも、日本文化を深く理解する面白い視点です。農村の暮らしに根ざしたこれらの行事を知ることで、私たちが日頃口にしている食べ物への感謝の気持ちが自然と深まるのではないでしょうか。秋の夜長に、こうした古くからの風習に思いを巡らせてみるのも趣深いものです。
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INFO / 地域で異なる十日夜の風習
群馬県では子どもたちが藁鉄砲で地面を叩く「藁鉄砲」の風習が残っています。埼玉県では「十日夜のぼたもち」を作る地域もあります。同じ十日夜でも地域ごとに独自の風習が伝えられています。
新米パパ / 2歳児のパパ
十日夜と十五夜は何が違うのですか?
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
十五夜は旧暦8月15日の月見で、月の美しさを愛でる風流な行事。十日夜は旧暦10月10日で、稲の収穫を祝い田の神に感謝する農耕儀礼です。十日夜は主に東日本で行われる行事で、西日本ではあまり馴染みがありません。
A.
旧暦10月10日は年によって異なります。2026年は新暦11月20日頃にあたります。旧暦変換カレンダーで確認するのが確実です。
A.
餅や団子、新米のおにぎりなどをお供えします。田の神への感謝として、その年に収穫したお米で作ったものを供えるのが基本です。
A.
農村地域を中心に今でも行われている地域があります。群馬県や埼玉県、長野県などでは伝統行事として保存・継承されています。
『日本のしきたりがまるごとわかる本』では、十日夜について旧暦10月10日に行われる収穫感謝の行事として紹介されています。この日は稲の刈り上げを祝い、田の神に感謝を捧げるもので、わら鉄砲やわらづとで地面を叩く風習が各地に残っています。特に関東地方では「大根の年取り」とも呼ばれ、この日に大根畑に入ると一本足の案山子(かかし)に追いかけられるという言い伝えもあり、収穫を見守った案山子を田の神として敬う素朴な信仰が息づいています。
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CHAPTER 06
まとめ

十日夜は、旧暦10月10日に田の神に感謝する東日本の収穫祝いです。藁鉄砲で地面を叩いて害獣を追い払い、案山子を家に迎え入れるなど、農村の暮らしに根ざしたユニークな風習が特徴です。十五夜・十三夜と合わせた「三月見」の文化を知ることで、日本の秋の行事をより深く楽しめるでしょう。