お通夜(おつや)は、葬儀・告別式(こくべつしき)の前夜に故人を偲び、最後の夜を共に過ごす日本の弔事です。急な訃報に際して慌てないよう、お通夜の流れや服装、香典(こうでん)の相場、参列時のマナーを事前に知っておくことが大切です。この記事では、お通夜の意味・由来から当日の流れ、服装、香典、焼香(しょうこう)の作法まで、わかりやすく解説します。
CHAPTER 01お通夜とは?意味と由来
お通夜とは、葬儀・告別式の前夜に行われる弔いの儀式です。「通夜」の名前は、遺族や親しい人が夜通し故人のそばに付き添うことに由来します。ろうそくや線香の火を絶やさず、故人の霊を守り、最後の夜を共に過ごすという意味が込められています。
仏教の教えでは、故人の魂は亡くなってから49日間かけてあの世へ旅立つとされています。お通夜はその旅立ちの最初の夜であり、遺族が故人の冥福を祈る大切な時間です。かつては文字通り夜通し行われていましたが、現在では1〜2時間程度の「半通夜」が主流となっています。
INFO / お通夜と葬儀・告別式の違い
お通夜は葬儀の前夜に行う儀式で、故人と親しかった人が最後のお別れをする場です。葬儀は宗教的な儀式として僧侶が読経(どきょう)し、故人の冥福を祈ります。告別式は故人と社会的なお別れをする場で、一般の参列者が焼香・献花を行います。現在では葬儀と告別式を合わせて行うのが一般的です。
CHAPTER 02お通夜の流れ ─ 当日のスケジュール
一般的なお通夜の流れをご紹介します。所要時間は1〜2時間程度で、開始時間は18時〜19時頃が多いです。
- 01受付(開始30分前〜)受付で記帳し、香典を渡します。「この度はご愁傷様です」と一言添えて、香典袋を両手で差し出します。
- 02着席案内に従って着席します。一般参列者は祭壇から離れた席に座ります。遺族・親族は祭壇に近い席です。
- 03僧侶の読経(30〜40分)僧侶が入場し、読経が行われます。宗派によってお経の種類や長さは異なります。
- 04焼香読経の途中または読経後に、遺族→親族→一般参列者の順に焼香を行います。焼香の作法は宗派によって異なりますが、基本は「つまむ→額に押しいただく→香炉に落とす」です。
- 05僧侶の法話読経・焼香が終わると、僧侶から短い法話(お話)がある場合があります。
- 06喪主の挨拶喪主が参列者に対してお礼の挨拶を述べます。
- 07通夜振る舞いお通夜の後、別室で軽い食事やお酒が振る舞われます。故人を偲びながらいただくもので、勧められたら辞退せず少しでもいただくのがマナーです。
- 通夜振る舞い
- 通夜の後に参列者にふるまわれる食事。お寿司やオードブルなどが一般的です。故人を偲びながらいただくもので、一口でも箸をつけるのがマナーとされています。
- 焼香(しょうこう)
- 香を焚いて故人に捧げる儀式。抹香を親指・人差し指・中指でつまみ、額の高さに持ち上げてから香炉に落とします。宗派によって回数が異なります。
- 半通夜(はんつや)
- 2〜3時間程度で終わる短縮版の通夜。近年は遺族の負担を考慮して半通夜が主流になっています。
パ
新米パパ / 2歳児のパパ
通夜と葬儀、両方に参列すべきですか?どちらか一方でもいいですか?
博
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
近年は通夜のみに参列する方が多いです。葬儀・告別式は平日の午前中に行われることが多く、仕事の都合がつかない方が通夜だけ参列するケースが一般的になっています。親族や特に親しい方は両方に参列しますが、どちらか一方で失礼にはなりません。
CHAPTER 03お通夜の服装 ─ 男性・女性・子供
お通夜の服装は準喪服(ブラックフォーマル)が基本です。かつては「急いで駆けつけた」ことを示すため平服でよいとされていましたが、現在では喪服で参列するのが主流です。
| 対象 | 服装 | 注意点 |
|---|---|---|
| 男性 | ブラックスーツ、白ワイシャツ、黒ネクタイ | ネクタイピンは外す。靴下・靴も黒 |
| 女性 | 黒のワンピースまたはアンサンブル | 肌の露出を控える。ストッキングは黒。パールのネックレスは一連のみ |
| 子供(制服あり) | 学校の制服 | 最も正式な服装とされる |
| 子供(制服なし) | 黒・紺・グレーの地味な服 | キャラクターものや派手な色は避ける |
| 持ち物 | 黒いバッグ(布製・光沢なし) | 金具が目立つもの、殺生を連想する革製品は避ける |
パ
新米パパ / 2歳児のパパ
急なお通夜で喪服が用意できない場合、どうすればいいですか?
博
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
急な場合は、黒や紺、ダークグレーのスーツに白シャツ、黒ネクタイであれば問題ありません。光沢のない落ち着いた色味であれば許容されます。最近は喪服のレンタルサービスもあり、当日配達に対応しているところもありますよ。
CHAPTER 04お通夜の香典 ─ 金額の相場と書き方
香典は、故人への弔意と遺族への経済的な援助の意味を込めて贈る金銭です。香典袋の選び方や金額の相場を確認しましょう。
| 故人との関係 | 相場 | 備考 |
|---|---|---|
| 両親 | 5万〜10万円 | 同居の場合は不要とする場合も |
| 祖父母 | 1万〜3万円 | |
| 兄弟姉妹 | 3万〜5万円 | |
| おじ・おば | 1万〜3万円 | |
| 友人・知人 | 5,000〜1万円 | 親しさの度合いによる |
| 職場の同僚 | 5,000〜1万円 | 部署でまとめる場合も |
| 職場の上司 | 5,000〜1万円 | |
| ご近所 | 3,000〜5,000円 |
香典袋(不祝儀袋(ぶしゅうぎぶくろ))は、黒白または双銀の水引(みずひき)で結び切りのものを使います。表書きは仏式では「御霊前」が一般的ですが、浄土真宗では「御仏前」を使います。宗派がわからない場合は「御霊前」を選べば失礼にあたりません。香典には新札を使わないのがマナーです。新札しかない場合は、一度折り目を付けてから包みましょう。
CHAPTER 05焼香の作法
焼香は故人に香を供えて冥福を祈る儀式です。宗派によって回数や作法が異なりますが、基本的な流れを覚えておきましょう。
- 祭壇の前に進み、遺族に一礼する
- 祭壇に向かって一礼する
- 右手の親指・人差し指・中指で抹香をつまむ
- つまんだ抹香を額の高さに押しいただく(浄土真宗では押しいただかない)
- 抹香を香炉に静かに落とす
- 宗派に応じた回数(1〜3回)繰り返す
- 合掌して一礼し、遺族に一礼して席に戻る
TIP / 焼香の回数がわからないとき
焼香の回数は宗派によって異なります。真言宗は3回、浄土宗は1〜3回、浄土真宗は1回(本願寺派)または2回(大谷派)が一般的です。宗派がわからない場合は、前の人のやり方を見て同じようにするか、1回の焼香でも失礼にはあたりません。
CAUTION / 通夜での注意事項
通夜会場ではスマホはマナーモードに設定してください。読経中の着信音は大変失礼です。また、遺族への声かけは「ご愁傷さまでございます」が基本です。「長生きされましたね」「大往生ですね」は良かれと思って言いがちですが、遺族にとっては悲しみの中にいるので避けましょう。
パ
新米パパ / 2歳児のパパ
小さい子供を通夜に連れて行ってもいいですか?
博
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
故人と親しい場合やご遺族から要望がある場合は連れて行って構いません。ただし、読経中に泣いたりぐずったりする可能性があるので、すぐに退出できる席に座るのがマナーです。おもちゃや絵本を持参して、静かに過ごせる準備をしておきましょう。預けられる場合はそのほうが落ち着いて参列できます。
CHAPTER 06お通夜の受付マナー
お通夜の受付では、まず受付係に一礼し、「このたびはご愁傷様でございます」とお悔やみの言葉を述べます。続いて香典を差し出し、芳名帳に住所と氏名を記入します。香典はふくさから取り出し、相手から見て正面になるよう向きを変えて差し出すのがマナーです。ふくさの色は紫や暗色系を選びましょう。
受付を済ませたら、係員の案内に従って式場に入ります。座席は前方が遺族席、後方が一般参列者席です。特に指定がなければ後方に座りましょう。お通夜が始まるまでの時間は、静かに故人を偲びます。スマートフォンはマナーモードに設定し、式中の使用は控えてください。
お通夜の服装
お通夜の服装は、基本的に喪服(略礼服)を着用します。男性はブラックスーツに白ワイシャツ、黒ネクタイ、黒の靴。女性はブラックフォーマルまたは黒のワンピース、黒のストッキング、黒のパンプスが基本です。アクセサリーは真珠の一連ネックレスとイヤリング(またはピアス)のみ許容されます。
「急な訃報で喪服が用意できない」という場合は、黒やダークグレーのスーツ・ワンピースなどの地味な服装であれば問題ありません。お通夜は「急いで駆けつけた」という意味合いがあるため、葬儀ほど厳格な服装マナーは求められません。
CAUTION / お通夜で避けるべきこと
殺生を連想させる毛皮やファー素材、光沢のある素材、派手な柄物は避けましょう。香水も控えめに。金色の時計やアクセサリー、エナメル素材のバッグも不適切です。
お通夜の香典マナー
お通夜の香典は、不祝儀袋に入れて持参します。不祝儀袋の種類は宗教・宗派によって異なります。仏式の場合は「御霊前」(四十九日前)、神式の場合は「御玉串料」、キリスト教の場合は「お花料」と表書きします。宗派がわからない場合は「御霊前」が最も無難です。
| 故人との関係 | 香典の相場 |
|---|---|
| 親 | 50,000円〜100,000円 |
| 兄弟姉妹 | 30,000円〜50,000円 |
| 祖父母 | 10,000円〜30,000円 |
| 叔父叔母 | 10,000円〜30,000円 |
| 友人・知人 | 5,000円〜10,000円 |
| 職場関係 | 5,000円〜10,000円 |
| 近所の方 | 3,000円〜5,000円 |
パ
新米パパ
お通夜に子どもを連れて行ってもいいですか?
博
カゾイロ博士
故人と親しい間柄であれば、お子さまを連れて参列しても問題ありません。ただし、乳幼児の場合はぐずったときにすぐ退席できる席に座りましょう。お子さまには「今日は静かにするお約束」を事前に伝えておくと良いです。服装は黒や暗い色の服を着せ、派手な色やキャラクター柄は避けてください。
CHAPTER 07お通夜の流れと所要時間の目安
現代の一般的なお通夜は、午後6時から7時頃に始まり、およそ1時間から1時間半で閉式となります。まず受付で記帳と香典を渡し、案内に従って着席します。僧侶の読経が始まり、遺族、親族、一般参列者の順に焼香を行います。読経は宗派によって異なりますが、おおむね30分から40分程度です。
閉式後は「通夜振る舞い」と呼ばれる会食の席が設けられることが多いです。かつてはお通夜の名の通り、夜通し故人のそばで過ごす「寝ずの番」が行われていましたが、現代では半通夜と呼ばれる数時間で終了する形式が主流です。葬儀場によっては宿泊設備がない場合もあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
焼香のマナーと回数
焼香は故人の冥福を祈る大切な作法であり、正しい手順を知っておくと安心です。まず焼香台の前に進み、遺族に一礼してから故人の遺影に向かって合掌します。右手の親指・人差し指・中指で抹香をつまみ、目の高さまで掲げてから静かに香炉に落とします。焼香の回数は宗派によって異なり、浄土真宗は1回、真言宗は3回、曹洞宗は2回が一般的です。
迷った場合は、前の方のやり方を参考にするか、1回だけ丁寧に焼香すれば問題ありません。焼香後は合掌して一礼し、遺族にも一礼してから席に戻ります。数珠は左手に持ち、合掌するときは両手に挟むのが基本です。宗派ごとの数珠の持ち方にも違いがありますが、略式の片手数珠であればどの宗派でも使えます。
通夜振る舞いのマナー
通夜振る舞いは、故人を偲びながら参列者が食事をともにする場です。料理はお寿司やサンドイッチ、煮物などが並ぶことが多く、地域によっては精進料理が出されることもあります。参列者は長居を避け、一口でも箸をつけてから30分程度でお暇するのがマナーとされています。
通夜振る舞いの席では、大きな声で笑ったり、仕事や趣味の話題で盛り上がったりするのは控えましょう。故人の思い出を静かに語り合うのがふさわしい振る舞いです。お酒が出される場合もありますが、飲みすぎには注意してください。また、遺族から通夜振る舞いを辞退するよう伝えられた場合は、無理に参加せずに帰宅して構いません。
博
カゾイロ博士
お通夜は急な知らせで慌てることが多い場ですが、基本のマナーを押さえておけば落ち着いて対応できます。焼香の回数は宗派で異なりますが、心を込めて行うことが何より大切です。
パ
新米パパ
焼香の作法に自信がなかったのですが、前の方に合わせれば大丈夫なんですね。通夜振る舞いのマナーも勉強になりました。
お通夜の持ち物チェックリスト
お通夜に参列する際は、香典、袱紗(ふくさ)、数珠、白または黒のハンカチを忘れずに持参しましょう。香典は袱紗に包んで持ち運び、受付で取り出して渡すのがマナーです。袱紗の色は紫や紺、灰色などの落ち着いた色が適しています。紫色の袱紗は慶弔両用で使えるため、一枚持っておくと便利です。
女性の場合は、予備のストッキングを一足用意しておくと安心です。黒のストッキングが正式ですが、急な参列で用意できない場合は肌色でも差し支えありません。また、会場内は冷房が効いていることもあるため、ひざ掛けとしても使える黒のストールがあると重宝します。
CHAPTER 08お通夜の詳しい流れ
- 01開式の30分前に到着する会場には開式の30分ほど前に到着するのが望ましいです。受付が混み合うことがあるため、余裕を持って向かいましょう。車で来場する場合は駐車場の場所を事前に確認しておくと安心です。
- 02受付で記帳と香典を渡す受付ではまず一礼し、お悔やみの言葉を述べてから香典を差し出します。香典は袱紗から取り出し、相手から見て正面になるよう向きを変えて渡します。その後、芳名帳に住所と氏名を丁寧に記入します。
- 03式場に入り着席する受付を済ませたら案内に従って式場に入ります。一般参列者は後方の席に座るのが基本です。前方は遺族や親族の席ですので、指定がない限り後方を選びましょう。着席後はスマートフォンをマナーモードに設定します。
- 04読経と焼香僧侶が入場し読経が始まります。読経は宗派にもよりますが30分から40分程度です。その後、遺族、親族、一般参列者の順に焼香を行います。前の方の作法を参考にしながら、心を込めて焼香しましょう。
- 05閉式と退場焼香が終わり、僧侶の説法や喪主の挨拶があった後に閉式となります。退場する際は遺族に一礼し、静かに会場を後にします。出口付近で遺族と言葉を交わす場合は、手短に済ませましょう。
- 06通夜振る舞い閉式後に通夜振る舞いの席が設けられていれば、声をかけられた場合は参加するのがマナーです。一口でも箸をつけ、長居は避けて30分程度でお暇するのが適切です。
上記はあくまで一般的な仏式のお通夜の流れです。神道やキリスト教の場合は式の進行や作法が異なりますので、宗教に応じた対応を心がけましょう。事前に宗派がわからない場合は、葬儀社や遺族に確認してもかまいません。
焼香の詳しいマナーと宗派ごとの違い
焼香は故人の冥福を祈る大切な作法です。焼香台の前に進んだら、まず遺族に一礼し、次に遺影に向かって一礼します。右手の親指、人差し指、中指で抹香を少量つまみ、目の高さまで掲げてから香炉に静かに落とします。この動作を宗派に応じた回数繰り返し、最後に合掌して一礼します。
| 宗派 | 焼香の回数 | 押しいただき | 特記事項 |
|---|---|---|---|
| 浄土宗 | 1〜3回 | する | 回数に厳密な決まりはない |
| 浄土真宗(本願寺派) | 1回 | しない | 押しいただかずにそのまま落とす |
| 浄土真宗(大谷派) | 2回 | しない | 額に押しいただかない |
| 真言宗 | 3回 | する | 3回が正式とされる |
| 曹洞宗 | 2回 | 1回目のみする | 1回目は押しいただき、2回目はそのまま |
| 日蓮宗 | 1回または3回 | する | 寺院によって異なる |
| 臨済宗 | 1回 | する | 回数よりも心を込めることが大切 |
焼香の回数や作法がわからない場合は、前の参列者のやり方を参考にするのが最も確実です。また、1回だけ丁寧に焼香すれば、どの宗派でも失礼にあたることはありません。大切なのは回数ではなく、故人を偲ぶ気持ちを込めて行うことです。
パ
新米パパ
宗派によってこんなに焼香の作法が違うんですね。知らなかったら戸惑いそうです。
博
カゾイロ博士
初めてのお通夜で緊張するのは当然のことです。迷ったら前の方に合わせるか、1回だけ丁寧に焼香すれば問題ありません。故人を思う気持ちがあれば、それが一番の供養になりますよ。
通夜振る舞いの意味と作法
通夜振る舞いとは、お通夜の閉式後に遺族が参列者をもてなす会食の場です。故人を偲びながら食事をともにすることで、故人への供養と参列者への感謝を表す意味があります。料理はお寿司の盛り合わせ、サンドイッチ、煮物、天ぷらなどの大皿料理が一般的で、地域によっては精進料理が出されることもあります。
通夜振る舞いに案内されたら、遠慮せずに一口でも箸をつけるのがマナーです。故人への供養として食事をいただくという考え方があるため、「遠慮します」と断るのはかえって失礼にあたります。ただし、長時間にわたって飲食を続けるのは控え、おおむね30分程度で「お先に失礼します」とお暇しましょう。
通夜振る舞いの席では、大きな声で笑ったり、仕事や趣味の話題で盛り上がったりすることは避けてください。故人の思い出を静かに語り合うのがふさわしい場です。お酒が振る舞われる場合もありますが、酔うほど飲むのは厳禁です。周囲への配慮を忘れず、節度ある振る舞いを心がけましょう。
INFO / 通夜振る舞いが行われない場合
近年は家族葬の増加や感染症対策の影響で、通夜振る舞いを省略するケースが増えています。その場合は閉式後にそのまま帰宅して構いません。遺族から通夜振る舞いの案内がなければ、無理に残る必要はありません。
CHAPTER 09お通夜と告別式の違いを整理する
お通夜と告別式は混同されがちですが、それぞれ異なる意味と役割を持っています。お通夜は葬儀の前夜に行われる儀式で、もともとは遺族が夜通し故人のそばに寄り添い、最後の夜を共に過ごすためのものでした。一方、告別式は翌日に行われる儀式で、故人と社会的なお別れをする場です。告別式では一般の参列者が焼香や献花を行い、最後の別れを告げます。
| 項目 | お通夜 | 告別式 |
|---|---|---|
| 時間帯 | 夕方〜夜(18時〜19時開始が多い) | 午前〜午後(10時〜11時開始が多い) |
| 所要時間 | 1〜2時間程度 | 1〜2時間程度(出棺含む) |
| 服装 | 略礼服(急な場合は地味な服装でも可) | 正式な喪服 |
| 参列者 | 親しい人中心(近年は一般参列者も多い) | 一般参列者も含めた幅広い弔問客 |
| 会食 | 通夜振る舞い | 精進落とし |
| 意味 | 故人と最後の夜を過ごす | 故人との社会的なお別れ |
近年では仕事の都合などから、告別式よりもお通夜に参列する一般弔問客が増える傾向にあります。夕方以降の開始で仕事帰りに立ち寄れるという利便性が、その理由の一つです。特に故人と深い親交がある場合を除けば、お通夜のみの参列でも失礼にはあたりません。
パ
新米パパ
お通夜と告別式の両方に出るべきなのか、いつも迷います。仕事があるとどちらかしか行けないことも多いですし。
博
カゾイロ博士
親族や特に親しい方でなければ、お通夜のみで構いませんよ。大切なのは「故人を偲ぶ気持ちを形にすること」です。お通夜に参列できない場合は後日弔問するか、香典を郵送するという方法もあります。
お通夜の参列が難しい場合の対応
やむを得ない事情でお通夜に参列できない場合は、いくつかの方法で弔意を伝えることができます。最も一般的なのは弔電を打つ方法です。NTTの電報サービスや各社のインターネット電報を利用して、お通夜当日の午前中までに届くよう手配しましょう。宛名は喪主の氏名で、送り先は斎場名と住所を指定します。
弔電とあわせて、後日香典を現金書留で郵送する方法もあります。不祝儀袋に入れた香典を現金書留用封筒に入れ、簡潔なお悔やみの手紙を添えて送ります。郵送する時期は葬儀後1週間以内が望ましいとされています。さらに丁寧な対応として、四十九日(しじゅうくにち)を過ぎた頃に改めて弔問に伺うという方法もあります。
自分の代わりに代理人を立てて参列してもらう方法もあります。代理人は受付で記帳する際、預かった方の名前を書き、その下に「代」と添えます。香典は預かった方の名前で包み、代理人自身の香典がある場合は別に用意します。遺族への挨拶では「○○の代理で参りました」と伝え、控えめに振る舞うのがマナーです。
お通夜と告別式の違い ─ どちらに参列すべきか
お通夜と告別式のどちらに参列するか迷う方も多いでしょう。本来、お通夜は故人と親しい間柄の人が集まる場、告別式は広く一般の弔問客がお別れをする場とされていました。しかし現代では、仕事の都合で告別式に参列できない方がお通夜に弔問するケースが増え、お通夜のほうが参列者が多いことも珍しくありません。
基本的にはどちらか一方に参列すれば十分です。特に親しい間柄でなければお通夜のみ、故人と深い関係があれば両方に参列するのが丁寧です。どちらにも参列できない場合は、弔電を打つか、後日ご自宅にお悔やみに伺うのがマナーです。香典は参列するほうで渡し、両方参列する場合はお通夜で渡します。
パ
新米パパ
仕事の関係でお通夜に少ししか参列できないのですが、それでも行ったほうがいいですか?
博
カゾイロ博士
短い時間でも顔を出すことに意味があります。受付で香典を渡し、焼香を済ませたら退席しても失礼にはあたりません。通夜振る舞いの席を辞退する際は「申し訳ございませんが、これで失礼いたします」と静かに伝えましょう。
CHAPTER 10数珠の選び方と持ち方
お通夜に参列する際、数珠(じゅず)は必ず持参したい持ち物の一つです。数珠は仏教の法具であり、故人の冥福を祈る際に手に持って合掌するために使います。数珠を持たずに参列しても失礼にはあたりませんが、用意できるのであれば持っていくのがマナーです。
数珠には宗派ごとに形が異なる「本式数珠」と、どの宗派でも使える「略式数珠(片手数珠)」があります。自分の宗派がわからない場合や、仏事にあまり馴染みがない場合は、略式数珠を一つ持っておくと便利です。略式数珠は一重の輪になっており、玉の数や素材を自分の好みで選ぶことができます。価格は2,000円から5,000円程度が一般的です。
| 宗派 | 持ち方 | 特徴 |
|---|---|---|
| 浄土宗 | 二重にして両手にかける | 二連の本式数珠を使用 |
| 浄土真宗(本願寺派) | 二重にして両手にかけ、房を下に垂らす | 念仏の回数を数えない |
| 真言宗 | 二重にして両手にかけ、房を手前に垂らす | 108玉の本式数珠 |
| 曹洞宗 | 二重にして左手にかけ合掌 | 左手のみにかける |
| 日蓮宗 | 二重にして両手にかける | 特殊な形の本式数珠 |
| 略式(共通) | 一重にして左手に持つ | どの宗派でも使用可能 |
数珠を使わないときは左手に持つか、左手首にかけておくのがマナーです。テーブルやバッグの上に無造作に置くのは避けましょう。数珠は貸し借りしないのが原則です。一人一つ、自分専用の数珠を持つようにしましょう。
子連れ参列のマナーと準備
お通夜に小さなお子さまを連れて参列する場合は、事前の準備と周囲への配慮が欠かせません。故人と近しい関係であれば子連れでの参列は問題ありませんが、遺族に事前に連絡を入れておくのが丁寧です。
子連れ参列で最も大切なのは、読経中に泣いたりぐずったりした場合にすぐ退出できる席を確保することです。出入口に近い後方の席が理想的です。お気に入りのおもちゃや絵本、お菓子を持参して、静かに過ごせるよう工夫しましょう。ただし、音が出るおもちゃは避けてください。
- 01事前に遺族に連絡子連れで参列してよいか、遺族に確認をとりましょう。授乳室やおむつ替えスペースの有無も聞いておくと安心です。
- 02子どもの服装を準備黒・紺・グレーなど暗い色の服を用意します。学校の制服がある場合はそれが正式な服装です。キャラクター柄や派手な色は避けましょう。
- 03静かに過ごせるグッズを持参絵本、塗り絵、シールブックなど、音が出ないおもちゃを用意します。お菓子は音が出にくいグミやラムネがおすすめです。
- 04出入口近くの席を確保泣いたりぐずったりした場合にすぐ退出できるよう、出入口に近い席に座りましょう。立ち上がって退出しても失礼にはあたりません。
- 05退出のタイミングを見極めるお子さまが泣き始めたら、無理に静かにさせようとせず速やかに退出しましょう。ロビーや控え室で落ち着かせてから、タイミングを見て戻ります。
INFO / 乳児連れの参列について
生後間もない赤ちゃんを連れての参列は、ママの体調面も考慮して無理をしないようにしましょう。預けられる方がいれば預けるほうが安心です。どうしても連れて行く場合は、抱っこ紐で抱いたまま焼香できるよう練習しておくとスムーズです。
お通夜に遅刻・早退する場合のマナー
仕事の都合などでお通夜の開始時間に間に合わない場合も、遅れてでも参列するのがマナーです。遅刻する場合は、読経の途中で入室することになりますので、静かに扉を開け、周囲に目礼して最後列の席に座ります。焼香がまだ行われていれば、自分の番が来たときに焼香を行いましょう。
焼香が終わっていた場合は、受付で記帳と香典を渡し、お線香を上げさせていただけるか確認しましょう。通夜振る舞いだけでも参加すれば弔意は十分に伝わります。早退する場合も同様に、静かに退席して受付で記帳と香典を済ませれば問題ありません。帰り際に遺族に挨拶できれば理想的ですが、お忙しそうな場合は無理に声をかけず、後日改めてお悔やみを伝えましょう。
弔電の送り方と文例
お通夜に参列できない場合は、弔電(ちょうでん)を送るのが丁寧な対応です。弔電はNTTの電報サービス(115番)やインターネットの弔電サービスを利用して送ることができます。価格は台紙代込みで3,000円から10,000円程度です。
弔電の宛名は喪主の氏名宛てにし、届け先は通夜・告別式の会場(斎場)にします。お通夜の開始時間までに届くように手配しましょう。文面は定型文から選ぶこともできますし、自分の言葉で書くこともできます。「ご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。故人のご冥福をお祈りいたします」のようなシンプルな文面が一般的です。
TIP / 弔電の文面で避けるべき表現
弔電では忌み言葉に注意しましょう。「重ね重ね」「たびたび」「ますます」などの重ね言葉、「続く」「再び」「追って」などの不幸の繰り返しを連想させる言葉は避けます。また、直接的な死因に触れる表現も控えるのがマナーです。
パ
新米パパ
香典を郵送する場合はどのようにすればいいですか?
博
カゾイロ博士
香典を郵送する場合は現金書留を使います。不祝儀袋に現金を入れ、お悔やみの手紙を添えて現金書留の封筒に入れましょう。宛先は喪主のご自宅が一般的です。通夜・告別式から1週間以内に届くように発送するのが望ましいですが、遅くなっても構いません。手紙には参列できなかったお詫びと故人への哀悼の意を簡潔に記しましょう。
通夜振る舞いで気をつけること
通夜振る舞いは、故人を偲びながら参列者が飲食をともにする場です。遺族から勧められた場合は断らずに一口でもいただくのがマナーとされています。これは「故人のため」にいただくという意味があり、箸をつけることで故人の供養になると考えられています。
通夜振る舞いの席では長居をしないのが基本です。30分から1時間程度で切り上げるのが目安です。大声で笑ったり、仕事や世間話で盛り上がったりするのは控え、故人の思い出を静かに語り合うのがふさわしい振る舞いです。お酒が出される場合もありますが、飲みすぎには十分注意してください。
通夜振る舞いを辞退する場合は「申し訳ございませんが、所用がございまして失礼させていただきます」と一言伝えて退席すれば問題ありません。無理に引き止められることはほとんどありません。
CHAPTER 11通夜にまつわる伝統的な風習
「神棚封じ」とは
死者が出た家では、神棚を白い紙で封じる風習があります。これを神棚封じといいます。死のけがれが神様に及ばないようにするための措置で、忌中(四十九日)の間は神棚の扉を閉じ、白い紙を貼って封印しておくのが一般的です。忌明け後に紙を外し、通常の参拝を再開します。
通夜振る舞いの酒には「清めの力」がある
通夜の席で酒を振る舞うのは、単なるもてなしだけではありません。古くから酒には「清めの力」があるとされており、通夜振る舞いの由来もこの考え方に根ざしています。故人を偲びながら酒を酌み交わすことで、参列者の身を清め、死のけがれを祓う意味が込められているのです。
パ
新米パパ / 2歳児のパパ
通夜振る舞いの酒に清めの力があるという考え方は初めて知りました。神棚封じも、けがれを神様に及ぼさないための配慮なんですね。
博
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
はい、日本の弔事にはけがれ(穢れ)を祓い清めるという考え方が深く根づいています。通夜振る舞いの酒も、帰宅時の清めの塩も、すべてその流れにあるものです。こうした背景を知ると、一つひとつの作法に込められた意味がよく分かりますよ。
CHAPTER 12通夜の返礼品と会葬礼状
お通夜に参列してくださった方には、会葬返礼品と会葬礼状をセットでお渡しするのが一般的です。会葬返礼品は香典の金額に関係なく全員に同じ品を渡す「即日返し」の形が主流で、1,000〜2,000円程度の品物を用意します。
INFO
会葬返礼品にふさわしい品物は、お茶・タオル・ハンカチ・石鹸・海苔など「消えもの」と呼ばれる消耗品が定番です。最近はカタログギフトやQUOカードを用意するケースも増えています。3種類ほど用意しておくと安心です。
会葬礼状は、参列へのお礼と故人の略歴を記した挨拶状です。葬儀社が定型文を用意してくれるのが一般的ですが、故人らしさを反映したオリジナルの文面にすることもできます。返礼品の袋に同封して受付でお渡しします。
CHAPTER 13お通夜に関するよくある質問
A.
近年はお通夜のみに参列する方が増えています。仕事終わりの夕方〜夜に行われるお通夜のほうが参列しやすいためです。特に親しい間柄でなければお通夜のみで構いません。遺族や親族、特に親しい友人は両方に参列するのが一般的です。
A.
お通夜は途中参加が認められています。仕事の都合などで開始時間に間に合わない場合は、静かに入室して焼香を行いましょう。通夜振る舞いだけでも参加すれば弔意は伝わります。
A.
故人と近い親族であれば連れて行っても構いませんが、静かにしていられる年齢かどうかを考慮しましょう。乳幼児は途中で泣いてしまう可能性があるため、出入口に近い席を確保し、すぐに退室できるよう準備しておくと安心です。
A.
後日弔問するか、香典を郵送する方法があります。香典を郵送する場合は、現金書留に不祝儀袋を入れ、お悔やみの手紙を添えて送ります。弔電を打つのも丁寧な方法です。
A.
略式の片手数珠(一連の数珠)であればどの宗派のお通夜でも使えます。素材は水晶、黒檀、紫檀などが一般的です。100円ショップでも簡易なものが手に入りますが、できれば仏具店で購入した正式なものを一つ持っておくと安心です。
A.
個人でお花を持参するのは一般的ではありません。お花を贈りたい場合は、供花(きょうか)として葬儀社を通じて手配するのがマナーです。供花の相場は一基あたり1万5千円から3万円程度で、遺族に事前に確認してから手配しましょう。
A.
数珠がなくても参列して構いません。数珠なしで合掌しても失礼にはあたりません。ただし、今後のことを考えて略式数珠を一つ用意しておくとよいでしょう。仏具店や百貨店のほか、Amazonなどの通販でも2,000円から5,000円程度で購入できます。
A.
受付では「このたびはご愁傷様でございます」が最も一般的です。ご遺族に直接お声がけする場合は「心よりお悔やみ申し上げます」と伝えましょう。「ご冥福をお祈りいたします」も広く使われますが、浄土真宗では「冥福」という言葉を使わないため、宗派がわからない場合は「お悔やみ申し上げます」が無難です。
A.
お通夜での写真撮影は基本的に控えましょう。故人やご遺族の許可なく撮影するのはマナー違反です。遺族から「写真を撮ってほしい」と依頼された場合のみ撮影しましょう。SNSへの投稿も厳禁です。
書籍『日本のしきたり』では、お通夜における弔事の贈答作法について詳しく解説されています。同書によると、不祝儀袋(ぶしゅうぎぶくろ)を包むふくさの色は紫・紺・深緑・灰色などの寒色系を用いるのが正式です。ふくさの包み方にも決まりがあり、弔事では右開き(左手で開く向き)にするのが作法で、慶事の左開きとは逆になります。この包み方の違いを間違えると非常に失礼にあたるため、注意が必要です。
また同書は、不祝儀袋の表書きは薄墨(うすずみ)で書くのが正式な作法だと紹介しています。これは「涙で墨が薄まった」「急な知らせで墨をする時間がなかった」という悲しみの表現であり、故人を悼む気持ちの表れとされています。水引は黒白または双銀の結び切りを使い、「二度と繰り返さない」という意味が込められています。お札は新札を避け、使用感のあるお札を入れるのがマナーで、やむを得ず新札を使う場合は一度折り目をつけてから包むとよいとされています。
CHAPTER 14まとめ
お通夜は、故人との最後の夜を共に過ごし、冥福を祈る大切な弔いの儀式です。服装や香典、焼香の作法を事前に知っておけば、急な訃報にも落ち着いて対応できます。故人を偲ぶ気持ちを大切に、心のこもった参列を心がけましょう。

