十三夜(じゅうさんや)は、旧暦9月13日の夜に月を愛でる日本独自のお月見行事です。2026年は10月29日にあたります。中国から伝わった十五夜に対し、この行事は日本で生まれた風習であり、「後の月(のちのつき)」とも呼ばれます。十五夜と並べて「二つの月見」を楽しむのが古来の風流とされてきました。

CHAPTER 01由来と十五夜との違い
十五夜(中秋の名月)が旧暦8月15日の満月を愛でるのに対し、この行事は旧暦9月13日の少し欠けた月(十三日月)を鑑賞します。完全な満月ではなく、わずかに欠けた姿に美を見出す感性は、日本独自の美意識を象徴しています。
起源については、宇多天皇が旧暦9月13日の月を愛でたのが始まりとする説や、醍醐天皇の時代に宮中で月見の宴が催されたことに由来するという説があります。いずれにしても平安時代の貴族文化から広まり、江戸時代には庶民の間にも定着しました。
INFO / なぜ十三夜が特別なのか
一説には、宇多法皇が十三夜の月を「無双(ふたつとないもの)」と賞したことがはじまりとされています。また、醍醐天皇のときに開かれた「観月の宴」が風習化されたともいわれます。完全な満月ではなく、わずかに欠けた十三夜の月に格別の美を見出した当時の人々の感性が、この行事を特別なものにしました。
宇多天皇は菅原道真の進言を採用して遣唐使を廃止したことで知られ、中国の模倣一辺倒だった宮廷儀礼の日本化を志した「風流天子」でした。中国伝来の十五夜(中秋節)に対して、十三夜は日本独自に生まれた月見行事とされており、わずかに満月に届かない月の美しさに心を寄せる感性は、まさに日本文化の独自性を象徴しています。
旧暦9月13日
十三夜の日付
栗名月・豆名月
別名
日本独自
中国にはない風習
CHAPTER 02「片月見」の言い伝え
十五夜だけ月見をして、この行事を見逃すことを「片月見(かたつきみ)」といい、縁起が悪いとされてきました。逆に両方の月を楽しむと「二夜の月」として喜ばれ、江戸の人々は二度のお月見を欠かさず行ったといいます。
十五夜を「芋名月」と呼ぶのに対し、この行事は「栗名月」や「豆名月」「豆名月」とも呼ばれます。お供え物が里芋から栗や枝豆に変わるのが名前の由来で、秋の収穫の進み具合を反映しています。
地域によっては「小麦名月」と呼ぶところもあり、その土地の秋の収穫物に応じた呼び名が付けられていたことがわかります。
CAUTION / 「片月見」は縁起が悪い
十五夜にお月見をしたら、十三夜にもお月見をしないと「片月見」といって縁起が悪いとされています。両方の月を楽しんでこそ、月見の風習が完成するという考え方です。
十五夜や十三夜のほかにも、特定の夜に月の出を待つ「月待ち」の風習がありました。特に旧暦23日の「二十三夜」と26日の「二十六夜」は、夜中に昇る遅い月を待つ行事として知られています。主に女性たちが集まって飲食を共にしながら月の出を待ち、月を拝んで願掛けをしました。江戸時代には各地に「二十三夜塔」と呼ばれる石碑が建てられ、月待ち信仰の跡が今も残っています。
CHAPTER 03お供え物と楽しみ方
伝統的なお供え物は以下のとおりです。
- 月見団子:十五夜が15個なのに対し、この行事では13個を供える
- 栗・枝豆:秋の実りの象徴。栗ごはんや枝豆を食卓に並べる
- すすき:魔除けの意味があり、月見には欠かせない飾り
- 秋の果物:柿やぶどうなど旬の果物を添える
現代では本格的なお供えを用意する家庭は減りましたが、栗ごはんを炊いて窓辺で月を眺めるだけでも風流なひとときを楽しめます。月見をテーマにした和菓子を購入して、家族で秋の夜長を過ごすのもおすすめです。十三夜の月見団子は十五夜よりも小ぶりに作り、13個を三段(下から5・4・3・1個)に積むのが伝統的な形です。団子の代わりに月見うどんや月見バーガーで「お月見気分」を楽しむ現代風のアレンジも人気があります。

パ
新米パパ / 2歳児のパパ
十三夜のお供え物は十五夜と違うんですか?
博
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
十五夜は月見団子とススキが定番ですが、十三夜は栗や枝豆を供えるのが特徴です。「栗名月」「豆名月」と呼ばれるのはそのためです。月見団子は13個を供えるのが正式ですよ。
CHAPTER 04全国の月見行事
各地でお月見にまつわる行事が催されています。京都の大覚寺では「観月の夕べ」が開かれ、大沢池に映る月を船上から鑑賞できます。東京では向島百花園の「月見の会」が風情ある催しとして知られています。
また、十五夜・この行事・十日夜(旧暦10月10日)の三回の月見を全て行うと縁起が良いとされ、「三月見」の文化として東日本を中心に伝わっています。秋の夜空を見上げながら、古来の月見文化に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。十三夜は十五夜ほど知名度は高くありませんが、わずかに欠けた月の美しさに気づくこの行事は、日本人の繊細な感性を今に伝える貴重な風習です。秋が深まるこの時期にこそ、空を見上げて月の表情を楽しんでみましょう。天体観測アプリを活用すれば、月の出の時刻や方角を簡単に確認できるため、初めてのお月見でも最適なタイミングで鑑賞を楽しめます。月の写真をスマートフォンで撮影し、家族や友人と共有するのも現代ならではの楽しみ方です。秋の澄んだ夜空に浮かぶ月は格別の美しさで、日々の忙しさを忘れさせてくれるひとときを与えてくれます。
A.
A. 2026年の十三夜は10月29日(木)です。十三夜は旧暦9月13日にあたるため、新暦では毎年日付が変わります。天気が良ければ、秋の澄んだ空気の中で美しい月を楽しむことができます。
Q. 十三夜と十五夜の違いは何ですか?
A. 十五夜は旧暦8月15日の満月を愛でる行事で、中国から伝わりました。一方、十三夜は旧暦9月13日のやや欠けた月を楽しむ日本独自の行事です。お供え物も異なり、十五夜は里芋(芋名月)、十三夜は栗や豆(栗名月・豆名月)をお供えします。月見団子の数も十五夜は15個、十三夜は13個と異なります。
Q. 十三夜にお月見をしないとどうなりますか?
A. 十五夜だけを見て十三夜を見ないことを「片見月」といい、昔から縁起が悪いとされてきました。ただし、これは古くからの言い伝えであり、必ずしもお月見をしなければならないわけではありません。気軽に秋の夜空を見上げるだけでも、季節の変わり目を感じることができます。
TIP / 十三夜の月を楽しもう
十三夜の月は満月より少し欠けた形で、日本人はこの「完全ではない美」を愛でてきました。秋の澄んだ空気の中で見る月は格別です。子どもと一緒にお団子を作ってお月見を楽しんでみましょう。
A.
旧暦9月13日は年によって異なります。2026年は新暦11月1日頃にあたります。
A.
月見団子13個、栗や枝豆、ススキを供えます。「栗名月」「豆名月」の名の通り、秋の収穫物を感謝して供えます。
A.
どちらも大切です。十五夜だけ、十三夜だけのお月見は「片月見」といい縁起が悪いとされます。両方楽しむのが伝統的な月見の作法です。
CHAPTER 05十月の亥の日 -- 女性が主役の行事
十三夜のほかにも、十月には注目すべき行事があります。十月の亥の日に行われる行事は、地方によってはこの日を「女の日」と呼び、女性が主役になる日とされました。日常の中で女性が表に出る機会の少なかった時代にあって、こうした行事は女性の存在を特別に位置づける貴重な日でした。
パ
新米パパ / 2歳児のパパ
十月の亥の日が「女の日」だったんですね。昔は女性が主役になれる日が限られていたのでしょうか。
博
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
そうですね。普段の暮らしの中で表に立つ機会が少なかった女性たちにとって、亥の日は特別な日だったようです。地域によって呼び名や過ごし方は異なりますが、女性を主役にするという考え方が各地に残っていたのは興味深いですね。
TIP / あわせて読みたい
『日本のしきたりがまるごとわかる本』では、十三夜について旧暦9月13日に行うお月見として紹介されています。十五夜(中秋の名月)が中国伝来であるのに対し、十三夜は日本独自の月見の風習とされ、「後の月(のちのつき)」とも呼ばれます。十五夜と十三夜の片方だけ月見をすることを「片見月(かたみづき)」と呼んで縁起が悪いとされたことから、両方の月見を楽しむのがしきたりとされてきました。栗や枝豆をお供えするため「栗名月」「豆名月」とも称されます。
CHAPTER 06まとめ
十三夜は、旧暦9月13日に少し欠けた月を愛でる日本独自のお月見行事です。十五夜と合わせた「二夜の月」を楽しむのが古来の風流であり、栗や枝豆をお供えすることから「栗名月」とも呼ばれます。秋の夜長に月を眺めながら、季節の実りに感謝するひとときを過ごしましょう。

