上棟式(じょうとうしき)は、建物の骨組みが完成した時点で行う建築の儀式です。「棟上げ(むねあげ)」「建前(たてまえ)」とも呼ばれ、工事の安全と建物の無事完成を祈願します。この記事では、上棟式の意味・由来から当日の流れ、費用の相場、ご祝儀(しゅうぎ)、餅まきの準備までわかりやすく解説します。

CHAPTER 01
上棟式とは?意味と由来

上棟式は、建物の最上部に棟木(むなぎ)を上げる際に行う儀式です。棟木は屋根の一番高い位置に渡す横木で、これが設置されると建物の骨組みが完成したことを意味します。上棟式はこの節目を祝い、ここまでの工事の無事を感謝し、今後の安全と建物の末永い繁栄を祈る行事です。
上棟式の歴史は古く、平安時代にはすでに行われていた記録があります。当時は陰陽師が吉日を選び、建物に宿る神様に祈りを捧げる厳粛な儀式でした。現在では宗教的な意味合いは薄れ、施主が大工さんや職人さんへの感謝を伝え、顔合わせをする場として行われることが多くなっています。
建築における方角の吉凶は陰陽五行説に基づいています。特に北東(丑寅)の方角は「鬼門(きもん)」と呼ばれ、鬼が出入りする不吉な方位(ほうい)とされてきました。伝統的な家づくりでは鬼門に玄関や水回りを配置することを避け、鬼瓦を据えたり、魔除けの南天や柊を植えて「鬼門除け」としました。反対に南西(未申=ひつじさる)の方角は「裏鬼門(うらきもん)」と呼ばれ、こちらも注意すべき方位とされています。上棟式で陰陽師が吉日を選んだのも、こうした方角と日時の吉凶を総合的に判断するためでした。
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INFO / 上棟式と地鎮祭の違い
地鎮祭(じちんさい)は着工前に土地の神様に工事の安全を祈る儀式で、上棟式は骨組み完成時に行う儀式です。地鎮祭→基礎工事→上棟式→内装工事→完成の順で進みます。地鎮祭は神職が主導しますが、上棟式は棟梁(とうりょう)(大工の親方)が主導するのが一般的です。
5〜10万円
上棟式全体の費用目安
棟上げ当日
上棟式を行うタイミング
約1〜2時間
上棟式の所要時間
棟上げ(むねあげ)
建物の骨組みが完成し、最上部の棟木(むなぎ)を取り付けること。「建前(たてまえ)」とも呼ばれます。
餅まき(もちまき)
上棟式で屋根の上からお餅やお菓子をまく風習。近隣の方への感謝と厄除けの意味があります。近年は省略されることも多いです。
御幣(ごへい)
上棟式で屋根裏に飾る神具。建物の守護を祈願するもので、解体まで残されます。
直会(なおらい)
上棟式後の宴会。施主が大工さんや職人さんにお酒や料理をふるまいます。近年はお弁当やお菓子を配ることが多いです。

CHAPTER 02
上棟式の流れ ─ 当日のスケジュール

上棟式の内容は地域や工務店によって異なりますが、一般的な流れをご紹介します。
  1. 01
    棟上げ作業(午前中)
    朝から大工さんたちが柱や梁を組み上げ、棟木を設置します。施主は見学しながら作業の様子を見届けます。
  2. 02
    昼食の提供
    施主が職人さんたちに昼食を振る舞います。仕出し弁当を手配するのが一般的です。
  3. 03
    上棟式の儀式(夕方)
    棟木に幣串(へいぐし)を立て、祭壇にお供え物を飾ります。棟梁が建物の四隅に酒・塩・米をまいて清めます。
  4. 04
    施主の挨拶
    施主が職人さんたちに感謝の言葉を述べ、今後の工事の安全を祈ります。
  5. 05
    ご祝儀・引き出物の配布
    大工さんや職人さんにご祝儀と引き出物を渡します。
  6. 06
    餅まき(行う場合)
    地域によっては近隣の方を招いて屋根の上から餅をまく「餅まき」を行います。

CHAPTER 03
上棟式の費用の相場

上棟式の費用は、規模や内容によって幅がありますが、目安を知っておきましょう。
上棟式の費用の目安
項目費用の目安備考
ご祝儀(棟梁)1万〜3万円棟梁は他の職人より多く包む
ご祝儀(職人)5,000〜1万円人数は5〜10名程度が一般的
昼食代1人1,000〜2,000円仕出し弁当を手配
お供え物5,000〜1万円米・酒・塩・魚・野菜・果物など
引き出物・手土産1人1,000〜3,000円赤飯・紅白餅・お菓子・酒など
餅まきの餅代3万〜10万円行う場合のみ。地域によって規模が異なる
ご祝儀や昼食を含めた上棟式の総額は、餅まきなしで5万〜15万円程度、餅まきありで10万〜25万円程度が目安です。近年は上棟式を行わない家庭も増えており、ハウスメーカーによっては「不要です」と案内されることもあります。
新米パパ / 2歳児のパパ
上棟式は必ずやらなければいけないものですか?
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
義務ではありませんので、行わなくても失礼にはあたりません。ただし、大工さんや職人さんと顔を合わせて感謝を伝える良い機会ですし、家づくりの思い出にもなります。正式な儀式はせずに、棟上げ後に職人さんにお弁当とご祝儀を渡すだけの簡略化したスタイルも人気ですよ。
新米パパ / 2歳児のパパ
上棟式は必ずやるべきですか?省略しても失礼にあたりませんか?
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
近年は上棟式を省略するケースが半数以上です。ハウスメーカーによっては上棟式を想定していないこともあります。省略しても失礼にはなりませんが、大工さんや職人さんへの感謝を伝える意味で、ご祝儀と差し入れだけお渡しする簡易版を行うご家庭も多いですよ。

CHAPTER 04
上棟式のご祝儀 ─ 金額と渡し方

ご祝儀は紅白の蝶結びののし袋に入れ、表書きは「御祝儀」または「御祝」とします。下段には施主の名字を記入します。金額は棟梁に1万〜3万円、その他の職人に5,000〜1万円が目安です。式の終了後に施主から直接手渡しするのが一般的です。

CHAPTER 05
餅まきの準備と手順

餅まき(投げ餅)は、建物の屋根の上から紅白の餅やお菓子をまく上棟式の華やかな行事です。近隣の方を招いて行うため、地域のコミュニケーションの場にもなります。
餅まきの準備には、紅白の餅(投げ餅)を50〜200個四隅餅(角餅)を4個、お菓子や5円玉を用意します。四隅餅は建物の四隅に向かってまく大きめの餅で、拾った人に幸運が訪れるとされています。近年は餅まきを行う家庭は減少していますが、地方では今でも盛大に行われる地域があります。
TIP / 餅まきの事前準備
餅まきを行う場合は2〜3週間前から準備を始めましょう。①近隣への告知(チラシ配布や口コミ)、②餅の手配(和菓子店やスーパーに注文)、③お菓子・5円玉の準備、④当日の動線確認。安全のため、小さな子供やお年寄りが参加する場合は拾いやすい場所を確保してあげましょう。
TIP / 上棟式の簡略化プラン
正式な上棟式が難しい場合は、棟梁にご祝儀(1〜3万円)と職人さんに差し入れ(お弁当やお菓子)を渡すだけでも十分です。現場で「いつもありがとうございます」と声をかけるだけで、職人さんのモチベーションは大きく上がります。
新米パパ / 2歳児のパパ
子供を上棟式に連れて行っても大丈夫ですか?建設現場は危なくないですか?
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
もちろん連れて行って大丈夫です。ただし建設現場なのでヘルメットの着用が必要な場合があります。事前に工務店に確認しておきましょう。お子さんにとっては自分の家ができていく過程を見る貴重な体験になりますよ。餅まきがあればお子さんも楽しめます。

CHAPTER 06
上棟式の日取りと六曜の選び方

上棟式の日取りは大安や友引が好まれます。日本の伝統的な暦注である六曜を参考に吉日を選ぶのが一般的ですが、工事の進捗状況によっては必ずしも吉日に合わせられるとは限りません。六曜それぞれの意味を理解して、柔軟に対応しましょう。
六曜と上棟式の適否
六曜読み方意味上棟式
大安たいあん一日中吉。何事にもよい日最適 ─ 最も人気が高い
友引ともびき朝晩は吉、昼は凶適している ─ 午前中か夕方に行うとよい
先勝せんしょう午前中は吉、午後は凶午前中なら適している
先負せんぷ午前中は凶、午後は吉午後に行えば問題ない
赤口しゃっこう正午のみ吉、それ以外は凶避ける方が無難
仏滅ぶつめつ一日中凶。何事もうまくいかない日避けるのが一般的
実際には工事のスケジュールは天候や資材の納期に左右されるため、六曜だけにこだわると工期が延びることもあります。工務店やハウスメーカーと相談のうえ、可能な範囲で吉日を選ぶのが現実的です。なお、六曜にはもともと建築との関連はなく、気にしないという考え方も広まっています。
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INFO / 建築吉日について
六曜のほかに「十二直(じゅうにちょく)」という暦注も建築に関連するとされています。十二直の中でも「建(たつ)」「満(みつ)」「平(たいら)」「定(さだん)」「成(なる)」「開(ひらく)」は建築に良い日とされます。一方、「破(やぶる)」「危(あやう)」「閉(とず)」は建築を避けるべきとされています。気になる方は暦を確認してみてください。

CHAPTER 07
略式上棟式のやり方

近年は正式な上棟式を行わず、略式(簡略化)で済ませるケースが増えています。特にハウスメーカーで建てる場合は、上棟式を想定していないことも少なくありません。略式であっても感謝の気持ちを伝えることが大切です。

略式上棟式のパターン

上棟式の形式比較
形式内容費用の目安所要時間
正式な上棟式神事・餅まき・直会(宴会)を含むフルセット10万〜25万円2〜3時間
略式上棟式四方固め(酒・塩・米をまく)と施主挨拶5万〜10万円30分〜1時間
簡易型ご祝儀と差し入れ(お弁当・お菓子)を配布3万〜5万円15〜30分
お祝い省略上棟式は行わず工事を進める0円なし
略式上棟式では、棟梁が建物の四隅に酒・塩・米をまいて清める「四方固め」を行い、施主が感謝の挨拶を述べます。その後、ご祝儀と引き出物を配布して終了です。餅まきや直会は省略しますが、大工さんたちと顔を合わせて話す機会になるため、家づくりへの愛着が深まるという声も多く聞かれます。
新米パパ
ハウスメーカーの担当者から「上棟式は不要ですよ」と言われましたが、本当にやらなくていいものでしょうか?
カゾイロ博士
ハウスメーカーの場合、プレカット工法で棟上げの概念が薄いため、上棟式を想定していないケースは確かにあります。ただ、棟上げの日に差し入れとご祝儀を渡すだけでも現場の職人さんには喜ばれますよ。「やるかやらないか」ではなく、感謝を伝える方法を工夫してみてください。

CHAPTER 08
施主の挨拶 ─ 例文とポイント

上棟式で施主が行う挨拶は、職人さんへの感謝とこれからの工事の安全を祈る内容にまとめます。かしこまった挨拶でなくても、心のこもった言葉で十分です。以下に挨拶の例文と構成のポイントをご紹介します。

施主挨拶の基本構成

  1. 01
    冒頭 ─ お礼の言葉
    「本日はお忙しい中、棟上げにお集まりいただきまして誠にありがとうございます」と、参加してくださった方への感謝から始めます。
  2. 02
    本題 ─ 感想と感謝
    「おかげさまで無事に棟上げを迎えることができました。毎日丁寧に作業してくださる皆さまに心より感謝申し上げます」と、ここまでの工事への感謝を述べます。
  3. 03
    家への想い
    「この家は私たち家族にとって長年の夢でした。子どもたちが元気に走り回れる家を建てていただけることを、家族一同大変うれしく思っています」など、家への想いを簡潔に伝えます。
  4. 04
    締め ─ 今後への願い
    「引き続き安全に気をつけて作業を進めていただければ幸いです。完成を心より楽しみにしております。本日はありがとうございました」と締めくくります。
TIP / 挨拶のコツ
挨拶は1〜2分程度にまとめるのがベストです。長すぎると職人さんたちの帰宅時間が遅くなってしまいます。事前にメモを用意しておけば、当日緊張しても安心です。お子さんがいる場合は一緒に前に立って「ありがとうございます」と言わせると和やかな雰囲気になりますよ。

上棟式のお供え物 ─ 準備リスト

正式な上棟式では祭壇にお供え物を飾ります。以下のリストを参考に、事前に準備しておきましょう。工務店や棟梁に「何を用意すればいいですか?」と確認するのが最も確実です。
上棟式のお供え物リスト
品目数量の目安備考
米(洗い米)一合程度清めに使用。白い紙に包んで準備
粗塩一合程度清めに使用。自然塩が好ましい
日本酒(清酒)一升瓶1本のしをつけて「奉献」と書く
尾頭付きの鯛1尾スーパーの鮮魚コーナーで予約可能
野菜適量にんじん、大根、なす、きゅうりなど季節のもの
果物適量りんご、みかん、バナナなど
昆布適量「よろこぶ」の縁起物
スルメ適量「するめ」→「寿留女」の当て字で縁起物
略式上棟式の場合はお供え物を簡略化して、米・塩・酒の3点のみにすることもあります。工務店が一式を用意してくれるケースもあるため、事前に誰が何を準備するのか役割分担を決めておくとスムーズです。

CHAPTER 09
上棟式で用意する差し入れ・手土産

上棟式の日は、朝から夕方まで大工さんや職人さんが作業しています。感謝の気持ちを込めた差し入れを用意しましょう。季節に合わせた飲み物やお菓子が喜ばれます。

差し入れの定番アイテム

夏場は冷たいお茶やスポーツドリンク、アイスクリームが喜ばれます。冬場は温かい缶コーヒーや肉まん、カイロなどが人気です。お菓子は個包装のもので、手が汚れていても食べやすいものを選びましょう。小分けの袋菓子やおせんべい、チョコレートなどが定番です。

手土産(引き出物)の相場

上棟式の最後に職人さんに渡す手土産は、1人あたり1,000〜3,000円程度が相場です。紅白餅、赤飯、お菓子の詰め合わせ、日本酒のワンカップなどが定番です。のし紙は紅白の蝶結びで、表書きは「御祝」または「上棟記念」とし、施主の名字を書きます。
新米パパ
差し入れのタイミングがわかりません。何回くらい差し入れすればいいですか?
カゾイロ博士
棟上げ当日は10時と15時の休憩時間に差し入れするのが一般的です。昼食のお弁当を別途用意する場合は昼の差し入れは不要です。上棟式の日だけでなく、工事期間中にときどき差し入れに行くと、職人さんとのコミュニケーションが深まりますよ。

上棟式にまつわる地域の風習

上棟式の風習は地域によって大きく異なります。全国各地の特色ある上棟式を知ると、日本の建築文化の多様性が感じられます。
地域別の上棟式の風習
地域特徴的な風習
東北地方屋根から紅白の餅に加えて銭(お金)もまく「銭まき」が盛ん。子どもたちの楽しみにもなっている
関東地方餅まきは減少傾向だが、ご祝儀と手土産を渡す簡易版が主流
中部地方名古屋を中心に盛大な餅まきが行われる地域がある。投げ餅の数が数百個に及ぶことも
関西地方「建て前(たてまえ)」と呼び、近隣住民を招いて賑やかに行う伝統がある
四国地方上棟式の餅まきに「鬼瓦」を模した大きな飾り餅を用意する地域がある
九州地方焼酎を振る舞う地域が多い。餅まきも盛大に行われることがある
都市部では上棟式そのものを行わないケースが増えていますが、地方ではいまだに盛大な餅まきが行われる地域もあります。地域の工務店に依頼する場合は、その地域ならではの上棟式の風習を教えてもらうとよいでしょう。地元の伝統を取り入れた上棟式は、近隣住民との絆を深める良い機会にもなります。
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INFO / 御幣(ごへい)と棟札
上棟式で屋根裏に飾る御幣(ごへい)は、建物を守る神様を象徴する神具です。建物が解体されるまでそのまま残されます。また、棟木に打ちつける棟札(むなふだ)には建築年月日、施主名、棟梁名などが書かれ、建物の記録として大切に保管されます。古い建物の改修時に棟札が発見されることもあり、建築の歴史を知る貴重な資料となっています。

上棟式の服装マナー

上棟式に厳格なドレスコードはありませんが、清潔感があり動きやすい服装が適しています。建設現場で行う行事のため、フォーマルすぎる服装は場にそぐいません。以下のポイントを参考にしてください。
施主はきれいめのカジュアル服装が基本です。襟付きのシャツにチノパン、女性ならパンツスタイルが動きやすくおすすめです。足元は建設現場を歩くため、ヒールやサンダルは避けてスニーカーや運動靴にしましょう。ヘルメットの着用を求められることもあるため、髪型にも配慮が必要です。
天候に合わせた準備も重要です。夏場は帽子や日焼け止め、飲料水を用意しましょう。冬場は防寒対策をしっかりとして、長時間屋外にいても体調を崩さないよう注意してください。お子さんを連れて行く場合は、汚れてもよい服装で参加させるのがよいでしょう。

上棟式の記念品・お菓子の選び方

上棟式で近隣の方や参列者に配るお菓子・記念品は、地域の風習や予算に応じて選びます。定番は紅白のお餅(餅まき用とお持ち帰り用)、赤飯、紅白饅頭、清酒の小瓶です。予算は一人あたり500〜2,000円程度が一般的で、のし紙を付けて「御祝」「上棟記念」と書きます。
近年はお菓子の詰め合わせやタオルセット、地元の銘菓など、実用的でセンスの良い品物を選ぶ方も増えています。近隣挨拶も兼ねる場合は、建築中の騒音へのお詫びを添えた手紙を一緒に配ると好印象です。「工事中はご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします」と一言添えましょう。

CHAPTER 10
上棟式の写真・動画の撮り方

上棟式は家づくりの中で最も絵になる瞬間の一つです。骨組みだけの状態の家は完成後には見ることができないため、しっかり記録しておきたいものです。おすすめの撮影ポイントは、屋根の最上部に棟木が据え付けられる瞬間、棟梁や大工さんとの記念撮影、餅まきの風景、家族が梁にメッセージを書く場面です。
動画撮影では、上棟(じょうとう)の過程をタイムラプス(早送り動画)で記録すると、わずか1日で家の骨組みが立ち上がる様子がダイナミックに記録できます。完成後に見返すと感慨深い映像になるでしょう。プロのカメラマンに依頼する方もいますが、最近のスマートフォンのカメラ性能なら十分美しい写真が撮れます。
新米パパ
上棟式の後に近所の方から「おめでとう」と声をかけられたのですが、どう返すのが正解ですか?
カゾイロ博士
「ありがとうございます。工事中はいろいろとご迷惑をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします」とお返しするのが良いでしょう。この機会にご近所の方とコミュニケーションを取っておくと、引越し後の生活もスムーズになりますよ。
TIP / 上棟式の記念に残すアイデア
棟木や柱にマジックペンで家族のメッセージや手形を書く方も多いです。壁や天井で隠れてしまう場所ですが、「家族がここにいたんだ」という思い出が家の中に刻まれます。小さなお子さまの手形は特に良い記念になりますよ。

上棟式をしない場合の対応

近年は上棟式を行わない家庭も増えています。特にハウスメーカーでの建築では「上棟式は不要です」と言われるケースも多く、全体の約6〜7割が上棟式を省略しているとも言われています。上棟式をしない場合でも、大工さんや現場監督に感謝の気持ちを伝えることは大切です。
上棟式の代わりに、差し入れとご祝儀で感謝を伝える方法がよく取られます。上棟当日にお弁当やお菓子、飲み物を差し入れし、棟梁に10,000〜30,000円、その他の大工さんに5,000〜10,000円程度のご祝儀を包んで渡します。のし袋に「御祝儀」と書き、名前を記します。簡単に「ありがとうございます。良い家を建ててください」と声をかけるだけでも、職人さんのモチベーションは大きく上がるものです。

上棟式と地鎮祭の違い

地鎮祭は工事の着工前に土地の神様に工事の安全を祈る儀式で、上棟式は建物の骨組みが完成した時点で行う儀式です。地鎮祭は神職(神主さん)が主導するのに対し、上棟式は棟梁が中心となって進行します。地鎮祭は土地に対する感謝、上棟式は建物と職人に対する感謝という違いがあります。
費用面では地鎮祭が30,000〜50,000円程度、上棟式が50,000〜200,000円程度と、上棟式のほうが費用がかかる傾向にあります。どちらか一方だけ行う場合は地鎮祭を選ぶ方が多いですが、両方行うことで工事全体の安全と家の繁栄を祈ることができます。いずれも必須ではないため、家族の意向と予算に応じて判断しましょう。

上棟式の施主の挨拶 ─ そのまま使える文例

上棟式で施主が挨拶をする場面があります。堅苦しく考える必要はなく、棟梁や大工さんへの感謝と工事の安全を祈る気持ちを素直に伝えればよいでしょう。以下のような流れで挨拶をまとめると、過不足のないスピーチになります。
「本日は上棟式にお集まりいただき、誠にありがとうございます。おかげさまで無事に棟上げを迎えることができました。これもひとえに棟梁をはじめ職人の皆さまのお力添えのおかげと感謝しております。まだ工事の途中ではございますが、引き続き安全に作業を進めていただき、素晴らしいわが家が完成することを心より楽しみにしております。ささやかではありますが、お食事とお飲み物をご用意いたしましたので、どうぞお召し上がりください。今後ともよろしくお願いいたします。」挨拶は1〜2分程度でまとめ、大きな声ではっきりと話しましょう。事前にメモを用意しておくと安心です。
近隣の方への挨拶も忘れずに行いましょう。上棟式では多くの職人が出入りし、クレーン車などの大型車両が停まることもあるため、事前に近隣へのお知らせをしておくのがマナーです。挨拶の際に粗品(タオルや菓子折りなど500〜1,000円程度の品物)を持参すると好印象です。
上棟式は家づくりの中間地点を祝い、完成までの安全を祈願する伝統的な儀式です。略式化や省略も増えていますが、棟梁や大工さんへの感謝の気持ちを伝える機会として大切にしたいものです。上棟式を行わない場合でも、差し入れやご祝儀で日頃の労をねぎらうことは職人さんのモチベーション向上にもつながります。家は何十年も住み続ける大切な場所ですから、作り手との良好な関係を築いておくことは、引き渡し後のメンテナンスや相談のしやすさにも影響します。上棟の瞬間は、家族の夢が形になり始める感動的な場面です。写真や動画でしっかり記録し、将来お子さまに「あなたの家ができる瞬間だったんだよ」と伝えてあげてください。
上棟式は家を建てる過程で最も感動的な瞬間の一つです。大工さんの技と努力に感謝し、家族の夢が形になっていく喜びを分かち合いましょう。骨組みだけの状態の家は完成後には見ることのできない貴重な姿ですので、写真に収めて一生の思い出にしてください。

CHAPTER 11
上棟式に関するよくある質問

A.
棟木が上がった日(棟上げの日)に行うのが一般的です。木造住宅の場合、着工から3〜4週間後が目安です。日取りは大安や友引などの吉日を選ぶ方が多いですが、工事の進捗に合わせて決めます。
A.
親族や親しい友人として招待された場合は、祝い酒(日本酒一升瓶)や菓子折りを持参するのが一般的です。現金を贈る場合は5,000〜1万円が目安で、紅白の蝶結びののし袋に「御祝」と書きます。
A.
正式な決まりはありませんが、カジュアルすぎない清潔感のある服装がベストです。工事現場ですので動きやすい服装が良いでしょう。スーツである必要はありませんが、Tシャツ・短パンなどラフすぎるのは避けましょう。
A.
木造住宅が主ですが、鉄骨造やRC造でも最上階のコンクリートを打設した段階で行うことがあります。マンション建設などでは「上棟式」として施主や関係者を招いて行うケースもあります。
A.
はい、上棟式の当日は大型クレーンの使用や多くの職人の出入りで周辺が騒がしくなるため、事前に近隣への挨拶をしておくのがマナーです。特に餅まきを行う場合は近隣住民をお招きする意味もあるため、1週間前までにはお知らせしましょう。菓子折りを持参して挨拶に伺うと印象がよくなります。
A.
小雨程度であれば上棟式を行うことは可能です。実は雨の棟上げは「福が降り込む」として縁起がよいとされる言い伝えもあります。ただし激しい雨の場合は作業の安全上、延期になることがあります。延期の判断は工務店や棟梁が行いますので、天候が怪しい場合は事前に対応を相談しておきましょう。
A.
もちろん撮影して構いません。むしろ上棟式は一生に一度の記念ですので、写真や動画をしっかり残しておくことをおすすめします。骨組みだけの状態の家の写真は完成後には撮れないため、貴重な記録になります。工事の様子をタイムラプスで撮影しておくと、完成後に見返したときに感動しますよ。
『冠婚葬祭 暮らしのマナー大百科』では、上棟式(じょうとうしき)は建物の骨組みが完成し、棟木(むなぎ)を上げる際に行う儀式で、「棟上げ」「建前(たてまえ)」とも呼ばれると紹介されています。同書によると、式では棟札を棟木に取り付け、四隅の柱に酒・塩・米をまいて建物を清めるのが伝統的な流れです。施主は工事関係者へのご祝儀と祝い膳(折詰め・酒)を用意し、地域によっては餅まきを行う風習もあります。棟梁への祝儀は1〜3万円、職人には5千〜1万円が相場とされ、工事の安全への感謝を示す場だと記されています。

CHAPTER 12
まとめ

上棟式は、建物の骨組み完成を祝い、職人さんへの感謝と今後の工事の安全を祈る大切な節目の行事です。費用やご祝儀の相場を事前に把握しておけば、安心して当日を迎えられます。簡略化したスタイルでも構いませんので、家づくりの思い出として検討してみてください。