次郎の朔日(じろうのついたち)は、2月1日を指す日本の伝統的な暦の表現です。1月1日を「太郎の朔日」と呼ぶのに対し、2番目の月の始まりを「次郎」と表す命名法は、長男を太郎、次男を次郎と名づける日本の文化がそのまま暦に反映されたものです。正月行事が完全に終わり、日常の暮らしが本格的に再開する節目の日として、各地にさまざまな風習が伝えられています。
CHAPTER 01由来と「朔日」の意味
「朔日(ついたち)」とは月の最初の日を意味する言葉です。旧暦では新月の日が月の始まりとされ、「朔(さく)」は月が姿を隠す状態を表していました。太郎・次郎という呼び方は主に東日本で用いられ、西日本ではあまり馴染みがない地域もあります。
正月を起点とした暦の数え方は、小正月(1月15日)、二十日正月(1月20日)と続き、2月1日がその延長線上にある最後の区切りとして位置づけられていました。農村では「正月は太郎で遊び、次郎で仕事を始める」という言い回しもあり、暮らしのリズムを切り替える合図として機能していたことがうかがえます。また、3月1日を「三郎の朔日」と呼ぶ地域もあり、次郎の朔日はこうした暦の数え方の一部として位置づけられています。
2月1日
次郎の朔日の日付
朔日=ついたち
月の最初の日
厄払い
込められた願い

CHAPTER 02各地に伝わる風習
この日にまつわる風習は地域によってさまざまです。
INFO / 地域ごとの風習
東北地方では「カヤの棒」で地面を叩いてモグラを追い払う風習があります。長野県では「二月礼者」として年始の挨拶回りを行い、九州では「初朔日」として神社に参拝する地域もあります。
- 重ね正月:正月飾りを再び飾り、もう一度新年を祝い直す風習。厄年の人が「年を重ねる」ことで厄を落とすという意味合いもあった
- 厄払い・厄落とし:正月中に溜まった穢れを祓い、新たな気持ちで2月を迎えるための行事
- 二月礼:親族や近所の家を回って新年の挨拶をやり直す風習で、正月に会えなかった人への礼儀とされた
いずれも「正月をもう一度やり直す」という発想が共通しており、年の初めに縁起を重ねることで一年の安泰を願う日本人の心性がよく表れています。次郎の朔日に餅や赤飯を食べて祝う家庭もあり、正月料理の延長として小さな宴を設ける地域も見られました。
CHAPTER 03節分・立春(りっしゅん)との関係
2月1日は節分(2月3日頃)と立春(2月4日頃)の直前にあたり、暦の上では冬から春への大きな転換点に位置しています。旧暦では立春の前後が一年の始まりとされていたため、この日は新年を二重に迎えるような特別な意味を持っていました。
節分の豆まきで邪気を払い、立春から新しい季節を迎えるという流れの中で、2月1日はその準備にあたる「静」の一日ともいえます。地域によっては節分の準備として柊鰯(ひいらぎいわし)の材料を揃えたり、恵方巻(えほうまき)の予約をしたりする日でもあります。
パ
新米パパ / 2歳児のパパ
2月1日の次郎の朔日と、2月3日の節分って関係あるんですか?
博
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
2月初旬は旧暦では年の変わり目にあたる時期です。次郎の朔日(2月1日)、節分(2月3日)、立春(2月4日)と続く一連の行事は、いずれも新しい年や季節の始まりに際して邪気を払い、福を呼び込む意味があるんですよ。
CHAPTER 04現代における意義
現代の暮らしでは2月1日を特別に意識する機会は少なくなりましたが、「正月気分を完全に切り替える日」としての意味は今も通じるものがあります。新年の目標を再確認したり、年度末に向けた計画を立て直したりするのに適した節目といえるでしょう。
また、和の暦や歳時記に関心が高まる近年、太郎・次郎という親しみやすい呼び名は日本文化の入門として紹介されることも増えています。暦の言葉一つひとつに先人の暮らしぶりが映し出されていることを、この風習は教えてくれます。次郎の朔日という言葉を知ることで、何気なく過ごしていた2月1日が少し特別な日に感じられるかもしれません。旧暦の知恵に触れながら、季節の節目を意識する暮らしを楽しんでみてはいかがでしょうか。
TIP / 2月の行事を楽しもう
次郎の朔日をきっかけに、節分の豆まきや恵方巻き、立春の行事など、2月の日本の伝統行事を家族で楽しんでみましょう。季節の移り変わりを感じながら過ごす暮らしは、子どもの情操教育にもつながります。
パ
新米パパ / 2歳児のパパ
事八日は2月8日と12月8日の2回あるのですか?
博
カゾイロ博士 / 行事・風習の専門家
はい。2月8日を「事始め」、12月8日を「事納め」とする地域と、逆に12月8日を「事始め」、2月8日を「事納め」とする地域があります。関東では2月8日に針供養を行う風習が残っています。
A.
特定の人物を指すのではなく、正月(太郎月)の次の月(二月)を「次郎」と呼んだことに由来するとされています。月の擬人化表現の一つです。
A.
都市部ではほとんど見られませんが、東北地方や信州などの農村部では風習が残っている地域があります。地域の伝統行事として保存活動も行われています。
A.
「朔」は新月を意味し、旧暦では新月の日が月の始まり(1日)でした。「ついたち」は「月立ち(つきたち)」が転じた言葉で、月が新しく立つ(始まる)日という意味です。
『日本のしきたりがまるごとわかる本』によれば、2月にまつわる年中行事として正月行事の延長にある風習が紹介されています。次郎の朔日(ついたち)は2月1日を指し、正月の「太郎月」に対して2月を「次郎月」と呼んだことに由来します。この日には小正月の名残として小豆粥を食べたり、重ね餅を供えたりする地域もあり、正月から続く年初めの祝いの気持ちを二月に引き継ぐ意味合いがあると解説されています。
CHAPTER 05まとめ
次郎の朔日は、2月1日を指す日本の伝統的な暦の表現で、正月行事を締めくくる節目の日です。重ね正月や厄払いなど地域に根ざした風習が伝えられており、節分・立春を控えた冬から春への転換期に位置しています。和の暦に親しみながら、新年の区切りとして2月の始まりを意識してみてはいかがでしょうか。

