鞍馬の竹伐り会式(たけきりえしき)は、京都・鞍馬寺で毎年6月20日に行われる伝統行事です。山伏装束の僧兵に扮した法師たちが大蛇に見立てた青竹を山刀で伐り、その速さを競います。近江座と丹波座の二手に分かれ、先に伐り終えた方角がその年の豊作になるという豊凶占いの意味を持つ、迫力満点の行事です。この記事では、竹伐り会式の由来・見どころから、開催日・料金・アクセス情報、鞍馬寺の金剛床や魔王殿の不思議体験、周辺の観光スポットまでまとめて紹介します。

CHAPTER 01
鞍馬の竹伐り会式とは?

竹伐り会式は、鞍馬寺の本堂金堂の前庭で行われる行事で、約1,000年の歴史を持つとされています。山伏の装束に身を包んだ伐り手が、長さ約4メートルの太い青竹を大蛇に見立て、山刀(なた)で一気に断ち切ります。東方の「近江座」と西方の「丹波座」に分かれて伐る速さを競い、勝った方角の地域がその年は豊作になると伝えられています。
牛若丸(源義経)が天狗に武芸を学んだ伝説で知られる鞍馬山ですが、この竹伐り会式は武芸の鍛錬ではなく、水神への信仰と修験道の験競べ(げんくらべ)を起源とする宗教行事です。毎年多くの参拝者が訪れ、鞍馬の初夏を代表する行事として親しまれています。

CHAPTER 02
開催日・場所・料金

項目内容
開催日毎年6月20日(雨天決行)
開始時間午後2時頃~
会場鞍馬寺 本堂金堂前庭
所在地京都府京都市左京区鞍馬本町1074
観覧料無料(行事の観覧自体は無料)
愛山費(入山料)高校生以上 500円
ケーブルカー大人 200円 / 小学生以下 100円(片道)
本殿開扉時間9:00〜16:15
問い合わせ075-741-2003(鞍馬寺)
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TIP / 当日の混雑に注意
竹伐り会式の日は例年たいへん混雑します。午前中のうちに到着して、先に境内を参拝しておくのがおすすめです。本堂前庭は広くないため、良い場所で見たい方は1時間前には到着しましょう。

CHAPTER 03
由来 ─ 峰延上人と大蛇退治の伝説

竹伐り会式の起源は、平安時代の峰延上人(ぶえんしょうにん)の大蛇退治伝説にさかのぼります。鞍馬山の奥には古くから大きな蛇が棲む池があると伝えられ、修行中の峰延上人のもとに大蛇が現れて修行を妨げました。上人は真言を唱えてこれを退治し、大蛇は鞍馬山に水を湧き出させることを誓ったとされています。
神社の注連縄
この伝説の背景には、水神信仰があります。水神は田畑に恵みの水をもたらす一方、洪水や干ばつなど災いを引き起こすこともある二面性を持つ存在として畏れられてきました。龍や蛇の姿で現れるとされる水神を「調伏(ちょうぶく)」し、その力を人々のために役立てる ── 竹伐り会式はこうした水神への祈りを、青竹を大蛇に見立てて伐ることで再現した儀式と考えられています。
新米パパ
新米パパ
大蛇を退治した話が行事になったんですね。なぜ竹を伐るんですか?
カゾイロ博士
カゾイロ博士
竹は蛇の姿に見立てられていますが、もうひとつ、修験道の験競べという側面もあります。山伏たちが竹を伐る技と速さを競うことで修行の成果を示すのです。水神祭と修験道の鍛錬が結びついて現在の形になったと考えられていますよ。

CHAPTER 04
竹伐り会式の流れと見どころ

竹伐り会式は6月20日の午後2時頃に始まります。まず前日の6月18日に雄竹4本・雌竹4本の計8本の青竹が本堂に運び込まれ、19日の夜には貫主(かんす)による法華経の読誦が行われます。
  1. 01
    導師入場・読経
    山伏装束の僧兵たちが本堂金堂前庭に整列し、導師の読経が始まります。厳かな雰囲気に境内が包まれます。
  2. 02
    近江座・丹波座に分かれる
    伐り手たちが東方の「近江座」と西方の「丹波座」に分かれます。雄竹と雌竹がそれぞれの座に配置されます。
  3. 03
    竹伐りの合図
    合図とともに一斉に山刀を振り下ろします。太い青竹を何度も叩き伐る力強い音が境内に響き渡ります。
  4. 04
    勝敗の判定・豊凶占い
    先に伐り終えた座が勝利。近江座が勝てば東方(近江・滋賀方面)が豊作、丹波座が勝てば西方(丹波・京都北部方面)が豊作と占います。
見事に伐り終えた瞬間には大きな歓声が上がります。伐られた竹の破片は魔除けのご利益があるとされ、参拝者が持ち帰ることもできます。山伏装束の法師たちが力強く竹を伐る姿は圧巻で、約1時間の行事ですが見応え十分です。
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INFO / 竹の破片は魔除けに
行事の後、伐られた竹の破片を持ち帰ることができます。魔除け・厄除けのご利益があるとされ、毎年多くの参拝者がこの破片を求めます。

CHAPTER 05
本堂金堂前の金剛床|六芒星のパワースポット

竹伐り会式が行われる本堂金堂の正面に広がる石畳が「金剛床(こんごうしょう)」です。中央には六芒星が描かれており、鞍馬寺でも随一のパワースポットとして知られています。六芒星の中心は「尊天(そんてん)」のエネルギーが最も満ちる場所とされ、ここに立つと宇宙と一体化できると伝えられています。
尊天とは、鞍馬寺の本尊で、毘沙門天・千手観音・護法魔王尊の三身を一体とした宇宙エネルギーの象徴です。金剛床の正しい立ち方は、六芒星の中心にある三角形の石は踏まず、その周りに静かに立って目を閉じ、深呼吸をするとよいとされています。
実際に訪れた人からは「手がビリッと痺れた」「体が温かくなった」「視界が開けるような感覚があった」という不思議な体験談が多く寄せられています。スピリチュアルな解釈を抜きにしても、標高410メートルの山上で深呼吸をし、心を静める時間は、それだけで心身がリフレッシュされる体験です。竹伐り会式の観覧前後に、ぜひ金剛床にも立ち寄ってみてください。

CHAPTER 06
鞍馬寺の魔王殿は怖い?奥の院の秘境

鞍馬山の奥の院に鎮座する「魔王殿」は、名前だけ聞くと恐ろしげですが、実際にはどうなのでしょうか。魔王殿には、650万年前に金星から地球に降り立ったと伝えられる護法魔王尊(ごほうまおうそん)が祀られています。人類を救済するために降臨したとされる存在で、「魔王」とはいえ恐ろしい存在ではなく、地球のエネルギーを司る神のような位置づけです。
魔王殿へは本堂金堂から奥の院参道を歩いて約30分。途中には木の根が地表をうねうねと這う「木の根道」があり、牛若丸がこの根を飛び越えて修行したと伝えられています。山の中にひっそりと佇む魔王殿は、「名前ほど怖くない」という声が大半で、むしろ静謐で神聖な空気に包まれた場所です。
ただし、「鞍馬山で不思議な体験をした」という話は少なくありません。急に空気が変わったと感じたり、言葉では説明しにくいエネルギーの流れを感じたという声もあります。古来より修験道の霊山として信仰されてきた山ですから、そうした感覚を覚える人がいても不思議ではないでしょう。軽い気持ちで楽しむも良し、畏敬の念を持って歩くも良し ── どちらにしても、鞍馬山の奥深い自然と歴史を肌で感じられる特別な場所です。
新米パパ
新米パパ
魔王殿って名前が怖いんですが、子連れで行っても大丈夫ですか?
カゾイロ博士
カゾイロ博士
名前は物々しいですが、実際は山の中にひっそり建つ小さなお堂ですよ。ただし奥の院参道は山道で、急な階段や木の根道があります。小さなお子さん連れの場合は抱っこ紐やしっかりした靴が必要です。本堂から片道30分ほどかかるので、体力と相談して判断してくださいね。
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CAUTION / 奥の院参道の注意
魔王殿への参道は舗装されていない山道です。歩きやすい靴と飲み物を用意しましょう。雨の日は特にすべりやすいため注意が必要です。参道を抜けると貴船側に下りることもできます。

CHAPTER 07
鞍馬寺と鞍馬山の信仰

鞍馬寺は奈良時代の宝亀元年(770年)に鑑真(がんじん)和上の高弟・鑑禎(がんてい)が毘沙門天を祀って創建したと伝えられる古刹です。平安時代には皇室の崇敬を集め、鞍馬山は修験道の霊山として多くの行者が修行に励みました。現在は「鞍馬弘教」の総本山で、本尊は毘沙門天・千手観音・護法魔王尊の三身を一体とした「尊天」です。
京都の神社
鞍馬山といえば、源義経(牛若丸)が天狗から武術を学んだ伝説で広く知られています。幼少の義経が鞍馬寺に預けられ、鞍馬天狗(僧正坊)のもとで剣術や兵法を修めたという物語は、謡曲「鞍馬天狗」や歌舞伎でも親しまれています。境内には義経供養塔や「息つぎの水」「背比べ石」など、義経伝説ゆかりの史跡が点在しています。
鞍馬山の秋を彩るもうひとつの重要な行事が、毎年10月22日に行われる「鞍馬の火祭」です。鞍馬寺の鎮守社である由岐(ゆき)神社の例祭であり、京都三大奇祭のひとつに数えられています。「サイレイヤ、サイリョウ」の掛け声とともに大小の松明(たいまつ)が石段を練り歩く光景は壮観です。竹伐り会式が水神への信仰と豊穣祈願を担うのに対し、鞍馬の火祭は火の浄化力と鬼神鎮護を象徴しており、鞍馬山には水と火という相反する二つの霊力が宿ると古くから信じられてきました。

CHAPTER 08
アクセス方法

電車で行く場合(おすすめ)

  1. 01
    京都駅からJR奈良線で東福寺駅へ
    京都駅からJR奈良線で1駅(約3分)。京阪電車に乗り換えます。
  2. 02
    京阪電車で出町柳駅へ
    東福寺駅から京阪本線で出町柳駅まで約15分。
  3. 03
    叡山電鉄で鞍馬駅へ
    出町柳駅から叡山電鉄鞍馬線で終点の鞍馬駅まで約30分。鞍馬駅前には大きな天狗のオブジェが迎えてくれます。
  4. 04
    鞍馬駅から本堂へ
    鞍馬駅から仁王門まで徒歩約3分。仁王門から本堂金堂までは徒歩約30分。途中のケーブルカーを利用すれば多宝塔駅まで約2分で上がれ、そこから本堂まで徒歩約10分です。

バスで行く場合

京都バス(52系統)で「鞍馬」バス停下車、徒歩すぐ。ただしバスの本数は少ないため、叡山電鉄の方が便利です。

車で行く場合

鞍馬寺に専用駐車場はありません。周辺の有料駐車場を利用してください。鞍馬駅前に「タイムズ鞍馬寺前」(約9台、平日最大500円、土日祝最大700円)があるほか、沿道に小規模な民間駐車場が点在しています。竹伐り会式当日は満車になることが多いため、公共交通機関の利用を強くおすすめします。

CHAPTER 09
周辺の観光スポット

鞍馬寺を訪れたら、あわせて楽しみたい周辺スポットを紹介します。特に貴船神社へのハイキングは鞍馬観光の定番コースです。
貴船神社(きふねじんじゃ)
水の神を祀る古社。縁結びの「結社(ゆいのやしろ)」や水占みくじが人気。鞍馬寺の奥の院(魔王殿)から山を越えて貴船側に下りるハイキングコース(約2時間)がおすすめ
貴船の川床(かわどこ)
夏季限定で貴船川の上に座敷を設け、流水の涼を感じながら京料理をいただける。竹伐り会式の後に立ち寄るのにぴったり
由岐神社(ゆきじんじゃ)
鞍馬寺の鎮守社。樹齢約800年の大杉がそびえる。10月22日の「鞍馬の火祭」で有名。鞍馬寺参道の途中にあり、入山時に立ち寄れる
鞍馬温泉
鞍馬駅から徒歩約10分。露天風呂から鞍馬山の自然を眺められる日帰り温泉施設。ハイキングの疲れを癒すのに最適
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TIP / 鞍馬→貴船ハイキングのすすめ
鞍馬駅から鞍馬寺を参拝し、奥の院・魔王殿を経て貴船神社へ下りるコースは、下り坂が多く初心者にもおすすめ。所要時間は約2時間。貴船で川床料理を楽しんでから、叡山電鉄の貴船口駅から帰るプランが人気です。

CHAPTER 10
Googleマップ

鞍馬寺の所在地は京都府京都市左京区鞍馬本町1074です。叡山電鉄「鞍馬駅」から仁王門まで徒歩約3分です。

CHAPTER 11
よくある質問

A.
毎年6月20日の午後2時頃から、鞍馬寺の本堂金堂前庭で行われます。雨天でも基本的に開催されます。
A.
行事の観覧自体は無料です。ただし鞍馬寺への入山には愛山費500円が必要です。ケーブルカーは別途200円(片道)です。
A.
京都市内から叡山電鉄で「鞍馬駅」まで約30分。駅から仁王門まで徒歩約3分、本堂まで徒歩約30分です。途中のケーブルカーを利用すると多宝塔駅まで約2分で上がれます。
A.
専用駐車場はありません。鞍馬駅前のタイムズ(約9台)など周辺の有料駐車場を利用してください。行事の日は混雑するため公共交通機関がおすすめです。
A.
六芒星の中心にある三角形の石は踏まず、その周りに静かに立ちましょう。目を閉じて深呼吸をするとよいとされています。中心の石は尊天を表しています。
A.
名前は物々しいですが、実際は山の中にひっそり建つ小さなお堂です。「名前ほど怖くない」という声がほとんどで、静かで神聖な雰囲気の場所です。ただし山道を片道30分歩くため、歩きやすい靴が必要です。
A.
はい、別の行事です。竹伐り会式は6月20日の鞍馬寺の行事、鞍馬の火祭は10月22日の由岐神社の行事です。どちらも鞍馬山で行われますが、主催も内容も異なります。
A.
はい。鞍馬寺の奥の院から山を越えて貴船神社へ下りるハイキングコース(約2時間)があります。下り坂が多く初心者にもおすすめです。帰りは叡山電鉄の貴船口駅から乗車できます。

CHAPTER 12
まとめ

鞍馬の竹伐り会式は、毎年6月20日に京都・鞍馬寺で行われる約1,000年の歴史を持つ伝統行事です。山伏装束の法師が大蛇に見立てた青竹を山刀で伐り、近江座と丹波座がその速さを競う姿は圧巻の一言。観覧は無料で、伐られた竹の破片は魔除けとして持ち帰ることもできます。本堂金堂前の金剛床(六芒星)や奥の院の魔王殿も見逃せないスポット。鞍馬寺から貴船神社への山越えハイキングとあわせて、京都の霊山を一日かけてじっくり満喫してみてはいかがでしょうか。