二十日正月(はつかしょうがつ)とは、1月20日に行われる正月の締めくくりの行事です。この日をもって正月の祝い納めとし、正月飾りや供え物をすべて片づける節目とされてきました。「骨正月(ほねしょうがつ)」「頭正月(あたましょうがつ)」とも呼ばれ、正月に供えた鯛(たい)や鰤(ぶり)の骨や頭を煮て食べきる食の風習が各地に残っています。

CHAPTER 01
二十日正月とは?基本の意味

二十日正月は、1月20日を正月行事の最終日とする風習です。正月期間にはさまざまな節目があり、1月7日の七草の節句松の内が明け(関東)、1月11日の鏡開きで年神様にお供えした鏡餅を食べ、1月15日の小正月でどんど焼きを行います。そして1月20日の二十日正月で、正月にまつわる一切の行事を終えるのです。
二十日正月を過ぎると、正月の残り物を食べ尽くし、飾り物もすべて片づけます。「正月の残りを食い尽くす」という意味から「乞食正月(こじきしょうがつ)」「棚探し(たなさがし)」などの別名もあり、いずれも「ここで正月を終わらせる」という強い区切りの意識が込められています。
正月飾り
二十日正月は正月の締めくくりの行事
二十日正月(はつかしょうがつ)
1月20日に行われる正月の締めくくりの行事。正月飾りや供え物をすべて片づける節目
骨正月(ほねしょうがつ)
正月に供えた鯛や鰤の骨を大根や野菜と煮て食べきる風習。主に西日本で見られる
頭正月(あたましょうがつ)
鯛や鰤の頭を煮物にして食べる風習。骨正月と同義で使われることもある
乞食正月(こじきしょうがつ)
正月の残り物を食べ尽くす日という意味の別名。食べ物を無駄にしない知恵でもある

CHAPTER 02
由来と歴史 ─ 正月の終わりの節目

二十日正月の由来は古く、平安時代にはすでに1月20日を正月行事の区切りとする習慣があったとされています。宮中では正月の公式行事がこの頃までに終了し、日常の政務に戻る節目でした。庶民の間でも年神様を迎える正月の一連の行事をこの日で締めくくり、通常の生活に戻る区切りとして意識されていました。
正月には「松の内」「小正月」「二十日正月」と段階的な区切りがあります。松の内(関東は1月7日、関西は1月15日まで)は門松を飾る期間で、年神様が滞在する期間とされました。小正月(1月15日)は正月飾りを焼く「どんど焼き」の日。そして二十日正月(1月20日)が正月の完全な終わりです。鏡開きや小正月についてはそれぞれ「鏡開きとは?」「小正月とは?」で詳しく解説しています。
新米パパ
新米パパ
正月の区切りって何段階もあるんですね。松の内、小正月、二十日正月と少しずつ日常に戻っていく感じでしょうか。
カゾイロ博士
カゾイロ博士
そのとおりです。昔の人は正月をゆっくり段階的に締めくくっていたんですね。現代は松の内が明けると一気に日常に戻りがちですが、二十日正月まで意識すると正月の余韻を大切にできますよ。

CHAPTER 03
骨正月・頭正月の食の風習

二十日正月は「骨正月」「頭正月」とも呼ばれ、正月に供えた魚の残り(骨や頭)を煮て食べきる食の風習があります。正月に尾頭付きの鯛や鰤(ぶり)をお供えした家庭では、1月20日にその残りの骨や頭を大根やかぶなどの冬野菜と一緒に煮込んで「骨煮(ほねに)」として食べたのです。
この風習には、正月の食材を最後まで無駄にしない「もったいない」の精神が込められています。魚の骨や頭にはカルシウムやコラーゲンが豊富に含まれており、冬場の栄養補給としても理にかなった知恵でした。骨まで食べきることで年神様への感謝を表し、新しい年を健康に過ごせるようにという願いも込められていました。
骨正月の食の風習をさらに詳しく見ると、地域ごとに特色ある食べ方が伝わっています。関西地方では正月に用いた塩鰤(しおぶり)の骨や頭を大根と一緒に炊く「ぶり大根」が定番で、1月20日にこれを食べて正月の食材を使い切ります。四国地方では「頭正月」と呼ばれ、正月魚の頭を酒粕で煮込んだ粕汁が振る舞われる地域もあります。骨まで煮込むことでカルシウムやコラーゲンなどの栄養を余すことなく摂取でき、冬の寒さに負けない体づくりにも役立つ先人の知恵が生きています。
二十日正月が「正月の最終日」とされる背景には、日本人の「ハレ」と「ケ」の意識が深く関わっています。元日から続く正月の「ハレ(非日常)」の期間を、松の内(門松を飾る期間)・小正月(1月15日)・二十日正月と段階的に日常(ケ)へ戻していくことで、心と体を穏やかに切り替える仕組みになっているのです。二十日正月を過ぎると正月飾りや供え物をすべて片づけ、残った食材も食べ尽くして「完全に正月を終わらせる」ことから、「正月のすべてを納める日」として古くから大切にされてきました。
TIP / 現代の二十日正月の過ごし方
現代では正月に鯛を丸ごと供える家庭は少なくなりましたが、二十日正月は冷蔵庫に残った正月の食材を使い切る日として活用できます。おせちの残りや餅を使ったアレンジ料理で「食の正月じまい」をするのもおすすめです。食品ロス削減の観点からも、先人の知恵に学ぶところは大きいでしょう。

CHAPTER 04
地域ごとの違い

二十日正月の風習は全国各地に残っていますが、呼び名や過ごし方には地域差があります。
地域別 二十日正月の風習
地域呼び名風習・特徴
関西地方骨正月・頭正月正月の鰤や鯛の骨・頭を大根と煮て食べる
関東地方二十日正月・棚探し棚の上の供え物を下ろして食べきる。正月飾りの最終片づけ
石川県・北陸乞食正月正月の残り物をすべて食べ尽くす。名前は質素な意味
東北地方二十日正月小正月から続く正月行事の最終日。団子や餅を食べる地域も
西日本一部フセ正月「伏せる」の意。正月の道具を伏せてしまう日
新米パパ
新米パパ
「乞食正月」や「棚探し」なんて呼び名があるんですね。残り物を食べ尽くすという発想が面白いです。
カゾイロ博士
カゾイロ博士
名前はユニークですが、食べ物を最後まで大切にする日本人の精神が表れていますね。冷蔵庫がなかった時代、正月の食材を20日までに食べきるのは保存の面でも合理的だったのです。

CHAPTER 05
二十日正月の過ごし方 ─ 現代の家庭での楽しみ方

現代の家庭でも二十日正月を意識することで、正月行事をきちんと締めくくることができます。ここでは正月飾りの片付け・残った食材の活用・子どもとの行事体験の3つのポイントを紹介します。
正月飾りの処分
1月15日の小正月(どんど焼き)で燃やすのが一般的だが、二十日正月まで飾る地域もある。神社のお焚き上げに持参するか、塩で清めて一般ごみとして処分
残り餅の活用
おかき・あられにして保存食に。薄く切って干し、油で揚げるだけで手作りおかきの完成
骨正月の再現
鯛のあらや鰤のかまを使った粕汁やあら汁を家族で作り、正月の食材を最後まで大切にいただく体験に
新米パパ
新米パパ
残ったお餅を子どもと一緒におかきにすると、「食べ物を大切にする」食育にもつながりますよ。

CHAPTER 06
正月行事の全体像 ─ 元日から二十日正月までの流れ

日付行事内容
1月1日元日新年の始まり・初詣・おせち
1月2日書き初め新年最初の書道
1月7日七草粥春の七草を入れた粥で無病息災を願う
1月11日鏡開き鏡餅を割って食べる(関東)
1月15日小正月どんど焼き・小豆粥
1月20日二十日正月正月の締めくくり・骨正月
日本の正月行事は元日から二十日正月まで約3週間にわたります。二十日正月は正月のすべての行事を締めくくる最後の節目であり、この日をもって正月の祝い納めとされてきました。

CHAPTER 07
二十日正月と小正月・鏡開きの違い

鏡開き(1月11日)
鏡餅を割って食べる行事。関西では1月15日または20日に行う地域もある
小正月(1月15日)
どんど焼きで正月飾りを燃やす行事。豊作祈願や厄払いの意味がある
二十日正月(1月20日)
正月の最終日。骨正月として正月の残り物を食べきり、日常に戻る節目
いずれも正月の「終わり」に関わる行事ですが、鏡開きは「餅」、小正月は「飾り」、二十日正月は「食」の締めくくりと覚えるとわかりやすいでしょう。
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INFO
関西では鏡開きを1月15日や20日に行う地域があり、二十日正月と重なることがあります。お住まいの地域の風習に合わせて行いましょう。
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CHAPTER 08
よくある質問

A.
1月20日の二十日正月は、正月の祝い納めの日です。正月飾りや供え物をすべて片づけ、正月に供えた魚の骨や頭を煮て食べきる「骨正月」の風習があります。この日をもって正月行事はすべて終了します。
A.
小正月(1月15日)は正月飾りを焼く「どんど焼き」や小豆粥を食べる行事の日、二十日正月(1月20日)は正月の食材を食べ尽くし完全に正月を終える日です。小正月が「火の正月じまい」なら、二十日正月は「食の正月じまい」といえます。
A.
骨正月(ほねしょうがつ)は二十日正月の別名で、正月に供えた鯛や鰤の骨や頭を大根などと煮て食べきる風習のことです。主に関西地方で使われる呼び名で、「頭正月(あたましょうがつ)」とも呼ばれます。
A.
特別な儀式をする必要はありませんが、1月20日を「正月の片づけの最終期限」として意識すると、お正月気分にメリハリがつきます。残った正月料理や餅を工夫して食べきる日として活用するのもおすすめです。

CHAPTER 09
まとめ

二十日正月は、1月20日に正月の一切を締めくくる日本の伝統行事です。骨正月・頭正月として魚の骨まで食べきる風習には、食材を無駄にしない先人の知恵と年神様への感謝が込められています。松の内から小正月、そして二十日正月へと段階的に正月を終える日本の暦文化を、ぜひ家庭でも意識してみてください。お正月全体の過ごし方については「お正月の過ごし方|家族で楽しむ伝統行事・遊び・おすすめプラン」もご覧ください。